ソケッツ
【東証スタンダード:3634】「情報・通信業」
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企業概要
当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、『人の気持ちをつなぐ』ことをミッションとし、音楽・映像・書籍・一般商材などのデータベース及びそれらの過程で制作する感性メタデータを活用した感性AIを開発し、主にインターネットを通じ「レコメンドサービス」「パーソナライズサービス」「検索サービス」「アナリティクス(データ分析)サービス」「データ提供サービス」などデータ関連サービスを提供しております。
人間の想像力は無限であり、人の感性や感情は想像力を生み出します。
感性や感情(喜怒哀楽など)のデータ化は人とAIの共創の可能性を広げ、感性データを活用し、世界中のクリエイター、開発者、マーケター、サービサーの想い・こだわり・ストーリー、人々(ファン)と共に紡ぎだし、クリエイティブなエンターテイメント、ライフスタイルの誕生と広がりに貢献することが当社のパーパス(存在意義)となります。
世界中のクリエイターと開発者、生産者、マーケター、サービサー、それぞれの志や想いの連帯に貢献することで、人の心と日々の時間がもっと豊かに深まることに役に立ちます。
そのような豊かで深い心を持った人と人との気持ちが繋がることはきっと社会の平和につながります。
私達の企業活動を通じて、多くのセレンディピティ(幸せな偶然の出会い)を実現し人それぞれの人生にとって出会いというかけがえのない瞬間を生むことを可能とします。
今後の社会においてAIがますます普及されることが予想されます。その中でも米国や中国をはじめ国際的に様々な生成AIの開発が進みその競争はより一層激しくなることが予想されております。そのような一般的な生成AIは根拠となるデータがWeb上から収集された大規模なデータセットであり、幅広く汎用的ではありますが、一方で分野を特化した場合の情報の鮮度や専門性という品質面において課題があります。また日本語独特の情緒的な解釈も課題としております。当社は感性メタ含むドメインに特化した独自のデータベースでこれらの課題を解決します。さらに生成AIの大きな問題とされているハルシネーション(事実でない誤った回答)や回答の根拠の不透明性にも課題があります。当社の知識ベースの堅牢な推論手法を独自データベースと組み合わすことでこれら課題を解決し、根拠となる推論の透明性を担保し信頼性を確保します。
このような取り組みにより生成AIと感性AIの最適なコラボレーションを実現し、人間の複雑な感性や感情を理解する感性AIを活用したエンターテイメント分野とマーケティング分野で独自のデータサービスを展開し「心を豊かにするAIにより社会により貢献してまいります。
短期的には、独自の感性データ・テクノロジーにより
・エンターテイメント市場の発展に貢献すること
・感性マーケティング市場を開拓していくこと
を行い、その上でそれらを繋ぎ組み合わせたエンターテイメント×感性マーケティングの事業活動により、日本
のクリエイター、アーティスト、コンテンツの発掘から制作、国内外流通、プロモーションまでをデータでマネジメントを行うことを実現してまいります。
それらを実現するための基本方針として
① 『人の気持ちをつなぐ』ことに役に立つ価値あるサービスを確かなモノづくりにて実現するために、新しいテクノロジーが切り開く可能性を信じ、研究開発とデータ開発を重視します。
② 常にユーザー視点、顧客価値を大切にし、真に価値のあるオリジナリティの高いサービスの実現へ向けサービス開発を続けます。
③ エンターテイメントが生む様々なエモーション、シチュエーション、オケージョンをデータベースとして解釈し、人間の多様な創造性、想像力を科学する技術を開発します。
④ より一層の心が豊かな社会の実現に向けた価値ある新しいサービスを生み出す技術力と企画力を育成し続けるために、多様性と自主性に富む人材の採用・育成、成長への環境づくりに努めます。
⑤ 当社の企業理念や志を共有する従業員、取引先、株主などと共に成長し、貢献します。そのための企業文化を育てます。
これらを継続的かつ長期的かつ日常的に行うことで、その結果として、収益力の向上、持続的な成長を実現させることが、人それぞれの思い、こだわり、感性や感情を大切にし、思いやりと多様性に溢れる豊かな社会への貢献となり、一層の企業価値の向上に繋がるものと考えております。
(2)中長期的な会社の経営戦略
エンターテイメントは人の感情を動かし感性を豊かにします。そして人間の営みの中で大事な要素である想像力を育みます。今後ますますAI社会が進む中、AIが得意とはいえない、人間にとってかけがいのない想像力が社会に生まれ、育ち、発展することに貢献するデータと技術の開発が当社の創業来のパーパスであります。
そのために当社独自の感性メタデータと感性AIを磨き続けます。
