企業兼大株主ラクスル東証1部:4384】「情報・通信業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

(1)経営方針

 当社は、「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」を企業ビジョンとし、デジタル化が進んでいない既存の産業をインターネットにより効率化し、最終顧客に対して一層の便益を提供していくことを通して、社会へ貢献してまいります。

(2)経営戦略等

 今後の中長期的な方向性としては、全国の顧客に対して印刷、広告、物流をはじめとするBtoBの各種サービスをEC、SaaS(注1)等の形式で提供していくことにより、国内におけるBtoBプラットフォームの主力企業に成長し、また国内の事業で培ったノウハウをもとに、海外への事業展開を図ってまいります。具体的な経営戦略は以下のとおりであります。

(ⅰ)当社の企業ビジョンと事業展開方針

①当社の経営ビジョンと事業概要

 当社は、上記の企業ビジョンの下、顧客ニーズと提携会社の余剰キャパシティ(注2)を繋ぐプラットフォームの運営を行っております。併せて、顧客のマーケティングおよび物流管理を支援するSaaS事業を運営しております。

②当社サービスの意義:産業にもたらす変革

 印刷や物流をはじめとする20世紀に築かれた産業は、資本を持つ大企業が莫大な費用を投じて製造設備を購入し、その製造キャパシティを営業が販売し、過剰に販売した部分を繋がりのある下請けに回すといった、大企業を頂点とする多重下請けのピラミッド型の産業構造を作り上げました。しかし、インターネットの普及及び技術革新により、既存産業におけるサプライヤー(注3)を統合するコストが大幅に低下しました。当社は、この多重下請け構造下にある中小印刷会社や中小運送会社をインターネットで結びつけ、仮想的に巨大な供給キャパシティを持ち、ECサイトを通じて直接発注者と繋げるシェアリングプラットフォームを創出することで、1社が製造から販売まで全ての機能を持つ産業形態ではなく、サプライヤーと顧客の需給を効率良く結び付ける21世紀型の産業形態の在り方を提示したいと考えております。当社が産業にもたらす変革の例は以下のとおりでありま

 す。

・垂直統合から水平統合への変革

(例)印刷業界:自社グループ内で、営業部門、印刷工場、研究開発部門等を保有する垂直統合の形態から、プラットフォームにより各社が保有する印刷工場を水平統合する形態への変革

・自社グループ1社での設備投資から、水平統合による巨大なキャパシティへの変革

・ピラミッド型の多重下請け構造からネットワーク型のプラットフォームへの変革

(例)運送業界:顧客から受注を行う大手運送会社が中小運送会社に実際の運送を委託する多重下請け構造からの変革

③BtoBのプラットフォームとしてのユニークなポジショニング

 当社は、事業者と事業者を繋ぐBtoBのプラットフォームとして既存産業の革新を実現するという、ユニークなポジショニングを目指しております。

 プラットフォーム価値を拡大するためには、テクノロジー(インターネット関連技術、プラットフォームの構築技術)、マーケティング(顧客の集客力)及びオペレーション(プラットフォームの運営力)の各要素を高い次元で有機的に連携することが必要であり、当社は、各要素の高度化と連携に向けた施策に継続的に取り組んでまいります。

(ⅱ)当社の企業価値の源泉

① 当社の企業価値の源泉:顧客数×ARPU(注4)

 当社は、顧客からの信頼の総和であり、プラットフォームとしての価値でもある売上高と、顧客及びサプライヤーへの付加価値の総和である売上総利益(当社は、売上高からサプライヤーに仕入代金を支払った残りを売上総利益として計上)の最大化を重視した経営を行っております。売上高を構成する顧客数×ARPUの最大化と、提供するサービスの高付加価値化及びサプライヤーの生産性向上による売上原価の低減により実現される売上総利益率の最大化を目指す方針であります。

② 高い定着性を有する顧客基盤がもたらす安定的な収益基盤

 当社の顧客の特徴は、1回の利用で終わるのではなく、複数回の注文を行って頂ける点にあると考えております。当社ではリピート率又は注文回数を管理しておりますが、直近の「ラクスル」及び「ノバセル」の状況は下記のとおりであります。

 

年間購入者数

(年間合計)

1人当たり

注文回数(年平均)

1件当たり

注文単価(年平均)

2017年7月期

185,107人

3.55回

11,423円

2018年7月期

251,833人

3.64回

11,572円

2019年7月期

315,335人

3.85回

12,806円

2020年7月期

347,492人

3.75回

14,725円

2021年7月期

406,032人

3.90回

17,019円

(ⅲ)プラットフォーム「ラクスル」の戦略

① 需要・供給双方にWin-Winな自律的成長モデル

 当社は、プラットフォーム「ラクスル」の運営を通じ、ユーザー(顧客)とサプライヤーをエンパワメント(注5)することで、サプライヤーの増加、当社プラットフォームのキャパシティの拡大、ユーザーの増加、取引量の増加、さらなるサプライヤーの増加という、自律的な成長モデルの実現を目指しております。

