企業スマートバリュー東証スタンダード:9417】「情報・通信業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年6月30日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは「スマート&テクノロジーで歴史に残る社会システムを創る!」を標榜し、事業成長を図りつつ競合他社との差別化に注力するとともに、収益性の向上に取り組み、企業価値を継続的に拡大させる方針であります。また中長期的には2028年の創業100年までの方針として「Moonshot Vision 2028」と定め、既存クラウドサービスの拡充を図りつつ、リアルなまちをデジタルとコミュニティのチカラで未来の社会システム(スマートシティ)の創造を目指して推進してまいります。

(2)目標とする経営指標

当社グループは、2025年8月に発表した中期経営計画(ローリング版)において、目標とするKPI(経営指標)として以下の数値を掲げております。当該KPIを採用した理由は、持続的な企業価値の向上に繋がる収益性の観点に加え、クラウドサービスをさらに充実させていく上でMRR(月次経常収益)を重要な指標として考えているためです。これらをKPIと認識し、企業価値の向上に努めてまいります。

 

(単位:百万円)

KPI(連結):営業利益

2028年6月期(予想)

モビリティ・サービスセグメント

200

スマートベニューセグメント

1,294

全社費用

△351

連結全社

1,144

 

(単位:百万円)

KPI(連結):MRR

2028年6月期(予想)

モビリティ・サービスセグメント

75

(注)1.上記KPIについては、有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。

2.MRR(月次経常収益)は、月次で固定的に得るクラウドサービス利用料収入を指します。

(3)中長期的な会社の経営戦略

 新しい公の概念を踏まえ民間企業がより社会システムを担う時代を見据え、当社におきましてはまちづくりを担う主体者として、ツール提供に留まるSaaS事業者からさらに変化を進めることになりました。

 このような方針を前提に2025年6月30日付けで自治体向けのクラウドサービスを提供するデジタルガバメント事業の一部を譲渡しましたが、これもツール提供だけでは付加価値が低く単価や受注率の低下が見られたことによる対応であり、短期的には事業成績に影響はありますが、中長期的に目指すべき方向へ舵を切っていくというポジティブな戦略であると考えております。そしてスマートベニューセグメントにおいては、神戸を舞台としたスマートシティモデルの社会実装を推進しており、民間企業がまちづくりの主体者として機能していくモデルを実践しております。さらに今後はこのモデルを地方創生の戦略と位置づけ、全国への展開を模索してまいります。

 スタジアム・アリーナ改革の流れの中で、ベニューを軸としたスポーツやエンターテイメントによる共感と賑わい創出を前提とし、交流人口増、まちの回遊性を高める施策などデータを利活用することで効率的に推進を図り、まち全体をマーケティングしていくという視点で、都市の社会的、経済的な価値向上を目指してまいります。

 他方もう一つのセグメントとなるモビリティ・サービスセグメントにおきましては、引き続き自動車や建設機械などのモビリティをコネクティッドすることでデータを取得し、あらゆる社会課題に向き合ってまいります。具体的には運輸、建設などの業界における2024年問題に端を発する人材不足に対応し、建設機械やレンタカーなどの無人化、省人化ソリューションの全国展開を推進しております。また交通事故防止、法人車両台数の最適化、アルコールチェック点検の効率化など、社用車管理における課題に対するテレマティクスサービスも引き続き堅調に提供してまいります。

 また、当社グループの成長に必要不可欠な人材においては、人的資本への投資という意味も含め、賃金増や働く環境の整備に注力するとともに、引き続き業務プロセスにおけるDX化の推進を進め、多様な働き方への対応を目指してまいります。

 当社グループにおいては、業績の拡大及び収益の向上と、社会課題の解決の両立を図るとともに、スマートベニューセグメントでの貸館、協賛などの安定収益と、モビリティ・サービスセグメントでは売上高の57%を占める月次経常収益(MRR)で足元を固め、引き続き経営基盤を強固にしてまいります。さらに、大きな可能性としてスマートシティモデルの全国展開や、全国で隆盛を極めるスタジアム・アリーナ建設計画における運営支援など、よりこの領域でのポジションニングを確固たるものとしていくことで、中長期的な視座でのさらなる成長に向けて邁進してまいります。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 情報通信サービス業界の事業環境は、大きな環境変化が短期間で次々とやってきております。所有から利用へのクラウドシフトはもちろんのこと、IoTやSNSメディアなどの進化は目覚ましく、生成AI(注1)においては、すべての社会通念を揺るがすようなインパクトと驚きを持って受け入れられており、社会に大きな変革をもたらす可能性を秘めていると考えられています。

