企業兼大株主ダイキン工業東証プライム:6367】「機械 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 環境・社会貢献の重要性が増し、カーボンニュートラルの動きが加速するなど、外部環境は急速に変化しています。こうした変化に対応し事業拡大を支えるために、当社グループではテクノロジー・イノベーションセンター(TIC)を中心に、FUSION25で掲げた成長戦略に関わる技術領域・テーマに取り組んでおります。

 さらに、当社独自のコア技術の高度化に加えて、外部との協創による技術獲得にも取り組んでおります。2023年度には、同志社大学との「包括連携協定」に基づき、カーボンニュートラルに向けて、溶融塩電解によりCO2をアセチレンとして再利用可能な技術を実証しました。また、地球温暖化ガス排出のさらなる抑制に寄与すべく、東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社様及び国立研究開発法人理化学研究所様と共同で、世界で初めて、レーザーによりR32冷媒の漏えいを遠隔検知する技術を開発しました。2024年度には、圧縮機・モータ・インバータなどの空調コア技術を高度化し、カーボンニュートラル社会の実現に貢献するべく、東京科学大学と「ダイキン空調技術協働研究拠点」を設置し、共同研究を開始しました。また、VPP(仮想発電所)プラットフォーム開発会社の株式会社Shizen Connect様及び大手電力3社と共同で、再エネ余剰電力の有効活用に向けた共同実証を実施いたしました。2025年秋以降には、トヨタ自動車株式会社様が静岡県裾野市で建設を進める「Toyota Woven City(トヨタ・ウーブン・シティ)」において、「花粉レス空間」など心身ともにより快適で健康的に過ごせる空間づくりを実現する新たな空調システムの開発に向けた実証実験を開始します。

 既に提携している東京大学や大阪大学、スタートアップ企業などとの産官学連携を推進し、協創することでイノベーションを生み出し、環境・社会課題の解決、事業拡大に取り組んでまいります。

 グローバルに広がる研究開発基盤を活用したこれらの取り組みにより、研究開発の大幅な効率化とスピードアップを図り、グローバル各地域で差別化商品を生み出してまいります。

 当連結会計年度におけるグループ全体の一般管理費及び当期製造費用に含まれる研究開発費は、135,710百万円であり、当連結会計年度における各事業別の主要な取り組みと成果及び研究開発費は次の通りであります。

①  空調・冷凍機事業

 国内空調事業においては、暮らしや、働き方の変化に対応した安心で快適な空気環境づくりを目指しています。

 住宅用市場における空調製品では、消費電力量が削減できる独自機能「節電自動」に湿度コントロール技術を活かした新制御を搭載し、温度だけでなく湿度もコントロールして節電に貢献する壁掛形ルームエアコン『うるさらX(エックス)』を2024年11月より発売しました。電気料金・物価の上昇や、夏場の気温・湿度の上昇により高まる熱中症リスクの課題解決として、安定運転時に室内が不快にならないよう温度と湿度のバランスを取りながら消費電力量を削減します。

 また、感性のままに空間をデザインするブランド『The Art Line(ジ・アートライン)』を2025年1月に新設しました。第1弾として、薄さを訴求したルームエアコン『risora(リソラ)』および『加湿ストリーマ空気清浄機(70タイプ)』の正面パネルに伝統工芸品やアート作品、自然素材などのビジュアルや質感を表現した57デザインの商品を展開いたします。The Art Lineは空気質だけでなく空間をもデザインし、アートを選ぶようにエアコンを選ぶ新たな考え方を創っていきます。

 他の製品では、遠くの足元まで温風を届ける「足元暖房気流」を新たに搭載した『床置形ハウジングエアコン』を2025年5月に発売いたします。通常運転時と比較して、最大約1.6倍の距離まで温風が到達し、足元の快適性を向上させています。燃料費高騰や脱炭素化を背景に、燃焼式の暖房機器からエアコンへの転換が進む中、暖房性能の高いエアコンを提供してまいります。

 住宅用給湯では、『ダイキンエコキュート2025年モデル(Z型)』を2025年9月に発売いたします。湯張りスピードを従来比で約10%向上させ、湯張りにかかる時間の短縮を実現しています。また、近年のユニットバスのカラーニーズに対応するため、ブラックカラーのリモコンを新たにラインナップに追加しました。当社は、暮らしのニーズや社会のニーズに対応しながら、快適で省エネな暮らしを実現する給湯機を提供してまいります。

 業務用マルチエアコン「VRV」シリーズでは、R32冷媒を使用した新機種『VRV7』シリーズを2024年11月に発売しました。R32の特性に合わせた新型熱交換器と圧縮器を採用することで省エネ性を向上するのみならず、マルチ冷媒制御ユニットによって各室内ユニット単位で冷媒を制御し個室ごとに最適な運転が可能になりました。また、施工面に関しても引き続きフレアレスジョイントを標準搭載することで高品質施工を担保、新機種から前板を上下2分割することで省施工に配慮しております。2025年4月から開始するカスタマイズ販売では改装納期を従来から大幅に短縮し、約1ヵ月で対応することで現場の進行がよりスムーズになります。今後もお客様のニーズに合わせて順次カスタマイズメニューを充実させてまいります。

