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【東証グロース:304A】「情報・通信業」
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企業概要
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅することを保証するものではありません。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努めてまいります。
当社は、後記「第4 提出会社の状況 4 コーポレートガバナンスの状況等 (1) コーポレートガバナンスの概要」に記載の通り、「内部統制システムの構築に関する基本方針」及び「リスク管理規程」において、当社の事業活動において想定される各種のリスクの管理について定めております。同規程に基づき、代表取締役社長を委員長、常務取締役を副委員長とするコンプライアンス・リスク管理委員会を設置し、会社の業務遂行に関わる様々なリスクについて年度ごとに見直しを行い、各組織に適切に対応させることにより、全社的なリスク管理を実施しております。
1. 事業に関するリスク
(1) 経済動向及び市場環境に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社のビジネスは、企業を主要顧客としております。これまで、顧客企業のIT投資意欲の上昇を背景として、事業を拡大してまいりました。また、月額費(使用許諾費、運用保守費、サービス利用料等)を顧客から受領することで経営の安定化を目指してまいりました。しかし、今後国内外の経済情勢や景気動向等の理由により、顧客企業のIT投資意欲が減退するような場合には、新規顧客の開拓の低迷や既存顧客からの受注の減少等から、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
[リスクへの対応策]
マクロ経済環境の悪化がIT投資意欲に与える影響は顧客企業の属する業界により異なると考えられるため、当社の重点領域である旅行・観光業界における顧客基盤の多様化(旅行会社に加え、鉄道事業者や旅行業への新規参入事業者への拡販など)、旅行・観光業界以外の事業領域における卸売業、製造業などに対する拡販により、マクロ経済環境が悪化する際の影響を緩和するよう努めております。
(2) 自社開発プロダクトの展開に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:短~中期、影響度:中)
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社は現在までの事業活動を通して培ったノウハウを活かし、自社開発したSaaSプロダクト「webコネクト」を始め、顧客のデジタルトランスフォーメーションへ(DX)の取り組みを支援するべく、プロダクトの積極展開を推進していく予定です。プロダクトの展開にあたっては慎重な検討を重ねたうえで取り組んでまいりますが、事業を取り巻く環境の変化等により、当初の計画通りの成果が得られない場合、売上数値の下振れ、ソフトウェア資産の減損等を通じ、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
[リスクへの対応策]
当社規程上、新規プロダクトに対する投資を行うに先立ち、経営会議にて議論を行うこととしており、新規プロダクトに対してリスク・リターンの観点から不適切な投資が行われることのないよう、コントロールを行うこととしております。またソフトウェアの開発費をソフトウェア資産に計上する場合には、資産計上開始に先立ち取締役会で決議することが求められており、開発の内容が取締役会で精査されることとなります。資産計上されるソフトウェアにつきましては、定期的に減損判定を行い適切に処理することとしております。新規プロダクトの進捗については、月次で予実比較を行うことで、予算・事業計画上の想定と事業展開の状況に乖離がないか、検証することとしております。
(3) 大口顧客依存に関わるリスク(顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:短~中期、影響度:中)
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社の2025年2月期の売上高に占める大口顧客の割合は、上位3社で41.8%となっております(クラブツーリズム株式会社 20.4%、株式会社JTB 11.4%、株式会社日本旅行 10.0%)。主要3社に対する売上シェアは前述のとおりでありますが、これらの企業とは、良好な人的ネットワークが形成できており、品質・コスト・納期等に対する顧客満足度の向上を通して信頼関係の維持に努めると共に、SaaSプロダクトの拡充を進めることにより顧客基盤の拡大に努める方針であります。しかし、これらの大口顧客からの受注が同じ時期に集中した場合は、十分な技術力及び技術者数が確保できない場合が考えられます。当社は採用活動及び社内での研修体制の充実等により人材の育成に努めておりますが、当社の想定以上の開発ボリュームが発生した場合、または大口顧客の事業方針及びソフトウェア開発投資計画の変更など、何らかの理由により、大口顧客との取引が終了又は大幅に縮小する場合、サービスの円滑な提供及び積極的な受注活動が阻害され、又は売上の減少により、当社の経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
