ダイフク
【東証プライム:6383】「機械」
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企業概要
本文中における将来に関する事項の記述については、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営方針
当社は、日一日と常に進化し続ける姿勢を表現した「日新(ひにあらた)」を社是とし、経営理念「モノを動かし、心を動かす。」のもと、マテリアルハンドリングを核とした「モノを動かす技術」で、心豊かに生きられる社会の創造を目指し、事業活動を展開しています。グループの役員・従業員が実践すべき行動のあり方を示した「グループ行動規範」を含めた理念体系は以下のとおりです。
<理念体系>
<長期ビジョン「Driving Innovative Impact 2030」及び「2027年中期経営計画」の概要>
次なる成長と企業価値向上を目指すため、2030年のありたい姿として長期ビジョン「Driving Innovative Impact 2030」(以下、2030長期ビジョン)を、その中間点となる2027年12月期を最終年度とする「2027年中期経営計画」(以下、2027中計)を策定し、達成に向けた取り組みを進めています。
なお、当社は2024年12月期より決算期(事業年度の末日)を毎年3月31日から毎年12月31日に変更しました。詳細は、「第6 提出会社の株式事務の概要」をご参照ください。
<「Driving Innovative Impact 2030」について>
『未来を見据えた新たな発想での取り組みを強化し、ステークホルダーへ革新的な影響を生み出すことにより、目指すべき経済・社会価値を実現する』との強い想いを込めています。
<策定のコンセプト>
1.短期志向から長期・バックキャスト志向へ
未来の社会像や課題を想起し、まず2030年のありたい姿を2030長期ビジョンとして設定した上で、その中間点として2027中計を策定しました。
2.経済価値と社会価値の両立へ
経済価値と社会価値双方の視点を踏まえた統合目標を設定し、その実現に向けた施策・ロードマップを策定しました。
<2030年のありたい姿・2027年経営目標>
<注力する領域・枠組み・マテリアリティ>
経済価値及び社会価値向上の実現に向け、前中期経営計画「Value Transformation 2023」(2022年3月期~2024年3月期)の課題や事業環境・社会の持続可能性を考慮し、事業領域と事業・経営基盤領域それぞれで注力する枠組み、マテリアリティを設定し、各種施策を実践しています。
2030長期ビジョン及び2027中計の詳細は、『長期ビジョン「Driving Innovative Impact 2030」、および「2027年中期経営計画」策定のお知らせ』(2024年5月10日公表)をご覧ください。
https://www.daifuku.com/jp/ir/assets/20240510_3.pdf
マテリアリティへの取り組みの詳細は、2027年中期経営計画におけるマテリアリティ及びKPI又は当社ウェブサイトをご覧ください。
https://www.daifuku.com/jp/sustainability/management/materiality/
<2024年12月期 経営目標に対する進捗状況>
| 2024年12月期 期初予想 | 2024年12月期 実績 | 2027年12月期 2027中計 最終年度目標 |
連結売上高 | 5,500億円 | 5,632億円 | 8,000億円 |
営業利益率 | 9.5% | 12.7% | 11.5% |
ROE | - | 15.1% | 13.0% |
豊富な受注残を背景とした売上の進捗により、連結売上高は期初予想を上回りました。また、前中期経営計画期間より進めてきた生産の効率化をはじめとする各種コスト削減への取り組みが寄与したことや、中国におけるレガシー半導体向け売上の増加もあり、営業利益率は期初予想を大きく上回りました。ROEについても、国内9カ月の変則決算による影響があったものの、収益性の大幅な改善や、資本効率性向上のために実施した自己株式100億円の取得により、2027中計の最終年度目標を超過する水準になりました。
<2024年12月期 成果と課題>
成果 |
・生産の効率化をはじめとする各種コスト削減への取り組みによる収益性の改善 ・生成AI半導体関連投資の増加や、ガソリン車からxEV※へのシフトに伴う生産ラインへの投資需要等、市場ニーズを的確に捉えた受注の獲得 ・成長戦略の実現に向けた日本・米国・インドにおける設備投資の実行 ・次世代経営体制構築へ向け、代表取締役COOを新たに選任 |
