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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社グループは、経営理念として、「世のため 人のため 地球のため 社員のため 持続可能な社会を創造します」を掲げ、地球環境の視点から真に必要なものをお客様の企業価値向上に役立つ製品、サービスとして創り出し、子供たちが安心して暮らすことのできる持続可能な社会の実現を目指しております。持続的に調達可能な資源の産出とその循環を長期的な成長戦略として、持続的に調達可能な木質資源(木質系廃材等)を再資源化した木質リサイクルチップを紙やパルプ原料、ボード等の建材原料、及び木質バイオマス発電等への石油代替燃料として供給しております。さらには建設現場から生じる木質系以外の建設副産物の再資源化、並びに物流機器の製造・販売及び修理、中古物流機器の買取販売といった環境ソリューションへの取組みにより、カーボンニュートラルの実現に貢献するとともに社会全体のSDGs達成へ寄与してまいります。

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、経営指標として、事業規模拡大と収益性の向上に寄与することから、売上高、経常利益に加え、事業の収益力を示す売上高経常利益率を重要な指標として位置付けております。

(3) 経営環境

 我が国の経済は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う落ち込みから脱しつつあるものの、地政学リスクや為替変動等によって、エネルギー資源や原材料の価格に与える影響に注視が必要な状況であり、依然として不透明な状況となっております。一方で、法規制を背景にした適正な廃棄物処理やリサイクル資源の需要増、より高度な廃棄物処理と再資源化技術の要求、脱炭素化社会へのシフト(温室効果ガス排出規制、再生可能エネルギーの創出等)、少子高齢化及び社会資本の老朽化、国際的な輸出入規制等から、当社事業への社会的な必要性はますます高まっております。

 さらに、2015年に国連総会において持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)が採択されたことにより、当社事業とSDGsとの関係性は直結する経営環境となってきております。

 当社グループは、再資源化に関わる事業を先駆的に手懸け、潮流を的確に捉えた企業成長を図っており、資源循環・再生可能エネルギー分野に取組む機会が今後も増加していくと考えております。

(国内住宅・建設市場)

 当社グループの事業と関連性が高い国内住宅・建設市場は、資材価格高騰の影響等により着工件数に伸び悩みが見られますが、首都圏を中心とした再開発等の民間設備投資、防災・減災、国土強靭化を背景にしたインフラ整備等の公共投資は堅調に進んでおります。2008年に人口のピークを迎え、人口減少が進行しており、人口減少社会において、利便性を確保された都市生活を維持させるため、都市機能の集約化が進行しております。一方で、使われない都市空間における社会資本の老朽化に対する更新や撤去等課題を有しております。

 バイオマテリアル事業及び資源循環事業の主な再資源化の対象物は戸建住宅等の解体材・新築に伴う外壁材、内装材等の各種副産物であり、既設住宅の解体戸数、新設住宅の着工数が影響を及ぼします。新設住宅の着工戸数は2009年以降、リーマン・ショックの影響による落ち込みから回復しましたが、近年においては減少傾向にあり、今後も人口減少に伴い緩やかに減少する予測がなされております。

一方で、少子高齢化により人口が減り始め、使われなくなった家屋(空き家)が社会問題化しております。2015年には「空き家等対策の推進に関する特別措置法」が施行され、所有者に対して解体の勧告及び補助、行政代執行等の各自治体政策が進んでおります。したがって、木質系廃棄物の排出量については今後も微増若しくは横這いと予測しております。

(木質リサイクルチップ・再資源化市場)

 当社グループの事業と関連性が高い製紙業界・ボード等の建材業界に対して、当社グループは木質系廃材を原料に製造した木質リサイクルチップを製紙原料・ボード等の建材原料用として販売しております。

 製紙業界においては、人口減少、インターネットや電子書籍の普及等デジタル化の影響で紙の需要は減少傾向にあります。一方で通信販売等の定着とともに段ボール等の梱包資材の需要は高まっております。木質リサイクルチップは製紙用だけでなく段ボールやクラフト紙等の板紙用等多岐に利用されていることから、再資源化の市場は現状のまま推移していく見込みです。建材業界は新設住宅の着工戸数と連動して減少傾向にあり、今後も人口減少に伴い緩やかに減少する予測がなされておりますが、木質リサイクルチップはハードボード等の木質内装材利用だけでなく、パーティクルボード等の家具・木工類全般等多岐に利用されていることから、再資源化の市場は現状のまま推移していく見込みです。