[リスクへの対応策]
大口顧客からの受注が集中する場合に備えて、外部パートナー企業と有効に協業できる体制を構築しております。パートナー企業と一体的に開発を行うべく、プロジェクト管理人材の採用強化を行い、またプロジェクト管理ノウハウの社内での蓄積、プロジェクト管理手法の継続的改善を行っております。また大口顧客とは定期的な打ち合わせの設定や顧客側のキーマンとのリレーションシップの構築・維持、コンスタントな提案等を通じ、取引の維持に努めております。
(4) 検索技術基盤「Spook」を用いた個別開発に関するリスク(顕在化の可能性:小、顕在化する可能性のある時期:中期、影響度:中)
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社が属するソフトウェア開発市場における価格競争は、競合企業の新規参入等により今後激しくなる可能性があります。長年にわたって培ってきた技術力、ノウハウ、顧客の業界の業務知識、コンサルティング力を活かしたシステムの提供を継続することで競合との差別化を図ってきましたが、低価格競争が進展し、競合他社との差別化が有効に図れず、当社が提供するサービスの売上高が想定どおりに増加しない、または利益水準が悪化する場合等には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
[リスクへの対応策]
当社の重点領域である旅行・観光業界に対しては検索のみならず、外部接続ゲートウェイ、素材登録(造成)、予約・販売管理、電子クーポン発行等の機能群も併せて提供できるwebコネクトに移行を促すことで競合との更なる差別化を図っております。MRO(Maintenance Repair and Operations、間接材)商社 、製造を始めとする他の業界に対しては、検索速度の更なる改善、バッチ処理時間短縮、キーワード検索の高速化等、検索機能の強化を図ることで競合との差別化に努めております。
(注)「Spook」に係る特許「情報検索システム」(特許第4707476号)の存続期間満了日は2025年6月20日となっておりますが、特許権の消滅により事業に影響が出るリスクはないものと考えております。現状でも他社が当該特許の実施を回避して、類似の機能・サービスを開発することは可能ですが、当社の事業においては経験に基づいた業界理解と技術力が他社による参入の障壁となっていると考えております。
(5) 旅行業界における競争環境の変化に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:長期、影響度:中)
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社が提供するプロダクトやサービスは、特定の顧客に対する販売に依存しており、特に旅行業界へのサービスの提供が2025年2月期の全売上高に占める売上割合が77%(注)となっております。この分野においては競合企業が多数存在しており、また、成長市場であること及び参入障壁が必ずしも高いとは言えないことから、海外のOTA(Online Travel Agent)が参入しシェアが上昇しております。
当社では、引き続き顧客のニーズを汲んだプロダクト・サービスの提供、および顧客ベースの多様化を進める方針でありますが、競合である海外のOTAの営業方針、価格設定および提供される製品・サービス等は、当社の顧客の売上・利益に影響を与える可能性があり、これらの競合企業に対して効果的な差別化を行うことができず、顧客が想定している事業展開が図れない場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(注)専業旅行会社以外の会社が手掛ける、旅行に関わる事業に対するサービス提供を含みます。
[リスクへの対応策]
旅行会社は当社の重要顧客であり続けるものと想定しております。旅行会社各社は旅行者に提供する情報の多様さや特色のある旅行素材の提供等により差別化を図ろうとしており、当社も各社をシステム面において支援していく方針です。同時に、webコネクトの顧客ベースを鉄道会社や非旅行会社にも拡大しており、継続的に顧客ベースを広げていくことを通じ、旅行業界における競争環境の変化に伴う影響を緩和するべく努めております。
(6) 売上計上の期ずれに関するリスク(顕在化の可能性:大、顕在化する可能性のある時期:短~中期、影響度:小)
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
主に当社が展開している検索技術基盤「Spook」を用いた開発やwebコネクトの初期開発においては、取引先の事情による開発時期の変動や、受注後の仕様変更等により納入時期が変更となり、売上及び利益の計上について翌四半期あるいは翌会計年度への期ずれが発生する場合があります。期ずれの金額の大きさによっては、各四半期あるいは会計年度における当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
[リスクへの対応策]
受注時期の変動につきましては、顧客側の要因によるものが殆どであるため解消することはできませんが、案件の状況を当社の基幹システムに適時に反映させることで、必要に応じて予算修正を迅速に行いうる体制を構築しております。
(7) 技術革新に関するリスク(顕在化の可能性:小、顕在化する可能性のある時期:中~長期、影響度:中)
