企業ヤマトホールディングス東証プライム:9064】「陸運業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 ヤマトグループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。

(1)経営方針

 ヤマトグループは、社会的インフラとしての宅急便ネットワークの高度化、より便利で快適な生活関連サービスの創造、革新的な物流システムの開発を通じて、豊かな社会の実現に貢献することを経営理念に掲げ、生活利便性の向上に役立つ商品・サービスを開発してまいりました。

 今後も、社会の一員として社会の課題に正面から向き合い、お客様、社会のニーズに応える「新たな物流のエコシステム」を創出することで、豊かな社会の創造に持続的に貢献してまいります。また、テクノロジーを起点に次世代の営業・幹線輸送・ラストマイルオペレーションを構築し、収益力の強化に努めることで、安定した経営を目指してまいります。

(2)経営環境、経営戦略及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 ヤマトグループは、経営理念に掲げる「豊かな社会の実現への貢献」を通じた持続的な企業価値の向上を実現するため、「持続可能な未来の実現に貢献する価値創造企業」を2030年の目指す姿として定めました。そして、イノベーションを起点に未来が問いかける課題に正面から向き合い、多種多様なパートナーと共に新たな物流、新たな価値を創造していく事を目的として、2027年3月期を最終年度とする中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」を策定しました。

 「宅急便ネットワークの強靭化と事業ポートフォリオを変革する3年間」と位置づけ、当連結会計年度は、環境変化によるコスト上昇に対するプライシング適正化や貨物専用機(フレイター)の運航開始、投函商品の業務委託、拠点戦略に係る投資効果の刈り取りを推進しました。

 法人ビジネス領域では、コントラクト・ロジスティクス事業の成長とエクスプレス事業とのシナジー創出を目指した「ナカノ商会」の連結子会社化など、成長戦略を加速させる事業提携とM&Aを推進しました。引き続き、事業提携やM&Aのシナジーを最大限発揮するとともに、当社の強みを生かし、顧客のビジネスに対する付加価値の創出と提供に取り組みます。さらに、大口法人顧客に対しては多様な輸送ニーズに応えるとともに、収益・顧客構成の変革と付加価値に応じた適正なプライシング収受に注力していきます。

 また、環境・社会課題を解決するビジネスモデルの創出を通じて経済価値を生み出すことを目指し、商用車ユーザーの脱炭素化を支援する「EVライフサイクルサービス」を開始するとともに、物流の脱炭素化に向けて再生エネルギー電力などを提供する「ヤマトエナジーマネジメント株式会社」、持続可能なサプライチェーンの構築に向けた共同輸送のオープンプラットフォームを提供する「Sustainable Shared Transport株式会社」、自動車運送事業者における健康管理や健康に起因する事故防止に向けたオンライン医療サービスを提供する「株式会社MY MEDICA」を新たに設立しました。今後も多様なステークホルダーに対し、当社の物流ネットワークをはじめとした経営資源を活かした環境・社会課題解決型のサービス・事業を展開し、社会と物流業界全体の持続性を高めるとともに、新たな収益基盤として成長を加速させていきます。

 一方で、宅配便市場は、ECの成長とともに拡大傾向にあるものの、基盤領域である個人および小口法人の市場は、人口減少や個人消費の低迷に伴う影響を受けています。また、EC化の進展と人口動態の変化に伴い、ラストマイル領域における集荷と配達の業務量や輸送領域における都市部・地方部間の荷物の流動量が変化しており、宅急便ネットワークの収益性は低下傾向にあります。

 このような状況を踏まえ、基盤領域である宅急便ビジネスを安定的に利益を確保できる事業構造に転換させるため、収益構成の変革に取り組み、付加価値に応じたプライシング適正化を進めていきます。加えて、ふるさと納税による地域創生に向けた取組み強化を目的に「レッドホースコーポレーション株式会社」との提携を開始し、ふるさと納税市場におけるシェア拡大を図るとともに、地域産品の流通や観光振興などに、引き続き取り組んでいきます。輸送領域においては、顧客ニーズに対応しつつ、輸送・積載効率を高め、固定費の抑制および業務量に応じた変動費のコントロールを実現するため、荷物の流動量の変化に合わせたターミナル間およびターミナル・集配拠点間の運び方の見直し、仕分け作業を担う働き手の適正配置などに取り組んでいきます。

[目指す姿]

