コーエーテクモホールディングス
【東証プライム:3635】「情報・通信業」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営方針
当社グループは、「コーエーテクモの精神」と「コーポレートスローガン」の2つを“存在意義(パーパス)”としました。私たちが常に大切にする精神と、社会にとってどのような存在であるべきか、を示すものでもあります。この“存在意義”を実践するために、「ビジョン」「価値観」「経営基本方針」の3つの理念があります。
存在意義
コーエーテクモの精神
「創造と貢献 新しい価値を創造して、社会に貢献する」
コーポレートスローガン
「Level up your happiness 新しい面白さで もっと幸せに」
ビジョン:将来のありたい姿、存在意義を実現するための企業成長の姿
「世界No.1のデジタルエンタテインメントカンパニー」
価値観:私たちが大切にする価値観。私たちの文化を形成するもの
「クオリティ&サティスファクション」
高い品質によってお客様に大きな満足を提供する
「クリエイティブ&ビジネス」
2つを両立できる人が新しい価値をつくる
「品質・納期・予算」
新しい面白さを生み出し、成長を支える私たちの源
経営基本方針:経営の執行を担う人たちが果たすべき役割や責任。4つを循環させ続けることで、さらなる持続的成長につながる
① 最高のコンテンツの創発
素晴らしいコンテンツを通じて、お客様に最高の感動を提供する
② 成長性と収益性の実現
経営基盤を安定化させ、更なる発展を目指す
③ 社員の福祉の向上
業績と福祉の向上により、活力に満ちた魅力ある企業となる
④ 新分野への挑戦
社会にとって役に立つ新しさの実現にチャレンジし続ける
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、成長性と収益性の実現により企業価値を高めてまいりますが、重要な経営指標としては、売上高営業利益率30%以上を目標としています。
また、令和8年3月期より開始する3カ年の第4次中期経営計画では、3カ年累計の営業利益1,000億円以上を計画するとともに、第3次中期経営計画の目標であった単年度の営業利益400億円達成に再挑戦します。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
第4次中期経営計画は、中長期での飛躍に向けた「成長のための基盤づくり」をテーマとして、新たな経営体制で臨みます。パイプラインの数と質、販売力、コスト効率の成長を4つの目標として掲げます。各目標に向け「経営基盤強化(人的資本・ガバナンス)」「事業戦略」「キャッシュアロケーション(成長投資・利益還元)」を3つの柱として重点的に取り組みます。
「経営基盤強化(人的資本・ガバナンス)」においては、人材育成方針として「クリエイティブ&ビジネス 新しい面白さを実現するクリエイター&成長性と収益性を実現するビジネスパーソン」を掲げ、人材戦略を実行します。ガバナンスでは、令和7年6月に、当社グループの業務執行の最高責任者として新たに社長執行役員CEOを設けるとともに、取締役会において独立社外取締役が過半数を占める体制にすることで経営の監督と執行の分離を進めます。
「事業戦略」においては、新規IP・ジャンルへのチャレンジによる成長と既存IPと協業による安定的な成長を実現し、成長性と収益性を両立した確度の高い事業ポートフォリオを構築します。
エンタテインメント事業では、コンソール・PC分野、オンライン・モバイル分野、ゲームIPの多方面展開への積極的な投資を行います。コーエーテクモのIPを作る力・売る力・生かす力・支える力を強化することで、世界中のユーザーにとって魅力ある高い品質のIPを創造し、その価値を最大化してまいります。
アミューズメント事業では、スロット・パチンコ、アミューズメント施設それぞれの分野において、既存事業の改善と新規施策を進め、持続的な成長を目指します。
不動産事業では、物件管理の向上に取り組み、ライブハウス型ホールKT Zepp Yokohama等の高稼動率維持によって安定収益を実現します。
営業外収支では、金融環境の変化に対応しながら安定した運用を行ってまいります。令和7年度からは、新しく設立した株式会社コーエーテクモコーポレートファイナンスにグループファイナンス機能を集約し、資金の効率性を高めてまいります。
