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【東証グロース:7047】「サービス業」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「社会的負債を、次世代の可能性に。」をパーパスに掲げ、企業の経営課題である成約活動に対して、高い成約力とマルチチャネルマーケティング力で、成約時に報酬が発生する成果報酬型モデルの成約支援事業を展開しております。労働人口減少という社会的負債に対して、ROIが明確なサービス提供を通じて、企業の掛け捨てリスクをゼロにし、企業、そして社会全体の生産性向上に貢献を目指しております。
(2) 経営戦略等
① 基本戦略
当社グループは、少子高齢化・生産年齢人口の減少、労働生産性が低下する日本社会において、企業における販促活動、人材採用の効率化を最も解決すべきテーマと特定し、集客から成約まで一気通貫で支援し、なおかつ企業にとって導入リスクの低い成果報酬型サービスを展開することを基本戦略として掲げております。
② 中長期成長戦略
当社グループは2030年3月期を最終年度とする5ヵ年中期経営計画を2025年5月14日に公表いたしました。2030年3月期の売上収益800億円、EBITDA130億円の達成に向けCAGR30%以上の成長を継続するために、以下の5ヵ年目標と3つの成長戦略を掲げております。フリーキャッシュフローの最大化を長期方針に掲げ、中長期のEBITDAの最大化を達成するにあたり、オーガニック成長への投資、収益モデルのポートフォリオ化、インオーガニック成長への投資を中期成長戦略として掲げております。
a.ストック利益への転換
「収益のポートフォリオ化」を掲げた当社グループの第2次中期経営計画では、これまで成果報酬型ビジネスの大部分を占めていたショット型収益から、ストック型収益の比率を高めることで、総収益の向上と成長の確実性を追求する方針を掲げておりました。その結果、2023年3月期から2025年3月期までの3年間で、将来利益を累計3,074百万円積み上げることができ、着実にストック利益を成長させることができたと評価しております。EBITDAに占めるストック利益の比率は、2023年3月期には4.6%でしたが、2025年3月期には23.9%にまで大きく増加しました。今後は、毎年の増収増益を前提に積極的な将来利益の獲得を推進し、2030年3月期までにこの比率を40%まで引き上げ継続成長の蓋然性を高めてまいります。
b.既存事業の圧倒的地位確立
既存事業である人材・エネルギー領域を中心に圧倒的な地位確立と参入障壁の構築を目指して、オーガニック・インオーガニック両面での投資を徹底してまいります。
具体的には、人材領域では、圧倒的な会員基盤を活用し、新卒紹介市場でのシェアを早期にNo.1の達成を目指すとともに、蓄積した顧客基盤や会員データを活用し最も隣接する既卒・第二新卒等の若年層人材紹介市場へ早期参入等を実施し更なるシェア拡大を目指してまいります。エネルギー領域では、最重要指標である総成約件数を最大化させ、個人向け成約支援市場でのシェアを早期にNo.1を目指すとともに、法人向けの成約支援への拡大も図ってまいります。加えて、電力事業者のバリューチェーンに深く入り込み販売活動に関する成約支援及び通電・調達活動に関する業務支援を一気通貫で提供することで、電力事業者にとって必要不可欠な存在となることを目指してまいります。
c.新規領域参入を目指したM&A
当社グループにおける成約支援事業の更なる拡大にあたって、M&Aを主要戦略の一つとして位置付けております。中期経営計画期間中においては、既存事業のロールアップ型M&Aだけではなく、次の柱となる新領域の成果支援事業への参入を目指したM&Aについても積極的に推進してまいります。M&Aの推進にあたっては、投資規律を明確化し、既存領域(人材・エネルギー領域)および新領域におけるM&Aターゲットを具体的に特定しております。これにより、既存事業のロールアップを主軸とした集客チャネルの強化を目的とするM&A機会を積極的に模索するとともに、中長期的な成長性を確保するための周辺事業および新領域におけるM&Aも実施してまいります。
(3) 競争優位性
当社グループの売上収益を構成する主なKPIとして「集客件数×成約率×成約単価」を重要指標と認識しております。それら重要指標を拡大するにあたり、重要項目である「集客件数」「成約率」「成約単価」に対して、競争力の源泉となる「WEBマーケティング」と「セールス(成約支援組織)」の2つの優位性を有しております。
① 横展開の拡張性を持つ広大な市場規模
企業の経営課題である販促費と採用費を合わせた約17兆円の巨大な市場をターゲットとしており、成約支援事業を通じて大きな成長余地があると考えております。当社グループでは、企業にとって成約コストが高く、ユーザーにとって意思決定が難しい「非日常領域」において成約支援事業を優先的に展開しております。
② 掛け捨てリスクゼロの成果報酬型の料金体系
従来のインターネットメディア事業が集客数を成果地点とする掛け捨て型であるのに対し、当社グループは成約時に報酬が発生する成果報酬型モデルを採用しております。これにより、顧客のサービス導入ハードルが下がり、顧客基盤の拡大と長期的なリレーション構築による成約件数・成約単価の向上が期待されます。
