企業リガク・ホールディングス東証:268A】「精密機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中における将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

(1) 会社の経営の基本方針

① 当社グループが目指す姿 ~A One-of-a-Kind Global Technology Company~

 当社グループは、新しい時代環境に適応し、事業環境の変化を捉えて成長することで社会に貢献していくことを目指して、2022年に当社グループの「Mission, Vision and Values(注1)」を制定いたしました。

 当社グループは、この「Mission, Vision and Values(注1)」に則り、X線技術を中心とした最先端の分析ソリューションを顧客や社会に提供し、様々な活動分野で生まれる技術イノベーションを支援していくことを通して、「視るチカラで、世界を変える」を実践し、企業理念である「科学技術の進歩を通して人類社会の発展に貢献する」を追求しています。

 また、当社グループは、かかる経営の基本方針に則り、持続可能な社会の実現に貢献し、それによる企業グループとしての持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るため、強みとする技術資産、人材資産及び顧客資産を最大活用します。

 さらに、そうした社会への貢献とあわせて、世界各地の拠点が有する多様性を武器に「グローバル・ワン・リガク(注2)」の総合力を結集し、それらを最大活用することで、優れた技術力をベースとしたリガクらしいユニークな成長モデルを創造する「A One-of-a-Kind Global Technology Company」を目指しています。

A One-of-a-Kind Global Technology Company


(注) 1.「Mission, Vision and Values」の詳細は「https://rigaku-holdings.com/group/」を参照。

2.リガクで働く全世界の多様性を持つ仲間がグローバル企業としての全体最適を共有・尊重し、役割に応じてそれぞれが持つ能力を結集した「One Team」で、その統合された能力を最大発揮するリガクの企業スピリット。

② 事業ポートフォリオ戦略の基本方針

 当社グループは、理科学機器の専門メーカー(注3)として、事業ポートフォリオに「多目的分析機器」、「半導体プロセス・コントロール機器」、「部品・サービス」の3つの製品カテゴリーを持ち、当社グループの経営資源は、これらに集中配分しています。

 当社グループは、この事業ポートフォリオ戦略の基本方針に基づいてさらなる選択と集中の推進を図り、X線技術を利用したソリューション力をより一層強化するための外部とのパートナーシップの確立やM&A投資、さらにX線を補完する他の分析技術分野への参入・事業拡大等の機会に対しても、これらを排除することなく、選別的に取り上げていきます。

(注) 3.リガクの開示上の事業セグメントは「理科学機器の製造・販売」の単一セグメント。

(2) 経営環境

① 当社グループが事業を行う市場の動向とそれぞれの市場における地位

 当社グループの事業において主要な市場となるX線回折機器(XRD)、蛍光X線分析機器(XRF)及び半導体X線計測機器の市場の動向とそれぞれの市場における地位につきまして、以下に説明いたします。

X線回折機器(XRD)のグローバル市場の規模は、2023年の933百万米ドルから2027年には1,135百万米ドルに成長すると予想されており、これらから同期間における年間平均成長率は5.0%と算定されています(注1)。また、蛍光X線分析機器(XRF)のグローバル市場の規模は、2023年の1,320百万米ドルから2027年には1,661百万米ドルに成長すると予想されており、これらから同期間における年間平均成長率は5.9%と算定されています(注1)。これらのX線回折機器(XRD)と蛍光X線分析機器(XRF)のグローバル市場の規模からそれらの合計値をベースに算定される2023年から2027年までの年間平均成長率は5.5%であり、堅調な成長が予想されています(注1)。当社グループは、その主力製品であるX線回折機器(XRD)において、国内では2023年に77%と第1位の市場シェア(注2)を、またグローバルでは2023年に26%と第2位の市場シェア(注3)を、それぞれ獲得しています。

 さらに、半導体X線計測機器の需要につきましては、2023年に470百万米ドルとされているグローバル市場の規模が2026年には607百万米ドルに拡大すると予想されており(注4)、これらから同期間における年間平均成長率を8.9%と算出することができます(注5)。当社グループは、半導体X線計測機器のグローバル市場において2023年に30%の市場シェアを有するマーケット・リーダーとなっております(注6)。

