パナソニックホールディングス
【東証プライム:6752】「電気機器」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(2025年6月20日)現在において判断したものです。
(1) 会社経営の基本方針
当社は創業以来、「事業を通じて、世界中の人々のくらしの向上と社会の発展に貢献する」ことを経営基本方針の中心に据えて事業を進めてまいりました。今後も、「物と心が共に豊かな理想の社会」の実現に向け、社会課題に正面から向き合って、新しい価値を創造することを目指してまいります。地球環境問題をはじめ、さまざまな社会課題に正面から向き合い、社会の発展や課題解決に大きな貢献を果たすために、事業競争力を強化し、株主の皆様や投資家、お客様、取引先、従業員をはじめとするすべての関係者の皆様にご満足いただけるような価値提供を通じて、持続的な企業価値の向上に努めてまいります。
(2) 会社の経営戦略と対処すべき課題
当社の使命である「物と心が共に豊かな理想の社会」の実現に向けては、喫緊の課題である地球環境問題を筆頭に、様々な社会課題を解決しなければなりません。そこで当社は、グループとして「地球環境問題の解決」と「社会とくらしのウェルビーイング」の領域において競合を超えるお役立ちを果たしてまいります。
2024年度から2025年度にかけての世界経済は、米国の関税政策と、それに対する各国の経済政策・通商政策動向やその影響が不透明さを増す中、ウクライナ情勢などの地政学リスクも引き続き懸念され、先行きを見通しにくい状況が続きます。
このような経営環境のもと、当社は2022年度から3カ年取り組んできた中期戦略の経営指標(KGI)で、累積営業キャッシュ・フローは達成したもののROE(株主資本利益率)と累積営業利益が未達となりました。これは、重点投資領域をはじめ各事業の成長投資が収益力につながらず競争力強化が果たせていないこと、そして事業会社化に伴った固定費の増大などにより、各事業の「競争力と収益性」と「間接コスト」に課題を残したことが要因です。
そこで、2025年度はグループ経営改革に集中し、構造的・本質的課題を解決して経営基盤を固めることに注力します。具体的には、「リーン(注)1な本社・間接部門」「低収益事業の見極め」「ソリューション領域への注力」の3つを軸に、固定費構造改革による収益改善と事業ポートフォリオマネジメントの加速をしていきます。
<グループ経営改革のポイント>
①リーンな本社・間接部門に向けた固定費構造改革・収益改善
当社をはじめグループ各社で、本社・間接部門を中心に人員を最適化し、コストを大幅に削減します。また製造・物流・販売拠点の統廃合を進め、効率化を図ります。さらに、間接・販売部門を中心にDXによって生産性を向上させ、更なる固定費削減を目指します。加えて、これまで先行投資をしてきた事業領域の収益改善に取り組みます。
②低収益事業の見極め
2025年度中に、課題事業(ROIC(投下資本収益率)が事業別WACC(加重平均資本コスト)を下回り、かつ成長性に乏しい事業)と再建あるいは事業立地の見極めが必要な事業の方向づけを行います。
③ソリューション領域への注力
グループとして注力する「ソリューション領域」と、それを支える収益基盤としての「デバイス領域」、「スマートライフ領域」の3つの事業領域を定めました。
• ソリューション領域 (注力する領域)
グローバル競争力を持つソリューション事業群においては、顧客起点のマネジメントによりグループ全体でシナジーを創出し、お客様へのお役立ちを拡大することで、グループの成長をけん引します。
• デバイス領域 (収益基盤となる領域)
商品ポートフォリオの絞り込みにより材料・プロセス系の事業に集中し、調整後営業利益率(注)215%以上を目指します。なお、車載電池は成長シナリオを見直し、収益化に集中します。
• スマートライフ領域 (収益基盤となる領域)
家電事業の再建に向けて、抜本的に事業構造や体制を見直し、開発・製造・販売のリソース適正化を徹底します。さらには、ジャパンクオリティを世界で戦える「グローバル標準コスト」で実現し、調整後営業利益率(注)210%以上を目指します。
注力するソリューション領域において、グループ全体のシナジーを創出するため、くらし事業を担うパナソニック㈱を発展的に解消し、傘下の分社を組み替えて事業会社化します。また、家電事業はスマートライフ領域と位置付け、家電市場に集中して向き合うために、グループの家電事業を集約した事業会社を設立し再建を目指します。
このグループ経営改革により、2024年度に対して2028年度までに3,000億円以上(注)3の収益改善を目指しています。まずは、2026年度までに1,500億円以上(注)3の収益改善を目指しており、その主な効果目標額は以下のとおりです。構造改革を中心としたグループ経営改革を推進し、事業環境の変化に対応できる経営体質を構築してまいります。
構造改革による収益改善(+1,220億円(うち、人員の適正化による収益改善 +700億円))
• 本社本部 改革(+470億円)
「間接機能及びオペレーションの集約・効率化」や「技術テーマの選択と集中」などによる収益改善
• 家電事業 改革(+330億円)
「分散した営業部門及び間接部門の集約・効率化」や「グローバル標準コストの拡大」などによる収益改善
• 事業部門 改革(+420億円)
「赤字事業の撤退・終息や拠点統廃合」や「グループ全社でのIT投資の効率化」、「間接機能の集約」などによる収益改善
上記の他には、車載電池などこれまで先行投資をしてきた事業領域の収益改善や事業ポートフォリオマネジメントの推進等による非連結化影響、ソリューション領域など注力領域への投資による影響があり、これらのトータルで1,500億円以上(注)3の収益改善を目指します。
2025年度以降の固定費構造改革・収益改善と、さらなる事業ポートフォリオマネジメントによって、2028年度にROE10%以上、調整後営業利益率10%以上を目指します。
(注)1 リーン:「無駄のない状態」の意味
2 「調整後営業利益」は、売上高から、売上原価と、販売費及び一般管理費を控除して算出
3 2025年2月4日に公表した2024年度連結業績予想に対する調整後営業利益の改善額。但し、米国関税影響は含まず
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