企業ヒット東証グロース:378A】「サービス業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 本書提出日現在における経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。また、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社グループは、屋外広告を専門に取扱う広告会社として、1991年に創業いたしました。「屋外広告のリーディングカンパニーとして世界を変えるメディアを創造する」という経営理念を、また、その実現のためのビジョンとして『未来を見据えて発想し、理想を現実にする』『常にクライアント目線に立ち"最小の予算で最大の効果を発揮する"提案をする』『変化を歓迎しよう。リスクや失敗を恐れずチャレンジし、成功への糧とする』『高い倫理観を持ち、透明な企業活動を築く』『ダイバーシティの考えに基づき、社員お互いが尊重し目標を達成する』の5つを掲げ、好立地かつ大型な広告媒体開発や、特定エリアでの同時多面展開が可能な広告面のセット商品の開発に努めることで、事業を拡大してまいりました。

(2) 経営環境及び経営戦略

 当連結会計年度における我が国の広告市場はコロナ禍からの回復基調にあり、総務省が2025年7月に発表した「サービス産業動態統計調査」によると、2024年7月から2025年5月までの広告業全体の売上高は前年比で103.8%と、前年を上回る結果となっております。また、株式会社電通の「2024年日本の広告費」によると、当社が属する屋外広告市場は2024年に2,889億円となっており、前年に続き拡大しております。ラグジュアリーブランド、飲料、コンテンツ、人材系を中心に多くの業種で屋外広告が活用され、また、インバウンド需要の高まりにともない関連業種での広告出稿が活況を呈しております。

 海外の屋外広告市場においては、QYResearchの調査によると、当社が進出を検討しているシンガポール、マレーシア、インドネシア及びタイの2024年の屋外広告市場規模は、それぞれ162百万USドル(前年比98.7%)、160百万USドル(同108.1%)、384百万USドル(同107.3%)、そして396百万USドル(同104.9%)となっております。

日本及びASEANにおいて、屋外広告の需要は今後も緩やかな拡大傾向にあると認識しており、更なる売上拡大を目指して以下の6つの戦略を推進してまいります。

① 新規媒体の開発

 当社では新設の屋外広告媒体について、基本的に短期間で投資回収が見込めるものをターゲットとしています。屋外広告の強みは、認知拡大、ブランディング及び第一想起獲得における高い広告効果にあると言われています。これらの広告効果を最大化すべく、好立地かつ大型(概ね80~100㎡以上)の広告媒体開発や、特定エリアでの同時多面展開が可能な広告面のセット商品の開発に注力しております。広告主の事業拡大・推進に貢献するべく、年間3~5媒体程度の繁華街の大型デジタル媒体開発を目標に、広告効果の高い新規媒体の開発を進めてまいります。

② 広告媒体稼働率の向上

 当社は運営する広告媒体稼働率向上のため、営業人員の増強、広告主の多様なニーズに応える放映プランの設計、各種マーケティング施策(展示会出展、ウェビナーの開催、メールマガジンの配信等)、販売難易度が高いロードサイド媒体の専門営業担当者の育成といった施策に取組んでおります。これからも媒体価値の最大化を図り、媒体稼働率の向上に努めてまいります。

③ 屋外広告周辺サービスの強化

 当社は、屋外広告用のクリエイティブ制作や“HIT-movi”(屋外広告に連動させる形でのスマホ位置情報広告配信サービス)に代表されるクロスメディアサービスといった、屋外広告周辺サービスの提供に積極的に取組んでいます。今後もクリエイティブ領域では、3Dメガネ等を使用せずに肉眼で映像が立体的に見える技術を用いた“肉眼3D”クリエイティブ制作の積極提案を行い、クロスメディア領域では、屋外広告と親和性の高い交通広告媒体の取扱い強化を行う等、屋外広告周辺サービスの充実に努めてまいります。

④ 海外展開

 当社グループは将来的な海外展開、中でもアジア諸国への展開を計画しております。日本の人口は減少傾向にあり、将来的には人口減少に比例する形で、当社の運営する国内広告媒体の価値も緩やかに減少していく可能性があるためです。当社グループが持続的な成長を実現していくためには、屋外広告媒体の開発先を日本国内に限定せず、海外の有望媒体を発掘するというアプローチが必要だと考えています。海外においては日本で培った媒体開発の実践、国内においては海外の先進事例の応用や外国企業の国内広告掲出案件獲得等、双方向のメリットを活かし事業展開していく所存です。