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社が事業展開しているソフトウェア開発市場では、技術革新や顧客ニーズの変化のスピードが非常に早く、ソフトウェア開発事業の運営者はその変化に柔軟に対応する必要があります。当社においても、最新の技術動向や環境変化を常に把握できる体制を構築するだけでなく、優秀な人材の確保及び教育等により技術革新や顧客ニーズの変化に迅速に対応できるよう努めております。しかしながら、当社が技術革新や顧客ニーズの変化に適時に対応できない場合、または、変化への対応のためにシステム投資や人件費等多くの費用を要する場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
[リスクへの対応策]
当社技術部門において、技術動向の把握を日常的に進めており、新規技術の検証、社員の資格取得の奨励、社外イベントへの協賛および参加の奨励、当社主催の技術イベントの開催、ブログによる情報の発信などを行っております。また、教育・研修を通じ技術の習得・拡充を行い、新技術へ対応をしております。
(8) 大規模災害・サイバー攻撃等による通信障害のリスク(顕在化の可能性:小、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社は、社内のコンピュータシステムに関して、主にクラウドサービスの利用による災害対策を講じておりますが、地震や火災などの災害、コンピュータ・ウィルスを含むサイバー攻撃、電力供給の停止、通信障害、通信事業者に起因するサービスの中断や停止など、現段階では予測不可能な事由によりシステムトラブルが生じた場合、当社の事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。
[リスクへの対応策]
事業継続に影響のある主要サーバーやソフトウェア資産のバックアップ体制を確立しており、拠点に依存せずに事業を継続できるよう備えております。またセキュリティ対策を目的としたソフトウェア及びハードウェアの導入を行っております。
(9) 品質が顧客の期待を下回るリスク(顕在化の可能性:小、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
ソフトウェアによるシステム開発においては、開発規模の大型化、顧客の要求の高度化等により、開発の難易度がますます高くなっております。当社はプロジェクト開発に関するリスク管理を目的として、商談発生時からプロジェクト管理者を配置し、品質・進行管理をしております。併せて、原則として顧客との契約に損害賠償の上限額を盛り込んでいます。しかしながら、顧客の要求するシステムに係る開発は、社会的にも重要性が高く、納期厳守と高い品質の確保が要求されるため、これらのシステム開発における品質や納期遅延の問題は、顧客の信頼を失うと共に相当規模の赤字を計上するだけでなく、顧客との間でトラブル・クレームとなり訴訟や商流の損失・風評被害につながる可能性があり、当社の経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
[リスクへの対応策]
開発に際しては、営業・技術担当者が顧客と密接なコミュニケーションを取りつつ行います。プロジェクトの進捗状況や品質を管理するためのツールを導入し、定期的なレビューや進捗報告を通じて、問題点を早期に検出し、適切な対処を行う体制を構築しております。またパートナー企業への外注も発生する大型の案件についてはプロジェクトマネジメント担当を任命することで顧客及びパートナー企業間のコミュニケーションの円滑化を図っております。開発には成熟した技術やフレームワークを使用し、開発したソフトウェアのテスト手法も標準化することで品質にかかるリスクの低減に努めております。中期的にはパートナー企業への依存度を減らすことで、開発するシステムの品質にかかるリスクを削減する方針です。
(10) 外注先への業務委託に係るリスク(顕在化の可能性:小、顕在化する可能性のある時期:短期、影響度:小)
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社は必要に応じて、システムの設計・構築、保守・運用等について外部パートナー企業に外注を行っております。現状では、有力な協力会社と長期的かつ安定的な取引関係を保っておりますが、外部パートナー企業において技術力及び技術者数が確保できない場合、外注コストが高騰した場合及び品質や納期遅延の問題が発生した場合には、サービスの円滑な提供及び積極的な受注活動が阻害され、当社の財務状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
[リスクへの対応策]
主要なパートナー企業とは定期的にコミュニケーションを取ることで、パートナー企業への外注が必要となる場合には技術者を十分に確保できるよう努めております。また品質や納期遅延の問題を回避するべく、大型案件についてはプロジェクトマネジメント担当がパートナー企業と開発にあたり密にコミュニケーションを取ることとしています。中期的には当社の技術社員数を増やすことで、パートナー企業への依存度を減らす方針としております。