※BEV、HEV、PHEV、FCEVなど電動車の総称
|
課題 |
・海外プロジェクト管理の高度化等による収益性の更なる改善 ・M&Aを含めたグローバル成長戦略の着実な実行 ・米国通商政策への対応 ・新たに創出する事業領域の具体化 ・先端技術を活用した開発の加速 ・DX/AI人材をはじめとする人的資本の拡充 |
<2027年中期経営計画におけるマテリアリティ及びKPI>
枠組み:既存事業の進化、新領域への挑戦、次世代事業の創出
先端技術を取り込んだ製品・ソリューションの開発や新たな市場・ニーズに向けた提案を強化しています。事業部門ごとに設定した目標に対し、順調に取り組みが進捗しています。
マテリアリティ | KPI (実績評価指標) | スコープ | 2024年12月期 | |
目標 | 実績 | |||
AI等を含む先端技術を活用した開発 | 製品・サービスへの先端技術の導入 | グローバル | ・AIやバッテリー技術などを活用したシステムの効率化・省電力化 ・AI、IoT技術による予知保全の確立 | ・XY-ピッキングロボットの開発・納入 ・AIを活用した予知保全システムの開発を継続 ・回生エネルギーの有効活用により、環境負荷の少ない保管システムを開発 ・AIを活用した運行制御により搬送効率を向上 ・EV生産工場向け次世代組み立てラインを提案 ・画像認識技術を組み込んだ新たな装置の開発 ・高効率モーターを搭載した搬送システムを提供 ・航空機搭載用コンテナへの手荷物自動積み付け機の開発に着手 ・画像認識技術を活用した洗車機の基礎開発に着手 |
サービスビジネスの拡充 | サービス売上高 | グローバル | 1,500億円 | 1,497億円 |
新領域開拓と新規事業創出 | 新業態・新市場への進出、新商品の上市 | グローバル | ・新領域向けのシステム開発 ・新規顧客の開拓、グローバルでのビジネスエリア拡大 ・次世代事業の創出 | ・ピッキングロボット、無人搬送車の開発を継続 ・冷蔵倉庫向けにさらなる自動化ソリューションを提案 ・二次電池、半導体製造向けの対象工程を拡大し、自動化ソリューションを提案 ・半導体製造における後工程(ウェハーの積層化、直接接合など)への自動化ソリューションの提供 ・多様なモビリティを利用した、貨物輸送・搬送の開発 ・次世代の車造りに合わせた搬送設備・自動化設備構築 ・北米にて、TSA※1認証を取得したスマートセキュリティレーンを空港向けに納入 ・日本市場へ空港向けデジタル製品の納入開始 ・アフリカ市場へ空港向け製品を納入 ・ゴミ収集車内部洗浄装置の発売ならびに受注 |
枠組み:成長を支える仕組みの構築
当社グループの更なる成長をけん引できる人材の育成や、将来を見据えた技術開発などの取り組みを進めています。また、日本・米国・インドにおける設備投資や、デジタル化や人的資本の拡充に向けた投資を継続しています。
マテリアリティ | KPI (実績評価指標) | スコープ | 2024年12月期 | |
目標 | 実績 | |||
イノベーション創出に向けた投資・基盤づくり | 成長分野への投資額※2 | グローバル | ・1,600億円程度の投資を実施(2024年12月期~2027年12月期累計) | ・成長分野への投資額:264億円 |
AI・DX人材の育成 | ・eラーニングをはじめとした全社的なトレーニングの実施(全社員に順次展開) ・データサイエンティスト等の専門人材育成(2024年12月期~2027年12月期累計:180名) | ・AI・DXに関するeラーニングを実施し、2,400名が受講を開始(3期に分けて展開し、うち800名が受講完了) ・データサイエンティスト・データエンジニア育成プログラムを実施し、62名が受講(滋賀、東京、大阪で展開、滋賀13名が受講完了) | ||
産官学連携・M&A・アライアンス等の推進 | ・M&A・アライアンスの継続検討 ・大学・企業との共同研究や協業による開発 | ・複数の大学や研究機関、企業と次世代技術に関する研究開発を検討・実施 ・半導体後工程自動化・標準化技術研究組合(SATAS)へ参画 |
枠組み:事業を支える財務戦略
詳細は「4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4) 資本の財源及び資金の流動性 ①財務戦略の基本的な考え方」をご参照ください。
枠組み:業務全体の刷新