(注) 1.Strategic Directions International, Inc.「SDi Global Assessment Report 2024」に基づく機器販売額とサービス等の関連売上高を含むグローバル市場規模及びその年間平均成長率。

2.株式会社アールアンドディ「科学機器年鑑 2024年版」に基づく機器販売額による2023年国内市場シェア。

3.Strategic Directions International, Inc.「SDi Global Assessment Report 2024」に基づく機器販売額とサービス等の関連売上高を含む2023年グローバル市場シェア。

4.Yole Intelligence「Wafer Fab Equipment Market Monitor – Q4 2024」におけるX-Ray Metrology(総売上高(USDMM)、暦年)の市場規模を参照。

5.Yole Intelligence「Wafer Fab Equipment Market Monitor – Q4 2024」におけるX-Ray Metrology(総売上高(USDMM)、暦年)の市場規模を参照して算出。

6.Yole Intelligence「Wafer Fab Equipment Market Monitor – Q4 2024」におけるX-Ray Metrology(総売上高(USDMM)、暦年、販売企業毎)の販売企業毎の売上高を参照して算出。

② 市場ニーズの変化に伴う技術イノベーションの進展

X線技術を利用した分析・計測機器は、様々な材料の研究開発や生産プロセスにおける品質管理、半導体製造のためのプロセス・コントロール、ライフサイエンスの発展に寄与する医薬品の研究開発等、アカデミア、産業分野を問わず、幅広く利用され、科学技術の発展に伴うX線分析ソリューションへの需要の高まりにより、その市場が拡大しています。

 さらに、人類社会の豊かで便利な暮らしへの欲求、また健康や環境保全の追求は、それらの新しいニーズに応えるための技術イノベーションを様々な活動分野で促進しています。こうした市場ニーズの変化に伴う技術イノベーションの進展は、X線技術の新たなアプリケーションの開発を通じて当社グループがさらに成長と発展を続けていくための好機となっています。

 当社グループの提供ソリューションが貢献できる、先端的な技術イノベーションへのニーズが高い分野として、次の例を挙げることができます。

先端的な技術イノベーションへのニーズが高い分野


X線技術を中心とした当社グループの既存の技術の深掘りとその周辺領域にある新しい技術の獲得、市場需要の成長性に加えてプレゼンスの浸透による販売シェアの拡大余地が大きい海外市場におけるさらなる成長の加速、足下で引き合いが増している上記のような先端的な技術イノベーションへのニーズが高い分野における新しいソリューションの提供機会の取り込み等により、将来に向けた事業拡大の機会と潜在性は豊富にあるものと考えています。

(3) 当社グループの強み

① 差別化された高度なX線要素技術力

当社グループは、X線発生装置、光学素子、X線検出器、解析ソフトウェア等、X線分析・計測機器の能力を左右する要素技術の研究開発に重点的に投資し、そうした要素技術をパーツ製品化した要素部品を自社で生産することにより、製品の高性能化、開発サイクルの短縮化、量産効果等を実現するアドバンテージを有しています。

当社グループの研究開発は、PhD学位保持者をはじめ、高度な専門性を有する約300名のX線技術者をグループ内に擁し、加えて世界各国の著名な研究機関とも緊密なパートナーシップを構築しています。こうして生まれる他社とは差別化された高度なX線要素技術力は、それらの要素部品を搭載する製品の技術優位性と市場競争力の源泉となっています。

さらに、当社グループの要素部品は、自社の製品に搭載するほか、その高度なX線要素技術力を評価する他社の技術ニーズにも応えて、一部を外販しています。例えば、当社グループの先端多層膜ミラーは、半導体製造のためのEUVマスク検査機器に不可欠な技術パーツとして半導体製造機器メーカーに供給されています。

また、自動化/ロボティクス、AI(人工知能)/マシンラーニング等の新たな能力についても、外部とのパートナーシップの確立等を通じてその獲得を図り、X線要素技術力とともに、当社グループの成長を加速する原動力としていきます。

当社グループは、その製品の技術優位性と市場競争力をさらに強固なものとするため、「グローバル・ワン・リガク」の技術開発力を結集し、それらを最大活用する一方、外部研究機関との協働を積極的に推し進めて、当社グループの強みの源泉であるX線要素技術への重点的な研究開発投資を継続していきます。

