企業兼大株主デンソー東証プライム:6902】「輸送用機器 twitterでつぶやくへ投稿

  • 早わかり
  • 主な指標
  • 決算書
  • 株価
  • 企業概要
  • 企業配信情報
  • ニュース
  • ブログ
  • 大株主
  • 役員
  • EDINET
  • 順位
  • 就職・採用情報

企業概要

 デンソーグループ2030年長期方針では、「環境」「安心」の提供価値を最大化することに加え、社会から「共感」していただける「新価値創造」を通じて、笑顔広がる社会づくりに貢献することを宣言しています。

(1)環境分野ではカーボンニュートラル実現を目指して、モビリティーの電動化に貢献する従来の車載製品だけでなく電動車の普及に貢献するインフラシステムやカーボンニュートラル実現に不可欠なサーキュラーエコノミー(CE)まで開発領域を拡げています。

 インフラシステム領域では、電動車を保有する企業や商業施設、集合住宅にむけたEV充電制御システム「EVECOM(イブコム)」の販売を開始しました。EVECOMはEV充電器に接続するコントローラーやクラウドサーバー等から構成され、使用電力ピークを抑制する最適化制御やユーザー認証、電力計量等の機能を提供し、インフラ導入におけるコスト抑制、サービス提供のための環境サポートを行います。本システムを活用して、株式会社東急コミュニティーと、居住者へのEV充電サービスを含めたマンション管理に関するサービスを一元管理した体制を目指す実証を開始しています。

 また、充電の手間を省き、無限に走行できる未来を目指し、走行中給電技術の研究開発も進めています。この技術は、EVが走行中に地面に埋め込まれた送電装置から自動的に給電されるもので、これにより、EVの普及が進み、環境負荷の軽減にも貢献します。現在、愛知県国際展示場の駐車場にも埋設し、社会実証を開始しています。

CE領域では、限られたクルマ資源を最大限活用するために、クルマのすべての構成部品を原材料に戻し次なるクルマの製造へと循環する「Car to Car」の事業化に挑戦しています。この取り組みの一環として、環境省の令和5年度自動車リサイクルにおける再生材利用拡大に向けた産官学連携推進事業として、自動車リサイクルにおける再生材利用拡大を目指し、解体事業者、材料メーカー、部品メーカー等と連携した自動車部品解体プロセス等の技術実証を開始しています。これまでの開発・実証により、精緻解体により使用済自動車から重量ベースで80%以上を単一素材化可能であること、自動精緻解体の導入によりバリューチェーン全体で使用済自動車1台あたり630kgのCO2の削減ポテンシャルがあることを確認しています。また、欧州でのCE施策の一つである欧州電池規則により、2027年2月以降に欧州域内で販売されるEV/産業用電池には「バッテリーパスポート」の導入が義務付けられます。デンソーは、既存の自動車部品ビジネスに加え、サブスクリプション型デジタルサービスという新収益源も見据え、バッテリーパスポート用アプリケーションの開発を進めています。これにより、欧州の自動車業界におけるデータ連携の取組みであるCatena-Xに準拠した安全なデータ交換が出来るEcoPass認定を日本企業として初めて取得しました。

(2)安心分野では交通事故ゼロを目指して、運転支援システムを支える基盤技術(材料や半導体)の開発を進めています。材料開発では、極めて高い導電性・熱伝導性を持つ、カーボンナノチューブを活用した透明ヒータや透明電極を開発しています。特に、自動車の窓ガラスや運転支援システムに関わるセンサー類において、透明性を損なうことなく均一かつ迅速な加熱を可能とすることから、エネルギー効率の高い除霜・曇り防止機能と、自動運転に関わるセンサーの検知精度の向上の実現に貢献します。この開発の一環として、フィンランドのCanatu社と、戦略的パートナーシップに関する覚書を締結しました。Canatu社とは過去に出資を行い、長年にわたり、革新的なカーボンナノチューブ材料・製造技術の共同開発を進めています。

 また半導体開発では、将来のAI向け車載用半導体のIPコア (Intellectual Property Core)の開発にむけて、デンソーのプロセッサーと米国クアドリック社のChimera GPNPU (General Purpose Neural Processing Unit)を組合せた共同開発を開始しました。デンソーのプロセッサーIPは、ISOのASIL(Automotive Safety Integrity Level)Dに対応しており、安全性の確保が重要となる自動車に最適です。GPNPUは特有の設計構造により、複雑化するAIモデルが持つ多様な演算処理に対応可能なため、製品開発からリリース後まで長期間に渡るAI潮流の変化に柔軟に対応可能な車載SoC(System on a Chip)実現へ貢献します。またGPUよりも5倍以上の電力効率で、先端のAIモデルの処理下でも空冷を実現することで、環境に配慮した製品づくりで先端の安心安全技術を取り込むことが可能です。

(3)新価値創造領域では、水素エネルギー関連や基盤となるソフトウェアの開発強化、食農領域まで開発しています。

 水素エネルギー関連では、国内最大の火力発電事業者であり、燃料水素・アンモニアサプライチェーン構築を推進するJERAと、SOEC(固体酸化物形水電解用セル、Solid Oxide Electrolysis Cell)と排熱活用を組合せた高効率水素生成技術の共同開発に関わる契約を締結しました。JERA火力発電所にて共同実証試験の実施を予定しています。水は高温になるほど少ない電力で電気分解される特性を有しており、SOECは600℃以上の水蒸気を電気分解することで、常温付近で作動させる類似の電解方法と比べて2~3割の消費電力の削減が可能です。

 また、株式会社NTTデータとソフトウェア領域での包括提携を結びました。デンソーの車載ソフトウェア技術とNTTデータのクラウド等の技術の融合を進め、2030年までに両社で3,000人規模の開発体制を整備し、大規模・高度化する車載ソフトウェアの効率的な開発を目指します。

 最後に、食農領域では、房取りミニトマトの全自動収穫ロボット「Artemy®(アーテミー)」の欧州地域での受注をセルトンと共同で開始しました。Artemy®はAIやロボットアーム等の技術を活用し、自動収穫、自動レーンチェンジ、収穫箱の自動交換と自動移載まで、収穫に関する一連の作業を昼夜問わず全て自動で行うことができ、施設園芸先進国でありながらも深刻な労働力不足に直面する欧州地域において人手不足の解消に貢献します。

 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は619,404百万円(資産計上分含む)、その内、日本セグメント537,824百万円、北米セグメント31,636百万円、欧州セグメント16,498百万円、アジアセグメント32,375百万円、その他1,071百万円となっています。日本セグメントが占める比率は約87%となっており、研究開発活動の中心を担っています。

PR
検索