今後の世界から見た日本のあり方の一つとして、日本に数多く存在するアニメ、コミック、ライトノベル、J-POPなどを中心とした日本独自文化の発掘や世界へ向けた国際流通をより発展させることにあると想定されております。当社は創業来、音楽、アニメ、ドラマ、映画、コミックなどエンターテイメントを網羅するメタデータの構築を進めている中、当社エンターテイメントに特化したメタデータやデータ技術が、クリエイター、アーティスト、コンテンツ、イベント、これらのIP※の発掘に貢献してまいります。
※楽曲、アニメ、ドラマ、小説、コミック、キャラクターなどのIP(Intellectual Property:知的財産)
またIPの発掘のみならず制作、プロモーション、タイアップなどのマーケティングまで一貫したサポートを当社のデータベース・データ技術で行なうことを可能とする独自の仕組みの開発を進めてまいります。
これらの取り組みより、日本のクリエイター、アーティスト、コンテンツがより多く生まれ、コラボレーションやプロモーションを推進するデータサービスを展開することにより、IP立国日本の未来に貢献してまいります。
その実現に向け当社は、音楽・映像・書籍・テレビ・イベントなどのエンターテイメント分野において国内随一のデータベースをより拡充し、独自の感性AIを活用しエンターテイメント体験機会の増加に貢献してまいります。あわせて、当社データの利活用範囲をインターネット上に留まらず、コンテンツ制作、ライブ、グッズ(マーチャンダイズ)など、リアルな体験機会の領域にも広げてまいります。
その上で、感性メタデータの開発・提供をエンターテイメント分野のみならず美容、健康、ファッション、食、飲料、旅、住、金融など暮らし全般の非エンターテイメント分野まで広げ、ライセンス提供先を流通業界、製造業界、小売業界、美容業界、旅行業界、飲食業界、広告業界、不動産業界、金融業界などに展開してまいります。そのプロセスとして、独自の感性ターゲティング広告サービス「Trig’s」を広げ、日本国内におけるPMP(Private Market Place)といわれるブランド・サービスの共感を繋ぐ広告サービスとして、様々なメディアや企業の信頼性と収益性の向上に貢献してまいります。
これら現在進めているエンターテイメントデータサービスと感性マーケティングサービスを掛け合わせることで、次世代に向けたIPデータテクノロジーサービスの展開を加速します。
その先には、個人と企業とクリエイターやアーティストが垣根を越えて「共感を軸に協創するプラットフォームサービス」の構築があります。
生活者、クリエイター、アーティスト、コンテンツ、企業、製品、開発者、生産者、それぞれの持つストーリーや世界観を繋げることで、セレンディピティあふれる体験の連鎖により、人の内面的な成長に寄与しQuality of Lifeの向上に貢献します。
それらの実現のために、当社独自の人の感性や感情を体系的に情報化したオリジナルデータベースの開発およびそのデータを利活用する感性AI関連技術開発を進めてまいります。
・エンターテイメントデータサービスの質、量の継続的な改良
・エンターテイメントデータサービス外部アライアンス強化
・独自の感性マーケティングサービス進展
・エンターテイメントデータサービスと感性マーケティングサービスを掛け合わせたIP関連事業の推進
・上記事業及びデータの海外連携、展開
以上を行なってまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社では、感性メタデータ・感性AI関連技術を活用した新しいサービスの開発、品質向上を継続的に行い、より多くの皆様に当社独自の人の気持ちが繋がるサービスを提供し、顧客満足度の向上を図ることが当社の企業価値の向上に繋がると認識しております。そのための経営指標として「成長性」と「収益性」を重要な経営上の指標としております。
当社の中期的な経営指標として、社会により深く役に立ち、かつ独自性が高い事業の指標として「売上総利益率60%以上」を目標としています。それらを達成するにあたり、当社データ関連サービス技術の事業モデルにおいて一時的な受託開発・運用モデルではなくユーザー数の拡大が直接的もしくは間接的な収益拡大に繋がる事業モデル、月々の継続的な収入となるサブスクリプション(定額制)事業モデル、当社が独自に開発した感性AIを最大限活用したIP事業モデルなどのライセンス型ビジネスモデルへの転換を進めております。
中期的な経営指標として「売上成長率年間20%以上」を目標としております。
またあわせて、「月間ライセンス提供数および額」「新規ライセンス提供数」「既存ライセンス継続率」「ライセンス型ビジネスモデルの売上構成比」「売上に占める研究開発費やデータ開発などの先行投資額比率」の管理に取り組んでまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
インターネット関連、データ関連、AI関連分野の技術革新、生活者や企業の目的や嗜好の多様化、新規参入など変化の激しく起こりうる事業環境の中で、当社が長期的に持続可能な成長を見込み、経営戦略を確実に遂行していくために、以下のような課題に対処してまいります。