「SX2030 ~1st Stage~」主要施策

①基盤領域:宅急便ネットワークの強靭化と提供価値の拡大

 付加価値に応じたプライシング適正化、セールスドライバーがお客様に向き合い、より良いサービスの提供に専念できる環境を整備する「営業所改革」、お客様のニーズを捉えた商品・サービスの開発、地域の市場性に基づく集配拠点の再配置と荷物の発送・受取に留まらないサービスを提供する地域密着型店舗「ネコサポ」の展開などを迅速に進めていきます。輸送領域においては、顧客ニーズに対応しつつ、輸送・積載効率を高め、固定費の抑制および業務量に応じた変動費のコントロールを実現するため、荷物の流動量の変化に即したターミナル間およびターミナル・集配拠点間の運び方見直し、仕分け作業を担う働き手の適正配置などに取り組んでいきます。

②成長領域:法人ビジネス領域の拡大

 国内外の倉庫や貨物専用機(フレイター)を含めた輸配送ネットワーク、ロジスティクスや通関、不動産関連のノウハウなどのグループ経営資源を活かした付加価値の高いソリューションを法人のお客様に提供することで、利益成長を加速させていきます。

③新規領域:新たなビジネスモデルの事業化

 既存の経営資源を活用しつつ、多様なパートナーとともに、環境・社会課題を解決するビジネスモデルの創出を通じて経済価値を生み出し、社会と物流業界全体の持続性を高めるとともに、新たな収益基盤として成長を加速させていきます。

④グループ経営基盤の強化

 持続的な企業価値向上を実現するための基盤として、引き続き、人事戦略、デジタル戦略、環境・社会戦略を推進し、サステナブル経営およびコーポレート・ガバナンスの強化などに取り組みます。

⑤資本効率をより重視した経営の浸透

 資本効率をより重視した経営の浸透を図り、資本コストを上回る資本収益性の実現に取り組むため、営業利益率およびROE(自己資本利益率)、ROIC(投下資本利益率)を経営指標として設定しています。事業の収益性向上および利益成長の加速に加えて、バランスシート・マネジメントの強化とキャッシュ・フローの最適化に取り組むことで、資本効率の改善を図り、EPS(1株当たり当期純利益)および株主価値向上の基盤を構築していきます。

 当該中期経営計画の最終年度となる2027年3月期において、連結営業収益2兆~2兆4,000億円、連結営業利益1,200~1,600億円(連結営業利益率6%以上)、ROE12%以上、ROIC8%以上の達成を目標として設定しています。なお、当計画および数値目標については、初年度である2025年3月期の業績および当計画の進捗状況、事業環境の変化等を踏まえ、精査しています。数値目標を修正する場合には、決定次第、情報開示を行い、株主・投資家の皆様との建設的な対話に努めていきます。

[成長イメージ]

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 ヤマトグループを取り巻く事業環境は、不安定な国際情勢や金融市場の変動などにより、依然として先行き不透明な状況が続いています。また、物価上昇の影響や自動車運転業務における時間外労働の上限規制の適用(2024年問題)など、外部環境の変化に伴うコスト上昇が継続すると見込まれます。さらに、中長期的には、EC化のさらなる進展や地政学リスクの増大、少子高齢化・過疎化の進展、労働力不足や気候変動の深刻化などを想定しています。このような中、ヤマトグループは、経営理念に掲げる「豊かな社会の実現への貢献」を通じた持続的な企業価値の向上を実現するため、「持続可能な未来の実現に貢献する価値創造企業」を2030年の目指す姿として定めました。そして、2027年3月期を最終年度として策定した中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」を「宅急便ネットワークの強靭化と事業ポートフォリオを変革する3年間」と位置づけ、以下①~⑤の取組みを推進していきます。

① 宅急便ネットワークの強靭化と提供価値の拡大

 宅配便市場は、ECの成長とともに拡大傾向にあるものの、基盤領域である個人および小口法人の市場は、人口減少や個人消費の低迷に伴う影響を受けています。また、EC化の進展と人口動態の変化に伴い、ラストマイル領域における集荷と配達の業務量や輸送領域における都市部・地方部間の荷物の流動量が変化しており、宅急便ネットワークの収益性は低下傾向にあります。

