加藤製作所
【東証プライム:6390】「機械」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は「優秀な製品による社会への貢献」を経営理念とし、法の下に社業を忠実に行い、職務を通じて社会の進歩と発展に寄与することが責任遂行の基本と考え、高性能、高品質の製品を開発し、国内外の顧客に供給することによって豊かな社会作りに貢献するとともに会社の限りない繁栄を実現することを経営の基本方針としております。
当社では上記の経営方針に則り、長きに亘り事業を通じて蓄積してきた技術と経験を活かしたモノづくりを行っておりますが、近年では国内需要の伸び悩みや海外メーカーとの競争が一層激化しております。さらに輸入物価上昇、各国の通商政策の影響、ウクライナ問題や中東情勢などの地政学リスク、中国経済の景気低迷など、当社を取り巻く事業環境は厳しい状況が続いております。
どのような環境下においても経営方針を遵守し、社会づくりの基盤たる建設機械メーカーとして絶やすことなく付加価値の高い製品を製造・販売していくことが当社の責務であり、事業を通じてあらゆるステークホルダーから共感・支持を得られる企業を目指してまいります。
(2) 当社グループの経営環境
当社グループは、当社を中心に国内外にある子会社及び関連会社とともに、「建設用クレーン」、「油圧ショベル等」及び「その他の建設機械」の製造・販売を主要事業とする企業構造となっております。当社グループは構成単位ごとの独立性や採算性をもとに、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績の評価を定期的に行っております。
当社グループの主要な市場は「日本国内」、「中国」、「欧州」及び「その他海外諸地域」(東南アジア、北米)であります。また、中国や欧州及びその他海外諸地域では、当該地域の市場ニーズをより詳細に反映するため、子会社が製造・販売活動を行っており、当該地域の製造・販売拠点を基礎として報告セグメントを決定しております。
現在の当社グループを取り巻く市場環境は、国内では緩やかな景気回復が継続している一方、海外においては、主力市場である米国の大統領選挙前の買い控えや欧州での急速な需要低迷など厳しい販売環境が続きました。
なお、2024年6月20日並びに2024年7月12日に公表のとおり、不動産市況に起因したインフラ投資の鈍化による需要低下や地場メーカーの台頭により業績の低迷が続いていた中国連結子会社2社については、事業環境について回復の目途が立たないことから、解散及び清算を決定いたしました。
(3) 中長期的な経営戦略及び対処すべき課題
① 中長期的な会社の経営戦略
当社グループでは、厳しい事業環境下でも収益の安定化を図り、さらなる成長を遂げることを目的に、2023年3月期を初年度とする3ヵ年の中期経営計画(2022-2024)を策定し、各施策を推進してまいりました。
中期経営計画(2022-2024)の概要および結果については以下のとおりです。
●テーマ
『スリムで骨太体質への変革』次なる飛躍に向けた徹底的な変革の3年
●基本方針・取組状況の評価及び結果
基本方針 | 評価 | 取組状況及び結果 |
収益性改善・強化 | 〇 | ■ 原価率低減および黒字化達成 ・KATO Reborn Project(KRP:収益性改善プロジェクト)の実践によ り、既存機種のコストダウン推進益性強化 ・新機種開発(主要部品供給制限で一部遅延) ・販売価格の適正化 ・販売拠点の見直し(統合) |
財務体質の改善 | △ | ■ 運転資本を適正化し、資金効率を向上 ・資本収益性の改善に向けた事業ポートフォリオの見直し (海外事業の見直しと遊休又は非稼働資産売却) ・市況低迷により、一時的にたな卸資産が増加 |
将来の基盤構築 | ◎ | ■ 将来への基盤構築推進 ・生産機種の選択と集中を実施 ・環境配慮型製品の開発推進 ・インドでの合弁会社設立準備 |
●数値計画と結果
当中計期間においては、サプライチェーンの混乱や一部製品の主要部品に供給制約が発生し、生産面に影響が出たほか、計画策定時の想定を超える中国経済の低迷が続いたこともあり、数値計画は結果として未達となりました。
一方、中国に代わり成長市場として期待できるインドでの現地企業との合弁会社設立や市場競争力強化を目的にした既存機種のコストダウン推進プロジェクトなど、「将来の基盤構築」と「収益性改善・強化」にて掲げた施策は概ね達成いたしました。
(単位:億円)
連結業績 | 2022年3月期 (参考) | 2023年3月期 (前中計1年目) | 2024年3月期 | 2025年3月期 | |||