「キャッシュアロケーション(成長投資・利益還元)」においては、人的資本を中心とする成長投資を拡大することで営業利益目標を達成し、その成果によってさらなる成長投資と株主還元による企業価値向上の好循環を実現します。利益還元の基本方針は「配当金に自社株買付けを加えた連結年間総配分性向50%、あるいは1株当たり年間配当50円」とし、営業利益成長による配当総額の伸長を目指します。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、第3次中期経営計画の振り返りを踏まえ、(3) 中長期的な会社の経営戦略に記載の第4次中期経営計画を実行していくうえで、優先的に対処すべき課題を以下と捉えております。
①開発体制の拡充
グローバル市場の拡大や新興国市場の急成長により、当社グループに求められる開発力は質・量ともに一層の向上が必要とされています。魅力的なIPの創出と提供力の強化のため、開発体制の拡充は最優先の経営課題と認識しております。
当社グループでは、新卒採用を中心に年200人以上の人材採用を継続して行っており、当社グループの人材育成方針に基づき、クリエイティビティとビジネスの両面に秀でた人材の育成を進めております。こうした取組を通じて、当社グループの強みであるIPの創出力をさらに高め、収益性と価値を最大化する能力の向上を図ってまいります。
②AAA水準への品質向上
ゲーム産業における技術革新の加速や、ユーザーの品質に対する期待水準の高まり、さらにはマルチプラットフォーム化の進展を受けて、AAAタイトル水準の品質を安定的に実現する開発力が求められております。
この課題に対して、当社グループでは自社のゲームエンジン「KATANA ENGINE」の継続的な技術強化を図り、特にグラフィック表現の高度化を進める一方、一部タイトルにおいては汎用ゲームエンジンも活用し、開発効率と品質向上の両立を目指しています。また、PC版製品の快適性向上にも取り組み、ユーザー体験のさらなる強化を推進しています。
③コスト削減・管理の強化
グローバルでの競争の激化や、アミューズメント市場の成熟といった外部環境の変化を踏まえると、安定的な収益基盤の確立には全社的なコスト意識と管理能力の向上が不可欠です。
当社グループでは「KATANA ENGINE」の自動生成技術の高度化に加え、各プロジェクトの予算統制の徹底や、生成AI等の技術活用による生産性向上を図っております。
④グローバルマーケティング・パブリッシングの拡充
世界のゲーム市場は引き続き拡大基調にある一方で、可処分時間をめぐる競争が一層激化しており、地域ごとの市場特性に即したグローバルなマーケティング及びパブリッシング体制の構築は、重要な課題となっております。
中東・北アフリカ地域への展開を開始しており、今後はインド・東南アジア等の成長市場も視野に入れたグローバルマーケティング戦略を推進してまいります。また、将来的には自社でグローバルパブリッシングを担える体制の構築を目指し、マーケティング部門の体制強化及び人材拡充を進めております。
なお、当社グループの中長期的に持続的な成長及び企業価値向上のために、特に取組むべき課題については、マテリアリティとしてまとめ、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ共通」に記載しております。
(5) 次期の見通し
今後の景気見通しについては、緩やかに成長することが期待されるものの、米国の政策動向や、欧州・中東等の地政学リスク、金融資本市場の変動の影響等、先行きに対する懸念があります。ゲーム市場は、グローバルな市場規模の拡大、ユーザー人口の増加が続いており、今後もさらに成長していくことが予想されます。
このような経営環境下において、当社グループは、コーエーテクモの精神「創造と貢献 新しい価値を創造して、社会に貢献する」のもと、ビジョン「世界No.1のデジタルエンタテインメントカンパニー」の実現に向けて、挑戦を続けてまいります。
令和8年3月期は複数の新作タイトルの発売を予定しているものの、中長期に向けた開発投資が先行することや昨今の金融資本市場の状況を踏まえ、売上高920億円(前年同期比10.6%増)、営業利益310億円(同3.5%減)、経常利益370億円(同26.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益270億円(同28.2%減)を見込んでおります。
(注)上記の業績予想数値は、いずれも業界の動向、国内及び海外の経済状況、為替相場の影響などの要因について、現時点で入手可能な情報をもとに行った見通しであります。そのため、上記数値はこれらの要因の変動により異なる可能性があります。
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