企業バルテス・ホールディングス東証グロース:4442】「情報・通信業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社グループは、「私たちは品質にコミットし、安心・安全なICT社会の実現に貢献します」、「私たちはICT社会に貢献する人材を育成します」、「私たちは多くの価値を創り、お客様と共に歓びを分かち合います」を企業理念とし、提供サービスを通じて、豊かで安全なICT社会の実現へ貢献していく事を目指しております。

(2) 経営戦略等

 当社グループは、品質向上のトータルサポート企業として、ソフトウェアテストをはじめ、品質コンサルティングやテスト自動化支援など、ソフトウェア開発の全工程で品質向上支援サービスを展開しております。

 2024年5月には、さらなる成長を目指して中期経営計画を策定し、「ソフトウェアテスト市場の社会的価値を高めるバリューアッププラットフォーマーへ」という10年ビジョンの下、当社の誇るソフトウェアテストナレッジの普及と、テストツール事業・教育事業等の人に依存しないビジネスモデルの拡充によって、生産性の向上に注力してまいりました。

 他方、外部環境に目を移すと、近年急速に進むAI技術の拡大は、短期的にはAI利用ニーズの高まりによる事業拡大の好機となる一方で、中長期的には企業による開発内製化の加速や、労働集約型ビジネスの代替につながり、業界全体にとって大きなリスクとなりつつあります。

 当社グループでは、これらAIの拡大による事業機会の活用とリスク排除を目的に、当連結会計年度より「生成AIテスト設計ツール」の開発に着手し、当社独自のテスト知見や豊富なデータを活用することで、当年3月にプロトタイプの社内実装を開始するに至りました。併せて、近い将来、様々な競合他社がAIテストツール開発に追随してくる可能性が高いことから、生成AIテストツールへの開発投資をより積極的にすすめ、開発スピードの更なる向上によって、技術的アドバンテージを保持する必要があると判断し、当年2月、従来の「安定的な労働集約型ソフトウェアテスト事業を軸とする成長」から、「生成AIテストツール開発への積極投資」に基本方針を転換することといたしました。

 今後は、中期経営計画に生成AIテストツール開発への積極投資方針を加味し、生成AIサービスを含むツールサービスや教育サービス等の拡大を通じて、業界全体の技術力向上と、豊かで安全なICT社会の実現に努めるとともに、当社グループの生産性向上を推し進め、より一層の企業価値向上に努めてまいります。

(3) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループが属する情報サービス業界において、米国の政策動向や中国経済の見通し、ウクライナ情勢や中東情勢等による為替や資源高の影響もあり、先行き不透明な状況は継続するものと予想されます。一方で人件費の上昇は当面継続するものと想定されることから、国内企業において生産性向上は喫緊の課題であり、リモートワーク、クラウド環境の導入、IoT、AI、5G、メタバースなどのDXに関連するIT投資や、企業防衛のためのセキュリティ対策投資へのニーズは増大し、情報サービス業界の市場の成長は底堅く継続するものと認識しております。

 このような経営環境の中で、当社グループは今後更なる成長を実現する上で以下の事項を経営課題として重視しております。

①人的資本への投資拡大

 当社グループが継続的に企業価値を向上させていくためには人的資本への効率的投資が経営上の最重要課題であると認識しております。特に現状ではPM層/ハイレイヤーの不足が主たるボトルネックとなっていると課題認識したうえで、これら人員の拡充のために、リファラル採用制度等の導入、充実した社内研修メソッドによる教育制度の充実、業界別ナレッジの蓄積による高スキル化及び外部人材の有効活用といった諸施策を積極的に展開し、成長阻害要因の排除と事業規模の拡大に努めてまいります。

