企業兼大株主ダイダン東証プライム:1980】「建設業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社は、高度化・多様化するお客さまのニーズに応え、サステナブルな社会の実現に貢献するための研究開発を推進しております。また、継続的な成長を目指し、総合設備工事業の枠にとらわれない事業創出に向けた研究開発にも取組んでおります。

 当連結会計年度における研究開発の主な成果は以下のとおりです。子会社においては、研究開発活動は行われておりません。なお、研究開発費は1,174百万円でした。

(研究開発の内容)

(1)カーボンニュートラル社会の実現に貢献する研究

 当社はCSV事業戦略のひとつとして、カーボンニュートラル社会を実現するZEB※1の普及に取組んでおります。

 これまでに、自社ビルでZEB技術を検証するために「エネフィス九州」、「エネフィス四国」、「エネフィス北海道」を建設し、運用実態の評価を通じてZEB技術の有効性を研究してきました。2022年度は、これらの実績と数多くのZEB施工実績から得られたノウハウをもとに、新たな自社ビルとして「北陸支店」を建設しました。ZEBでありながらレジリエンス※2とWellness※3にも配慮しており、働きやすく地球にやさしい次世代の建物です。さらに現在は、施工プロセスからDXを駆使することで3つの脱(脱カーボン、脱ストレス、脱ルーチン)を実現し、新しい働き方を推進する現代的「OMOYA」(母屋)を目指した建物として新潟支店を建設中です。

ZEBやWellnessの具体的な実現手段として培った研究開発には、①自然の光と室内環境をシームレスに繋ぐクラウド型輝度制御システム、②執務者の知的生産活動を高めるバイオフィリックデザイン※4、③個々人の感じ方を全体空調にフィードバックするクリマチェア連動制御などがあります。

 今後は、自社ZEBの評価・検証を通じて得られたノウハウをもとに、更にサステナブルな社会の実現に向けた技術開発も進めてまいります。また、これまでのカーボンニュートラル建築の設計・施工・評価に対する取組を、今後のZEB設計・施工に活用するだけでなく社内外へ広く発表することで、カーボンニュートラル社会の実現に貢献します。

※1 ZEB:net Zero Energy Buildingの略。建物で消費するエネルギーを再生可能エネルギーでまかなう建物。
正味の消費エネルギーがゼロとなる建物を『ZEB』(完全なZEB)と呼ぶ。

※2 レジリエンス:変化への適応性や事業回復性能に優れること。

※3 Wellness:建物利用者の健康性、快適性。

※4 バイオフィリックデザイン:建築環境における自然とのつながりの向上を図った空間デザインの手法。

(2)クラウド型監視制御システムの開発

 当社は、クラウドコンピューティングにより監視制御ソフトウェアを提供するクラウド型監視制御システムを開発しております。また、このシステムを活用し当社が設備運用サポートを継続的に提供するサービス「リモビス®」の提供も開始しました。

2022年度は2件の新規受注があり、リモビスのサービスを開始しております。また、将来的にリモビスの活用が見込まれる分野の客先施設において、機能検証のためのPoC※5(概念検証)を1件実施しました。

 クラウド型監視制御システム及びリモビスのサービスは、開発しながら顧客に活用していただき改善を繰り返すアジャイル型開発のプロセスを推進しております。したがって、今後もPoCや共同研究を実施し、得られた知見を基に更なる機能改良を継続して実施します。また、海外展開も視野に入れた多言語対応、AI※6による制御機能の搭載に向けた開発にも着手しております。

※5 PoC:Proof of Conceptの略。

新しい技術やアイデアが実現可能か、期待する効果が得られるかを検証するための簡易な試行。

※6 AI:Artificial Intelligenceの略。

これまで人間にしかできなかった知的行為を機械に代行させるためのアルゴリズム(人工知能)。

(3)DXによる現場の施工効率化に関する研究

 現在、建設分野においてもDX化は日進月歩の状況にあり、工事工程管理や資機材管理などの管理業務の効率化に留まらず、工事作業の遠隔支援や工事完了後の品質確認なども効率化する技術が多く登場しています。当社は、これまでに全方位(360度)カメラを用いた現場状況の3次元記録手法(Construction Visualizer 4D)を開発し、施工現場で試用しながら、さらなる利用価値向上を図ってきました。