(木質リサイクルチップ・燃料利用市場)

 大量生産・大量消費型の経済活動は、大量の廃棄物社会を形成する側面を有していることから、資源の循環利用の促進は、今や世界的な課題となっております。他方、経済成長を支えるエネルギー・資源の確保から、化石燃料の大量消費に伴った温室効果ガス排出による地球温暖化問題、天然資源の枯渇や、廃棄物の不法投棄事件が深刻な社会問題となっております。

 日本のエネルギー政策として、2018年に第5次エネルギー基本計画が閣議決定され、2030年までに温室効果ガス26%削減、2050年までに温室効果ガス80%削減、新たに政府の2030年の二酸化炭素削減目標を2013年度比46%減とする新目標等、国内の再生可能エネルギー転換、脱炭素化社会の推進の強化がなされております。

 当社が扱う木質系廃材由来の木質リサイクルチップは、植林により持続的に調達可能な資源であり、また燃料利用等で大気中に二酸化炭素として放出されても、森林の成長過程(光合成)で再度吸収されるカーボンニュートラルが可能な資源「木質バイオマス」と社会認識されており、それを用いた製造業でのボイラー燃料利用、木質バイオマス発電での環境需要が確立されております。木質バイオマス発電は、天候に左右されることなく発電が可能なことから、安定した発電事業として期待され、燃料利用市場は増加していくものと見込んでおります。

 さらに、輸入された発電用バイオマス燃料については、国内起源のものに比べ輸送距離が圧倒的に長く、その過程における二酸化炭素排出量が大きいため、環境への貢献度に疑念があるとの意見、原油高や円安等による輸入単価の上昇等から、当社が扱う国産の燃料資源(木質リサイクルチップ)への需要は高まっております。

 また、当社が製造する国内廃棄物由来の木質リサイクルチップを環境負荷の少ないグリーン電力(※1)の資源として利用する、当社参画の木質バイオマス発電プロジェクトは社会的な価値が期待されております。

(※1)グリーン電力:

太陽光、風力、バイオマス、水力、地熱等、自然を利用した再生可能エネルギーで作った電気のことを指します。再生可能エネルギーは、資源が枯渇せず、比較的短い期間に再生が可能で繰り返し使えるエネルギーと定義されております。また、発電時や熱利用時に地球温暖化の原因となる二酸化炭素や、地球に悪影響を与える有害ガスをほとんど排出せず、環境に与える負荷が小さいといった特性(環境価値)を有しております。

(4) 中長期的なグループの経営戦略及び優先的に対処すべき課題

① 経営戦略

 当社グループでは、経営方針、経営環境を踏まえ、持続的に調達可能な資源の産出とその循環を長期的な成長戦略として、持続可能な社会の実現を目指していきます。持続的に調達可能な木質資源(木質系廃材等) の調達、分別、再資源化、供給の一貫したシステムの拡充とその付加価値化(木質バイオマス発電による再生可能エネルギー普及等)を重要な経営戦略「植林からエネルギー」と位置付けており、本業を通して世界的な資源循環、エネルギー脱炭素化に貢献して、SDGsの実現に寄与していきます。

 木質資源(木質系廃材等)の再資源化拡大としては、「バイオマテリアル事業」「資源循環事業」の都市部及びその近郊において、各事業・拠点の連携性や他社参入の防止の観点から、人口が多い商圈を包括していく拠点の展開を方針としております。新設対応だけに限定せず、M&A等も活用していく方針であります。現状では、本社のある名古屋市近郊を中心とした東海地区での展開を継続するとともに、東海地区での既存大手取引先の拠点が多く、その受注が見込める東京近郊を中心とした関東地区への拠点展開を計画しております。将来的には、東日本(関東圏)及び中日本(中部圏)だけでなく、西日本(関西圏)等と全国展開を推進させていきます。また、拠点の事業多角化の一環として、既設の「バイオマテリアル事業」の工場の近郊もしくは併設して「資源循環事業」の建設副産物の再資源化拠点の展開を計画しております。