 これらの状況を踏まえ、基盤領域である宅急便ビジネスを安定的に利益を確保できる事業構造に転換させるため、収益構成の変革に取り組み、付加価値に応じたプライシング適正化を進めていきます。また、セールスドライバーがお客様に向き合い、より良いサービスの提供に専念できる環境を整備する「営業所改革」を柱に、お客様のニーズを捉えた商品・サービスの開発、地域の市場性に基づく集配拠点の再配置と荷物の発送・受取に留まらないサービスを提供する地域密着型店舗「ネコサポ」の展開などを迅速に進めていきます。加えて、地域創生に向けた取組み強化を目的として資本・業務提携を実施した、ふるさと納税代行事業者とともに、地方自治体に向けた一貫したソリューションの提供を通じて、ふるさと納税市場におけるシェア拡大を図るとともに、地域産品の流通や観光振興などに、引き続き取り組んでいきます。

 輸送領域においては、社会的インフラとしての宅急便ネットワークをより効率的かつ持続的な形に強靭化し、顧客ニーズに対応しつつ、輸送・積載効率を高め、固定費の抑制および業務量に応じた変動費のコントロールを実現するため、荷物の流動量の変化に即したターミナル間およびターミナル・集配拠点間の運び方見直し、仕分け作業を担う働き手の適正配置などに取り組んでいきます。

② 法人ビジネス領域の拡大

 世界の政治・経済とサプライチェーンのブロック化や環境問題などのリスク要因が増大し、企業が対応を求められる中、ヤマトグループは変化を機会と捉え、サプライチェーン全体に拡がるお客様の経営課題の解決を目指すソリューションビジネスを成長領域と位置付けています。国内外の倉庫や貨物専用機(フレイター)を含めた輸配送ネットワーク、ロジスティクスや通関、不動産関連のノウハウなどのグループ経営資源を活かした付加価値の高いソリューションを法人のお客様に提供することで、利益成長を加速させていきます。

 エクスプレス事業の法人部門においては、大口法人のお客様の多様な輸送ニーズに応えるとともに、収益・顧客構成の変革と付加価値に応じた適正なプライシング収受に注力していきます。また、コントラクト・ロジスティクス事業を中心として、連結子会社化した株式会社ナカノ商会とのシナジー創出に取り組んでいきます。

 グローバル事業においては、不安定な国際情勢により生じるサプライチェーンの変化を好機と捉え、国際フォワーディング、国際エクスプレス、海外コントラクト・ロジスティクスを柱に、オートモーティブやハイテク、食品産業など、ヤマトグループが強みを発揮している領域のさらなる拡大に努めるとともに、日本、米国・メキシコ、中国、インド、東南アジアを中心に営業力を強化します。注力市場を絞り込むことでフォワーディングの混載効率を向上させることや、越境ECへの提案強化、注力する地域における消費財などの内需拡大に伴う物流需要の取込みなど、M&Aも活用しながら推進するとともに、国内の法人部門やコントラクト・ロジスティクス事業との連携によるお客様のビジネス成長の支援に取り組んでいきます。

③ 新たなビジネスモデルの事業化

 持続可能な未来の実現に向けて、既存の経営資源を活用しつつ、多様なパートナーとともに、多様化する顧客や社会のニーズに応える新たなビジネスモデルの事業化を推進します。

 モビリティ事業においては、車両整備サービスを基盤に、ヤマトグループ内での環境投資や実証実験を通じて蓄積したEV、太陽光発電設備、エネルギーマネジメントなどのノウハウを活用したサービスを提供することで、物流の脱炭素化を推進し、企業と社会の発展に取り組みます。具体的には、温室効果ガス(GHG)削減計画の立案からEV・充電器の導入・運用支援、メンテナンス、エネルギーマネジメント、再生可能エネルギー由来電力の供給までワンストップで提供する「EVライフサイクルサービス」の拡販や、ヤマトエナジーマネジメント株式会社が中心となり、ヤマトグループのみならず車両を使用する事業者様に対し、ヤマトグループの拠点や各地域の発電事業者が発電した再生可能エネルギー由来電力の提供などを推進していきます。

 また、宅急便で培った法人顧客や物流事業者とのパートナーシップ、輸配送ネットワーク・オペレーション構築のノウハウを活かし、安定した輸送力の確保と環境に配慮した持続可能なサプライチェーンを構築するため、Sustainable Shared Transport株式会社が中心となり、荷主企業や物流事業者など多様なステークホルダーが参画できる共同輸配送のオープンプラットフォームを活用したサービスの拡販を推進していきます。