当社グループの「サステナブル調達ガイドライン」を周知し、サプライチェーンにおけるリスクを把握・軽減するため、国内の取引先に対して本ガイドラインに基づく自己評価アンケート(SAQ)を開始しました。その回答結果に基づく監査や、海外子会社へのヒアリングなどを通じて、調達リスクの管理を強化しています。
マテリアリティ | KPI (実績評価指標) | スコープ | 2024年12月期 | |
目標 | 実績 | |||
サプライチェーンにおける社会的責任の遂行 | サプライチェーンマネジメントの強化 | グローバル | ・国内:サプライヤーのリスク特定・監査実施 ・海外グループ会社:訪問及び実態把握、リスクへの対応実施 | ・国内サプライヤー66社にサステナブル調達ガイドラインに基づくアンケートを行い、結果に基づき監査を実施 ・海外グループ会社4社(韓国・台湾)へ訪問し、調達に関するヒアリングを実施 |
製品品質、製品安全の追求 | 製品・システムの安全に関する重大事故発生件数※3 | グローバル | 0件 | 0件 |
枠組み:継続した安全活動
国内、海外ともに休業災害件数は前年同期比同水準で推移しています。類似災害の再発を防ぐため、過去の災害事例を周知するなど、国内外で安全教育を強化していきます。
マテリアリティ | KPI (実績評価指標) | スコープ | 2024年12月期 | |
目標 | 実績 | |||
労働安全衛生の徹底 | 度数率:日本 (海外)※4 | グローバル | 0.261(0.6) | 0.460(0.7) |
強度率:日本 (海外)※4 | 0.006(0.020) | 0.026 (0.009) | ||
重篤災害※5 | 0件 | 1件 |
枠組み:環境負荷ゼロに向けた活動
「ダイフク環境ビジョン2050」の達成に向け、サプライチェーン全体でのCO2削減や再生可能エネルギー由来の電力導入に取り組むほか、生物多様性保全に関する活動をグローバルへと拡げています。
マテリアリティ | KPI (実績評価指標) | スコープ | 2024年12月期 | |
目標 | 実績 | |||
気候変動への対応 | 自社CO2排出量削減率(2019年3月期比) (スコープ1+2) | グローバル | 51% | 56.4% データの信頼性向上のために第三者機関による検証を受ける前の速報値です。検証後の確定数値は、2025年5月に当社ウェブサイトで開示予定です。 |
再生可能エネルギー由来の電力比率 | 60% | 66.6% データの信頼性向上のために第三者機関による検証を受ける前の速報値です。検証後の確定数値は、2025年5月に当社ウェブサイトで開示予定です。 | ||
購入した製品・サービスに伴うCO2排出量削減率※6 (スコープ3 カテゴリ1) | ・サプライチェーンCO2削減プログラム※7の拡大・浸透 | ・国内主要サプライヤー150社を対象にCO2削減に向けたオンライン説明会を実施し、サプライヤーのCO2排出量データの収集を開始 | ||
販売した製品の使用に伴うCO2排出量削減率※6 (スコープ3 カテゴリ11) | ・製品・システムの省エネ性能向上 | ・全ての新規製品・システム開発におけるLCA(ライフサイクルアセスメント)の実施 ・顧客の再生可能エネルギー導入状況の調査手法検討 | ||
資源循環の促進 | 廃棄物の埋立率 | グローバル | 国内:1%未満 海外:5%未満 | 国内:0.9% 海外:8.7% |
廃棄物排出量売上高原単位※8削減率 | 4% | 6.8% | ||
水使用量売上高原単位※9削減率 | 40% | 37.6% | ||
自然との共生 | 主要拠点※10における生物多様性保全活動実施率 | グローバル | 10% | 36.4% |
サステナビリティアクション※11のグローバル展開 | ・プログラムの拡充・啓発 | ・グループ全拠点を対象とした環境への啓発イベントを2種実施し、延べ557名が参加 |
枠組み:経営体制の強化、管理の高度化
取締役会の実効性向上を通じて経営体制の強化を図るとともに、グローバルでの経営管理の高度化に向けて、経営理念やグループ方針、経営戦略等の浸透活動や重要リスクへの対応強化に取り組んでいます。また、あらゆるステークホルダーとの対話を継続し、得られた示唆を施策へ反映しています。
マテリアリティ | KPI (実績評価指標) | スコープ | 2024年12月期 | |
目標 | 実績 | |||