 なお、当社グループは過去に2度、海外での事業展開を図ったことがあります。1度目は2003年のアメリカ合衆国進出であり、ニューヨーク市でアナログ媒体開発及び運営を行いましたが、国内事業の拡大を優先し、2005年に撤退をいたしました。2度目は、ASEANでのトイレサイネージ事業への挑戦です。商業施設のトイレに広告用サイネージを展開するトイレサイネージ事業を営む会社として、2019年にHIT SINGAPORE PTE. LTD.(以下、HIT SINGAPORE)、2020年にHIT BANGKOK CO.,LTD.(以下、HIT BANGKOK)を、シンガポールとタイにそれぞれ設立いたしましたが、主に新型コロナウイルス禍による人流の停滞により事業が軌道に乗らず、2022年にトイレサイネージ事業の撤退及びHIT BANGKOKの清算、並びに、近い将来にASEANにて当社の既存事業である大型屋外広告事業へ挑戦することを前提に、ASEANを中心とした広告市場調査を行う会社へHIT SINGAPOREを転換するという判断をいたしました。事業を撤退した際にHIT SINGAPOREを清算しなかった理由は、事業撤退を決定したものの、上述のとおり長期的に当社グループを大きく飛躍させるために海外進出は不可欠であると判断していることがあります。また、将来的に海外現地で媒体獲得交渉を行うことになった場合、当社グループの規模であれば、法人を残すことで一定の信用力を有して交渉ができるというメリットが享受できる点、事業再開時の準備期間を短縮できる点や、現地人材を確保しやすくなる点等が存続判断の理由となっています。

 現在は、海外展開へ向けて、当社の代表取締役会長である松丸敦之が連結子会社であるHIT SINGAPOREの社長を兼ね、広告市場調査や現地パートナーの開拓のため、1年のうち半分以上の現地滞在をしております。松丸が屋外広告媒体設置の可能性を探るのに最も適した経験と業務知識を備えていること、及び、アジア諸国での広告関係者との太いパイプを有する人材が他にはいないことがその理由です。主に、当社グループが直近の進出を検討しているシンガポール、マレーシア、インドネシア及びタイ等、ASEAN現地の広告媒体社や広告代理店との接触、実際の進出時に備えた各国のJETRO等の社外協力者との面談、及び媒体設置場所候補の調査等を行っております。当面、松丸の現地滞在は継続いたしますが、2025年6月期より、当社のシニアマネージャーをHIT SINGAPOREの取締役として追加で選任しております。ASEAN現地に経験豊富な者を取締役として常駐させることで、HIT SINGAPOREの体制強化と事業促進を実現してまいります。また、ASEANでデジタル媒体の保有・新設を行うための媒体開発資金として、当社よりHIT SINGAPOREに対する300百万円の投融資を、2028年6月期までに行う予定です。

⑤ DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務効率化・生産性の向上

 当社では、従前よりITの導入及び運用を進めてまいりましたが、電子メールを用いた受注業務や、複数の業務システムに対する同一又は類似した情報の入力業務等、効率化の余地のある既存業務が業務フローの中に残っております。また、デジタル媒体の放映管理業務には、オペレーターのマンパワーに頼る部分を多く残しておりますが、今後デジタル媒体数を増加させていくうえで、放映管理業務の属人化排除や標準化の取組みはさらに重要になってくるものと認識しております。当社は今後なお一層、既存業務の自動化や、デジタル管理の活用等を推進することにより、社員の非生産的業務をDX化し、生産的業務時間の拡充を図ってまいります。また、DXに積極的に取り込むことにより業務効率を向上させ、事業拡大につなげていきたいと考えております。

⑥ 新規ビジネスへの取組み

 更なる企業成長のために、様々な企業との業務提携やM&Aを検討してまいります。サステナビリティへの配慮やその事業機会にも目を配り、新たな成長へ向けて新規ビジネスの開発を進めてまいります。

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 自社広告媒体の強化
a 適切な立地の選定と投資の実行

 当社グループの事業は、効果的な屋外広告サービスを広告主に提供するものであり、適切な立地の選定及び投資の実行が重要となります。引き続き、広告主の需要を満たす立地選定を進めてまいります。

b 安全性の徹底

 当社の屋外広告媒体はビルの屋上や壁面に設置されていることから、設置時やメンテナンス時等における事故が起きないよう努めております。広告主に安心して広告掲出をして頂けるよう、安全作業の徹底と社員の指導・育成を推進し、より品質の高いサービスを提供してまいります。

② 営業力の強化

 当社の広告媒体は、設置場所の性質により繁華街媒体とロードサイド媒体に大別されますが、商品力や価格競争力の維持向上に努めながら、それぞれの媒体特性に合致する広告主への効率的な営業を行い、一層の売上増加を図ってまいります。

③ 会社の基盤強化
a コンプライアンス及び内部管理体制の整備

 当社グループは、上場会社として求められるコンプライアンス、内部管理体制を整備強化しております。それと同時に、経営・営業・管理部門に相乗効果をもたらすシステムの構築に、一層注力してまいります。

b 優秀な人材の育成及び獲得

 当社グループの事業の拡大のために、優秀な人材の確保・育成が重要な課題であると認識しております。積極的な採用に加え、社員研修の充実を図り、教育の質を高めていくことで、優秀な人材の確保と育成を推進してまいります。

