三協立山
【東証プライム:5932】「金属製品」
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企業概要
当社グループは、2030年までの長期的に目指す姿としてVISION2030を定め、『サステナブルで豊かな暮らしに貢献』『多角化した経営』を掲げ、中期経営計画の基本方針のもと、「持続的な成長」に向けた研究開発に取り組みました。
その結果、当連結会計年度における研究開発費の総額は2,548百万円となりました。
セグメントごとの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。
(建材事業)
建材事業では、環境配慮とユニバーサルデザインを基本に、「性能」「機能」「ロングライフ」の3つの要素を使う人の立場に配慮して盛り込み、安心・安全で快適な空間と生活に寄与することを目指した商品開発を実施しております。
建築物の省エネルギー化が求められる中、ビル用・住宅用建材分野において、開口部の断熱性能向上が重要な課題となっております。当社では、この社会的要請に応えるべく、ビル用・住宅用共通の設計思想に基づいた次世代高断熱サッシの開発を進めており、高品質と生産性の両立を目指しております。
ビル建材分野では基幹サッシ「MTG-70R」、改修用アルミ樹脂複合サッシ「Grows(グラウス)-R」の個別防火認定品の仕様拡充を図りました。新型コロナウイルス感染症の流行以降いまだ換気に対する注目は高く、屋外側に面格子が取り付けられた状態でも開閉に支障のない採風窓として「防火型MTG-70R 上げ下げ窓」を開発いたしました。また、2022年9月に発売した「Grows(グラウス)-R」の強化として、FIX窓の個別防火対応、引違い窓のW寸法の拡大、レバレッジ引手の追加を行いました。
住宅分野では断熱性能、レジリエンス機能に優れた玄関ドア「プロノーバ2」を開発いたしました。アルミ樹脂複合枠+高性能断熱パネルにより業界最高水準となる熱貫流率を実現した「Fクラス(ファーストクラス)」をはじめ、3つの断熱クラスから選べる体系といたしました。
一方、レジリエンス機能では、床下浸水を想定した玄関ドア下端から200mmにおいて、業界初の浸水防止性能Ws-3等級相当を確保しており、強風や突風時の急激なドアの開きによる衝突を防止するバックチェック機能付ドアクローザの標準装備や、最大瞬間風速57m/秒に耐える耐風圧性能S-4等級(片開きドア)など、住まいを守る防災力を追求いたしました。
エクステリア分野では、2050年カーボンニュートラル実現に向けた取り組みが広がるなか、ソーラーカーポート架台「エネジアース」のバリエーションを拡充し、産業用ソーラーカーポート分野に本格参入いたしました。積雪の少ない一般地域から多雪地域までの対応や、前方の柱がなく車の出し入れがしやすい後方支持式を開発いたしました。両面タイプの太陽光パネルを屋根材として組み込める一体型構造のスリムな屋根デザイン、優れた排水構造や高品質・高強度が評価され、2024年グッドデザイン賞を受賞いたしました。
研究開発費総額は1,660百万円であります。
(マテリアル事業)
マテリアル事業では、「成長を促す技術の強化」を中期基本方針とし、強みとする基盤技術の更なる強靭化と、当社の成長に資する革新的な新技術の開発を目指した研究開発活動を推進しております。
当社の成長事業と位置付ける自動車を中心とした輸送分野においては、競争力の高い高性能押出用アルミニウム合金の早期拡充に向けて、リサイクル性に優れる6000系アルミニウム合金を主体に、実験と計算科学の両面からのアプローチによる効率的な新合金開発を推進中であります。さらには、押出形材を自動車の機能部品に適用する上で不可欠な、形材特性から機能部品としての要求性能をシミュレーションする技術構築にも引き続き注力しております。
一方、カーボンニュートラルの実現に向けて、サステナブルな材料循環に資するアルミリサイクル技術の開発にも引き続き取り組んでおります。当連結会計年度は新幹線再生アルミをリサイクルし、製造時のCO2排出量を大幅に削減した低炭素アルミニウム合金を開発、サッシ等の建材への新規採用に貢献しております。また、2022年7月より開始した国立大学法人富山大学との共同研究講座では、アップグレードリサイクルの研究に精力的に取り組んでおり、産学連携による高度なリサイクル技術の研究開発を通じて若手技術者の育成にも尽力しております。アルミニウム材料を扱う様々なお客様やサプライチェーンとの連携もさらに強化しながら、引き続き取り組みを推進してまいります。
マグネシウム関連事業では、当社が開発した新規難燃性マグネシウム合金の早期実用化に向け、鉄道事業関連企業と協働した次世代高速車両の外装・内装部材への適用技術開発を継続しております。ターゲットとする部材を新たに追加するなど、実用化の実現を加速させております。
研究開発費総額は817百万円であります。
(商業施設事業)
商業施設事業では、環境配慮と市場環境及び自然環境の変化に対応した商品開発を推進しており、消費行動の変化に伴う決済サービスの多様化並びに労働人口減少、多国籍労働者・シニア労働者の増加など働き方の変化に対応した商品開発、加えて再生可能エネルギーや樹脂資源循環など環境配慮に向けての課題に注力しております。
「省人化・省力化」の面では、重量センサーを搭載し商品の増減を感知できる無人販売什器をお客様と連携し設計開発に継続的に取り組んでおります。増え続ける医薬品により保管場所の不足や、薬を処方する薬剤師の作業負荷が増大しており、収納量の拡大と機能性の向上に努め、品種・寸法設定を増やし働きやすい環境を提供できる「新型調剤什器」を発売いたしました。
「省エネ化・省資源化」では、CO2排出量軽減に向けて、再生可能エネルギーを活用するソーラー技術を商品に搭載するための研究・検証を進めております。また、急激に変化している自然環境に向けてバッテリー技術の研究・検証を進めるとともに、不具合検知システムの検討にも着手しております。樹脂の資源循環に関しては、工場端材をリサイクルした商品の検討、梱包プラスチック系副資材の紙化、再生材化、再利用化の調査・検討を行い、実用化に向け各種試験検証を進めております。
また、産学連携によるロボット技術の探求を進め、未来店舗の在り方を議論しております。
当社の主力得意先である量販店様に対し、決済サービスの多様化に伴うカウンターやセルフレジ什器など販売促進什器や、シニア労働者に向けた作業軽減アイテムなどの新たな需要の取り込みに向け、積極的に商品提案を行い、受注領域の拡大を図ってまいります。また、樹脂資源循環やCO2排出量軽減、アルミや紙などリサイクル素材の活用など環境に配慮した商品開発を推進してまいります。
研究開発費総額は70百万円であります。
(国際事業)
欧州・タイ・中国に展開した押出事業においては、自動車・産業機械・鉄道・航空・建材を主要分野とし、各分野で顧客との密接なプロジェクトにより、顧客が将来に向け求める技術及び製品の開発、市場調査等を実施しておりますが、当連結会計年度に研究開発費として計上するものはありません。
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