文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
1.経営方針
(1)中長期的な会社の経営戦略
2023年1月、昭和電工㈱と昭和電工マテリアルズ㈱は統合し、レゾナックグループとして新たなスタートを切った。
<経営理念>
化学の力により人類と地球は共存できる。
長期ビジョンで示した統合新会社の存在意義(パーパス)「化学の力で社会を変える」は化学メーカーとしての責任であると考えている。サステナビリティの考え方をパーパスの根幹に埋め込むことにより、私たちが化学と真剣に向き合っていくということを意味している。
このパーパスに加え、従業員が大切にすべき4つのバリュー(価値観)として、
「プロフェッショナルとしての成果へのこだわり」
「機敏さと柔軟性」
「枠を超える、オープンマインド」
「未来への先見性と高い倫理観」
を定め、これらをパーパスと合わせて統合新会社の経営理念とした。
この経営理念のグループ、グローバルでの浸透を図り、レゾナックグループは一丸となって事業に取り組むとともに、人材育成の強化、人事評価の透明性や実力主義の徹底等を進めていく。
<レゾナック・グループの長期ビジョンの目指す姿と主要戦略>
私たちは「世界トップクラスの機能性化学メーカー」を目指す。
その姿として、質的な面、計数的な面それぞれを兼ね備えた「世界で戦える会社」、
イノベーションと事業開発力で「持続可能なグローバル社会に貢献する会社」、
さまざまなステークホルダーからも注目されるような「国内の製造業を代表する共創型人材創出企業」
となることを掲げ、実現していく。
長期ビジョンでは、「世界トップクラスの機能性化学メーカー」に向けて、サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)を組み込んだ「グローバル水準の収益基盤の確立」「ポートフォリオ経営の高度化」「イノベーション」の各戦略を推進していく。
(目指す姿)
(主要戦略)
<共創型化学会社>
私たちは、川中から川下まで幅広く最先端の機能材料を社会に提供することで、社会課題の解決にイニシアチブを発揮する化学メーカーでありたいと考えており、これを実現するためには社内あるいは化学業界に閉じた事業活動にとどまっていては足りないと考えている。
グローバルにおける一流の実力を備え、機敏かつ柔軟な行動と意思決定をもって、化学産業の内外のステークホルダーや共同体等の志を共にする仲間とよりよい社会を共創していく、
これが私たちの“共創型化学会社”の姿である。
(2)長期数値目標
| | 2022年実績 | 2025年 |
売上 | (兆円) | 1.39 | 1.0超 |
EBITDAマージン | (%) | 12.1 | 20 |
ROIC | (%) | 3.2 | 中長期的に10% |
ネットD/Eレシオ | (倍) | 1.08 | 1.0倍を目指す |
目標数値の達成により、総株主還元(TSR)は中長期的に化学業界で上位25%の水準を目指す。
<サステナビリティ>
当社グループは、パーパス「化学の力で社会を変える」を実現するには、経営の根幹にサステナビリティを据える必要があると考え、サステナビリティ推進体制を強化している。
その一環として、「サステナビリティビジョン2030」を設定するとともに、上記主要戦略を実行し持続可能な社会に貢献していくために当社がクリアすべき経営の課題をサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)として特定し、非財務KPIに落とし込んで取り組みを進めている。また、サステナビリティへの取り組みを役員・社員の評価にもつなげることで実効性を持たせ、社内浸透を進めている。
サステナビリティビジョン2030達成までの道筋
2023年の統合新会社スタート前年である2022年は「サステナビリティビジョン2030」達成に向けた仕込みの年と位置付け、マテリアリティを非財務KPIに落とし込むなど体制を構築した。2023年からは実践を繰り返し、社内外のステークホルダーとのエンゲージメントを通じて取り組みを進化させていく。