②エンタープライズ領域拡大

 デジタル技術の発展により、旧来の大規模基幹システムが大容量高速通信時代に対応できない等のシステム老朽化問題が発生しており、これに起因するシステム等の切り替えの作業「マイグレーション」の増加によって、特に歴史のある大手企業は多大な負担を強いられております。当社グループでは現状拡大を続けるソフトウェアテスト市場の中でも、これら基幹システムを指す「エンタープライズ系」領域の市場は、特に拡大可能性の高い最重点市場であると認識し、当市場の早期開拓を重要課題ととらえております。この開発拡大のために、経験豊富なPM層/ハイレイヤーの採用、専門部署の設置、エンタープライズ領域に強い外部企業との取引拡大及び業界固有(特に金融業界)ナレッジの蓄積を推し進め、参入障壁構築による価格競争の回避、案件規模の拡大及び利益率の向上を目指してまいります。

③知的財産の拡大

 あらゆる要素がデジタル化されていく中で、従前の有形固定資産の設備投資に頼らず、知的財産への投資を通じてビジネスモデルを抜本的に変革し、高い利益率で新たな成長を実現する企業が現れてまいりました。一方で、これら新たなビジネスモデルにより既存ビジネスが破壊される事例(デジタルディスラプション)も増加しております。特に、近年急速に進むAI技術の拡大は、短期的にはAI活用ニーズの高まりによる事業拡大の好機となる一方で、中長期的には企業による開発の内製化の加速や労働集約型ビジネスの代替につながるなど、IT業界全体にとって大きなデジタルディスラプションリスクとなり得ると認識しております。

 当社においても、今後これら外部環境の変化に対応しつつ高い利益率を維持するためには、知的財産への投資を拡大することが必須であると認識し、これを欠くことのできない重要課題の一つとして位置付けております。この推進のために、当社が強みとするソフトウェアテストのノウハウ、エンジニア教育ノウハウ及び各業界における固有ナレッジを基盤に、テスト自動化ツールT-DASH(※1)、クラウド型のセキュリティ対策サービスPrimeWAF(※2)、いつでもどこでも実機テストが出来るAnyTest(※3)、テスト管理ツールQualityTracker(※4)、ソフトウェア品質向上のためのプラットフォームQbook(※5)、教育サービスのバルカレ(※6)及び企業向けオンライン教育サービスのバルデミー(※7)等のツール及び教育サービスの拡大を進めるとともに、2025年3月に社内実装された生成AIテスト設計ツールTestScape(※8)の機能強化と、その他テストツールへの生成AI機能の拡大を目指してまいります。上記サービスを通じて当社グループの品質管理技術を業界に波及させ、業界全体の技術力及び信用力の向上を図ると共に、これら人に依存しないビジネスモデルの拡大によって当社グループの生産性向上も進めてまいります。また新規ソフトウェア開発や新技術企業とのアライアンスも積極的に行い、新たな企業価値の創造に努めてまいります。

④M&Aによる拡大と組織強化

 加速するIT化、デジタル化の影響により今後も国内ソフトウェアテスト市場は高い成長率を維持するものと見込んでおりますが、それゆえに今後のIT人材の不足傾向も明らかであり、従前のままの拡大戦略を踏襲すれば機会損失のリスクも相応に高まるものと考えております。加えて気候変動リスクや地政学的リスクも近年大きく上昇しております。当社ではこれらのリスクに対応するために、M&Aによる事業ポートフォリオの更なる拡大が必須であると認識し、これを重要課題の一つに位置付けております。

 近年当社グループは、「品質向上のトータルサポート企業」をスローガンとして掲げ、主にソフトウェアテスト事業を展開する「バルテス株式会社」、「VALTES Advanced Technology,Inc.」及び「株式会社ミント」、開発事業及びセキュリティ事業を展開する「バルテス・イノベーションズ株式会社」(2025年4月グループ企業の「バルテス・モバイルテクノロジー株式会社」が同「フェアネスコンサルティング株式会社」を吸収合併し、名称変更いたしました。)、主に開発事業を展開する「株式会社アール・エス・アール」、「株式会社シンフォー」及び「タビュラ株式会社」等、グループのサービス多面化と優秀なエンジニアの確保を目標に、M&Aによる業容拡大を続けてまいりました。