② 供給サイド:ファブレス(注6)モデルによる柔軟な供給と資本効率の高い生産体制の実現

 当社プラットフォームのサプライヤーに対する付加価値は、余剰キャパシティの活用による稼働率、生産性の向上にあると考えております。これにより、当社は印刷という装置産業において、シェアリングによる仮想印刷工場を作り、設備投資を行わずにスケール可能な資本効率の高いビジネス展開を実現しております。また、工場投資が不要なため、生産キャパシティの拡張をスピーディーに行うことができ、売上の急成長にも耐えられる生産体制を構築しております。規模の拡大に対応可能な印刷キャパシティを確保し、アセットライトモデル(注6)として、高い資本効率性の実現が可能となります。

③ 需要サイド:ファブレスモデルによる固定費削減で潜在市場を開拓

 当社プラットフォームのユーザーに対する付加価値は、小ロットから低コストで発注が可能なため、中小企業・個人事業主等の顧客が裾野広く利用できる点にあると考えております。当社は一般の印刷会社に比べ、小ロットの印刷を低価格で提供しております。それは、「ギャンギング」(多面付け印刷)を行うことで一般的な印刷会社に比べて大幅なコストダウンを実現しているためです。当社はインターネットで全国から毎日数千の注文を受注し、同じ紙質、同じ部数の注文を多く抱えており、1つの印刷用版で複数の顧客の印刷物をまとめて印刷することが可能になることで、製版コストを複数社で按分し、1社あたりのコストを大幅に下げることが可能となっております。特に固定費の比率が高い小ロットの印刷物は既存の印刷会社に比べ競争力の高い価格で提供できるようになり、小ロット・低価格という新しい印刷市場を生み出しております。これが、特定顧客への依存度が低く、高い定着性を有する顧客基盤の獲得に繋がっていると考えております。

④ 集客支援サービス

 当社の大きな特長は、印刷に限らず、中小企業・個人事業主が多い「ラクスル」の顧客の集客活動(マーケティング活動)を支援する点にあります。印刷物のデザインから、新聞折込、ポスティング、ダイレクトメール等の配布手配までをオンライン上で手軽に行うことができます。例えば、新聞折込やポスティングは、当社のウェブサイト上で、オンラインの地図上からチラシを配布したい地域と配布希望日を選択すると、自動的に配布枚数と料金が算出されるようになっており、パソコンの操作が苦手な人でも直感的な操作で注文することができます。新聞折込は、新聞の銘柄を指定することも可能となっております。

 既存の広告代理店では数百枚程度の小ロットのチラシの配布の場合、単価が低すぎるために営業のコストを回収できず、対応は難しいとされてきました。当社は、ほとんどのプロセスをEC化することで人件費を中心とした営業費用をなくし、小ロットでも低単価で配布できるようにしました。これにより、これまで予算が足りず新聞折込やポスティングを使えなかった、中小企業・個人事業主のマーケティング活動を可能にしました。当社は、この集客支援サービスを展開することにより、ARPUの最大化を図っております。当該サービスを展開するメリットは、印刷物の販売だけではなく販売促進目的の配布サービスを提供することによる顧客単価の上昇、注文件数の増加、ユーザーとの関係性強化、リピート率の上昇等であります。

⑤ 継続的な業務改善を可能にするリアル・オペレーション・ノウハウ

 当社は、プラットフォームの運営者でありながら、生産オペレーション面での学習と研究開発を目的として、提携印刷会社と顧客の間のサプライチェーンに直接関与することで、売上原価の低減による売上総利益率の継続的な改善を図っております。具体的な施策は下記のとおりであります。

(a)自社保有印刷機の活用

・最新設備を提携印刷会社へ試験導入(3台を貸与)

・ギャンギング(多面付け印刷)による小ロット印刷の効率化

・実機運用を通じて最適な運用プロセスを設計し、他の提携印刷会社へも展開

(b)資材の共同購買

(c)新資材の積極開発

(d)物流網の最適構築

〔用語説明〕

(注1)

SaaS

 

Software as a Serviceの略。インターネットを通じて顧客にソフトウェアを提供すること。

(注2)

キャパシティ

 

生産能力や処理能力のこと。当社の場合、提携印刷会社が保有する印刷機の生産能力、提携運送会社が保有する運送トラックの配送能力を指す。

(注3)

サプライヤー

 

材料や部品等の供給者のこと。当社の場合、提携印刷会社や配布業者、提携運送会社等を指す。

(注4)

ARPU

 

Average Revenue Per Userの略。 1顧客あたりの平均売上金額であり、単価×購入頻度で計算される。

(注5)

エンパワメント

 

自律性を尊重しつつ、支援し力を付けること。

(注6)

ファブレス、アセットライトモデル

 