ガバナンスの強化 | 取締役会の実効性向上 | 単体 | ・取締役会の実効性評価の実施と課題への取り組み | ・取締役会としての経営管理高度化への取り組み実施(資本コスト経営に関する検討会、IFRS適用への取り組み推進等) ・CEO等の後継者育成について、経営戦略に適合した役員・幹部層トレーニングの充実、諮問委員会でのCEO等の後継者計画に関する集中討議 |
経営理念・経営戦略等の浸透 | グローバル | ・役員・従業員向けの周知活動の継続実施 | ・国内外の全従業員を対象に、長期ビジョン・中期経営計画に関するeラーニングを実施 ・動画コンテンツを拡充し、CxOからのメッセージを配信 | |
コンプライアンスの徹底 | ・重要なコンプライアンスリスクに関する教育研修などの実施 | ・コンプライアンス強化月間において、「企業間取引とカスタマーハラスメント」をテーマに講義を開催 ・さまざまな職層のニーズに即したコンプライアンス研修(動画研修3回を含む合計15回)を実施 ・コンプライアンス推進のための組織体制構築 | ||
重要リスクへの対策実施 | ・リスクアセスメント・モニタリングの実施 ・エマージングリスク(新興リスク)を含むリスク予兆情報の収集と影響の分析 ・危機管理体制の見直しと有事対応力の強化 | ・経営層インタビューを実施し、認識された重要リスク(テーマ:サイバーセキュリティ、人材関連リスク等)についてリスクマネジメント委員会で議論、対応方針を決定 ・各リスク項目の精緻化及び想定シナリオの策定を開始 ・リスクマネジメント委員会で改めてBCM・BCPについて議論し、危機管理体制再構築の検討を開始 | ||
ステークホルダーコミュニケーションの充足 | 株主・投資家との対話社数(年間延べ) | グローバル | 900社以上 | 1,190社 |
ステークホルダーとのコミュニケーション活性化 | ・情報開示(財務・非財務)の充実 ・ステークホルダーダイアログを通じた経営課題等の把握 ・幅広い層へのブランド認知度向上施策の実施 ・社会貢献活動への積極的な参画 | ・長期ビジョンの実現に向けた成長ストーリーを統合報告書などの各種媒体で訴求 ・国内外の株主・機関投資家向けIRイベントを実施し、エンゲージメント機会を継続的に創出 ・若年層の知名度向上のためYouTube広告を実施 ・TV-CMや新聞・電車内の広告などで当社事業や理念を訴求 ・「国際物流総合展」など展示会出展によるブランド訴求 ・記者懇談会を開催し、メディアを通じた認知訴求 ・古着・古本の寄付や周辺地域の清掃活動などを継続的に実施 | ||
外部評価機関からの評価維持・向上 | ・CDP気候変動 A-以上 ・FTSE4Good 銘柄採用継続 ・MSCI ESG Rating AA以上 | ・CDP気候変動 A(最高評価)を獲得 ・FTSE4Good への採用継続 ・MSCI ESG Rating AAを獲得 |
枠組み:組織の強化
更なる成長を実現するために必要な人的資本の拡充や、一人ひとりが「働きがい」「働きやすさ」を実感できる環境づくりに取り組んでいます。また、人権尊重のための取り組みも強化しており、人権デュー・ディリジェンスを継続的に実施しているほか、そのプロセスを支える苦情処理メカニズムの導入に向けて検討を開始しました。
マテリアリティ | KPI (実績評価指標) | スコープ | 2024年12月期 | |
目標 | 実績 | |||
人材の確保・育成 | キーポジションにおける後継候補充足率 | グローバル | ・人材プールの整備(経験・スキルの見える化) ・後継候補充足率 2027年12月期100%を目指す | ・経験、スキルの収集項目と方法の検討(2025年12月期より収集開始) ・グループ人材委員会:2回開催、事業部門人材委員会:11回開催 ・後継候補充足率:73% |
専門人材確保に対応した人事制度の複線化 | 単体 | ・新たな制度・施策(高度専門人材向けの処遇・勤務制度・勤務場所・採用施策)の検討及び導入 ・導入した制度の改善 | ・技術系人材確保に向けた新拠点設置プロジェクトを組成 ・一部職種において地域限定型社員制度の検討開始 | |
人権の尊重 | 人権デュー・ディリジェンスの仕組み構築 | グローバル | ・人権デュー・ディリジェンスのPDCA実施 ・国内・海外におけるインパクトアセスメントの実施 ・苦情処理メカニズムの構築 | ・サプライチェーンにおける外国人労働者(技能実習生、特定技能)の雇用状況調査を継続 ・日本国内のサプライヤー3社へのインパクトアセスメントを実施 ・サステナビリティ推進委員会傘下に「グリーバンスメカニズム導入プロジェクト」を発足し、グリーバンスメカニズムに関するシステム導入を検討 |