①優秀な人材の確保、育成
継続的な成長の原資である人材は、当社にとって、最も重要な経営資源と認識しております。当社独自の技術開発力や企画力およびサービス運営力を維持し、継続的に発展、強化していくために、優秀な社員を継続的に雇用し、その成長の機会を提供し、かつ事業規模を拡大させていくための人材を獲得する必要があります。
人的基盤を強化するために、全役職員を対象としたクレド(行動規範)など企業文化の熟成、採用体制の強化、新入社員・中堅社員・管理職向けなど段階に応じた教育・育成、研修制度、人事評価制度、より弾力的な報酬制度、多様な働き方を実現する勤務体系の充実など、各種施策を進める方針であります。
②開発・品質管理体制の強化
当社が開発を手掛けるアプリケーション、データベースおよびサービスは、技術革新の中で、開発内容が複雑化する可能性があります。また、ライセンス事業モデルの中でも顧客においては、開発スピードのさらなる向上やコストの軽減、高付加価値化を求めてくることが想定されるため、これらへの対応力の強化が必要となります。
このため当社では、企画営業部門と開発部門における連携面での見直し、開発・運用ルールの統一化、自社開発ツールの構築、開発体制の一体化など全社的な技術資産の共有を行うことで、開発・品質管理体制の一層の強化を図っていきます。
③収入モデルの多様化
現在の当社の主な収入モデルは、ライセンス収入モデル、開発収入モデル、運用収入モデルなどであります。
現在主力であるライセンス収入モデルの多様化を一層進めてまいります。
低い金額でライセンス提供可能なライト版ライセンス、初めは無料で提供するフリー版ライセンス、付加価値向上に合わせたアップグレード版ライセンス、また当社サービスの外部の代理店による販売などのエージェント型ライセンスなど収入モデルなどの多様化に一層取り組んでいきます。
さらに、当社感性メタデータ、感性AI活用の収入モデルとして、利用成果に応じて権利の一部を共有するなどのIP(知的財産を活用し収益を得る)事業モデルの構築に取り組んでまいります。
④内部管理体制、コーポレート・ガバナンスの充実
当社では継続的な成長を実現していくために、事業規模に応じた内部管理体制の充実が不可欠であると認識しております。金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制の評価へ対応すべく、業務の適正性や効率性、財務報告の信頼性の確保に努める必要があります。
今後も事業規模の拡大に合わせ管理部門の一層の強化による内部管理体制の整備を図るとともに、会議体および職務権限の見直しや社外役員の積極的な導入など、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組む方針であります。
⑤インターネット関連技術・サービスなど企業との連携
今後、国内外のインターネット技術やサービスは、ますます連携や融合されていくことと予想され、当社はこの流れへの対応力の強化が必要となります。
このため、当社では独自のデータベース及びデータサービスの開発を通じて通信事業者、デバイスメーカーやインターネット関連企業およびサービス提供企業との連携や権利元との調整などアグリゲーション力を強化していく方針であります。
⑥営業体制およびコンサルティング能力の向上
既存事業のエンターテイメント分野向けデータサービスから新規事業の感性マーケティング分野へのデータサービスまで事業領域が広がる中で、営業人員および営業体系の強化、提案時または案件成立後のサポートともいえるコンサルティング能力の向上がより一層必要となります。業界経験者の採用、若手人材の育成、またエンターテイメント分野と感性マーケティング分野にまたがる営業とコンサルティングを可能とするスペシャリストの採用などを通じて、体制の強化、能力の向上に努めてまいります。
(5)その他、会社の経営上重要な事項
大株主との取引等
当社は、KDDI株式会社より出資を受けており、当事業年度末において同社は当社の議決権の9.8%を保有する大株主となっております。当社は同社へインターネットサービスにおけるデータベースやアプリケーションの開発・提供などを行っております。なお、同社との取引条件につきましては、同社以外の取引先と同様に、価格交渉などの手続きを行った上、その都度決定しております。また、当社はカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(以下「CCC」といいます)より出資を受け、当事業年度末において同社はKDDI株式会社と同数の当社株式を保有しております。今後のマーケティング分野におけるCCCグループとの連携を目指し、データベースの開発およびその利活用に引き続き取り組んでおります。なお、CCCグループとの取引条件につきましても同社以外の取引先と同様に、価格交渉などの手続きを行った上、その都度決定しております。
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