 事業拡大に伴って各拠点で製造される木質リサイクルチップ、再資源化物の販売先確保によって、木質リサイクルチップ(製紙原料•木質ボード等の建材原料)の利用先拡大を目指します。また、川崎バイオマス発電株式会社への出資、CEPO半田バイオマス発電株式会社への出資等を行ってきましたが、今後も再生可能エネルギー普及のため、木質バイオマス発電事業の創出を目指してまいります。長期的な需要が見込める木質バイオマス発電事業を創出することによって、新たな供給先が確保され、安定的な販売利益を創出することができます。それが当社の拠点拡大に繫がり、木質資源の調達並びに木質リサイクルチップの輸送等における環境負荷やコストの削減にも繫がります。

 さらに、将来的な自社での発電事業、木質資源の付加価値化(改質利用等)、廃棄物系以外の木質資源の調達(未利用間伐材等)、その他バイオマスの分野(海洋バイオマス等)や食糧安全保障への寄与を目的とした食糧事業にも積極的な研究開発・事業開発を行います。


② コンプライアンス体制の充実

環境関連事業である廃棄物処理業を営む当社グループは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」をはじめとした環境関連法規制の遵守を経営上、最も重要な課題と位置付け、法令遵守に対する一層の意識の向上と体制強化を図るため、社内教育や継続的な施策を図り、社会的な信頼をより得る努力を行ってまいります。これに加え、事業の過程で顧客等の個人情報や他社等の機密情報、また当社自身の機密情報を取り扱っております。重要情報の漏洩を防止するための情報セキュリティの強化にも取組んでまいります。

③ コーポレート・ガバナンス体制の向上

持続的な成長及び中長期的な企業価値向上を目指すために、コーポレート・ガバナンス体制の構築を重視しております。法令遵守と経営の透明性を確保するため、社外取締役の選任、社外監査役の選任、監査役会の設置、任意の指名報酬委員会の設置、代表取締役社長が委員長を務め、子会社の主管部門も含むリスク管理担当者で構成されるコンプライアンス委員会の設置と継続的な改善、内部監査による定期的なモニタリングを実施して、経営と執行に対する実効性の高い監督機能を確立し、様々なステークホルダーの信頼に応えることができる体制の向上を継続して取組んでいきます。

④ 人材の確保と育成

 今後の事業展開に合わせ、優秀な人材の確保、育成が重要な経営課題であると認識しております。特に、積極的な拠点展開とリサイクル資源の調達のため、工場監督者、営業人員の充実が必要であると認識しております。

 これらの課題に対応するため、人材多様性の確保及び研修制度の拡充等の人材育成、また、従業員一人ひとりが創造力をもって「高い安全性、高い生産性、高度な環境技術」を追求できる社内環境整備(安全衛生推進体制、従業員の健康確保、技能取得)を推進してまいります。

 新型コロナウイルス感染症拡大を契機とした働き方の変化をチャンスと捉え、eラーニングシステムの充実による業務の質の改善、技術要員の増員を図り、将来的にはAI・設備導入等による省人化・無人自動化を推進することで、さらなる生産性の向上を図ってまいります。

⑤ SDGsの取組み強化

 当社グループの事業は、持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)における廃棄物の適正処理及び再資源化の推進、エネルギー問題及び気候変動等の解決に対するソリューションとなるものであり、当社グループは各事業展開を通じて、国際社会の目標達成に貢献できるものと考えております。今般、こうした取組をさらに推進していくため、SDGs推進体制の設置、木質バイオマス発電事業の推進による脱炭素社会の実現、資源循環を目的とした拠点の拡大による高度循環型社会の実現、自治体との災害廃棄物対応の強化等、あらゆるステークホルダーとのバランスの取れた関係を一層深化させ、企業価値を高めていくことを目指してまいります。

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