人権に関する研修実施 | ・人権に関する教育・研修体制の構築 ・グループ社員への教育コンテンツの展開 | ・日本国内は階層別研修において、人権やハラスメントに関する講義、グループワークを実施 ・グループ人権教育コンテンツの検討 | ||
ダイバーシティ&インクルージョン | 女性管理職数(比率) | 単体 | ・女性管理職数 2027年12月期60名(7.6%)を目指す | 40名(5.4%) |
多様な人材が活躍できる環境整備 | ・ダイバーシティに関する社内啓発の推進 ・マイノリティに配慮した職場環境整備 | ・女性活躍推進企業として厚生労働省が認定する「えるぼし」(☆☆2段階目)を取得 ・D&I分科会及び労使専門委員会で育児関連の改善ニーズを確認し、育児介護休業法改正(2025年4月)に合わせて制度見直しを実施予定 | ||
エンゲージメントの向上 | エンゲージメントサーベイスコア | グローバル | ・国別平均スコア以上 | 日本国内 ・働きがい56%(日本平均58%) ・働きやすさ51%(日本平均58%) |
エンゲージメントサーベイ実施と課題対応 | ・結果からの課題抽出と対策実施 | ・前年度サーベイを実施した現地法人を訪問し施策フォローを実施(13社) |
※1 Transportation Security Administration(米国運輸保安庁)
※2 設備投資、研究開発費、人的資本への投資等
※3 当社グループの製品・システムの不具合を原因とした稼働中における死亡事故及び重傷病(治療に要する期間が30日以上の負傷・疾病)事故
※4 工事における請負事業者を含めて算出
※5 自社の業務中における死亡災害や身体の一部に永久損傷を伴う災害
※6 スコープ3カテゴリ1及びカテゴリ11については、2030年12月期に2019年3月期比30%削減を目指し、定性目標に取り組む
※7 調達先におけるCO2排出量削減に向けた取り組み(目標の共有と削減対策支援など)に関する当社グループ独自の枠組み
※8 廃棄物排出量(t)/売上高(億円)
※9 水使用量(千m³)/売上高(億円)
※10 従業員数100人以上の拠点
※11 サステナビリティに関する啓発・教育のための当社グループ独自の社員参加型プログラム
(2) 経営環境
① 事業環境
日本においては人口減少と物流2024年問題に伴う労働力不足が深刻化する一方、北米を中心とする海外においては人件費が上昇し、生産・物流現場における自動化・無人化ニーズがグローバルで拡大しています。
また、生成AIの普及に伴い半導体需要が飛躍的に増加すると同時に、経済安全保障の観点から各国政府が自国内での生産基盤の確保を促進しているため、各地域で半導体投資が活発化しています。
モビリティの変革期にある自動車産業では、より柔軟な生産体制を構築するためのxEV関連投資の継続が見込まれます。
これまで、限定的な自動化投資しか行われてこなかった空港においては、慢性的な労働力不足に伴う各種課題が顕在化しており、「スマート化」が求められています。
これらの事業環境を踏まえると、当社グループが提供するマテリアルハンドリングを核とする「モノを動かす」技術への期待がますます高まっていくことは確実であり、ビジネス機会を着実に捉え、更なる成長に繋げていきます。
② 競争環境
生成AIに代表される先端技術の革新が急速に進展し、特定の技術力・製品を持った新興企業が参入してきています。また、低価格を強みとする中国企業も台頭しています。
日本においては、国内競合企業が自社の製品と海外企業の先端製品を組み合わせることで提案力を強化するなど、競争は激化しています。
次世代技術に重点を置いた開発力を強化すると同時に、DX/AIリテラシーの向上に向けた人材育成に注力し、グローバルに最適・最良のシステムを提供するという当社グループの強みに磨きをかけ、厳しい競争に打ち勝っていきます。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
2027中計の2年目を迎える2025年12月期においては、以下の事項を主な課題として取り組みます。
<海外プロジェクト管理の高度化等による収益性の更なる改善>
2030長期ビジョンで掲げる持続的な成長と高い収益性を両立させるためには、海外における更なる収益性の改善が必要です。前中期経営計画期間より、地域毎の特性を踏まえ、調達、生産といったあらゆるプロセスを見直し、各種コスト削減に取り組んできた結果、北米を中心に成果が現れていますが、一部の海外子会社は改善途上にあります。このため、各海外子会社でコスト削減計画を着実に実行していきます。また、受注案件の大型化、工期の長期化が進んでいるため、海外でのプロジェクト管理の重要性が増しています。進捗状況をリアルタイムで把握できる仕組みを構築し、プロジェクト管理の更なる高度化を図ります。
