三社電機製作所
【東証スタンダード:6882】「電気機器」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは1933年の創業以来、「経営理念」として次の3点を掲げて企業活動を行っております。
創業以来、パワーエレクトロニクスの分野において、社会が必要とする製品をメーカーとして真摯に提供し続けることを実践しております。当社グループは、産業用の用途とともに、社会インフラに欠かせない電力エネルギーを高効率に変換する技術を培い、パワー半導体並びに小型カスタム電源から大型電源機器までを開発・製造しております。当社グループは、これからの地球の未来を支える電気、その姿を効率よく、自在にカタチを変えることでクリーンエネルギー社会の実現に向け貢献してまいります。
当社グループは、中期のありたい姿を次のように掲げております。
中期のありたい姿 : Global Power Solution Partner (グローバル・パワー・ソリューション・パートナー) ・創業以来の強みのパワーエレクトロニクス関連技術は世界トップレベルまで磨かれている ・パワーエレクトロニクス関連技術を武器にお客様の困りごとを徹底的に掘り起こし解決している ・目線はグローバル。全地球規模で事業を展開している ・誠実さと品質に対し抜群の信頼感を社会から得ている |
(2) 経営環境
カーボンニュートラルや脱炭素社会の実現に向けた取り組みが世界的に加速する中、企業には一層厳格な環境規制への対応や、再生可能エネルギーの導入拡大、エネルギー利用の最適化が求められています。日本国内でも、GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた政策が具体化しつつあり、電力インフラの強靭化やエネルギーマネジメントの高度化などが重要なテーマとなっています。また、世界的な電力需給のひっ迫やエネルギー価格の変動もあり、エネルギー効率を高める技術への期待が一段と高まっています。
こうした急速な事業環境の変化に対応するため、当社グループは、創業以来培ってきた電力損失を最適化する技術を活かし、電力使用時や蓄電時に発生するエネルギーロスを低減する革新的な電源回路を開発しております。この技術を活かし、脱炭素社会の実現に貢献するため、太陽光発電システム用パワーコンディショナーや蓄電システム用・燃料電池用インバーターなどの電源機器を開発しております。また、これらの電源機器を支えるコアデバイスとして、高電圧・大電流対応のパワー半導体や、次世代化合物パワー半導体(SiC)の開発にも注力しております。
当社グループは、「CF26」の中期経営計画のもと、これらの開発を加速させることで、脱炭素社会の実現に貢献するとともに、事業活動を通じて社会課題を解決し、持続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。
(3) 中期経営計画
[基本方針]
「自己資本利益率(ROE)10%以上」の実現のため、中期経営計画「CF26」(2025年3月期から2027年3月期)を策定し、「Global Power Solution Partnerの実現に向けた経営改革の3年」と位置づけ、戦略的投資と無形資産への投資により事業成長と収益性向上を目指しております。具体的には、カーボンニュートラルに貢献する製品開発や高性能デバイスの開発により省エネルギーと電力の安定供給に貢献し、顧客の付加価値を向上させるソリューション提供を行います。また、環境負荷の軽減や事業継続マネジメントの強化を通じてサステナビリティ戦略を推進し、投下資本を最大限に活用して株主資本コストを上回る自己資本利益率(ROE)を目指し、収益性と投下資本回転率の改善を図ります。さらに、株主還元の充実やコーポレート・ガバナンスの強化も推進してまいります。
(4) 中期経営計画の重点項目
① 半導体事業
SiC※製品は高効率な電力変換とCO2削減効果を持ち、その需要が急増しています。これらの高性能デバイスは省エネルギーと電力の安定供給に大きく貢献するため、これを基本として次の施策を推進いたします。
(a) 従来の建設関連、産業用設備に加えて新たにインフラ市場(モビリティ、再生可能エネルギー・蓄エネルギー、データセンターなど)に注力し、バランスの取れた業界戦略を目指す