 なお、2025年2月に提供を開始したオンライン医療サービス「MY MEDICA(マイメディカ)」を通じて、従業員の健康リスクが高い傾向にある自動車運送事業者様における、健康管理や健康に起因する事故防止に向けた取組みを支援していきます。

④ グループ経営基盤の強化

 持続的な企業価値向上を実現するための基盤として、引き続き、人事戦略、デジタル戦略、環境・社会戦略を推進し、サステナブル経営およびコーポレート・ガバナンスの強化などに取り組みます。

 人事戦略については、事業構造改革と連動した人材の最適配置を優先課題として、組織・要員の適正化と評価・報酬制度の見直しに取り組みます。また、付加価値を創出する人材の育成に向けて、自主・自律的なキャリア形成を促進する職務を起点とした人材マネジメント体系の整備・運用を推進します。そして、多様な社員の働きやすさと働きがいの向上に向けて、多様化する社員のライフプランに適合する福利厚生制度の構築や社員の健康管理・健康増進施策を推進するとともに、ダイバーシティの推進や人権デューデリジェンスの実施、女性活躍の推進に継続的に取り組みます。これらの取組みを通じて、社員一人ひとりの活躍と貢献を最大化し、より高い付加価値の創出を目指していきます。

 デジタル戦略については、宅急便で蓄積したビッグデータを活用した商品開発、プライシング最適化、将来予測のモデル化・精緻化によるコスト抑制などを主軸としたデータドリブン経営を推進していきます。また、DX推進体制を強化し、「オペレーション」や「働き方」の変革、バックオフィスの業務プロセス改革を加速し、新たなビジネス創出も視野に入れた事業と一体となったDXを推進していきます。

 環境・社会戦略については、「2050年温室効果ガス(GHG)排出実質ゼロ(自社排出)」および「2030年温室効果ガス(GHG)排出量48%削減(2021年3月期比)」の実現に向け、引き続き「EV23,500台の導入」「太陽光発電設備810基の導入」「再生可能エネルギー由来電力の使用率向上」などの施策を推進するとともに、サプライチェーン(Scope3)排出量の把握方法の策定などに取り組みます。また、社会の諸課題に向き合い、ビジネスパートナーとの定期的な協議の実施や課題の早期発見と解消のための体制・プロセス・仕組みの整備など、適切な関係構築を通じたサステナブル・サプライチェーンの構築を推進していきます。

 コーポレート・ガバナンスの強化については、引き続き、経営の監督と執行の分離、経営の透明性の維持・強化などに取り組むとともに、経営管理の高度化を推進し、株主・投資家との建設的な対話や情報開示の充実を通じて、持続的な企業価値向上に努めていきます。

⑤ 資本効率をより重視した経営の浸透

 上記の①~④を推進することに加え、資本効率をより重視した経営の浸透を図り、資本コストを上回る資本収益性の実現に取り組むため、営業利益率よびROE(自己資本利益率)、ROIC(投下資本利益率)を経営指標として設定しています。事業の収益性向上および利益成長の加速に加えて、バランスシート・マネジメントの強化とキャッシュ・フローの最適化に取り組むことで、資本効率の改善を図り、EPS(1株当たり当期純利益)および株主価値向上の基盤を構築していきます。

 本中期経営計画期間においては、オペレーションの効率化に資する拠点戦略やDX推進などへの成長投資を実施するとともに、お客様に対する環境負荷の少ない物流サービスの提供とオペレーションのエネルギー効率向上の両立を通じた低炭素社会の実現に向けて、EVや太陽光発電設備等への環境投資も実施します。なお、成長領域であるコントラクト・ロジスティクス事業およびグローバル事業では、自律的な成長施策に加え、M&Aや戦略的業務提携も活用していきます。

 上記計画を財務面から支えるため、バランスシート・マネジメントの強化に取り組み、固定資産の流動化等を適宜検討するとともに、キャッシュの創出状況、保有現預金や自己資本比率等の状況、グループ資金の有効活用など、財務の健全性と効率性を意識しながら、必要に応じて金融機関からの借入および社債の発行を通じた資金調達を実施していきます。財務の健全性の観点から自己資本比率は45~50%程度、D/Eレシオ(負債資本倍率)は0.3~0.5倍程度を目安とします。株主還元については、親会社株主に帰属する当期純利益を基準とする配当性向40%以上、総還元性向50%以上を目標とし、自己株式の取得については、成長投資の進捗状況、キャッシュ・フローの動向、株価等の観点を踏まえ、柔軟に検討していきます。

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