<M&Aを含めたグローバル成長戦略の着実な実行>
成長ドライバーと位置付ける海外での事業拡大に向け、一般製造業・流通業向けシステムの米国における生産拠点(Daifuku Intralogistics America Corporation)で、生産能力を倍増させるべく工場増設を進めるとともに、2025年4月竣工予定のインドの生産拠点(Daifuku Intralogistics India Private Limited)の早期立ち上げを進めていきます。また、M&Aも視野に入れ、成長戦略を加速させていきます。
<米国通商政策への対応>
関税引き上げを中心とした米国の通商政策が、お客さまの投資動向へ及ぼす影響を注視する必要があります。特に自動車・半導体産業では、各国における投資計画が見直される可能性があります。お客さまとのコミュニケーションを深め、計画の見直しに対しても、最適な提案活動を進めていきます。
また、当社は、お客さまにより近い場所で調達・生産を行う、いわゆる「地産地消」を基本戦略としています。今後も、米国をはじめとする各国で「地産地消」を推進し、通商政策の影響を受けない体制を構築していきます。
<新たに創出する事業領域の具体化>
2030長期ビジョンでありたい姿として掲げる「連結売上高1兆円」の達成には、既存事業での拡大にとどまらず、新たな事業領域の創出が必須です。その達成に向けた取り組みとして、オープンイノベーションによる新たなパートナーとの共創活動や、M&A等のインオーガニック戦略、新規事業に関する社内公募制度の活用等により、成長機会を追求していきます。2030長期ビジョンでは、新領域への挑戦として「食」「環境」といった分野を掲げ、社会課題解決に繋がる価値提供を目指していきます。
<先端技術を活用した開発の加速>
より生産性の高いマテリアルハンドリングシステムを提供し続けるためには、生成AIをはじめとする先端技術を活用した製品・サービスの開発が不可欠です。各事業部門での取り組みに加え、事業部門横断での技術開発や、新規ビジネスへの展開を担う「ビジネスイノベーション本部」が中心となり、取り組みを加速させていきます。また、マテリアルハンドリングの未来像として、2030年までに「物流の完全無人化」を実現することを目指していきます。
<DX/AI人材をはじめとする人的資本の拡充>
当社の強みは、マテリアルハンドリングにおいて、お客さまへのコンサルティングから、技術開発、製造、エンジニアリング、アフターサービスまでをトータルで提供できる点にあります。これらすべてのプロセスで高い付加価値を提供し続けるためには、専門性の高いスキルを持った人材の採用、育成が欠かせません。特にAI等の先端技術を活用した技術開発や、お客さまとの長期にわたる信頼関係を構築する役割を果たすアフターサービスの人材の拡充・強化は、当社の競争力を維持・強化するための重要な要素となります。人的資本の更なる拡充に向け、各種制度の再構築や、従業員エンゲージメントの向上など、包括的な取り組みも進めていきます。
<コンプライアンス、安全の徹底>
「コンプライアンス」及び「安全」は、当社グループにおけるすべての事業活動を支える根底にあるものとしてグループ全体で徹底を図っていきます。
(コンプライアンスの徹底)
当社では、コンプライアンスを「事業活動のあらゆる局面において、法令や会社規程など社内外のルールにとどまらず、社会規範を遵守し、誠実に行動すること」と定義付け、各種の教育・研修を通じてグループ全体で価値観の共有を図っています。一人ひとりが高い倫理観を持ち、責任ある行動を積み重ねていくことで、社会からの期待や信頼に応え続けていくことを目指していきます。
(「安全専一※」の徹底)
一人ひとりの社員が最大のパフォーマンスを発揮できる職場環境づくりに努めていく上で、社員やその家族、お客さま、お取引先の生命・健康・安全を確保することがなによりも優先されます。「安全は、『第一』『第二』と相対的な順位を付けるものではなく、絶対的なもの、『専一』なものである」という意識をグローバルに浸透させ、引き続き、グループ一体となって災害や不安全行為の撲滅に取り組んでいきます。
※「安全専一」は、古河機械金属株式会社の登録商標です。
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