(b) SiC製品の拡充と製品特性に基づく地域ごとの適切なグローバル展開
※ SiC(シリコンカーバイド)は、シリコンと炭素からなる化合物半導体です。従来のシリコン半導体に比べエネルギー効率の向上や小型化が期待されています。
② 電源機器事業
当社グループは持続可能な経営を重視し、カーボンニュートラルに貢献する製品開発や環境負荷の軽減に取り組
んでおります。これにより、社会課題への対応と顧客ニーズを両立させ、競争力を高めることを目指しております。特に、エネルギーマネジメント分野では系統安定化技術を駆使して、当社の地位をさらに強固にする施策を推進いたします。
(a) 新エネルギー分野の製品開発と表面処理用電源のグローバルシェア拡大
(b) 設計の標準化の取り組み
(c) 資本業務提携先との協業
(d) 小型電源で新たな市場を開拓(情報インフラ、急速充電器、半導体製造装置など)
③ サステナビリティ戦略
(a) 生産活動における環境負荷の軽減:地球環境への配慮を通じて、企業としての社会的な責任を果たすため、エネルギー効率を向上させ、CO2排出量を削減いたします。さらに、廃棄物の削減の推進、再生可能エネルギーの導入などを計画しております。
(b) ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)推進と人材育成:多様な背景を持つ人材を積極的に採用し、その能力や視点を活かすことで、イノベーションの源泉となることを目指します。また、教育や研修を通じて、従業員のスキルアップやキャリアの発展を支援いたします。これにより、企業全体の生産性向上や社員の満足度の向上を実現し、持続可能な人材育成を進めます。
(c) 事業継続マネジメント(BCM):災害や危機が発生した際でも、迅速かつ適切な対応を可能とし、企業のリスク管理と事業継続能力の向上を目指します。
④ 財務戦略
投下資本を最大限に活用し、株主資本コストを超える自己資本利益率(ROE)を達成することを目指します。顧客の付加価値向上に貢献することによる収益性の向上と投下資本回転率の改善が重要な目標であり、総資産営業利益率(ROA)の目標水準を達成することを目指します。さらに、株主還元の充実も重要な取り組みとしております。
(5) 当連結会計年度の取り組み
半導体事業:
・高電圧と大電流に対応できるため、従来よりも大きなエネルギーを効率的に扱うことができるSiC-MOSFETモジュール及びディスクリートを開発
電源機器事業:
・さまざまな種類・容量の蓄電デバイスの安全性や性能評価が可能なモジュール型蓄電池試験・評価用電源を開発
・大容量パワーコンディショナー系統連系シミュレーター電源装置開発
2024年3月に福島再生可能エネルギー研究所(FREA)に納入し、実証実験に活用されています。
・愛知県豊橋市の「豊橋マイクログリッド※」に蓄電池DC/DCコンバーター、太陽光発電用のDC/DCコンバーターなどを納入
※災害で広域停電が起こるような状況になったとき、小さな地域単位で電気の自給自足ができるようにするエネルギーシステム
サステナビリティ・経営基盤:
・CO2排出量削減目標達成に向けて以下の設備投資を実行
岡山工場と子会社社屋の屋上に太陽光発電設備を導入、本社空調設備をガスから電気へ
・「三社電機グループ人権方針」を策定
・次世代リーダー、管理職マネジメント強化のため外部研修を実施
・一般生成AIサービスの社内運用開始
(6) 次年度の重点施策
半導体事業:
・インフラ市場への販売拡大(特に再生可能エネルギー、新エネルギー分野)
・SiC製品の新規用途開拓(電鉄・モビリティ、再生可能エネルギー・新エネルギー、通信インフラ、サーボなど)とラインアップ拡充
電源機器事業:
・新エネルギー関連製品の開発
・表面処理用電源の用途開拓による販路拡大
・試験・評価用電源の拡販
・無停電電源装置(UPS)の販売強化
・オーダー品の標準化推進
・長期修繕契約の締結推進による受注拡大
サステナビリティ・経営基盤:
・サプライチェーンのCO2排出量(Scope3)の見える化
・生成AIを活用した社内業務の効率化推進
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