フジクラ
【東証プライム:5803】「非鉄金属」
へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、グループ経営理念である「ミッション・ビジョン・基本的価値」を指針とし、“つなぐ”テクノロジーを通じて「顧客価値創造型」事業へ積極的に展開し、収益性重視のスピード感ある積極経営で豊かな社会づくりに貢献してまいります。
(2) 経営環境
2025年度の当社グループを取り巻く環境は、米国のトランプ政権が打ち出した世界各国・地域に対する相互関税をめぐる動きにより、景気後退懸念や為替変動リスク等、先行きの不確実性が高まっております。
このような中、当社グループでは、外部環境の変化に迅速かつ柔軟に対応するべくサプライチェーンの見直しを図るとともに、生産性向上等のコスト競争力の強化に努めてまいります。
情報通信事業部門では、2023年度後半からの生成AIの普及・拡大を背景としたデータセンタの投資が、2025年度も加速すると見込まれます。また、データトラフィックの増加に加え、英国での補助金政策等により、欧米通信事業者の設備投資が回復傾向にあり、当社の光ファイバケーブルの需要が増加すると期待されます。また中東・アジア等の新規市場における顧客開拓も進捗する等、データセンタ市場及び通信インフラ市場での需要増加を見据えて、生産体制の整備や拡販活動を推進してまいります。
エレクトロニクス事業部門では、FPC(フレキシブルプリント配線板)やコネクタが多く使用されている主要顧客のスマートフォンの需要は堅調に推移すると見られます。しかし、主要顧客向けの製品におけるサプライチェーン上でのリスクの顕在化や、産業機械市場の回復の遅れ等には注視が必要です。
自動車事業部門では、自動車の世界生産台数が2024年度比で増加することが見込まれているものの、米国政府による自動車への追加関税の発動の影響や、EV市場の成長鈍化には注視が必要です。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
・2025年中期経営計画
当社は、当社グループの持続的な成長を図り、更なる企業価値の向上を実現するために、25中期を策定し、2023年5月に公表いたしました。
25中期では、当社が培ってきた“つなぐ”テクノロジーを軸に、基盤技術やコア技術を存分に活かせる「情
報インフラ」「情報ストレージ」「情報端末」の3つを核心的事業領域として位置づけ、経営資源を集中的に投
入し、高収益な企業グループを目指すことを基本戦略といたしました。
また、SDGs(持続可能な開発目標)に示された社会課題の一つである「カーボンニュートラルの実現」は、当社グループの新たなビジネス創出の好機であると捉え、2025年度より先も見据え、核融合発電への利用が見込まれている高温超電導線材を始め、ファイバレーザ、EV(電気自動車)の3つの分野を「Beyond2025」として、当社の技術力を活かし技術開発・製品開発を進めております。
25中期の定量目標としては、最終年度(2025年度)の売上高8,250億円、営業利益850億円、営業利益率
10.3%、ROE(株主資本利益率)16.5%、ROIC(投下資本利益率)12.8%、自己資本比率51.7% を設定いたしました。
・2025年度経営方針
当期は売上高9,794億円、営業利益1,355億円となり、25中期の定量目標を1年前倒しで概ね達成することができました。2025年度につきましては、25中期における事業の方向性を基本としつつ、新たな中期経営計画の開始となる次年度以降において更なる飛躍を期すための成長投資等の施策を実行してまいります。
①資本政策
2024年度の業績は急峻に拡大し、2025年度も外部環境の変化には注視が必要なものの、引き続き堅調な事業環境が期待され、総じてキャッシュ・フローの創出力が向上しております。その結果、3か年累計の営業キャッシュ・フローは、25中期を超過する見込みとなることから、超過したキャッシュの使途について検討した結果、成長投資と株主還元に充当することといたしました。株主還元につきましては、2026年3月期の連結配当性向を40%といたします。
②事業上の重点課題
1.インフラ向けビジネスの拡大
光ファイバケーブルのビジネス基盤の強化と市場拡大に取り組んでまいります。
国内では、通信インフラ市場における新たな市場の創出を目指し、光ファイバケーブルの施工効率向上のための空気圧送工法に対応した光ファイバケーブル(AB-WTC™)の普及促進に注力します。
海外では、欧州通信事業者向けの需要回復や、中東・アフリカ地域の通信事業者向けビジネスの拡大を見据えて当社の戦略商品である「Spider Web Ribbon®/Wrapping Tube Cable®」(以下、「SWR®/WTC®」という。)の供給体制を強化します。具体的には、欧州・中東・アフリカ地域の顧客に対して、迅速な光ファイバケーブルの供給を可能とすべく当社の自動車事業部門のモロッコ拠点にWTC®の生産ラインを構築します。さらに、東南アジアや南米等、次期有望市場における事業展開を視野に入れた取り組みも積極的に進める等により、中長期的にはWTC®の海外生産比率を5割超まで引き上げ、グローバル生産体制の構築を図ります。
さらに、生産能力の増強と生産性向上のための新たな光ファイバやSWR®工場の建設の検討を開始するとともに、光ファイバの革新的製造技術の開発を推進いたします。
2.データセンタ向けビジネスの拡大
米国のハイパースケールデータセンタ向けビジネスでの更なるシェア拡大を目指し、次世代小型多心コネクタの生産能力を拡大するとともに、省スペース化及び施工時間の短縮に貢献する製品の開発を進めてまいります。
米国以外の地域においてもデータセンタ需要の拡大が見込まれることから、日本や欧州、東南アジア等での需要獲得に向け、ソリューション提案力の強化や販売チャネルの構築に注力してまいります。
また、データセンタ向けの旺盛な需要にこたえるため、ハードディスクドライブ用アクチュエータの増産投資
を実行いたします。
3.Beyond2025
a.超電導
核融合発電のR&D案件の取り込みによる売上拡大を目指します。また、増産投資に加えて、コストダウンの施策を進め、超電導線材のサプライチェーンの構築を推進いたします。
b.ファイバレーザ
半導体の高集積化を実現する半導体加工市場の開拓に注力いたします。また、核融合を始めレーザーの幅広い運用を研究している株式会社EX-Fusionとの協業によるCFRP切断ビジネスの確立を目指すとともに、レーザー核融合ビジネスの展開に注力してまいります。
c.EV(電気自動車)
EV普及の課題の一つとなっている急速充電向け事業として、2025年度中のCHAdeMO規格の適合を目指し、細径・軽量かつ超急速充電を実現する急速充電コネクタ付き液冷ケーブルの開発を推進します。
- 検索
- 業種別業績ランキング