 アプライド商品においては、欧米を中心にグローバルで急伸しているIT企業やデータセンター運用会社等の顧客向けに、大型空冷チラーのポンプ付きオプション、フリークリングオプション機のエチレングリコールフリー(環境)対応、電気ノイズフィルタオプション対応等の機種拡充を行い対応力を強めてまいりました。2次側商品においてもデータセンター向けに自社設計の小型直動ファンを使った拡張性の高い大型ファンウォール型エアハンドリングユニットを各地域の顧客要求に応じてグローバルで提供を始めました。

 成長率の高い北米地域での学校・病院等の需要に対して2024年2月に省エネ性とコンパクト性を両立した自社インバータ圧縮機搭載のルーフトップユニットのラインナップを拡充しました。換気・外気取り込みや熱回収機能などのオプションも豊富に揃え幅広い顧客要望に対応できる商品を提供しております。

 環境対応を強く要求される欧州でも、小型ヒートポンプチラーを2024年12月に発売しました。

 中国では、年間を通じて使われる工場用途や発電設備の冷却用に適した高効率で低GWP冷媒を使った大型2000トンターボチラーの発売を皮切りに2024年度も容量ラインナップを追加してまいりました。シリーズを通じて低振動・静音性も実現しております。

 また、ソリューション事業の拡大に向けて、空調機器にとどまらず、北米で先駆けて建物全体の制御・データ収集を行うBMS(Building Management System)の開発を強化しています。グローバルで高い実績を誇る「Niagara Framework」をプラットフォームとして採用し、他社製機器も含めた統合的な制御・監視を可能にするオープンなBMSを開発しました。また、現地でのエンジニアリング作業を効率化するため、GUI設定ツールや自動構成機能を独自開発し、導入負荷を軽減し、品質の均一化を実現しています。

 空調・冷凍機事業に係る研究開発費は、119,242百万円であります。

②  化学事業

 化学事業の研究開発は、豊富なフッ素素材や多岐にわたるフッ素化学関連技術を元に新商品開発および用途開発を行っております。

 フッ素樹脂、ゴムではフッ素材料の得意とする耐熱性や耐薬品性、誘電特性などを活かし、自動車、半導体、ワイヤー&ケーブル(IT分野)などでの差別化新商品研究を行っております。また、フッ素の非粘着性、耐薬品性を活かしたコーティング材料開発、さらには含フッ素化合物の機能性を活かした情報通信・情報端末用材料の開発や、医薬中間体の受託合成研究など、フッ素に関する幅広い研究開発を行っております。

 これらの開発に加え、周辺事業領域の研究開発や用途開発としては他素材との複合材料開発を、先端材料研究としてはメディカル分野、光学分野、環境分野、電池エネルギー分野などで新たな部材・デバイスビジネスの探索を進めることによってフッ素化学グローバルNo.1、オンリーワンのケミカルソリューション事業展開を目指しております。特に電気自動車分野では、グローバルで連携し、新規カーエアコン用冷媒、電池材料等で、市場の更なる開拓に注力します。

 また、冷媒の回収再生などのリサイクル技術開発、長年培ったポリマー設計・重合技術を活かした、テキスタイル用、カーペット用、紙用等の撥水・撥油処理剤などフッ素を含まない材料開発も推進しております。

 これらの研究開発を加速・推進するべく、化学事業部では新商品開発の確実な実行を担い、TICにおいては、化学事業につながる次世代テーマの探索を実施しております。

 化学事業に係る研究開発費は、12,733百万円であります。

③  その他事業

 油機関連では、油圧技術とインバータ技術を融合させた商品であるハイブリッド油圧システムの特徴を活かし、従来の油圧システムではなし得ない省エネ性と高機能を実現しております。また、国内外での採用拡大に取り組む中低圧・小容量市場に加え、高圧・大容量市場への用途開発を進めております。

 工作機械向けの『エコリッチ』やプレスなどの産業機械向けの『スーパーユニット』は工場の電力削減の切り札として省エネ性で高い評価を得ており、低騒音、発熱低減、タンク油量削減による作業環境改善や環境負荷低減にも寄与しております。

 また、工作機械などの設備や加工品の発熱を取り去ることで機械加工精度の向上に役立つ『オイルコン』は、高精度温調・省エネ性で高い評価を得ており、グローバルでの採用拡大に取り組み、異電圧電源対応など地域特性に合わせた機種シリーズの開発を進めております。

 このように従来の油圧システムに加えて、その枠を超えた先進的な環境対応商品をグローバルに提供する商品と技術の開発を進めております。

 特機関連では、主に防衛省向け砲弾・誘導弾弾頭と医療・ヘルスケア機器に関する研究を行っております。医療機器については在宅酸素療法に使用する酸素濃縮装置の新機種開発、ヘルスケア機器については低酸素空間でのフィットネスを実現する低酸素発生装置の開発を行っております。

 その他事業に係る研究開発費は、3,735百万円であります。

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