企業兼大株主三菱瓦斯化学東証プライム:4182】「化学 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 中期経営計画Grow UP 2026の基本方針である事業ポートフォリオの強靭化に向け、資源配分の選択と集中を更に進める事でイノベーションによる新しい価値の創造を加速させています。具体的にはMGCの成長を加速できるICT、モビリティ、医・食の3つの成長ターゲット領域に特に注力しつつ、気候変動課題解決に向けた研究開発を推進する事とし、これらに厚く資源配分を行っています。3つの研究所に計算化学やデータ科学の解析を専門に実施するDXチームを配置した結果、広くDX技術が活用され、研究開発の加速に非常に役立っています。また、MGCグループへのDX技術の普及に向けて、MGCグループに対して自社開発したデータ科学解析ソフトを展開しつつデータ科学の教育を推進しています。また、知的基盤センター技術情報グループでは特許文献・市場・社内情報を組み合わせて研究開発戦略などを提案するIPランドスケープの活用や、生成AIの社内展開を通じて研究開発を支援しています。IPランドスケープは2024年度からMGCグループへの展開も開始しています。

 研究統括部は、本社で新規事業創出を担当する次世代戦略グループと新規事業開発グループを、ターゲット領域における全社視点での戦略、将来像策定から事業開発を同一組織内で効率的に推進できるようにICT・モビリティ・サステナグループとヘルステックソリューショングループにグループ再編を行いました。ベンチャー企業との連携及び出資、公的研究機関との共同研究など、社外との連携による研究開発活動によって新規事業領域での事業創出を継続しました。また、自ら生み出した医療包材や固体電解質などの事業化を推進するとともに、オープン・イノベーションによるアレルギー診断薬や核酸医薬などの新規領域の事業開発に取り組みました。福島県白河市における工場生産野菜事業では、安心・安全な野菜を社会に提供しています。

 子会社の研究開発部門も含めた当社グループの研究開発スタッフは、グループ全体で約1,068名であり、総従業員数の約13%にあたります。また研究費の総額は26,182百万円であります。当連結会計年度における各セグメント別の研究内容、研究成果、及び研究開発費は次のとおりであります。

[グリーン・エネルギー&ケミカル事業部門]

 グリーン・エネルギー&ケミカル事業部門内の4つの事業部の各製品群とその周辺に関わるテーマについて研究開発を進めています。

C1ケミカル事業部;当事業部ではメタノール、アンモニア、誘導体であるDME、メチルアミン、MMA系製品類を扱っています。メタノールはコアとなる製造技術や合成触媒の開発、また新潟工場に有するパイロット装置を活用しつつCO2、廃プラ、消化ガス等、多様な原料からのメタノール製造技術の実証試験を進めています。これら多様な資源を活用し製造されるメタノールを「環境循環型メタノール」と定義し、当社の技術・サービス・製品を提供した環境循環型プラットフォームとしてのCarbopathTMの実現に向けたブランディング活動を推進しています。またDX、自動運転を取り入れたプラントの運用やメタノール改質水素製造含めたメタノールtoXの研究開発、市場開拓も進めております。MMA系製品はコスト削減、安定生産に向けた技術改善を進めるとともに、独自性のある新規誘導品の開発を行っております。

 ハイパフォーマンスプロダクツ事業部;主製品としてメタキシレンジアミン、芳香族アルデヒド、ポリオールなどのケミカル製品と、MXナイロン、特殊ポリエステルやシアネート、ポリイミドなどのポリマー材料製品群があります。メタキシレンジアミンは、誘導体を含めて、硬化剤、イソシアネート、ポリアミド向けに好調に推移しており、各種技術開発やコスト改善、国内外の新たな市場開発を進めております。芳香族アルデヒドは、香料や高機能樹脂添加剤向けの販売が堅調であり、更なる拡販と高付加価値製品の開発による収益力の強化に努めています。MXナイロン系製品は、バイオベースポリアミドLEXTERが自動車・電子部品用途等で販売量を拡大させており、更なる拡大に向けて技術開発を行っております。特殊ポリエステルやシアネートも新規高耐熱樹脂、高機能熱硬化性樹脂原料として市場展開を進めており、それぞれ哺乳瓶用途や複合材料原料としての採用が進んでいます。また当社のユニークな樹脂群を活用して複合材料市場への参入を進めており、USではENDUREDGEの名称でプリプレグの市場開拓を進めています。また透明ポリイミドは溶剤可溶性、透明性、完全フッ素フリーの特性を、熱可塑性ポリイミドは高耐熱性、低誘電性、良成型性の特性を生かした市場訴求を進めています。

