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【東証プライム:7942】「化学」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)が合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
(1)会社の企業理念
当社グループは、「創造的行動力による社会への貢献」を企業理念とし、コア事業である発泡樹脂製品及び新しい素材を用い、省資源・省エネルギーで社会生活の利便性向上に寄与する価値を、社会に提供していくことを使命としております。
(2)中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標
a.長期ビジョン
第61期(2019年3月期)スタートにあたり、10年スパンの長期的な方向性を示す『VISION2027』を策定しました。長期ビジョンでは、「顧客と消費者に感動を届ける」、「株主と地域社会に満足を届ける」、「社員一人ひとりがワクワク感を持って仕事をする」など、すべてのステークホルダーに感動と満足を届けることの意を込め、新しい経営方針「Deliver with WOW!」を定め、将来のありたい姿を「真のグローバルサプライヤーとして社会から必要とされる企業」とし、海外市場に目を向けた地理的拡大、独自技術の強みを活かした新規需要の掘り起こしや周辺領域への事業拡大などを積極的に推進してまいります。
(経営方針) 「Deliver with WOW!」
・VISION2027の基本方針
①既存事業の強化・拡大
②事業領域の拡大
③経営基盤の強化
・2027年度の定量的ビジョン
売上高 180,000百万円、営業利益 18,000百万円、営業利益率 10%
・進むべき事業領域
(ⅰ)ARPRO事業、(ⅱ)建築住宅断熱材、(ⅲ)フラットパネルディスプレイ表面保護材、(ⅳ)新たな事業領域(新規事業創出及びM&Aとして売上高30,000百万円規模を目指します)の4つの成長エンジンを、今後の進むべき事業領域として位置付けました。
b.中期経営計画「Change for Growth 2026」(第67期~第69期)について
第67期から第69期を実行期間とする中期経営計画「Change for Growth 2026」では、「グループ全体の収益力強化」を基本コンセプトの第一に掲げ、市場環境の変化のみに頼らない主体的な持続的成長を目指すと同時に、資本効率を意識した経営を実施してまいります。また、前中期経営計画において推進してきたサステナビリティ経営を更に突き詰める必要があります。カーボンニュートラルに向けた世界的気運の更なる高まり、人的資本への対応など、非財務分野への更なる対応に関する社会的要求が高まっていることは周知のとおりです。また、環境対応力の高さを今後の成長の源泉として位置付けており、循環型経済への転換を積極的に推進していきます。また、「経営基盤の強化」として、前中期経営計画において人事制度の見直しを検討してきました。2024年度より、当社は新人事制度として、年齢や勤続年数を重視した制度から、職責や期待する役割・能力を重視した制度へ移行し、運用が始まりました。多様化するキャリアパスへの対応や専門性が活かされる仕組みづくりを含め、「働きがいのある企業風土の醸成」に取り組みます。
・基本コンセプト
「グループ全体の収益力強化」
「発泡樹脂製品による社会への貢献」*
「経営基盤の強化」
① 人材育成の強化
② 労働安全と環境保全
③ コーポレート・ガバナンスの強化
④ 情報システム基盤の強化
⑤ 働きがいのある企業風土の醸成
⑥ 人材の多様性
*「発泡樹脂製品による社会への貢献」とは、前中期経営計画における基本コンセプトの一つ「経済価値だけでなく、顧客や社会の課題解決などの社会的価値へと提供価値を拡大」と同じ考え方です。
・最終年度/第69期(2027年3月期)の定量目標と前提条件
<定量目標> | 売上高 160,000百万円、営業利益 10,000百万円、営業利益率 6.3% | |
<前提条件> | 為替 | :140円/米ドル、150円/ユーロ、20.0円/人民元 |
| 原油価格(ドバイ) | :90米ドル/バーレル |
(要約セグメント情報)
(単位:百万円)
事業の種類 | 第67期 実績 | 第69期 中期計画 | ||
売上高 | 営業利益 | 売上高 | 営業利益 | |
押出事業 | 49,385 | 1,645 | 54,000 | 2,600 |
ビーズ事業 | 92,865 | 6,373 | 106,000 | 8,600 |
計 | 142,250 | 8,018 | 160,000 | 11,200 |
調整額 | - | △1,129 | - | △1,200 |
合計 | 142,250 | 6,888 | 160,000 | 10,000 |
(注)第67期(2025年3月期)より、セグメント情報の「その他」は、人材と資産活用の観点から親和性の高い「押出事業」と統合しております。
・設備投資計画
持続的成長及び収益性強化を目的とした戦略的投資として、メキシコのラモス・アリスペ工場の新設、インドのプネ工場の新設、チェコのヘブ工場の生産能力増強などARPRO生産能力増強のほか、自動化、省力化、省エネ化など合理化効果の高い設備投資を積極的に行います。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 成長戦略の推進における課題
・長期ビジョン『VISION2027』では、当社グループの進むべき事業領域を(ⅰ)ARPRO事業、(ⅱ)建築住宅断熱材、(ⅲ)フラットパネルディスプレイ表面保護材、(ⅳ)新たな事業領域(新規事業創出及びM&A)の4つとし、中期経営計画「Change for Growth 2026」(第67期~第69期)においても定量目標を設定し取り組んでおります。
(ⅰ)ARPRO事業
