トーヨーアサノ
【東証スタンダード:5271】「ガラス・土石製品」
へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、経営理念である「顧客第一」「合理追求」「人倫遵守」を実践し、顧客満足を追求することを通じて社会の発展に貢献することを事業の目的としております。
また、売上高と利益の成長を志向し、経営資源の拡大を目指します。経営資源の拡大を通じて、お客様に提供可能な製品やサービスを拡充し、顧客満足を高めることで社会に貢献してまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、第7次中期経営計画(2022~2024年度)において「Reform戦略(改革)」と「Restart戦略(再始動)」という「2つのR」をコンセプトとした「TAFCO・RR計画」を策定し、実行してまいりました。主な内容は、経営環境の激変が続く中、収益構造の改革(Reform)と強化を図りつつ、脱炭素やデジタル化など急速に変化する経営環境に的確に対処する(Restart)準備をし、成長戦略を推進するものでありました。
基礎事業の成長を実現していくためには、適切な成長投資を組み合わせて実行していくことが重要であります。また、投資を継続していくためには、投資原資=利益を安定的に創出していくことも必要になります。第8次中期経営計画(2025~2027年度)は、利益率の改善・安定を目的としたReform戦略、成長投資を適切に組み合わせて管理実行していくことを目的としたAdvance戦略を柱としております。
第8次中期経営計画においても引き続き財務の安定性向上に取り組み長期的な目安として自己資本比率30%に向けて取り組んでまいります。
収益性指標につきましては、「自己資本利益率(ROE)」を重要指標と位置付け、株主資本コストを上回る自己資本利益率を目標として収益性の向上に努めてまいります。
(3) 経営環境
日本経済の概況につきましては、消費や設備投資といった内需が主導する形で緩やかに回復してきたものの、米国、中国といった海外経済の動向、関税などの政策運営の不確実性などの国外要因の影響により世界経済および日本経済に与える影響は非常に不透明な状況であります。
全国のコンクリートパイル出荷量は、前年度を下回って推移いたしました。2023年度もコンクリートパイルの全国出荷量は2022年度を大きく下回る大変厳しい水準でありましたが、当連結会計年度は、さらに出荷量が減少したことで、極めて厳しい状況が続いております。また、当社の主力商圏である関東地区も出荷量が前年度を大きく下回りました。
今後の経済見通しにつきましても、消費や設備投資といった内需が主導する形で緩やかに回復していくものと想定しております。直近の経済統計、経済見通しなどを踏まえますと、個人消費は、家計の所得環境の改善にあわせて緩やかに回復するものとみられます。また、設備投資につきましても、好調な企業業績、省力化、デジタル化、サプライチェーンの強化などのニーズを背景として堅調に推移するものと思われます。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、中期経営計画の達成に向け、売上高と利益の成長を志向し、経営資源の拡大を目指します。経営資源の拡大を通じて、お客様に提供可能な製品やサービスを拡充し、顧客満足度を高めることで社会に貢献してまいります。
1.第8次中期経営計画における経営環境の認識について本中期経営計画における経営環境の見通しは、計画策定時の基本シナリオと考えております。基本シナリオを基準点として、中期経営計画の想定と実際の経営環境に大きな差異が生じていないかを中期経営計画の実行中も適宜検証してまいります。
建設市場につきましては、需要と供給の双方から見る必要があると考えております。まず、潜在的な建設需要は、内需の回復に支えられる形で堅調に推移するものと予想しております。一方で、供給側は、人手不足や労働時間規制などが、供給制約として残るものと予想されます。従いまして、顕在化する仕事量については、引き続き厳しい環境が続くものと予想しております。
もっとも、需要不足による仕事量の低迷とは構造が異なり、上述したとおり潜在的な需要は底堅いものと思われます。したがって、稼働率の減少に臨機応変に対応しつつ、これまで積み上げた技術・ノウハウ・設備を基礎とし、事業競争力(バリューチェーン全体)をバランスよく強化することを通じて、お客様にご提供する付加価値を増やし、事業の成長を実現する機会は十分にあるものと考えております。このような戦略を実行するための枠組みが、後述するReform戦略とAdvance戦略となります。
事業領域につきましては、基礎市場の潜在的な需要は底堅いと予想されること、基礎事業において競争力を強化するために必要な投資額、当社の財務状況などを踏まえますと、現在のところ基礎市場に経営資源を集中していくことが、当社の成長という目的に対して最も合理的であると考えております。
2.Reform戦略とAdvance戦略について