③ 高い成約率を実現する成約支援組織に裏付けされた成約力
成約支援組織を内製化し、採用力、組織開発力、テクノロジーを活用することで高い成約率を実現しております。特に、新卒・中途採用における高い人材採用力と、入社後の成果状況を鑑みた採用活動の高速PDCAを強みとし、組織拡大に伴う組織開発にも注力し、高い定着率を維持しております。
④ マルチチャネルマーケティングによる集客力
集客に特化した自社プロダクト群とWEBマーケティングのノウハウにより、広範な集客チャネルを展開し、大量の見込み客の獲得を可能とする高い集客力を保持しております。また、成約支援組織を通じた高い成約力があるため、ユーザー数が多く集客コストが低い潜在層からも集客が可能であり、単一チャネルへの依存度を低減し事業リスクを軽減しています。普遍性の高い非日常領域のコンテンツに投資することで、安定的な集客と継続的なアクセスを確保しております。
⑤ 成約件数の最大化が競争優位性につながるボリュームインセンティブ型の市場構造
当社が展開する成約支援事業は、成約件数が増加することで市場でのプレゼンスが向上し、結果として成約単価の上昇につながる市場構造を持っています。成約単価の上昇は集客施策の許容CPA(顧客獲得単価)を上げ、市場における競争力をさらに高める好循環を生み出しております。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、株主価値向上のため、中長期的にはROE(自己資本利益率)を最大化していく方針でありますが、短期的には売上を増加させ利益を安定的に出す体制を構築することに注力しております。2024年3月期から収益のポートフォリオ化を成長戦略の一つとし、主にエネルギー領域において1成約ごとにショット型で収益が発生するショット型契約での成約件数を増やすとともに、ユーザーの利用状況に応じて毎月収益が発生するストック型契約の成約件数の積み上げを行っており、継続的な利益成長の蓋然性向上に努めております。そのため、現在は売上収益及びEBITDA(営業利益+減価償却費+固定資産除却損及び評価損益+株式報酬費用)に加え、将来利益(1件の成約によって将来生まれる総利益)を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として取締役会等でモニタリングを行っております。
また、当社グループは、2026年3月期を初年度とする5ヵ年の中期経営計画を推進しており、最終事業年度である2030年3月期には、売上収益800億円、EBITDA130億円の達成を目指しております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループの経営方針及び経営戦略を実行していくうえで、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。
(特に優先度の高い対処すべき事業上及び財務上の課題)
① 認知度の向上とユーザー数の拡大
当社グループが持続的に成長するためには、当社グループのサービスの知名度を向上させ、ユーザーの意思決定までに必要な良質な情報を提供することで新規ユーザーを継続的に獲得し、ユーザー数を拡大していくことが必要不可欠であると認識しております。そのためには、効果的な広告宣伝活動等により当社グループの知名度を向上させること、また既存プロダクトにおいてユーザーの立場に寄り添った良質な情報を蓄積していくことや、様々な角度からユーザーニーズを満たすべく複数プロダクトを展開することにより認知度の向上とユーザー数の拡大に努めてまいります。
② 成約支援組織の拡大及び生産性の維持
当社グループは、WEBマーケティングによって集客したユーザーを洗練させた成約支援組織による意思決定支援を行うことで成約につなげております。成約件数を増加させるためには、成約支援組織の人員数を拡大させながら、1人当たりの生産性を低下させない成約支援組織の構築が必要であると考えております。高い成約率と生産性を維持、向上させる体制構築のために、AIをはじめとしたテクノロジー活用による生産性向上、採用体制強化による組織力向上や、独自の教育体制による成約率維持向上に取り組んでまいります。
③ M&A等の事業投資の活用
新規事業やサービスの拡大のため、M&A等の事業投資の実行による成長の実現が重要であると考えております。M&Aを行うにあたっては、投資効果はもちろん、対象事業等の将来性や当社グループが展開する成約支援事業とのシナジーをはじめとした相乗効果を十分に検討した上で、事業領域の拡大と業績の向上に繋がるよう進めてまいります。また、エネルギー領域においては、総成約件数の最大化を更に加速させるために、資本業務提携形式によるロールアップ戦略も積極的に実行することで、多角的なアプローチによるシェア拡大を図っております。このような事業投資を通じて企業価値向上と、当社グループの総成約件数の最大化を目指してまいります。
④ 内部管理体制及び内部統制の強化
