マンダム
【東証プライム:4917】「化学」
へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 基本方針
企業理念
当社グループは2017年、創業90周年を機に、企業活動の原点に立ち返り、先人たちが創り上げてきたマンダムの存在意義をさらに突き詰め、そして進化させ、新たに「人間系」という考え方を根幹に据えて、理念体系を生まれ変わらせました。理念体系は、私たちマンダムの存在意義であり、社会において果たすべき使命である「MISSION」、マンダム社員が常に遵守すべき考働原則である「PRINCIPLES」、マンダム社員が創業時から引き継いできた、そしてこれからも引き継がれていく大切な礎である「SPIRIT」から構成されています。押し寄せるデジタル化の波や発達し続けるAIなどが当たり前の時代だからこそ、人にしか成しえない価値、すなわち人の気持ちを思いやる心を持ち、人が喜ぶ姿を想像し、人に役立つ価値を創造していくことを「人間系」という言葉で表現し、これを尊重する企業でありたいと考えています。
VISION2027
当社グループは不確実性の高い、予測困難な経営環境を踏まえて、100周年を迎える2027年における「ありたい姿」として、VISION2027を策定しております。VISION2027においては、過去からの積み上げに捉われない、未来志向の視点に立ったバックキャスト型で、「総合化粧品ではなく唯一無二の強みを持った化粧品会社」を目指してまいります。
VISION2027は、2017年から2027年の11年間を3つの中期経営計画(MP)のフェーズに分け、MP-12(2017年4月~2020年3月)を「基盤整備期」、プレMP-13(2020年4月~2021年3月)を挟んでMP-13(2021年4月~2024年3月)を「変革・挑戦期」、MP-14(2024年4月~2028年3月)を「成長加速期」と位置付けておりました。
MP-13では新型コロナウイルスの世界的な蔓延に伴い、事業環境は大幅に変化し、当社グループの業績にも多大な影響がありました。VISION2027策定時には想定外だった外部環境の変化に適応するため、MP-14の取り組みを「成長基盤構築」という新たな方向性に再定義しました。これには、以前からの事業課題及び経営課題に迅速に対応し、解決することが含まれます。MP-14はVISION2027の最終年度となる2027年、そして2027年以降の更なる成長を目指し、成長基盤を固める期間と位置づけております。
マトリックス経営体制
当社グループではMP-12開始時より、グループシナジーの最大化を目的にマトリックス体制による経営体制を採用しております。事業(縦軸)と機能(横軸)とが連携を高め、同時にグループ経営基盤を整備することで成果の最大化とガバナンス強化を図ってまいります。また、2024年度よりこのマトリックス体制の更なる強化を目的として、新たにCxO体制を導入しています。このCxO体制のもと、特に機能軸の観点から各事業(日本事業、インドネシア事業、北東アジア・東南アジア・インド事業)を横断した業務執行を通じて、グループ経営執行体制を強化し、経営資源の配分の最適化と意思決定の迅速化を図り、イノベーションの加速と成長性の向上を目指してまいります。
(2) 中期経営計画
当社グループの事業活動は、企業理念に掲げる「社会との共存・共生・共創」=当社グループのサステナビリティそのものと捉え、社会環境課題の解決に向けてサステナブル経営(ESG経営+SDGs経営)を根幹に据えた取り組みによるお役立ちの進化と企業価値の創造を目指しております。すなわち、当社グループは事業活動における企業価値は経済的価値と社会的価値の総和として理解しております。MP-14中期経営基本方針の策定にあたっては、経済的価値の最大化に向けた重要課題と社会的価値の最大化に向けてマテリアリティを解決することを目的としております。
<MP-14中期経営基本方針>
当社グループは、「事業」「機能」「経営基盤(グループ経営)」の3つの軸からMP-14中期経営基本方針を策定しています。
基本方針1.各事業の成長ステージに応じた構造変革 |
・日本事業およびインドネシア事業における収益性改善と新たな成長エンジン獲得に向けたチャレンジ
・海外事業のASEANエリアを中心とした量的成長の実現
・グループにおけるEC体制の確立による顧客接点の拡大・深耕
・社会課題・環境課題への対応を考慮した事業活動の推進