 エネルギー資源・環境事業部;天然ガスの開発・生産、LNG発電や地熱発電、枯渇油ガス田を活用したCCSの検討も手掛けています。この中でも新潟に賦存する水溶性天然ガスは地産地消が可能な資源であり、貴重な輸出資源であるヨウ素も豊富に含まれることから、ペロブスカイト太陽電池関連部材等のヨウ素誘導体開発を進めております。またエネルギーとしてメタノール直接型燃料電池の新モデルを販売、非常用電源、常用電源として訴求しています。

 ライフサイエンス部;これまでに蓄積した発酵・培養・精製技術を活用し、高齢化社会のニーズに即したアンチエイジング素材であるピロロキノリンキノン(PQQ)、栄養成分を豊富に含むS-アデノシルメチオニン(SAMe)含有乾燥酵母、スペルジミン(SPD)含有乾燥酵母、乳酸菌等をサプリメント原料として開発・販売しています。これら製品の機能を深堀調査し、訴求点の拡大を進めています。抗体医薬事業では、合弁会社として設立した株式会社カルティベクスの1000L・2000Lの培養槽にて、複数の治験薬・原薬製造案件の受託製造を行っております。

 当該事業部門に係る研究開発費は10,370百万円であります。

[機能化学品事業部門]

 機能化学品事業部門では、5つの事業分野とそれらの周辺分野において、情報通信、医・食、モビリティ、インフラ領域をターゲットとし、以下の研究開発活動に取り組んでいます。

 無機化学品事業;過酸化水素とその誘導体については、生産技術のブラッシュアップによる品質の向上とコスト競争力強化を継続的に進めています。電子工業向け薬品は、主力の超純過酸化水素をはじめ、機能性薬液(HBC)や化学研磨液を展開しています。超純過酸化水素はさらなる精製技術の向上を図り、HBCはグローバルな研究開発体制のもと、半導体製造の前工程から後工程までをカバーする新規グレードを開発し、タイムリーな市場投入を促進することで採用実績の拡大に努めています。

 電子材料事業;電子材料分野では、情報通信技術の高度化や多様性に応える高周波回路用材料や、データ通信の大容量化に対応するメモリおよびロジック半導体パッケージ基板用積層材料、加えて電子部品の低背化と高機能化を実現できる薄葉積層および微細回路形成材料等の開発を引き続き推進しています。

 合成樹脂事業;ポリカーボネート樹脂(PC)については、難燃PCや低不純物PCなど高機能化と素材品質向上のための技術開発を推進しており、熱成形用ハードコートフィルムや新規光学フィルムなどの機能性フィルム、さらに繊維強化熱可塑プラスチック(FRTP)など高付加価値製品の開発に取り組んでいます。また、カーボンニュートラルやSDG'sに向けた取り組みとして、二酸化炭素を原料とするPC中間体および素材の開発(NEDOグリーンイノベーション基金に採択)を行っており、プロセス開発、スケールアップ検討に取り組んでいます。その他、バイオマス由来の原料を用いたPCの製造検討やグリーンメタノールを用いたポリアセタールの製造検討にも取り組んでいます。

 光学材料事業;光学樹脂ポリマーは、スマートフォン向け小型カメラレンズ用材料を中心にAR/VR、センサー分野への展開を図っており、用途に応じた新規グレードの開発と市場投入を進めています。さらに、顧客との協業によりポストコンシューマーリサイクル技術を確立し、市場へ展開しています。眼鏡用レンズモノマーは、ユーザーニーズに対応した新製品開発を進めており、開発したバイオマス由来のレンズモノマーはバイオマスレンズとして市場へ展開し、一部の大手顧客に採用されています。また、これまでに培った知見を活かし、次世代デバイス向け新規光学材料の開発にも取り組んでいます。

 生活衛生ソリューションズ事業(脱酸素剤事業と無機化学品事業の環境衛生関連製品群との統合により発足した新事業);脱酸素剤は食品の鮮度保持にとどまらず、医薬品の保存安定性維持や、金属の防錆、文化財の保護など身近な生活分野にも展開しています。環境に配慮し、プラスチックを減量した小型化製品の開発や、PFAS規制など最新の法規制に対応した製品の開発も進めています。また、培ってきた空間制御技術や殺菌技術を応用することで、精肉や青果などのフードロスを削減できるような技術開発を進めています。

 上記以外に、新規材料開発として、各分野の周辺材料や基盤技術を他の市場・用途に展開できる製品開発を精力的に進めています。

 当該事業部門に係る研究開発費は15,812百万円であります。

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