倉敷紡績
【東証プライム:3106】「繊維製品」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
①基本方針
当社グループは、経営理念「私たちクラボウグループは、新しい価値の創造を通じてより良い未来社会づくりに貢献します。」のもと、サステナビリティ経営を推進し、当社グループが株主及び取引先をはじめとするステークホルダーから存在価値を評価され、信頼感が持てる企業、安心感を与える企業として支持されることを目指します。
また、社会的責任遂行のための行動指針「クラボウグループ倫理綱領」に則り、地球環境の保全をはじめとするサステナブルな社会の実現に貢献するとともに、豊かで健康的な生活環境づくりを目指して、独創的で真に価値のある商品・情報・サービスを提供し、グループの企業価値を高めてまいります。
②中期経営計画
当社グループは、2030年のあるべき姿を描いた「長期ビジョン2030」の第3ステージにあたる3ヵ年の新中期経営計画「Accelerate'27」(2025年4月~2028年3月)を策定し、2025年4月よりスタートしました。
「Accelerate'27」では、基本方針を「高収益事業の成長加速と経営資源の効率的な活用による企業価値の向上」とし、以下の重点施策に取り組むとともに、目標の達成に向けて、経営資源を効率的に活用しながら、更なる成長を加速させるための最適な事業ポートフォリオを構築してまいります。
<重点施策>
・成長市場に向けた注力事業の展開・加速と基盤事業の収益力強化
・R&D活動の強化と新規事業の創出・収益化
・サステナブル社会の実現への貢献
・エンゲージメントの高い組織の構築
その目標数値は、以下のとおりです。
指 標 | 2025年度 | 2026年度 | 2027年度 |
売上高 | 1,440億円 | 1,520億円 | 1,650億円 |
営業利益 | 80億円 | 112億円 | 130億円 |
R O E | 8.0% | 9.0% | 10.0% |
R O A | 4.3% | 6.2% | 7.5% |
R O I C | 4.4% | 6.4% | 7.9% |
(注)ROE:自己資本当期純利益率、ROA:総資産営業利益率、ROIC:投下資本利益率
(2) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の経済情勢につきましては、引き続き、緩やかな回復基調で推移するものと思われますが、ウクライナ情勢や中東情勢は不安定な状況が続き、中国経済の回復も見通せないなか、米政権が推し進める追加関税などの政策変更により世界経済が景気後退に陥るリスクも懸念され、先行きは極めて不透明な状況です。
このような経営環境のなかで、当社グループは、2030年のあるべき姿を描いた「長期ビジョン2030」の第3ステージにあたる3ヵ年の新中期経営計画「Accelerate'27」(2025年4月~2028年3月)を策定し、2025年4月よりスタートしました。
「Accelerate'27」では、基本方針を「高収益事業の成長加速と経営資源の効率的な活用による企業価値の向上」とし、以下の重点施策に取り組むとともに、目標の達成に向けて、経営資源を効率的に活用しながら、更なる成長を加速させるための最適な事業ポートフォリオを構築してまいります。
<重点施策>
① 成長市場に向けた注力事業の展開・加速と基盤事業の収益力強化
半導体製造関連や自動化・制御装置、メディカルといった成長を続ける市場に向け、収益力の高い注力事業、すなわち高機能プロダクツ事業、エレクトロニクス事業、ライフサイエンス・テクノロジー事業等へ経営資源を集中し、事業の拡大を加速いたします。また、社会課題の解決に資する、基盤事業における安定収益の確保と、低採算事業の収益構造の転換を図ることで、グループ全体の経営基盤を支えていくための収益力を強化してまいります。
② R&D活動の強化と新規事業の創出・収益化
ロボットセンシング、セミコンソリューション、ライフサイエンス・テクノロジー、マテリアルソリューションに重点を置いた研究開発活動を推進し、新規事業の創出と早期収益化を図ります。また、公的機関やベンチャー企業とも連携し、持続的成長を支える、次世代技術の創出を目指します。
③ サステナブル社会の実現への貢献
当社グループは、「サステナビリティに関する基本方針」及び経営理念のもと、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指すサステナブル経営を一層推進するため、サステナビリティ・CSRに係るガバナンス体制を一部変更し、「サステナビリティ委員会」を設置しました。新たな体制の下、人権や法令順守といったコンプライアンス面での統治だけでなく、当社グループのマテリアリティへの取組みを一層強化するとともに、サプライチェーンの適切な管理にも注力し、サステナブル社会の実現に資する活動を推進してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する取組みの詳細は、以下の当社ホームページに掲載しています。