基礎事業の成長を実現していくためには、適切な成長投資を組み合わせて実行していくことが重要となります。また、投資を実行するには、投資原資=利益を安定的に創出していくことも必要になります。第8次中期経営計画は、利益率の改善・安定を目的としたReform戦略、成長投資を適切に組み合わせて管理・実行していくことを目的としたAdvance戦略を柱としております。
まず、Reform戦略は、上述したとおり利益を増やし、安定させるための戦略的な枠組みです。戦略の時間軸は、短期(1年間)としております。1年先の経営環境については、例えばシンクタンクによる景気や建設投資の見通し、社内におけるデータを活用した予測など、経営環境を予想する手段の多いことが特徴です。これらの情報に基づき経営環境を予測し、環境変化に対して有効な施策を組合せで立案・実行しいたします。Reform戦略は、第7次中期経営計画から戦略の柱として、これまで着実に効果を上げてきております。
一方、Advance戦略は、事業を中長期的に成長させるための成長投資を管理する枠組みです。Advance戦略においては、各部門において中長期的な事業競争力に資する投資項目を抽出し、これらの投資項目を全社で統合的に管理します。例えば、投資項目の事前評価として成長戦略全体との合理性、投資対効果、財務的な検討などを行い、投資実行後には定期的に事後評価をします。
加えて、中期経営計画を策定する3カ年ごとに重点領域を定めております。第8次中期経営計画においては、①技術開発、②人的資本、③事業基盤の強化の3つに注力します。第7次中期経営計画までに、工場の基幹設備更新、基幹システムの全面刷新、本社屋建て替えなどの大型の投資に目途を付けることができました。
第8次中期経営計画においては、これらの投資の着実な回収をはかるとともに、技術開発や人的資本といった無形資産領域の強化に注力します。同時に、設備の改修、デジタル化、省エネ化といった事業基盤を支える投資についても計画的に実行してまいります。
Reform戦略とAdvance戦略という異なる時間軸の戦略を組み合わせて、投資原資の創出と成長実現に向けた有効性の高い投資ポートフォリオの構築および実行という好循環を回すことを目指しております。
3.財務戦略の考え方について
財務につきましては、株主資本コストを上回るROEを実現することを目標としております。株主資本コストの推計値は変動するため、ホームページのIR社長メッセージにおいて適宜株主資本コストを開示しております。
利益率につきましては、経営戦略の最も重要な指標の一つと認識しております。社是に「当社は、売上高と利益の成長を志向する。」とありますように、売上高の成長と適切な利益率の確保をバランス良く実現していくことが、経営戦略の目標であります。
財務レバレッジにつきましては、少ない自己資本を効率的に活用するという点でROEに対してメリットがある一方で、過度な借入金は財務の安定性を損なうリスクがあるものと認識しております。このような財務レバレッジのメリット・デメリット、当社グループの財務状況などを踏まえますと、以前から開示しておりますとおり、当面は自己資本比率30%を目標として、内部留保を蓄積することが適切であると考えております。
財務の安定性という点につきましては、自己資本比率だけではなく、流動比率、インタレスト・カバレッジ・レシオ、総資産回転率、固定長期適合率などの指標にも留意し、自己資本の効率的な活用と適切な財務の安定性の両立に努めてまいります。
4.株主価値の向上に向けて
2024年度における株主価値向上の取り組みとして、期末配当の増額を行いました。また、IR活動強化の取り組みとして、名証および個人投資家向け説明会情報サービス「説明会.Com」を通じたオンラインIR説明会を実施いたしました。
株主還元は、配当を基本に考えております。加えて、個人投資家様に向けた株主還元として、株主優待制度も導入しております。配当につきましては、業績の振れをならして見たときに、配当性向が30%以上となるようにしてまいります。
配当について補足しますと、まず「業績の振れをならして見る期間」につきましては、あらかじめ具体的な年限を定めているわけではありません。業績の振れは、その時々の経営環境によって単年度で大きく振幅する場合もあれば、そうでない場合もあります。したがいまして、期間についてはその時の経営環境などを総合的に判断することになりますが、目安としては3~5年間の変動と業績見通しなどを考慮しております。
配当性向につきましては、業績の振れをならして見たときに、配当性向が30%以上となることを目標としております。「30%以上」とあるように、30%は平均的な配当性向の下限値と考えております。30%に対してどの程度上積みするかという点につきましては、財務戦略との整合性などを総合的に考慮して判断しております。
株主優待につきましては、主として個人投資家の皆さまへの追加的な還元策であると同時に、当社が本社を置きます静岡県沼津市の魅力を発信し、お楽しみいただければと存じます。優待品を定期的に入れ替えるなど、株主の皆様には「選んでいただく楽しさ」もお届けできればと考えております。
- 検索
- 業種別業績ランキング