「サステナビリティビジョン2030」達成に向けて、①サステナビリティマネジメントの強化による経営戦略・事業戦略との一体化、②サステナビリティを軸に据えた事業・技術の開発による成長の源泉の創出、③カーボンニュートラルをはじめとする組織横断的な課題の解決による価値創出、④ステークホルダーエンゲージメントの強化による価値創造、⑤従業員のサステナビリティマインドの醸成の5つを重点領域と設定し、全社での活動を推進している。
サステナビリティ重要課題(マテリアリティ) と非財務KPI
策定した3つのマテリアリティは、2030年までの長期ビジョンの目指す姿(世界で戦える会社、持続可能なグローバル社会に貢献する会社、国内の製造業を代表する共創型人材創出企業)に関連付けられており、当社長期ビジョンの達成と社会からの期待の両面をカバーしたものとなっている。また、グローバル経営の共通基盤として、コーポレート・ガバナンスとステークホルダーエンゲージメントにも力を入れていく。
マテリアリティに紐づき設定した中期の非財務KPIは、策定から実行、進捗確認、そして取締役会による監視監督に至る一連の全社マネジメントサイクルにのせることで、達成の確度を高めていく。
下表は3つのマテリアリティに基づく主なコーポレートレベルのKPI(一部抜粋)である。引き続き社内での議論を重ね、具体的な施策に落として従業員のモチベーション向上に繋がるようにしていく。これらのKPIは進捗に応じて、またさまざまな社内外ステークホルダーの意見や期待を受け止めて、不断の見直しを行う。
サステナビリティ重要課題(マテリアリティ) | マテリアリティ実現に向けた重要な構成要素(抜粋) | 非財務KPIの例 |
イノベーションと事業を通じた競争力向上と社会的価値創造 | ・事業を通じた社会的価値の創出 ・社会課題を解決するR&D/知財戦略 ・SDGsに貢献する製品/事業戦略 | サステナビリティ貢献製品評価指標の確立と目標設定 主要製品のカーボンフットプリント算出 |
責任ある事業運営による信頼の醸成 | ・全ての人が安心して働ける環境の提供 ・製品ライフサイクル全体の環境負荷低減 ・多様化/複雑化するリスクのマネジメント体制の強化 | 労働災害減 温室効果ガス排出量の削減 リスクマネジメント体制の強化 |
自律的・創造的な人材の活躍と文化醸成 | ・互いへの信頼と尊重から生まれる共創文化の醸成 ・自律的/創造的なプロフェッショナル人材の育成と獲得 ・従業員エンゲージメントの強化 | 従業員エンゲージメントスコアの向上 DE&I(女性管理職比率向上) |
2.経営環境及び当社グループの対処すべき課題
デジタル化の加速、カーボンニュートラルに向けた取り組みの要請およびエネルギー価格の高騰など、企業を取り巻く環境は激しく変化している。また、地政学リスクの高まりやサプライチェーンの混乱も生じている。
このような不確実な情勢下、当社グループは、更なる競争力の強化のために、ポートフォリオ経営の高度化を推進している。コア成長事業である半導体材料に集中的に経営資源を配分し、また、モビリティ事業においては、想定以上の速度で内燃機関車から電動車へ移行する市場環境に適応した機動的な資源配分を加速することで、成長を実現していく。
当社グループは、様々な社会課題を解決する「世界トップクラスの機能性化学メーカー」を目指すため、社会課題、顧客のニーズを把握し、社内外との共創を推進することを通して、イノベーションを生み出していく。
また、グローバルで戦うために欠かせないデジタル戦略にも取り組んでいく。
さらに、パーパスに込められたサステナビリティの理念を根幹におき、先端材料の提供を通じた省エネルギーや環境負荷の低減、イノベーションによるカーボンニュートラル、そしてリサイクル技術を通じた高度循環型社会の実現に貢献する。
「コーポレート・ガバナンス基本方針」については当社ホームページを参照。
https://www.resonac.com/jp/corporate/governance.html
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