リガクのX線要素技術


② 強固な顧客基盤と高い顧客ロイヤルティ

X線回折機器(XRD)、蛍光X線分析機器(XRF)、X線イメージング機器(X線CT)を製品ラインアップに持つ多目的分析機器は、当社グループの歴史的な事業ドメインであり、大学・研究機関等のアカデミア/ガバメントや産業分野の幅広いエンドマーケットの多様な研究開発ニーズに応えることで、国内外に1万超の製品ユーザーを数える強固な顧客基盤を構築し、なかでも主力製品であるX線回折機器(XRD)では、国内市場においては圧倒的No.1シェアを、グローバル市場においてもNo.1に迫る高いシェアを、それぞれ獲得しています。

さらに、95%(注1)を超えるリピート需要の獲得率に象徴される多目的分析機器の高い顧客ロイヤルティは、当社グループの全社業績の安定性を支える無形のアセットとなっています。

多目的分析機器エンドマーケット別

売上高構成(2024/12期)

X線回折機器(XRD)市場シェア(2023)

国内(注2)

グローバル(注3




(注) 1.2015年1月~2024年12月の10年間におけるX線回折機器(XRD)、単結晶X線構造解析機器(XRD)及び蛍光X線分析機器(XRF)の更新商談件数に占める受注獲得件数の割合。

2.株式会社アールアンドディ「科学機器年鑑 2024年版」

3.Strategic Directions International, Inc.「SDi Global Assessment Report 2024」

 
(4) 会社の中長期的な経営戦略(成長戦略)

① Lab to Fab 戦略の推進

 当社グループは、強みとする卓越したX線要素技術の開発力と内製力、強固な顧客基盤と各業界の技術動向に対する深い知見、さらに顧客とのパートナーシップに基づく共同開発とそれを通じて顧客の顕在・潜在ニーズを解決するソリューション提供力等を活かし、大学・研究機関や産業分野の研究開発部門(Lab)との協働から発展して、社会が必要とする新たな分析技術・手法を確立し、それらを産業分野の生産プロセス(Fab)における標準技術として導入し、幅広く展開していく「Lab to Fab 戦略」の推進により、事業領域を拡大しています。

 この「Lab to Fab 戦略」は、当社グループが持つ固有の強みを活かして、3つのPillarから成る戦略をグローバル・スケールで展開することで当社グループの成長をドライブする中長期的な経営戦略の中心となっています。

リガクの成長戦略コンセプト(3本の矢)


A. Pillar 1「多目的分析機器」

~先端的なX線分析ソリューションの提供と海外市場における成長の加速~

当社グループの歴史的な事業ドメインである多目的分析機器は、大学・研究機関等のアカデミア/ガバメントや産業分野の幅広いエンドマーケットに構築する強固な顧客基盤と高い顧客ロイヤルティをレバレッジとして、卓越したX線要素技術力を武器に得意分野である新材料の発見・開発に貢献する先端的なX線分析ソリューションを提供し、高度化する顧客の研究開発ニーズに応えることで、その売上高と利益率を着実に拡大させています。

当社グループは、市場需要の成長性に加えてプレゼンスの浸透による販売シェアの拡大余地が大きい海外市場における成長をさらに加速するため、セールス、サービス、アプリケーション・サイエンティスト等の要員やラボ等、海外のコマーシャル・インフラへの積極的な投資と「グローバル・ワン・リガク」のチーム力の発揮により、グローバル市場での販売シェアをさらに伸ばし、多目的分析機器の分野でX線回折機器(XRD)市場と蛍光X線分析機器(XRF)市場の年平均成長率5.5%(2023年~2027年)(注1)を上回る平均年率約7%の売上高成長を目指しています。

多目的分析機器の業績推移と

売上高成長計画


 

(注) 1.Strategic Directions International, Inc.「SDi Global Assessment Report 2024」

B. Pillar 2「半導体プロセス・コントロール事業」

~半導体の技術進化に貢献するX線技術の応用を通じた事業領域の拡大~

a. 半導体X線計測機器市場における高成長と分散ポートフォリオの構築

「Lab to Fab 戦略」の推進とその成果により、当社グループの製品は、半導体製造におけるプロセス・コントロールでその採用が拡がり、近年高成長を遂げています。当社グループは現在、半導体X線計測機器市場でグローバル・リーダーの地位を確立しています。