当社グループでは、3つのセグメント区分でアジアを中心にグローバルに事業を展開しております。MP-14では各エリアにおける的確な事業課題を設定したうえで、事業推進を図ってまいります。MP-13からEC体制の構築を開始しておりましたが、MP-14ではグループシナジーを創出するべくEC体制の確立を目指します。また、サステナブル経営を根幹に据えた社会課題・環境課題への対応も併せて推進しております。なお、サステナビリティに関する具体的な取り組みにつきましては、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照下さい。
(優先的に対処すべき課題)
・日本事業の収益性改善および新たな成長エンジンの模索
当社グループでは、連結業績の中核を担う日本事業の業績回復を最優先課題と捉え、MP-14開始時よりバリューチェーンの各要素(開発・生産・営業・マーケティング等)の見直しに取り組んでおります。マンダムグループの持続的な成長を実現するため、製品を通じた生活者への貢献を第一にした事業推進に努めてまいります。また、日本事業は将来の人口減少や長期的な実質GDP成長の鈍化が予測されているだけでなく、市場環境についても既存の競合他社や海外輸入品との更なる競争激化が見込まれております。その中で、安定的な成長を実現するために、前述した収益性改善によって得た原資を活用し、将来の日本事業を担う成長エンジンの獲得に向け、新たな挑戦に積極的に取り組んでまいります。
・インドネシア事業の収益性改善
MP-13ではコロナ禍の影響により売上高が減少したことに加え、減価償却費負担の増加や人件費上昇により、原価率が上昇しております。また、マーケティング投資を控えた結果、市場での製品競争力の低下を招きました。この問題解決のために、MP-14では経営体制を一新し、構造改革に取り組んでおります。まず、製品の品質を維持しつつ、原材料のコストダウンや包材開発の抜本的見直し等、日本事業と連動する形で調達と生産体制の改革を進め、原価率の低減を図っております。さらに、ブランドの価値を高め、市場競争力回復を目的に、積極的なマーケティング投資を行います。特に、ブランドマーケティング活動や流通に関する施策の強化を通じて市場での競争力を向上させます。MP-14の2年目となる本年度(2025年4月~2026年3月)まではマーケティング投資強化のため原価率低減効果よりも費用増加が大きく利益を圧迫しますが、MP-14最終年度には適正な利益を持続的に創出することが可能な体制に再生すべく、改革を進めてまいります。
・海外事業のASEANエリアにおける事業推進
当社はインドネシア以外の海外事業において、更なる事業規模拡大を図るため、本年度(2025年4月~2026年3月)より既存展開国を北東アジア・東南アジア・インド事業とし、新規国の開拓と切り離した事業展開を行ってまいります。既存展開国の中でも、ASEANエリアの人口は継続的に増加しており、経済成長率も日本よりも高い伸長率となっております。このような外部環境なども考慮し、今後ASEANエリア(インドネシアは除く)の事業は当社グループの中で成長ドライバーの位置づけとして量的成長に向けて取り組みを進めております。更なる事業推進を目指し、現地の生活者に根差した価値提案および新カテゴリーへの参入を進めてまいります。
基本方針2.「生活者発・生活者着」を基本とした価値共創による新たなお役立ちの実践 |
・生活者から共感が得られる商品・サービス提供による市場創造と拡大
・生活者のウェルビーイング実現につながる新規事業の探索
・デジタルを活用した新価値創造(DX)のための顧客データ活用の仕組み構築
当社グループを取り巻く事業環境は、生活者のニーズ・ウォンツや価値観の多様性が進み、様々なスモールマスが数多く生まれております。MP-13ではそのようなスモールマス時代に対応したお役立ちを行うべく、新たな手法を取り入れ、あらためて生活者に寄り添い、多様化する価値観やライフスタイルを見つめ直し、真の課題を発見し、生活者の共感が得られる製品づくりとSNSを中心としたコミュニケーションの強化を図ってまいりました。生活者から選ばれ続ける企業となるべく、MP-14でも継続して生活者から共感が得られるお役立ちを強化しております。また、生活者のウェルビーイングの実現に向けて新規事業の探索も併せて進めてまいります。MP-13より進めているDXにおいても業務効率化の観点から新価値創造への観点へとシフトしていく段階と位置付け、取り組みを進めていく方針としております。
(優先的に対処すべき課題)
・マーケティング革新
世の中の常識や他人の目、自分の中にある固定観念に捉われることなく、理想のなりたい自分を追求するというコーポレートスローガン「BE ANYTHING, BE EVERYTHING.」の実現に向けた価値の創造・提供をMP-14も継続して強化いたします。また、MP-14からは、新たな流通としてD2Cブランド(Aono、HOLIDEA)を上市し、生活者接点の拡大と新たな価値提供に取り組んでおります。既存流通の強化とともに、EC流通も当社の新たな強みとして育成すべく、コミュニケーションノウハウを蓄積し、顧客獲得と定着を進めてまいります。