2022年度は、大学の協力を得て、3次元記録の測量精度の評価手法を開発しました。これにより、本技術によって作成した3次元モデルの品質を平準化できるようになりました。現在は、3次元の形状モデルの作成のみならず、計器類や調整弁などを認識する技術開発にも着手しています。

 今後は、これまでに施工現場での試用を通じて得られた課題をもとに、さらなる測量精度の向上、機能の充実化を図り、現場業務のDX化に貢献します。

(4)再生医療分野向け独自技術開発

 再生医療は、これまで治療が困難であった病気や怪我に対する新しい医療として注目されています。しかし、再生医療等製品の製造には品質管理や環境整備など多大なコストがかかるため、治療費が高額になり再生医療の普及を阻害する要因となっています。再生医療が普及するためには、有効性と安全性を確保したうえでコストを低減する必要があります。当社は、CSV事業創出の一環としてこの課題の解決に取組んでいます。

 これまでに、設備設計で培った気流制御技術を生かし、低コストで使いやすい細胞調製施設や装置に関する研究を行ってきました。自社施設「セラボ殿町」に当社開発の「エアバリアブース®」を用いてまったく新しい構造の細胞調製施設を構築し、綿密な検証を実施してその結果が評価されました。これにより当施設を活用する関係会社が再生医療等製品の製造業許可を取得しました。この成果は関連施設の既成概念を脱した技術が認められたもので、この技術を活用することで再生医療等製品の製造効率を飛躍的に向上させることになります。引き続きモックアップによる開発と検証を行い、当施設の構造を広く活用できるように標準化を進めてまいります。

(5)超臨界二酸化炭素※7を用いた産業用ケミカルエアフィルタの再生に関する実用化開発

SDGsの達成に貢献する廃棄物削減の取組として、超臨界二酸化炭素を洗浄溶媒とする産業用ケミカルエアフィルタのリユース事業(フィルタ再生事業)に取組んでいます。この事業は、国内の半導体業界を中心に着実に再生数を増やしています。

 半導体市場は国内外で増加傾向であり、半導体工場に欠かせないものであるフィルタ再生能力の強化は不可欠です。そこで、大学や研究機関との共同研究で得られた再生効率向上技術を反映した新プラントを増設し、海外への事業展開に着手しました。

 今後は、新プラントを用いた共同研究成果の検証を進め、更なる再生効率向上に取組みます。また、超臨界二酸化炭素の制御ノウハウを生かした技術転用を見据え、異業種との連携を通じた様々な検証実験を進めていく予定です。

※7 超臨界二酸化炭素:加圧・加熱により、超臨界状態になった二酸化炭素。液体と気体の両方の性質を持つ超臨界二酸化炭素は

産業用ケミカルフィルタの洗浄に効果的。

(6)設備エンジニアリングに欠かせない設計・施工技術に関する研究

 当社は建築設備に欠かせない光・空気・水に関する技術をコアとして、イノベーション力とエンジニアリング力を結集し、建物のライフサイクルを通した空間価値を提供しています。したがって、お客様のニーズにマッチした環境を提供し続けるためには、設備の設計・施工技術の向上が永遠の課題となっています。

 データセンターをはじめとする大規模空調設備に対しては、CFD(Computational Fluid Dynamics)による気流シミュレーションを活用した最適化提案を実施しています。気流分布や温度分布を可視化して、設計要件を満たす設備条件を施工前にコンピュータ上で確認し、その結果に基づいて着実な施工を行っています。建築設備技術の高度化・多様化に伴い、CFDの研究はますます重要になっています。

 また、空気や水を送るダクトや配管の品質確保にも取組んでいます。一例として、配管の防食については大学との共同研究やメーカーとの協議を通じて、腐食原因の究明からその対策方法の確立まで理論的な考察だけでなく製造工程の見直しなども含め、日々研究を進めています。

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