 また、当社グループは、半導体設備投資額でグローバル上位10社(注2)のうち、全社との間で取引関係を有しているほか、メモリ、ロジック、パワーデバイス等、アプリケーションでもバランスのとれた売上高構成を形成しており、そうした分散ポートフォリオの構築により、半導体業界のシリコンサイクルに対して強い耐性を持つ事業の安定性を有しています。

半導体X線計測機器

グローバル市場シェア(注3)(2023)

半導体プロセス・コントロール機器

アプリケーション別売上高構成(2024/12期)



(注) 2.TechInsights, Inc.「Capital Expenditure Forecast June 2024」

3.Yole Intelligence「Wafer Fab Equipment Market Monitor – Q4 2024」

b. 半導体の技術進化を捕捉する光学・CD計測機器市場への事業領域の拡大

半導体は、日進月歩の技術革新により微細化や積層化が進展し、内部構造がますます複雑化しています。こうした半導体の技術進化は、ナノスケールの微細構造を非破壊で解析できる強みを持つX線技術にとって、その応用領域を拡大する好機となっています。

当社グループは、高度なX線要素技術力を武器に半導体の技術イノベーションを支援する新しいX線計測機器を開発し、市場に供給することで、これまでのX線計測の市場から、光学計測やCD計測等、他の計測技術分野への事業領域の拡大を目指しています。さらに、この分野では、光学技術とX線技術が相互に補完し合うことで、より高度化・複雑化する半導体計測ニーズに対して優れたソリューション(Hybrid Metrology)を提供できることが期待されており、それを実現するための外部とのパートナーシップの模索についても積極的に取り組んでいます。

当社グループの半導体プロセス・コントロール機器事業は、半導体X線計測機器市場でのさらなる販売シェアの獲得に加えて、こうした半導体プロセス・コントロールの分野におけるX線技術の応用領域の拡大を通じた事業領域の拡大により、半導体X線計測機器市場の年平均成長率8.9%(2023年~2026年)(注4) を上回る平均年率約18%、あるいはそれをさらに超える売上高成長を目指しています。

X線計測機器市場から光学・CD計測機器

 市場への事業領域の拡大余地(注4)(2023)


 

半導体プロセス・コントロール機器の

業績推移と売上高成長計画


(注) 4.Yole Intelligence「Wafer Fab Equipment Market Monitor – Q4 2024」

c. アドバンスト・パッケージング検査市場への参入

AI(人工知能)技術の普及や進化により、今後新しい技術イノベーションの進展が期待されている次世代AIチップの製品化のために不可欠な技術とされ、高い需要成長が予測されているアドバンスト・パッケージングの分野においても、新しい品質検査製品を開発・供給し、その市場に参入することを計画しています。AIチップの進化を実現するためには、さらに大型化・立体化が進む次世代パッケージにおいて、マイクロバンプやTSV等の複雑な構造の欠陥検査が課題となっています。当社グループは、これを解決する高度な測定技術とAI応用検査アルゴリズムの開発に取り組んでおり、近い将来の実用化に向けた製品化を進めています。

C. Pillar 3「多目的分析機器」

 ~X線技術の新たなアプリケーションの開発を通じた新市場の創出~

当社グループは、幅広いエンドマーケットに拡がる強固な顧客基盤を活かして、技術イノベーションが活発な半導体・電子部品、電池・電池材料、ライフサイエンス等、X線技術の新たなアプリケーションの開発を通じてその応用領域の拡大が期待される有望市場への重点的なマーケティング活動を展開しています。

当社グループは、各業界の技術動向に対する深い知見と顧客ニーズを解決するソリューション提供力を活かして、これらの業界で生まれる最先端の技術イノベーションを支援する新たな分析技術とアプリケーションの開発に精力的に取り組み、多目的分析機器の新市場を創出しています。

当社グループは、半導体プロセス・コントロール機器での成功に続いて、これらの技術イノベーションが活発な産業分野への「Lab to Fab 戦略」の拡大展開とそれを通じた多目的分析機器のFabへの浸透を強力に推進することで、新たな成長機会を開拓し、同事業の売上高成長を加速していきます。