当社グループは、中期経営計画に基づく、積極的な事業投資やM&A等により、事業・組織規模を急速に拡大させております。今後も積極的で適正なリスクテイクを行い、持続的な成長を実現するためには、内部管理体制及び内部統制の継続的な強化が必要であると考えております。第14期においては、グループ内部通報制度を導入し、リスク情報の早期把握と適切な対応を図る体制を整備いたしました。また、インサイダー取引防止等、各種コンプライアンス順守のためのオペレーションについても、その適切な運用状況を確認しており、内部管理体制のリスクは低減傾向にあると認識しております。
また、企業集団の拡大に合わせ、グループ会社管理やリスクマネジメントに関する規程を充実化させ、各社の役員への研修も実施してまいりました。さらに、リスク管理委員会配下に当社の重要事項に関するワーキンググループを設置し、専門的な議論や施策の実施を推進しております。今後も、グループ全体で業務の適正を確保し続けるべく、迅速で網羅的なリスク情報の把握と内部統制への反映、監査等委員会・内部監査によるモニタリングの徹底、役職員への研修の充実化等をグループ全体で実施し、企業集団、組織、事業の規模拡大に合わせ、より強固で実効性の高い内部統制体制の構築に努めてまいります。
⑤ 優秀な人材の確保と育成
当社グループは、新卒、中途両面から積極的な採用活動を行い人材を確保しており、事業成長を牽引しております。今後も持続的な成長を実現するためには、優秀な人材を確保・育成し人的資本を拡充させ続けることが重要であると考えており、当社グループでは「人的資本マネジメント方針」を策定しております。同方針では、当社の経営戦略を実行し、中期経営計画を達成すること、ひいてはパーパスを体現する上で必要となる「6つの重要指標」を特定しており、それぞれ目標を定め、各種施策に取り込んでおります。また、リスク管理体制の一環として、リスク管理委員会の配下に人事労務に関するワーキンググループを設置し、人材の育成や労務に関するリスクの把握、対応方針の策定、進捗状況のモニタリング等を行っております。引き続き、同方針に従い、積極的な採用活動と当社グループの経験とノウハウに基づく多様かつ有益な研修の実施や各種人事施策を展開することで、継続的に人材の確保・育成に取り組んでまいります。
(その他の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)
① 継続的な事業の創出
インターネット関連事業は、サービス等の新陳代謝が激しく、一般的にプロダクトライフサイクルが短い傾向にあります。こうした環境の中で継続的な成長を実現するためには、既存事業の成長を図るだけではなく、様々な新規事業の開発が重要であると考えております。
当社グループは、就職系プロダクト「キャリアパーク!」で構築したビジネスモデルを水平展開及び垂直展開させることで、事業を拡大してまいりました。今後も中長期の競争力確保に繋がる事業開発のノウハウの蓄積を積極的に行い、継続的に新規事業の開発に取り組むことで、将来にわたる持続的な成長につなげてまいります。
② 情報セキュリティの強化
当社グループにおいては、事業規模の拡大に伴い、保有するユーザーの個人情報や顧客情報が年々拡大しております。当該情報は当社グループの重要な経営資源の一つであり、各種営業機密を適切に保護・管理することが持続的な成長のために不可欠であると考えております。これらの情報資産を適切に管理し、セキュリティリスクを低減するため、情報セキュリティ基本方針を定め、情報セキュリティ対策への積極的な投資を行うとともに、リスク管理委員会の配下に情報セキュリティに関するワーキンググループを設置し、定期的なリスク評価と対策の見直しを実施し、情報セキュリティ体制の適正化を図っております。引き続き、事業・組織規模の拡大、社会的・技術的な動向に合わせ、適切にセキュリティ管理体制を強化し続けてまいります。
③ 技術革新や事業環境の変化への対応
近年の生成AIの急速な発展に伴い、社会全体で劇的な技術革新が進行しており、事業環境はめまぐるしく変化しております。その潮流にプロダクト開発はもとより、管理部門などを含め組織全体で迅速かつ適切に対応していくことが、持続的な成長と競争力維持のために不可欠だと捉えています。
このような認識のもと、当社グループでは、常に最新の技術動向や社会の変化を幅広く把握できる体制を構築し、事業部においては各プロダクトの利用価値を継続的に高めるための技術革新を推進してまいります。例えば、エネルギー領域においては、市場環境の変化に応じて、電力・ガス事業者による新規顧客獲得ニーズや成約単価が変動する状況に迅速に対応し、マーケティング投資の最適化やストック型契約の積み上げなど、柔軟な事業運営を行っております。
さらに、管理部門においても生成AIなどの最新技術の活用を積極的に検討・導入し、専門性の高い分野においても積極的に業務効率化や高度化を図ってまいります。
人の生活にとってなくてはならない就職やエネルギーといった領域において、多くのユーザーとアクセスログを有する当社グループにとって、これらのデータを活用した技術革新を継続するとともに、組織能力の向上と業務効率化を図る改革や透明性の高い強固な管理体制の構築を行っていくことが事業成長の重要な推進力となると考えております。
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