 なお、財務上の課題については、「3 事業等のリスク (22) 財務上のリスクについて」をご参照ください。

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標(KPI)は、自社デジタル媒体数、デジタル媒体満稿額及びデジタル媒体稼働率であります。

指標

第31期

(単体)

第32期

(単体)

第33期

(連結)

第34期

(連結)

第35期

(連結)

自社デジタル媒体数

(媒体)

4

7

7

8

10

デジタル媒体満稿額

(千円)

4,518,800

7,546,400

7,078,400

7,993,600

7,840,000

デジタル媒体稼働率

26.4%

23.8%

37.8%

39.2%

42.7%

(注) 上記指標については提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。

 当該KPIを採用した理由ですが、下表に記載のとおり、当社グループの売上高の約4分の3は自社運営のデジタル媒体によりもたらされておりますので、自社デジタル媒体数及びデジタル媒体満稿額は当社グループの事業のポテンシャルを表すために最適な指標であり、デジタル媒体稼働率は媒体運用や営業が効率的に行われているかどうかをみるために最適な指標であると判断し、KPIとして採用しています。アナログ媒体は年間契約が多く、変動性が低いため、業績状況の確認のためには重要視しておりません。当該KPIは、投資家が当社グループの経営方針・経営戦略等を理解するうえで重要な指標であり、また当該KPIにより、経営方針・経営戦略等の進捗状況や、実現可能性の評価等を行うことが可能となると認識しております。

 

 

 

第31期

(単体)

第32期

(単体)

第33期

(連結)

第34期

(連結)

第35期(連結)

 

 

(千円)

実績

売上比

前期比

売上高

1,901,161

2,601,105

3,435,519

4,122,330

4,419,389

100.0%

107.2%

 

自社デジタル媒体

1,192,405

1,794,096

2,678,467

3,134,944

3,353,228

75.9%

107.0%

 

 

繁華街

695,997

1,359,070

2,303,224

2,767,797

2,996,034

67.8%

108.2%

 

 

ロードサイド

496,408

435,025

375,243

367,146

357,193

8.1%

97.3%

 

自社アナログ媒体

592,980

650,002

523,790

565,624

625,796

14.2%

110.6%

 

 

繁華街

227,488

200,778

147,470

158,359

190,875

4.3%

120.5%

 

 

ロードサイド

228,061

323,751

265,975

281,754

293,295

6.6%

104.1%

 

 

施工

137,430

125,472

110,344

125,509

141,626

3.2%

112.8%

 

その他

115,774

157,007

233,262

421,761

440,364

10.0%

104.4%

(注) 売上比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。

 当社グループの自社デジタル媒体の定義、及びデジタル媒体満稿額とデジタル媒体稼働率の算出方法は、以下のとおりです。

自社デジタル媒体

自社で放映枠の運用・販売窓口を行っている広告用デジタルサイネージ媒体

 

所有形態としては以下のパターンがある。

・当社グループ単独で所有している広告掲出面

・当社グループが他社と共同で所有している広告掲出面

・当社グループが借り上げて運用している他社所有の広告掲出面

・当社グループが所有者から委託を受けて運用している他社所有の広告掲出面

デジタル媒体週次満稿額

自社デジタル媒体に係るすべての広告枠がプレミアムプランで販売されたと仮定した場合の週次売上額

※基本的な料金体系が単一となっている媒体の場合は、すべての広告枠が当該プランで販売できた場合の週次売上額

デジタル媒体(年間)満稿額

自社デジタル媒体の週次満稿額を52週分足し上げた金額

デジタル媒体稼働率(%)

実際の売上額÷デジタル媒体満稿額×100

 当社グループのデジタル媒体の料金体系は、基本的にレギュラープランとプレミアムプランよりなります。レギュラープランはそのデジタル媒体の標準的な料金プランであり、プレミアムプランは広告枠の大口購入を条件として、放映1回当たりの価格(放映単価)の面でレギュラープランよりも優遇されるプランです。広告主にとってコストパフォーマンスが良く、当社にとってはビジネスが安定するというメリットがあるため、営業戦略上プレミアムプランを積極提案しております。営業戦略と一体的に媒体稼働率を評価するため、プレミアムプランを基準としたデジタル媒体満稿額とデジタル媒体稼働率の算出方法を採用しています。特定媒体の受注が、放映1回当たりの価格(放映単価)がプレミアムプランよりも高いプラン(レギュラープラン等)に偏った場合、媒体稼働率が100%を超える可能性があります。

 なお、デジタル媒体の新設や稼働の停止・終了等、又は販売価格の改定があった場合にデジタル媒体満稿額は変動いたします。期中に媒体の新設や稼働の停止・終了等があった場合については、当該媒体が通年稼働したものと仮定してデジタル媒体満稿額を算出しております。また、期中に販売価格の改定を行った場合、当該期のデジタル媒体満稿額は変更せず、改定の次期から新しい販売価格を基準としたデジタル媒体満稿額を適用いたします。

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