Pillar 3 製品の販売拡大による

多目的分析機器の売上高成長への貢献


新市場を創出するリガクの最先端ソリューション製品


② 顧客セグメントに応じたサービス戦略

当社グループの成長戦略をその基盤として下支えするサービス事業では、アカデミア、一般産業、半導体産業等の顧客セグメントに応じて、それぞれの異なるニーズに適応した事業展開を行いその強化を図ることで、安定的なリカーリング収益を創出し、リガクの成長と発展に貢献しています。例えば、半導体産業向けサービスでは、24×7対応のハードウェア保証とパーツ保証にアプリケーション・サポートを加えてパッケージ化したCCS(注5)を提案し、製造ラインのダウンタイムの予防を求める顧客ニーズに応えています。

顧客セグメントに応じた注力サービス


サービス売上高成長計画(注6)

部品・サービスの業績推移と売上高成長計画



(注) 5.Comprehensive Customer Support

6.サービス売上高は、部品・サービスに含まれるサービス売上高のほか、多目的分析機器及び半導体プロセス・コントロール機器に含まれるサービス売上高を含む。

③ コマーシャル・インフラや生産能力等への基盤増強投資

 市場需要の成長性に加えてプレゼンスの浸透による販売シェアの拡大余地が大きい海外市場における成長をさらに加速するため、セールス、サービス、アプリケーション・サイエンティスト等の人材投資を増強し、各地域の顧客の声からグローバルな市場ニーズを捕捉してそれに応えるプロダクト開発体制を拡充することで、製品販売力の強化を目指します。

 さらに、主要市場に営業拠点、ラボ、テクノロジーセンター等の新設投資を行い、これらのコマーシャル・インフラの有効活用を通じて製品販売の促進を支援します。

コマーシャル・インフラ投資の実績と計画


 また、当社グループは、国内に4拠点、海外5ヶ国に8拠点の生産拠点を有しており、要素部品生産の特定工場への集約や製品機種に応じた生産分業を通じて生産効率を高め、それに生産の一部を外部委託する協力会社を加えて、高品質の製品を安定的に供給できる体制を確立しています。

 近年の売上高成長に伴い、市場の旺盛な需要に適切な納期で応えるため、2024年~2025年の計画期間で、当社グループの主力工場である山梨工場の生産能力を大幅拡大する増強投資を実施しています。この山梨工場の増強投資は、それとともに実施する生産性向上のための各種施策とあわせて、市場の旺盛な需要に応えるための当社グループの生産能力を2022年比で倍増させることにより、その成長戦略を下支えする製品供給基盤となります。


(5) 中期計画目標

 当社グループは、(3)に掲げる強みを武器に、(4)に掲げる成長戦略を推進することにより、以下に示す中期計画目標の達成を目指しています。


(注) 1.レンジ幅は売上高の中期計画目標の5%の範囲内に設定(調整後EBITDA、調整後営業利益及び要員数のレンジ幅についてもそれぞれ同様)。売上高の中期計画目標におけるYoY成長率は、2023年12月期を基準とする2027年12月期までの4ヶ年における売上高の年平均成長率で、2025年12月期から2027年12月期までの各期の売上高は想定為替レートを1米ドル145円、1ユーロ156円として算出。

2.調整後EBITDA=税金等調整前当期利益+減価償却費及び償却費+減損損失-受取利息及び配当金+支払利息+一時費用(IFRS導入費用、コンサルティング・フィー、中国免除申請関連費用、上場関連費用等)    調整後EBITDAマージン=調整後EBITDA/売上高

3.調整後営業利益=営業利益+PPA償却費+減損損失+一時費用    調整後営業利益率=調整後営業利益/売上高

4.研究開発費比率=研究開発費/売上高

5.CAPEX比率=CAPEX/売上高    CAPEXは使用権資産を除いた設備投資の金額により算出。

6.2027年12月期のCAPEX比率目標は、その分子となるCAPEXに現在時点で計画されていない山梨工場に続く大型の工場改修・増強投資を含まない。

7.要員数は年度末の就業人数と年度平均の臨時雇用人数の合計により表示。

(6) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりです。

① 生産キャパシティの増強と資材購買の分散化

 当社グループの製品に対する市場の旺盛な需要に適切な納期で応えるとともに、当社グループの成長戦略を下支えする生産基盤を増強するため、当社グループの主力工場である山梨工場について、2024年~2025年の計画期間で生産キャパシティを2022年比で倍増させる投資計画を実施しています。