 一方、世界経済は不安定な地政学情勢の長期化、世界的な物価上昇、それに伴う金融引き締めの動き、急激な為替変動、米国における関税政策の動向などの想定を超えた経営環境の変化は、経済活動や国民生活に大きな影響が及んでおり、今後も多方面にわたって先行きが不透明な状況になることが懸念されます。

 当社グループはこのような環境下において、以下の項目を対処すべき重要課題として取り組んでまいります。

① 高品質なクラウドサービスの提供

 社会課題の解決に資するクラウドサービスの提供を推進している当社グループにとっては、安全・安心で高品質なサービスを提供することが重要な課題であると認識しております。

 そのためには、技術力の向上をベースとして、システム障害やサイバー攻撃への対応、急激なトラフィック増への対処や、特に自然災害発生時の大量のアクセス集中においても安定的なサービスをご提供するなど、あらゆる面で安心・安全なサービス運営が必要不可欠であります。

 当社グループといたしましては、安定的に稼働が見込まれるクラウド環境の利用により、信頼性・可用性・保守性を踏まえた高品質なクラウドサービスの実現に向けて取り組んでまいります。

② 積極的な営業展開とアライアンス戦

 スマートべニュー(注2)においては、アリーナの民設民営という新たな市場を切り開き価値を創造できる営業が求められており、体制強化を図ってまいります。

 またスマートシティモデルの他地域への水平展開や、モビリティ・サービスなどの事業において、市場やサービス提供領域の拡大への対応に向け、固有の強みやアセットを有する他社とのアライアンス戦略にも取り組んでまいります。

③ イノベーションの創出

 当社グループ事業は、大きな時代の転換点において20世紀までの社会システムをデジタルのチカラで改革していくことを根幹に据えております。常に社会実装を意識して実質的な課題を念頭に置き、CASE(注3)時代の新たなモビリティ・サービスの創造、GLION ARENA KOBEを軸としたデータの利活用を踏まえたまちづくりを推進するスマートべニューなど、フィジカルとデジタルが融合する21世紀以降の社会インフラになりえる事業を推進してまいります。

 このように、当社グループにおいて引き続き創造的にイノベーションを育むことが重要であると認識しております。

④ 内部管理体制の強化

 内部統制システムの適正な維持は、当社グループにおいて重要な課題と認識しております。財務報告をはじめ、業務全般における適正なプロセスの整備と運用を徹底してまいります。

⑤ 人的資本への投資及び働く環境の整備

 人的投資の重要性が叫ばれ、賃金増なども踏まえつつ働く環境の整備は急務であると認識しております。
競合が多数存在する当社事業領域において、イノベーションを創出し、競争優位で高品質なクラウドサービスを提供するためには技術力・営業力及び組織で働く上での魅力などの裏付けが不可欠となります。

 エンゲージメントサーベイの導入など、引き続き人材採用・育成・人事評価体系の整備運用及びその他の人材育成計画を策定し、知識の習得などの技術的研修と働く上での納得感を踏まえた社員幸福度の追求を実施するとともに、遠隔地採用などを含めた多様な働き方への対応に向けた環境整備にも注力し、長く創造的な業務ができる環境を整えてまいります。

 また管理職層の充実も急務であり、組織維持運営におけるマネジメントエラーなども散見される中、外部採用や多様な働き方での当社事業への参画など、より高いスキルを有し人間的魅力に富む管理職層の登用を目指してまいります。

⑥ 安定的な収益基盤の確立

2019年より事業ポートフォリオの入れ替えを進めており、2024年7月には祖業の流れをくむカーソリューション事業におけるリース車両向け物販事業を、2025年6月にはデジタルガバメント事業の一部を譲渡いたしました。スマートベニューにおけるアリーナは開業いたしましたが、6期連続で営業赤字という状況になっており、今後3ヵ年の中期経営計画を達成させることを含め、着実にポートフォリオの入れ替えを終え、安定的な収益基盤を早期に確立することが必要だと考えております。

[用語解説]

注1.

生成AI

:

データのパターンや関係を学習し、新しいコンテンツを生成することを目的とするAI。

注2.

スマートベニュー

:

周辺のエリアマネジメントを含む、複合的な機能を組み合わせたサステナブル な交流施設であり、スタジアム・アリーナを核としたまちづくりを定義する言葉。

注3.

CASE

:

 

Connected(つながる車)・Automatic(自動運転)・Sharing(カーシェアリング)・Electric(電気自動車)の頭文字を取った造語で、100年以上続いた内燃機関における既存自動車の概念を覆す新たな時代を表現する言葉。

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