実績 | 計画 | 実績 | 計画 | 実績 | 計画 | 実績 | |
売上高 | 635 | 641 | 575 | 644 | 574 | 664 | 529 |
製造原価率 | 89.6% | 85.4% | 84.2% | 83.7% | 81.7% | 83.2% | 83.8% |
営業利益 | △72 | 13 | 12 | 25 | 16 | 31 | 9 |
棚卸資産 | 320 | 310 | 315 | 318 | 355 | 327 | 452 |
② 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
中期経営計画(2022-2024)の最終年度となる2025年3月期は、生産面での懸念事項が大幅に解消され、テーマに掲げた『スリムで骨太体質への変革』が進んできたことから、期初に中計の数値計画を上回る売上高の予想をたて、大幅増収に向け増産体制を整備してまいりました。
しかしながら、国内においては高価格帯の大型ラフテレーンクレーン新型車の市場投入遅延に加え、中古車市場の価格低下に伴う買い替え需要の減少、建設工事に関わる人材不足による建機需要の伸び悩みなど、厳しい販売環境が継続いたしました。海外においても主力市場である米国においては、大統領選挙前の買い控え、欧州においては急速な需要低迷があり、結果として期初計画から売上高を下方修正することとなりました。また、増産に対して想定よりも販売が伸長しなかったことから、期末での棚卸資産が増加しております。取組状況の評価及び結果の通り、インド事業の着手や環境配慮型製品の開発など「将来の基盤構築」は進んだものの「収益性改善・強化」・「財務体質の改善」については、開発したコストダウン機の市場投入遅延や棚卸資産の増加を含めた運転資本の改善など一部に課題を残しております。
これらの状況を踏まえ、当社グループでは2026年3月期を初年度とする3ヵ年の中期経営計画(2025~2027)を新たに策定いたしました。新中計では、黒字転換のため合理化を優先した前中計から、業績伸長に向け事業力強化・拡大路線に軸足を移し、前中計で積み残した上記課題への対応に加え、持続的な成長を意識した企業価値の向上や成長戦略などを主要施策として織り込んでおります。
中期経営計画(2025~2027)の概要については以下のとおりです。
●テーマ
「飛躍、そして次の時代へ」~Leap & To The Next Era~
●基本方針
基本方針 | 主な取組み |
企業価値の向上 | ・資本コストを意識した経営の実践 |
成長戦略の推進と有効投資 | ・前中計で種をまいた施策効果の確実な刈り取り |
収益性の更なる向上 | ・前中計で取り組んできた施策の深化による収益性向上 |
サステナビリティ経営の実践 | ・サステナビリティ経営の強化による企業価値向上 |
●数値計画
(単位:億円)
連結業績 | 2025年3月期 (参考) | 2026年3月期 (1年目) | 2027年3月期 | 2028年3月期 |
売上高 | 529 | 570 | 660 | 790 |
営業利益 | 9 | 17 | 25 | 36 |
営業利益率 | 1.7% | 2.9% | 3.7% | 4.5% |
ROE(%) | △12.7% | 3.7% | 5.4% | 8.0% |
③ 2026年3月期の業績見通しについて
2026年3月期の連結業績予想につきましては、米国における関税政策など不透明な事業環境は継続し、国内外市場における急激な需要増加は見込めないものの、前期市場投入が遅れた大型ラフテレーンクレーン新型車の期初からの販売に加え、期中からインド事業による増収が期待できることから、売上高は前期比7.7%増となる570億円を見込んでおります。
なお、最終損益につきましては、一過性の損失を計上した2025年3月期から大幅に改善する見込みであり、前中計からの施策効果に加え、新中計の各施策を遅滞なく推進していくことで、今後の連結業績と資本収益性は確実に向上していくものと認識しております。
(単位:百万円)
| 2025年3月期 | 2026年3月期(予想) | |
金額 | 金額 | 増減率 | |
売上高 | 52,932 | 57,000 | 7.7% |
営業利益 | 903 | 1,700 | 88.1% |
経常利益 | 1,401 | 1,200 | △14.4% |
親会社株主に帰属する当期純利益 | △6,033 | 1,200 | - |
※想定為替レートUSD/JPY=145円、EUR/JPY=155円、CNY/JPY=20円
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