当社グループのサステナビリティ:https://www.kurabo.co.jp/sustainability/
④ エンゲージメントの高い組織の構築
変化の激しい時代のなかで、「イノベーションと高収益を生み出す強い企業グループ」を目指し、企業価値を持続的に向上させるため、好奇心と行動力で新しい価値を生み出すことのできる、チャレンジ精神と創造的思考力を持った社員の育成に注力しています。
働きやすさとやりがいを感じられる職場環境のなかで、社員一人一人が企業価値の持続的向上に主体的に貢献する「エンゲージメントの高い組織」の構築のための施策に取り組んでまいります。
<投資の基本方針>
企業価値の持続的な向上を図るため、成長に向けたM&Aや設備投資、研究開発や知的財産、人材への投資などへ積極的かつ継続的に、また適切に投入してまいります。
設備投資については、持続的な成長を図るためにも、優先的に注力事業や環境に配慮した投資を実施いたします。
<財務・資本政策>
① 株主還元の方針
当社は、株主の皆様に対する配当を企業の重要課題の一つであるとの認識に立ち、継続的・安定的な利益還元を基本としており、「Accelerate'27」期間においては、株主資本配当率(DOE)4%を目標値として設定いたしました。
また、株主還元の充実及び資本効率の向上を図るため、「Accelerate'27」の3年間で200億円の自己株式の取得を併せて実施してまいります。
② 政策保有株式の縮減方針
政策保有株式につきましては、売却を段階的に進め、「Accelerate'27」の最終年度である2027年度末までに連結純資産比20%未満まで縮減する方針です。
<キャッシュ・アロケーション>
「Accelerate’27」では、資金の源泉(キャッシュイン)として、3年間で生み出す営業キャッシュフローと非営業資産である政策保有株式の売却収入を見込んでいます。
これらのキャッシュインに対するアロケーションは、投資の基本方針に則った成長のための設備投資・M&Aや、資本政策に則った配当と自己株式の取得に充ててまいります。
セグメントごとの経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は、以下のとおりであります。
①化成品事業
(経営環境)
化成品事業では、半導体をはじめ自動車、建築、産業資材など様々な業界に幅広く、汎用から高機能にわたる合成樹脂を中心とした製品事業を展開しており、顧客に密着した商品開発・営業により、顧客ニーズに迅速かつきめ細かく対応できる体制を構築しています。それぞれの分野において処方開発、成形技術やSDGsを意識した商品開発など、開発体制の一層の強化と、生産技術の向上による業容の拡大に注力しています。
なお、米政権が推し進める追加関税などの政策変更により、事業運営に影響が出る可能性があります。
(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)
高機能プロダクツ(高機能樹脂製品、機能フィルム)を成長・注力事業と位置付け、経営資源を集中して業容拡大に取り組んでまいります。高機能樹脂製品では、半導体市場の今後の更なる拡大に向け、今春稼働した熊本イノベーションセンターを活用し、業容拡大に取り組み、機能フィルムでは三重工場の新ラインを活用した拡販を進めてまいります。
基盤事業と位置付けている産業マテリアル(軟質ウレタン、住宅用建材、機能資材、不織布)では、安定した収益確保に向けて生産体制の効率化に取り組むとともに、新商品開発・新市場開拓にも取り組んでまいります。
また、今後の市場拡大が見込まれる熱可塑性炭素繊維複合シート「KURAPOWER SHEET(クラパワーシート)」の早期事業化に向けたマーケティング活動と技術開発に注力してまいります。
②繊維事業
(経営環境)
繊維事業では、紡績、織布、染色整理加工、縫製における独自の技術を生かし、綿を中心とした天然繊維をベースに糸やテキスタイルなどの繊維製品に関する事業を展開しています。
繊維業界を取り巻く環境は、原燃料価格や為替の大幅な変動などきびしい状況が続いていますが、一方で高機能繊維製品やサステナブルを訴求した素材への需要が増加しています。
高収益事業への転換と業容拡大を目指して、独自技術を生かした新商品・サービスの開発と販売拡大に注力するとともに、効率化を重視した生産体制の構築を推進しています。
(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)