製造設備、製造工程を保有せずに製造業としての活動を行うこと。

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、上記「(ⅱ)当社の企業価値の源泉」に記載のとおり、売上高及び売上総利益を重要な経営指標と位置づけ、各経営課題に取り組んでおります。営業利益および当期純利益については、外部環境変化に対して経営をコントロールするための指標と位置付けるとともに、中長期的な拡大を目指しております。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社は「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」を企業ビジョンとし、デジタル化が進んでいない既存の産業をインターネットにより効率化し、大企業中心に垂直統合で成立していた産業構造を、プラットフォーム中心の水平分業された産業構造にアップデートするため、以下の課題に取り組んでまいります。

① 国内印刷EC市場の拡大

 当社の主力事業であるラクスルセグメントが属する国内印刷EC市場は、当社の調査によると2012年度から2018年度までの年平均成長率が10%超、また2019年度の市場規模は1,000億円に拡大していると想定されます。EC化率の継続的な上昇を背景に急速な成長を続ける国内印刷EC市場の中で、リーディングカンパニーの1社として市場を牽引する立場であり続けることが当社の成長においても重要であると考えております。

② サービスの認知度向上、新規ユーザーの獲得

 当社が今後も高い成長率を持続していくためには、当社サービスの認知度を向上させ、新規ユーザーを獲得することが必要不可欠であると考えております。従来より、積極的な広報活動に加え、インターネットを活用したマーケティング・広告活動、大手企業との提携等により認知度向上に向けた取り組みを行ってまいりましたが、今後、これらの活動をより一層強化・推進してまいります。

③ 顧客ニーズ充足を意識した商品ラインナップ拡充

 当社における顧客基盤の拡大に伴い、顧客ニーズも多様化いたします。当社は、多様化する顧客ニーズを的確に捉え、一般的にロングテールといわれる購買頻度の少ない商品も含めた取扱商品の拡大を推進するとともに、新規カテゴリへの拡張、更なる顧客基盤の拡大へと繋げていくことが重要であると考えております。印刷事業においては、新たに販促・ノベルティ印刷に特化したサービスを開始したほか、集客支援サービスを中心に短納期商材の充実を図る等、商品ラインナップの拡充を継続的に進めております。

④ 事業拡大と収益性向上を両立した事業運営

 当社の事業モデルの特長の一つに、自社では印刷工場を有することなく全国の印刷会社と提携し、各会社における印刷機の非稼働時間を活用することで、ファブレス型の生産体制を採用している点があります。事業基盤が拡大するにつれて提携印刷会社数及び一会社当たりへの発注量も増えていきますが、提携印刷会社との綿密なコミュニケーション及び協業により、事業が拡大していく中でも低価格かつ安定した品質の商品を継続して提供してまいります。

⑤ 取引データの蓄積・解析体制の強化

 当社事業での取引の情報は、日々当社データベースに蓄積されております。注文情報や商品構成等、ユーザーの動きを把握し、PDCAサイクルを高速で回せる仕組みを整備しておりますが、より高度なデータ活用を行っていく必要があると考えております。例えば、どのような顧客がどのような商品をどのような単価で注文したか、というECサイトならではの情報をビッグデータとして蓄積し、独自に解析することで、サービスレベルとユーザーのロイヤリティを向上させていくことが今後のサービス拡充においては必要不可欠であると考えております。そのため、取引を通じて取得するデータの整備とこれを独自に解析していくための体制構築に取り組んでまいります。

⑥ 情報管理体制の強化

 当社は、ユーザーの個人情報を中心とした情報資産を多く預かっており、その情報管理を強化していくことが重要であると考えております。現在、個人情報保護方針及び情報セキュリティ関連規程に基づき管理を徹底しておりますが、今後も社内教育・研修の実施やシステムの整備等を継続して行ってまいります。

⑦ システムの安定性強化

 当社はインターネットを介したサービス提供を行っているため、そのシステムを安定的に稼働させることが重要になります。そのために、突発的なアクセス増加にも耐えられるようなサーバー設備の強化や、システム安定稼動のための人員確保、教育・研修の実施等に努めてまいります。

⑧ 組織体制の整備

 当社の継続的な成長には、事業拡大に応じて多岐に亘るバックグラウンドの優秀な人材を採用し、組織体制を整備していくことが重要であると考えております。当社の理念に共感し、高い意欲を持った優秀な人材を採用していくために、積極的な採用活動を行っていくとともに、従業員が中長期で働きやすい環境の整備、人事制度の構築を実施してまいります。

⑨ 新型コロナウイルス感染症拡大による外部環境変化への対応

 当社は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う、印刷、広告および物流需要の喪失への対応を喫緊の課題と考えております。需要の後退局面においても十分な利益を確保可能な体制を確立するために、収益性の改善およびコストコントロールの強化を進めております。また需要回復後の再成長に向けて、サービスの開発、改善、ならびにマーケティングへの投資を継続的に実施してまいります。

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