(11) 知的財産権に関するリスク(顕在化の可能性:小、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社はこれまで、第三者の知的財産権を侵害したとして損害賠償や使用差し止めの請求を受けたことはなく、知的財産権の侵害を行っていないものと認識しております。当社は、第三者の特許権その他の知的財産権を侵害しないよう細心の注意を払っておりますが、万が一、第三者の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償の負担が生じる可能性があります。当社が属するソフトウェア開発市場において知的財産権の状況を完全に把握することは困難であり、当社の事業に関連する知的財産権について第三者の特許取得が認められた場合、あるいは将来特許取得が認められた場合、当社の事業遂行の必要上これらの特許権者に対してライセンス料を負担する等の対応を余儀無くされる可能性があります。このような損害賠償又はライセンス料の多額の負担が生じた場合、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、オープンソースのモジュール等を利用することにより自社開発資産の開示が必要となる可能性があり、当社の事業展開、ひいては当社の経営成績に影響が生じる可能性があります。
[リスクへの対応策]
オープンソースソフトウェアについて、主要なオープンソースソフトウェアライセンスの概要及び利用にあたって注意するべき事項について、専門家による社員向けの研修を実施しております。また当社が利用する外部ソフトウェアについては利用にあたりルールを設け、ライセンスを確認したうえで一覧として管理し、権利の侵害が発生しないように努めております。
2. 会社組織に関するリスク
(1) 人材確保に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社事業の継続、拡大、及び付加価値向上において、一定水準以上のスキルを有する優秀な技術者の確保は不可欠であります。当社では、新卒・中途採用を問わず計画的かつ継続的に人材の採用と育成を行い技術者の要員確保及び技術レベルの向上に努めております。しかし、こうした技術者の獲得競争は年々厳しさを増し、収益の要となるスキルを有する技術者の育成にも時間がかかるのが現状であります。こうした中で、景気変動をはじめ諸般の事情により採用人員が計画数を大きく下回った場合及びプロジェクトを支える技術の要となる従業員が離職した場合には、ソフトウェア開発力の低下を招き、当社の経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
[リスクへの対応策]
技術者の採用につきまして、当社は従前より新卒社員の採用を継続的かつ積極的に実施しており、社員による大学のイベントへの参加やインターンの受入れ、ブログによる情報発信等、優秀な学生の確保に向け全社一丸となって取り組むことで、技術者の確保に努めております。またプログラミングイベントの開催や書籍の執筆、当社で働くことの魅力を発信するブログ等、社員の創意を活かした活動を通じて専門性の高いエンジニアの中途採用に努めております。更に、即戦力人員の確保を行うため、退職社員へのアプローチなどのアルムナイ採用や、採用後のミスマッチを減らすために自社の社員から知人の紹介を受けるリファラル採用の取り組みも開始しております。優秀な社員の離職を防ぐため、マイクロマネジメントを極力排除し、社員の自由度を高め、創意工夫を引き出す開発管理手法や、社員が相互に評価することを通じ、納得感のある形でパフォーマンスの高い社員に賞与を多く支給する制度を始め、働きがいのある企業風土や職場環境の整備に努めております。
(2) 代表取締役への依存にかかるリスク(顕在化の可能性:小、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社の代表取締役屋代浩子および屋代哲郎は、当社の創業者であり、経営方針・経営戦略の策定やその実行において重要な役割を果たしております。当社は、両氏に過度な依存をしない経営体制を構築すべく、幹部社員への情報共有や取締役・幹部社員への権限委譲等によって両氏への過度な依存の脱却に努めておりますが、今後何らかの理由で両氏が当社の業務を遂行することが困難になった場合には、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
[リスクへの対応策]
現状ほとんどの顧客・外注先との取引に関しての最終決裁者は代表取締役以外の取締役とする等、通常業務については大幅に権限委譲を行っております。また、代表取締役の決裁が必要とされる事項については、原則として経営会議に諮った上、代表取締役及び業務執行取締役の合議によって判断・決定することとする等、代表取締役への依存を軽減する体制としております。さらに、後継人材の育成及び強化に努めます。
(3) 個人情報を含む顧客情報の紛失や漏洩等の情報管理に関するリスク(顕在化の可能性:小、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社では業務遂行上、顧客が有する様々な秘密情報を取り扱う機会があります。当社はこれら顧客との間において守秘義務契約を締結し、秘密情報の取り扱いに際しては情報管理規程に則り厳格に運用し、当社内部からの情報漏洩を未然に防ぐ措置を講じております。また、顧客情報の紛失や漏洩等の情報管理に係るリスクを限定するために、原則として、取り扱う個人情報は当社が提供するシステムが必要とする最低限のものとしており、不正に利用されることにより財産的被害が生じる情報や要配慮個人情報などは取り扱っておりません。しかしながら、万一、当社による情報の紛失、破壊、漏洩等の発生、又は外部からの不正手段による当社が提供するシステムへの侵入等が生じた場合には、当社への損害賠償請求又は信用低下等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、システムの開発・運用保守において外部へ委託することがあり、委託先において情報の紛失、破壊、漏洩等が生じた場合には、当社への損害賠償請求又は信用低下等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
