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企業概要

 当社グループは、各事業における独自の技術とノウハウを有する分野を中心に、研究開発活動を行っている。
 なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は850百万円である。

 セグメントごとの内訳は、土木事業135百万円、地盤改良事業515百万円、ブロック事業200百万円である。

(1) 総合技術研究所

総合技術研究所は、海洋・水理、環境修復、地盤、材料・構造、基盤技術の5つのグループで研究開発活動を実施している。

海洋・水理グループは海域、河川域の各種構造物の水理安定性や水理機能を、環境修復グループは地下水・土壌の汚染浄化技術を、地盤グループは地盤改良技術を、材料・構造グループはブロックの構造強度を、基盤技術グループは中長期に利用可能な汎用技術を主な研究対象としているが、様々な経歴を有するメンバーの持てる力の結集と連携と協働により、社会のニーズに沿った新しい技術の研究開発を進めている。

当連結会計年度は、深海底でのコンクリートの耐久性、地球温暖化に伴う海面上昇や波浪の増大により懸念される砂浜の消失対策工法、自然の力により固化させた砂やグリーンインフラを用いた海岸保全技術、繊維補強コンクリートを再利用可能とするための環境に配慮した材料等に関する研究や地中に炭素を貯留する技術の開発を前期に引き続き実施した。

(2) 土木事業

 当分野では、環境修復技術及び土木施工技術について研究開発活動を行っている。

①環境修復技術

 ふっ素汚染土壌の原位置対策として反応性を高めた不溶化剤の開発、当社の独自技術である土壌還元法の改善として、対象となるVOCs(揮発性有機化合物)の分解が長期間有効に働く徐放性栄養剤(一部食品廃棄物含む)の開発を進めている。また、今後大規模な市場になると見込んでいる自然由来重金属含有土壌(砒素、ふっ素、鉛)を対象とした汚染土処理についての対策工法の開発を継続的に進めている。さらに、環境省の実証事業である福島県内で発生し中間貯蔵施設で保管中の除去土壌の減容化技術の開発に取組んでいる。

②土木施工技術

 当社では国土交通省の施策であるi-Constructionやデジタルトランスフォーメーションの推進に対応して、ICT施工の研究開発やデジタルデータの活用に取り組んでいる。このうちICT施工の開発ではブロック環境事業部と協働で「ICTを活用した消波工のメンテナンスの設計・施工手法の確立に向けた取り組み」として「第7回インフラメンテナンス大賞」に応募した結果、国土交通省技術開発部門、港湾・海岸分野で優秀賞を受賞した。また、デジタルデータの活用ではICT建機より取得されるlogデータを属性情報として盛土のBIM/CIMモデルへ自動付与するシステムを開発し施工管理の省力化を図るなどの取り組みを行っている。

(3) 地盤改良事業

 当分野では、砂杭系や固化処理系等の地盤改良工法について、生産性向上や環境対策などの付加価値向上、コスト削減による競争力強化、さらにカーボンニュートラルといった時代のニーズに応じた視点から研究開発活動を行っている。

 具体的には、総合技術研究所内に整備した多目的試験フィールドを活用し、材料実験室や実験棟の施設と併せて、種々の工法開発を進めている。

①液状化対策として実績の多いサンドコンパクションパイル工法を進化させ、建設現場で発生する土(建設発生土)を地盤改良工事に活用する技術「リソイルPro(プロ)工法」を開発し、昨年11月に発表した。この工法は、新たな材料供給システムを装備することで、建設発生土を改質せずに地盤改良材として利用できる範囲を拡大した。従来の機械と比較してCO2排出量を最大約50%削減し、トータルコストを最大約30%低減できるほか、材料や発生土の運搬・処分に関わる環境負荷や自然材料の採掘による環境負荷も低減できる。この技術より、サンドコンパクションパイル工法のさらなる市場拡大を目指していく。

②地盤改良のICT施工からBIM/CIM成果物の作成まで一貫して行えるシステム「FUTEOS-CIM(フテオス-シム)」を開発し、昨年6月に発表した。このシステムは従来のICT地盤改良システム(GNSS位置誘導システム「Tarpos(ターポス)3D」、施工管理システム「CONOS(コノス)®」、リアルタイム施工管理システム「Visios(ビジオス)®-3D」)の連携機能を強化して、各システムから出力される施工データ(属性情報)を自動で統合する事と、新たに開発した「ToolPileX(ツールパイルエックス)」により、CIMモデル(属性情報の付与された3Dモデル)の瞬時作成を可能とした。これにより、属性情報の付与に掛かる作業時間が従来比で90%短縮され、大幅な業務効率化の実現に成功した。今後は国土交通省のBIM/CIM対応に応じた地盤改良工事システムとして有効活用し、さらなる生産性向上を目指す。

③脱炭素社会の実現に向けた新たな地盤改良技術の開発も進めている。①で紹介した現地発生土を有効活用する地盤改良工法「リソイルPro工法」に加えて、一昨年からはバイオマス混合材料をサンドコンパクションパイル(SCP)工法の中詰め材料として適用する技術を研究開発している。この工法はCO2を吸収した竹をチップ化して中詰め材料に適用することで、砂地盤の液状化対策と炭素貯留技術、さらに放置竹林の問題を同時に解決できることが期待され、現在、他の研究機関と共同で開発に取り組んでいる。

(4) ブロック事業

 当分野では、全国的に既設ブロックの老朽化が進んでいること、および最近の激甚災害への新たな対応として、ドローン等で撮影したデータを用いた消波ブロックの効率的な維持管理方法の検討、嵩上げに伴い撤去されたブロックの利用技術の開発を行っている。また、ブロック施工の担い手不足が懸念されるなか、機械化、省人化、高効率化として、3Dプリンタの活用を検討している。さらに、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みとして、環境配慮型コンクリート技術の活用、ブルーカーボン生態系の増殖へ向けた技術開発を行っている。

    ①ICT技術を活用した消波工の維持管理

 既設ブロックの変状をドローン等にて調査し、「港湾の施設の点検診断ガイドライン」に従って消波ブロックの点検診断を実施するとともに、消波ブロックの効率的な維持管理手法を確立するためのデータ蓄積を行っている。また、消波ブロックの据付をパソコン上で再現する据付システムを開発し、当社ブロックの技術提案に活用している。

②3Dプリンタの活用

 建設用3Dプリンタによる様々な用途や新たな製品への展開を計画しているPolyuse社との共同研究を開始し、最初の取り組みとして3Dプリンタによるテトラポッド0.5t型造形物を製作した。3Dプリンタを用いた複雑な形状のブロックや環境商品などへの適用を進めていく。

③カーボンニュートラルの実現に向けた取り組み

 脱炭素社会の実現に向けて、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のグリーンイノベーション基金事業「CO2を用いたコンクリート等製造技術開発プロジェクト」を実施するコンソーシアムに参画し、消波・根固めブロックの現場打設に適した環境配慮型コンクリート技術の開発に取り組んでいる。今般、鹿島建設と共同で、カーボンネガティブコンクリートを用いた「CUCO®-SUICOMテトラッポッド」を製造し、一般的なコンクリートを用いた場合と比較してCO2を112%削減することができた。また、CO2の削減方策として「ブルーカーボン」に注目し、藻類の生長に必要な栄養塩を供給する素材の改良・開発、魚類等による食害から海藻を護る食害防御材の開発、当社製品に着生した海藻類を調査しブロック1個または群体としてのCO2固定量を明らかにする取り組みを行っている。

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