自動車生産台数の成長が鈍化しておりますが、付加価値の高い発泡ビーズ及び自動車部品を供給し市場シェアを拡大するとともに、非自動車部品分野に関しては、各地域の市場特性に対応し引き続きHVAC(*1)関連部品や輸送用通い函などへ用途拡大を目指します。また、リサイクル材への需要の高まりとARPROのグローバル対応力、開発・提案力における優位性により、市場シェア拡大を目指します。
*1 空調システムを指します。Heating(暖房)、Ventilation(換気)、Air Conditioning(空調)。
(ⅱ)建築住宅断熱材(*2)
住宅着工件数が伸び悩む中で、伸び筋分野であるミラフォームラムダやプレカット品などの高付加価値製品の拡販により収益性向上を目指します。
*2 中期経営計画より高付加価値製品の増加率で目標設定しています。
(ⅲ)フラットパネルディスプレイ表面保護材
中国国内の在庫調整と需要回復の遅れにより、販売数量は2023年度を下回りましたが、新規顧客獲得やサプライチェーンにおける新規用途開拓により増販を目指します。
(ⅳ)新たな事業領域
出資した欧州射出成形会社の売上規模拡大と国内開発案件(COREDUAL(*3)等)の事業拡大に向けた取組を推進します。
*3 2025年4月より、FOAMCORE技術を用いた製品の名称をCOREDUALとしました。
② 収益性改善における課題
・2026年3月期は、引き続き原料メーカーの労務費、生産設備維持費用、環境対応費用、物流コストの上昇による価格転嫁の圧力が高まっており、製品価格の改定を適正に行い、収益性を維持・改善することが課題です。また、グループ全体の課題として、労務費や修繕消耗費の上昇が懸念されており、コスト削減や収益性の高い製品比率を高める必要があり、同様に製品価格の改定を適正に行うことが課題です。
③ 中期経営計画の基本コンセプトに関わる課題
・2025年度の原油価格は、供給過剰と需要の低迷により、1バーレルあたり60~70ドルの範囲で推移する可能性が高いと予測されておりますが、国内においては為替レートの変動などの影響もあることから、主原料であるスチレンモノマーやポリスチレンなどの原料価格への影響を懸念しております。また、これらの原料メーカーの労務費、生産設備維持費用、物流コストの上昇による価格転嫁の圧力の高まりによる仕入原価の更なる上昇可能性、および当社グループ全体の労務費や修繕消耗費の上昇を課題として認識しております。これらの課題に対して、製品価格の適切な改定、コスト削減および販売構成の高収益製品へのシフトを推進してまいります。
・地球温暖化や海洋プラスチック問題への対応、並びにESG課題への関心の高まりを背景に、プラスチックリサイクルの推進やGHG排出量の削減といったサステナビリティ関連の取組に対する社会からの要請は一層強まっております。今後は、資源循環の更なる追求が加速していくものと見込んでおります。これらの動きに対し、当社グループは、「発泡樹脂製品による社会への貢献」を基本コンセプトの一つとして、環境対応型製品による貢献やプラスチック資源循環への貢献により、顧客や社会の課題解決に向けて取り組むべきと認識しております。
・当社は「経営基盤の強化」の一環として、「働きがいのある企業風土の醸成」を重要課題と位置付けております。2024年度より、新人事制度の運用を開始し、年齢や勤続年数に依存する従来型から、職責や期待役割・能力に基づく制度へと転換しました。これにより、多様なキャリアパスへの対応や専門性を活かした活躍の場を広げるとともに、定期的な面談等を通じて課題を可視化し、個々の成長を支援する仕組みを整備いたしました。今後は、これら制度の運用精度をさらに高め、社員一人ひとりが主体的に成長を実感できる企業風土の実現を目指してまいります。
・「経営基盤の強化」の中で、重要課題と認識している事項は「情報システム基盤の強化」です。生産工程における自動化や省力化の推進において、単なるデジタル化にとどまらず、業務プロセス全体を見直すDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進や、サイバーセキュリティ対策の強化が喫緊の課題と認識しております。これらの取組を通じて、業務の効率化を図るとともに、事業継続性と情報資産の保護を推進してまいります。
④ その他の課題
・資本財務戦略として、売上高利益率の改善だけでなく、資本コストと株価を意識した取組を重要視しております。資本収益性と財務健全性を両立した資本構成に向け、バランスシートのコントロールを意識した経営運営を課題と認識しております。
・企業価値の持続的な向上には、投資家やステークホルダーとの信頼関係の強化がこれまで以上に重要となっています。そのためには、IR情報の発信力を高めるとともに、双方向の対話をより一層深めていくことが求められています。透明性と信頼性を高める情報開示と積極的なコミュニケーションを通じて、持続可能な企業価値の実現に向けた基盤づくりが不可欠と認識しております。
・少子高齢化に伴う労働人口の不足、デジタル革命が進む中で専門性の高い特定分野の人材不足など、適時に人材を確保することが年々厳しくなっております。組織の活性化・効率化を推進するとともに、人的資本経営を意識した人材育成システムの充実化を図り、グローバル企業として更なる組織強化に努めてまいります。また、生産工程の短縮、製造ラインの自動化などの対策を実施することで、人手不足解消に努めてまいります。
・持続的な成長を実現するためには、イノベーションの創出とそれを支える技術の事業化がこれまで以上に重要と
なっています。そのため、研究開発部門と新事業開発部門の連携を一層強化し、社内の基礎技術や社外の先進技術を活用した新たな価値創出に取り組む体制の強化が求められています。技術力を成長エンジンへとつなげていく仕組みづくりが、今後の重要な課題であると認識しております。
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