糸では、原料改質技術を活用した高機能製品「NaTech(ネイテック)」の開発推進と販売拡大、ユニフォームでは、「PROBAN(プロバン)」、「BREVANO(ブレバノ)」等の防炎素材や、暑熱環境下におけるリスク低減の管理システム「Smartfit(スマートフィット)」など、働く人へ安全と快適を提供するビジネスへの転換を進め、カジュアルでは、需要の高まる軽量で機能性の高い快適な独自のテキスタイル開発と海外生産拠点を活用した高品質で短納期対応が可能な生産体制の構築に取り組んでまいります。これらの取組みにより、各分野でサステナブル社会の実現に貢献できる商品・技術の開発、販売を行ってまいります。
なお、事業の構造改革の一環として、2025年3月25日開催の取締役会において、安城工場を閉鎖することを決議しました。今後は、高付加価値素材の開発拠点として、テキスタイル・イノベーションセンターの機能を強化するとともに、紡績・織布については、生産は海外関係会社等に移管し、グローバルサプライチェーン全体を見据えた供給体制を整備することで、繊維事業セグメント全体の収益基盤強化を図ってまいります。
③環境メカトロニクス事業
(経営環境)
環境メカトロニクス事業では、ライフサイエンス・テクノロジーは遺伝子抽出・解析、細胞、ビジョンセンサー、AI、ロボット、FA設備等の技術を生かし、人手に大きく依存している医療や研究現場、多岐にわたる業界の生産現場などで品質、生産性の向上、自動化に貢献しています。
エレクトロニクスは、画像処理及び情報処理といった基盤技術を軸に、半導体、フィルムなど幅広い業界へ向けた検査・計測・色彩管理システム等を開発・販売しており、高精度かつ効率的な品質管理を実現します。
エンジニアリングは、循環型社会の実現に貢献する環境関連や半導体関連の工場設備などのプラント設計・製造・工事等を行っています。
(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)
ライフサイエンス・テクノロジーでは、臨床検査市場への進出や遺伝子抽出・解析関連での業容拡大に加え、撹拌脱泡装置「MAZERUSTAR(マゼルスター)」の医療材料、化粧品、エネルギーなど新たな市場への拡販に取り組んでまいります。また、高速3Dビジョンセンサー「KURASENSE(クラセンス)」の商品開発力の強化や7軸協働ロボットシステム「KURAVIZON(クラビゾン)」の拡販に注力してまいります。
エレクトロニクスでは、商品力強化による競争優位性の獲得、海外市場への拡販に努め、半導体関連の検査・計測ビジネス及び、鉄道や路面をはじめとしたインフラ検査ビジネスの拡大を図ってまいります。
エンジニアリングでは、バイオマスボイラー、水族館、医薬品製造工場など設備プラント工事の受注拡大や半導体関連設備、家畜排せつ物処理装置「FUNTO(フント)」の拡販など、環境・設備関連ビジネスの拡大と新商品開発に取り組んでまいります。
④食品・サービス事業
(経営環境)
食品・サービス事業では、フリーズドライ食品の製造・販売やホテル等の運営を行っています。
食品事業が属するフリーズドライ業界では、小売り価格の値上げを背景とした消費者の節約志向の継続が懸念されます。
ホテル関連では、宿泊は国内の観光需要が堅調であり、更なる拡大が見込まれるインバウンド需要を確実に取り込むための施策を推進しています。
(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)
食品事業では、消費者の節約志向に対応すべく、安価でありながら付加価値の高い商品の開発・提案にも注力し、顧客満足度の向上に努めてまいります。また、引き続き環境面にも配慮した事業活動も積極的に進めてまいります。
ホテル関連では、インバウンド需要を取り込むための販促活動を更に強化するとともに、魅力的な商品・サービスの開発・提供などによる集客力の強化を図ってまいります。
⑤不動産事業
(経営環境)
不動産事業では、工場跡地等の遊休資産の有効活用による長期安定収益の確保を目指し、オフィスや商業施設、大規模メガソーラー用地等の不動産賃貸を展開しています。
賃貸事業の主力である大型商業施設では、ネット通販やドラッグストアとの競争激化などにより、賃貸先の経営環境に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)
大型商業施設賃貸事業では、賃貸先の経営環境を注視しながら、効率的な事業推進を行い、引き続き、長期安定収益の維持・確保に努めてまいります。
また、遊休地の再開発等による早期収益化についても、取り組んでまいります。
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