 加えて2023年10月にホールディングス体制に移行したことで、M&Aでの拡大に適した水平的グループガバナンス体制の整備に注力し、個々の企業の自律的運営と経営効率化を推し進めております。今後も積極的なM&A展開とそれに適した体制整備によって、多角化型の事業ポートフォリオを拡大し、リスクに対するレジリエンス(耐性)とリスクに対応する力であるダイナミックケイパビリティ(自己変革能力)を向上させてまいります。

 

※1 T-DASH

非エンジニアでも“カンタン”にWebアプリケーションの動作確認を行うことが可能なテスト自動化ツール。

URL https://service.valtes.co.jp/t-dash/

従来のソフトウェアテストの自動化を阻んでいた、メンテナンスコスト・技術的難易度に対し、T-DASHは、コードを書かず、”日本語”で作られたテストケースと、画面を定義することで自動化スクリプトを作成することができ、“回数無制限”でテストを自動実行することが可能なツール。弊社試算で手動テストと比較し、最大50%のコスト削減が可能。

 

※2 PrimeWAF

当社グループが展開するクラウド型のセキュリティ対策サービス。

URL https://security.valtes.co.jp/primewaf/

Webサイトを始めとしたWebアプリケーションに対する様々なサイバー攻撃を可視化、防御ができ、また非常に簡単に導入可能なクラウド型のWAFサービス。「WAF(Web Application Firewall)」は、一般的なファイアウォールでは防げないWebアプリケーションに対する不正な攻撃を防御するセキュリティシステムとして注目されている。

 

※3 AnyTest

当社グループが展開するクラウド上でモバイル端末実機を遠隔操作できるサービス。

URL https://service.valtes.co.jp/anytest/

エミュレーターではなく、実端末を国内のサーバーで管理しており、操作ラグが少なく、ストレスのないスムーズな遠隔操作が出来る。豊富な機種・OSのラインナップを有し、月額5,000円から利用可能。

 

※4 QualityTracker

当社グループが展開するクラウドベースでテスト実行時の進捗管理、テストケースの管理が可能になるツール。

URL https://service.valtes.co.jp/qualitytracker/

EVM(Earned Value Management)を採用し、工数=仕事量ベースで管理することにより、各テストの進行状況がリアルタイムで表示され、正確な進捗管理が可能。また、管理者のコスト削減にも大きな効果が期待されるツール。

 

※5 Qbook

当社グループが運営するソフトウェア品質向上のためのプラットフォーム。

URL https://www.qbook.jp/

“品質”を意味する「Quality」と、”知識の源”を意味する「book」に由来し、ソフトウェア開発やテストに関わる人に向けて、現場で役立つ情報を発信するWebサイト。日々の知識向上につなげるコラム提供やソフトウェア品質の勉強用書籍の検索など、品質のスキルアップや現場の仕事で活用できるコンテンツを掲載。

 

※6 バルカレ

当社グループが展開するテストの専門家が体系化したソフトウェアテストの教育サービス。

URL https://service.valtes.co.jp/s-test/education/

「企業向け講座」「オープン講座」「e-ラーニング」の3つの教育メニューから構成され、多数のプロジェクト経験により培われた品質向上のノウハウを集約し、人材育成に役立てるコンテンツを提供。

 

※7 バルデミー

当社が展開するソフトウェアテストの企業向けオンライン教育サービス。

URL https://service.valtes.co.jp/valdemy/

より実践に近いプログラムと、バルテスの現役テストエンジニアによる添削コンテンツで、現場でもすぐに活用可能な実践的なスキル・技法の習得が可能なオンライン教育プログラム。

 

※8 TestScape

当社が自社実装する生成AIテスト設計ツール。

ソフトウェアテスト専門事業者として積上げた豊富な実績と独自のテスト進行基準「QUINTEE®」をベースに、仕様書/参考資料からテストケースを生成AIで自動作成。「テスト明細」、「テストマップ」、「機能確認動作一覧」といった中間生成物も併せて作成することからテストケース作成の過程・根拠の検証が可能。

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高増加率、売上総利益率、人材の確保を重要な経営課題と認識していることから営業利益率を重視しております。

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