・DX推進
グローバル規模でデジタル技術を活用した事業構造の変革が進む中、当社グループにおいても新価値創造企業への展開に向けて、DXの推進を通じた変革をMP-13では進めてまいりました。MP-14では競争優位性の獲得・確立に向けて、顧客データ活用の仕組み構築を目指しております。外部環境の変化を的確に捉えながら、DXをスピーディーに推進するための組織体制の構築を早急に進めるとともに、生活者の共感を得られるような価値創造に向けて、まずは顧客データの獲得に取り組んでまいります。
基本方針3.グループ経営実践に向けた経営基盤の継続強化 |
・人的資本の最大化による組織能力の向上
・グループ経営体制の整備による経営効率の最大化と更なるガバナンス強化
・グローバルでの企業ブランドのイメージ確立を目指したコーポレートブランディングの実践
当社グループでは、MP-14においてもグループ経営基盤の継続強化を図ってまいります。MP-13では、各テーマにおいて日本事業を中心に取り組みを進めてまいりましたが、MP-14からは取り組みの範囲をグループ全体に広げております。各国のビジネス環境に対応し適切なサポートを提供するために、日本にヘッドクオーター機能を配置し、グループ全体の成長と持続可能な発展を目指してまいります。
(優先的に対処すべき課題)
・グループ視点での人的資本の最大化
当社グループにおける新価値創造の最大の源泉は「人財」であり、当社グループが絶えず変革や挑戦を実現し、成長し続けるためには、人財への投資が必要不可欠であると考えております。そのため、当社グループでは全社員を対象に、業務遂行におけるビジネススキルの向上や収益性の改善に向けた事業部門を対象とした専門的なスキルトレーニングを通じて、スキルやノウハウを組織知として蓄積し、継続的な変革と挑戦を実現できる人財の創造と環境づくりに取り組んでおります。これら取り組みの詳細に関しては、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (5)重要なサステナビリティの項目」をご参照ください。
<MP-14財務戦略>
当社グループは、持続的な経済的価値と社会的価値を提供するとともに、企業価値の最大化に向けてPBRの改善に取り組んでまいります。
現在のPBR低迷は収益性の低迷の結果であり、その要因は次の2点と考えております。
・工場増強投資にコロナ禍や原材料高が重なり原価率をはじめとしたコスト率が上昇
・キャッシュの効率的活用による新規事業を含めた成長投資不足とそれに伴うステークホルダーの期待未充足
この2点を転換すべく、以下の対応策を実行してまいります。
1. MP-14の前半2年でバリューチェーンを抜本的に見直し、収益性の劇的な改善を実現します。
2. 有利子負債活用を含めたキャピタルアロケーションを策定し、新規事業やM&Aなども含めた戦略投資を実行します。
以上の対応策実行により、MP-14最終年度にはROIC8.0%以上を実現し、PBRの大きな改善につなげてまいります。
(キャピタルアロケーションの考え方)
財務の安定性を維持したうえで、キャッシュを成長投資として「新規領域投資」に振り向けるとともに、「株主還元」「IT投資を含む設備投資」に適切に配分して実行してまいります。
新規事業につきましては、新ブランド、新規事業、新エリアへの進出等以外に、M&Aも積極的に検討してまいります。株主還元につきましては、安定的かつ継続的な利益還元を実施することを基本方針とし、連結配当性向40%以上を数値目標としております。
2024年度におきましては、日本事業におけるバリューチェーンの見直しを通じて収益性改善活動を進めており、徐々に成果が表れはじめております。また、インドネシア事業におきましても、人員の適正化を図るとともに、日本事業と同様に収益性改善活動を開始し利益回復につなげてまいります。
戦略投資に関しては、ベンチャーファンドへの出資やM&A戦略を策定し、新規事業を模索する中で、2025年3月31日には、オンライン診療サービスを運営する株式会社SQUIZと資本業務提携を締結いたしました。今後も引き続き、積極的に活動を継続してまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
MP-14中期経営基本目標
MP-14でも収益性目標として資本効率の観点からROICを採用し、"稼ぐ力"を重視した経営に取り組んでまいります。
・連結売上高 1,000億円
・連結営業利益率 9.0%以上
・ROIC 8.0%以上
- 検索
- 業種別業績ランキング