 また、新型コロナウイルス感染症の流行拡大、世界各地での異常気象、ロシアによるウクライナへの侵攻等、世界規模の不確実性の高まりに伴うサプライチェーンの停滞や資源・エネルギーの供給制約、またそれらに伴う原材料価格の高騰は、当社グループの生産活動に対しても少なからず影響を及ぼしました。当社グループは、お客さまへの製品供給を最優先に対応し、資材価格の上昇に伴うコストアップを吸収して、なお十分な利益を確保してきましたが、かかる事態が再発する場合に備えて、資材購買の複数サプライヤーへの分散化の取組みを推進しているところです。

② 品質の改善

 当社グループは、市場に供給する製品に対してお客さまにご満足を頂けるよう、品質の改善を最優先課題の一つと捉え、品質保証部と生産本部を中心にKPIを設定して様々な施策を実施しています。具体的には、お客さまのサイトで生じた不良(納入時の不良、1年間の保証期間内の不良)と自社内で生じた不良(生産工程での不良、外注先での不良)とに分けて不良の要因を分析し、改善に結び付けるための諸施策を実施しています。不良の発生、改善の進捗、KPIに対する実績等の状況を週次で品質保証部が経営層や関係者に報告しています。

③ 成長投資の拡大と一時的な市況変動リスクに備えた財務基盤の強化

 当社グループは、今後とも継続的な成長のための投資を見込む一方、一時的な市況悪化リスクに備える必要からも、強固な財務基盤の整備が必要不可欠と考えています。具体的な取組みとして、製品利益率と資産効率の改善によりキャッシュ創出力を高めるとともに、規律ある資金残高管理と機動的なコーポレート・ファイナンスの実施により財務基盤の強化を図ってまいります。

④ 人材確保・育成

 当社グループが各戦略を推進するにあたっては、国内外を問わず、優秀・多様な人材の確保とその育成が必要不可欠と考えています。そのために、将来を担う人材の確保を目的とした新卒採用、即戦力となる人材の確保を目的とした経験者採用、優秀な開発人材の確保、海外展開の強化を目的とした海外人材の採用等、様々な必要人材を確保するための採用活動を活発に展開する一方で、経営幹部候補の育成を目的とした研修制度の充実化、リスキリングや技能伝承等の人材開発にも注力してまいります。また、人材の定着や活性化に向けて、働き方改革の推進による生産性向上や業務効率化、さらに従業員満足度の向上に対する取組みについても積極的に推進いたします。これらの基礎となる当社グループの「Mission, Vision and Values」を会社の文化として定着させる施策を今後とも継続的に実施してまいります。

⑤ 経営基盤の強化

 当社グループは、企業価値を高めるとともに、株主の皆さまをはじめ、様々なステークホルダーから信頼され、支持される企業となるために、コーポレート・ガバナンスへの積極的な取組みが不可欠と考えています。そのために、内部統制をはじめとした内部管理システムの強化、ESG活動の積極的推進、人材の育成、損益管理を含む戦略達成状況の管理の徹底等、持続的な成長を支える経営基盤の強化に引き続き取り組んでまいります。

(7) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、事業を継続的に発展させていくために、安定した財務基盤を維持しつつ売上高を着実に増加させ、適正な利益の確保を図っていくことが必要と考えています。そのために、売上高成長率(年間平均成長率(CAGR))、調整後営業利益率、調整後EBITDAマージン、研究開発費比率、CAPEX比率及びNet Debt/調整後EBITDAレシオを重要な経営指標として位置付け、その向上に努めてまいります。「調整後営業利益率」、「調整後EBITDAマージン」、「研究開発費比率」、「CAPEX比率」及び「Net Debt/調整後EBITDAレシオ」の算出方法につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」をご参照ください。

より抜粋
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