[リスクへの対応策]
当社においては、個人情報の管理に当たり、全ての役職員が個人情報保護規程を厳格に遵守し、徹底した個人情報流出の防止に取り組んでおります。当社はプライバシーマーク(JIS Q 15001)を2009年8月に取得し、以後2年ごとに登録を更新しております。また、個人情報を含めた様々な情報保護の仕組みを社内に構築するため、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム「Information Security Management System」)に関する国際規格「ISO/IEC27001:2013」の認証を取得しており、当該リスクが顕在化する可能性を最小限に抑えるよう努めております。具体的な安全管理措置として、管理体制の構築・社内規程の整備・管理台帳の作成などの組織的措置、守秘義務契約の締結・入社時と年1回以上の定期的な講習・運用状況のチェックなどの人的措置、フロアの入退室管理・災害による棄損を防ぐ対策・移送や保管時の施錠などの物理的措置、認証や権限管理のアクセス管理・不正ソフトウェアやウィルスへの対策・データや通信の暗号化・システムの監視などの技術的措置を実施しております。また、委託先については当社と同等の管理水準があることを確かめたうえで選定し、定期的な監督を行っております。
(4) 小規模組織であることに関するリスク(顕在化の可能性:小、顕在化する可能性のある時期:中~長期、影響度:中)
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社の人員は、2025年2月28日時点において131名にとどまっており、小規模な組織であると認識しております。現状はこれに応じた内部管理体制となっておりますが、今後の成長に伴う事業規模の拡大によっては、内部管理体制とのアンバランスが生じ、適切な業務運営が困難となり当社の事業運営及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
[リスクへの対応策]
企業価値の持続的内増大を図るにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であるとの認識のもと、内部統制の整備・構築により業務プロセスの見直しを推進するとともに、業務の定型化などの業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、更に健全な倫理観に基づく法令遵守の徹底が必要と認識しており、今後の事業規模の拡大に応じて内部管理体制の一層の充実を図っていく方針であります。
3. その他のリスク
(1) 感染症に関するリスク(顕在化の可能性:小、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を受け、当社では社員及び顧客・取引先をはじめとするステークホルダーの感染拡大防止を最優先事項とし、迅速な状況把握及びワクチンの職域接種を始めとする感染防止に向けた対応策を実施し、リモートワークへの移行等、事業継続に必要な措置を速やかに導入いたしました。COVID-19は概ね収束傾向にありますが、今後の感染再拡大や別の感染症の流行発生により、旅行需要の減少を含め、顧客の事業活動等が影響を受けた場合または当社社員や顧客・取引先に感染が拡大し、事業活動を縮小する事態が発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
[リスクへの対応策]
当社は、社員の安全確保を最優先とし、在宅勤務を可能とする社内管理体制及び業務システム運用を行っており、それにより外出の自粛が強く求められる環境下においても、従来通りの事業継続が可能な体制を構築しております。また、旅行需要の減少リスクについては、旅行・観光業界における顧客基盤の多様化によりリスク分散を図りつつ、卸売業、製造業を始めとする他の業界にも拡販を行うことで感染症拡大の事業に対する影響を緩和するよう努めております。
(2) 当社株式の流動性に関するリスク(顕在化の可能性:小、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社は、代表取締役社長である屋代浩子及び代表取締役COOである屋代哲郎が議決権の過半数を所有している会社となっており、新規上場時の公募及び売出しによって当社株式の流動性の確保に努めることとしておりますが、東京証券取引所グロース市場の定める流通株式比率が2025年2月28日時点において29.4%に留まり、また流通株式時価総額が同市場の定める上場維持基準に近接しております。何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
[リスクへの対応策]
当社代表取締役社長屋代浩子、代表取締役COO屋代哲郎を含む主要株主への一部売出しの要請を通じ、流動性の向上を図っていく方針です。
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