ケーズホールディングス 【東証プライム:8282】「小売業」 へ投稿
企業概要
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針・パーパス(存在意義)
当社グループは『人を中心とした事業構築を図りケーズデンキグループに関わる人の幸福を図る。事業を通じて人の「わ」(和、輪)を広げ、大きな社会貢献につなげる。』の企業理念をパーパスとして掲げ、次のとおり取り組んでおります。
『がんばらない経営』
無理をして自分の力以上の力を出すことは短期的には可能であっても、終わりのない会社経営には適切ではありません。無理をすれば必ずその反動があります。
お客様にご満足いただくためにあるべき姿に向かって、正しいことを無理をせず、確実に実行していく経営方針を『がんばらない経営』と表現しております。
『1、従業員 2、お取引先 3、お客様 4、株主』
お客様を大切にするためには、まず従業員を大切にしなければ「本当の親切」は実現しないと考え、1、従業員 2、お取引先 3、お客様 4、株主の順で大切にしようと考えております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは以下のとおり重点取組事項及び目標とする経営指標・株主還元目標を掲げ、マテリアリティ(重要課題)を特定したうえで、ESG経営に取り組んでおります。
(重点取組事項)
既存店売上高は、前年対比100%の水準を維持することを目標とし、加えて出店によるシェアの拡大を図る。
高付加価値商品の販売強化と、商品開発で利益を確保すると同時に経費をコントロールする。
(経営指標・株主還元目標)
・連結ROE10%目標
・連結配当性向40%目標
・総還元性向80%目標
(ケーズデンキのマテリアリティ)
当社グループのマテリアリティ(重要課題)は何であるかについて話し合い、企業価値及びステークホルダーに与えると思われる影響の洗い出しを行いました。その後、取締役会において当社グループにおけるマテリアリティを以下のとおり特定いたしました。
分類 | ESG軸 | 重要課題 | 具体的取り組み内容 |
専門性 |
| 家電に特化し専門性に更に磨きをかける
新規出店でシェア拡大を図る | 家電に特化した専門性に更に磨きをかける |
ドミナント出店により販管費率を抑制する | |||
配送設置・工事業者のスキルアップ | |||
リアル店舗 | 買い物の楽しさを再認識できる売場づくり | ||
従業員の商品知識と接客スキルの向上、高付加価値商品の提案 | |||
人口減少でもシェアを拡大する | |||
人口減少 ・ 高齢化 | |||
高齢者にも買いやすい店舗づくり、サービスの工夫 | |||
ECへの対応 | |||
パソコン教室等の教育分野の拡大 | |||
社会変革 | 社会 (Social) | 従業員を大切にし、人的資本経営を目指す | 優れた人材・労働力の確保、離職者の抑制、女性活躍推進 |
地域雇用の創出 | |||
多様な働き方への対応 | |||
従業員・取引先・サプライヤーとの人権に対する考え方の共有 | |||
気候変動 ・ 自然災害 ・ 感染症 | 環境 (Environment) | 安定した店舗運営と持続可能な社会の実現への貢献 | 災害対策 |
気候変動リスク・機会分析及び炭素排出量の分析と目標設定 | |||
省エネ型店舗設計 | |||
省エネ商品の販売促進 | |||
感染症対策 | |||
法令 ・ 倫理 | 企業統治 (Governance) | 法令の遵守とガバナンスの強化 | 法令の遵守 |
取締役会監督機能の強化 |
(3) 経営環境及び対処すべき課題
2021年3月期は新型コロナウイルス感染症拡大の中、政府による特別定額給付金の支給や巣ごもり需要、テレワークの普及等により売上高及び利益は過去最高となりました。しかしながら、2022年3月期以降はその反動減が想定よりも大きかったことに加え、ウクライナ情勢を背景としたエネルギー資源や原材料高騰による電気代や物価上昇で消費者の生活防衛意識が高まり、消費マインドの低下や買い替えサイクルの長期化が顕著化しております。
そのような中にあっても、当社グループの取り扱う家電品は、衣食住に関わる安定的な生活を確保するために必要な生活必需品であり、買い替え需要は決してなくなることはありません。特に、家庭での光熱費の上昇により、省エネ性能の高い高付加価値商品に対するお客様の買い替えニーズは高い状況が続くと思われます。
また、コロナ禍以前は、ECでの買い物が主流になりリアル店舗の価値が低下するのではないかと懸念する見方もありました。しかし、コロナ禍であっても、自宅から車で15分圏内に店舗があるという利便性と、リアル店舗でお買い物をすることの楽しさが再認識されたものと考えております。引き続き「本当の親切」を実践し、少子高齢化の中であっても当社グループはしっかりと買い替え需要をとらえ、シェアアップを図ってまいります。
当社グループは、これらの認識を踏まえ、次のとおり、取り組んでおります。
① 家庭用電化製品に特化し専門性に磨きをかけるとともに経費コントロールを図る
当社グループは家電専門店の「ケーズデンキ」を運営しております。取扱商品を家電品に絞ることによって、ローコスト経営と従業員の専門性の高さを保持しております。また、家電品を試用・体験できる売り場づくりなど、家電専門店ならではの特徴のある店舗作りに取り組んでおります。
② 高付加価値商品の販売、プラスワン販売の接客力の強化
当社グループは一人当たり単価を伸ばすことに注力しております。お客様のご要望を伺い、お客様に合ったよりよい商品のご提案をすることで高付加価値商品の販売構成比を上げることに取り組んでおります。また、関連品のお勧めをすることで、お買い上げ点数のアップを図っております。人口減少によって来店客数が減少傾向にある地域もありますが、これらの取り組みにより客単価を上げることでシェアの拡大を図り、着実に成長していくことを目指してまいります。
③ 「ケーズデンキあんしんパスポート」アプリ会員の獲得推進
当社グループの「ケーズデンキあんしんパスポート」会員は4,700万人を超えておりますが、更なる新規会員の獲得に加え紙のカードからスマートフォンアプリへの移行に注力しております。このアプリは、会員様へ会員限定クーポンの配信や、WEBチラシの閲覧を容易にすることなどが可能で折込チラシに代わる販売促進策の一つになっております。コロナ禍を機に、チラシの発行部数・折込エリアの見直しを行う反面、アプリでの販促活動は今後更に重要さを増すものと認識し、会員の獲得推進に注力してまいります。
④ 都市部、空白地帯への出店
当社グループの出店強化エリアは、人口が多い都市部と未出店地域です。当社グループが認識する“都市部”とは、人が多く住んでいる大都市周辺のベッドタウンを指しております。これらの地域に積極的に出店し、未完成の国内店舗網を構築することにより、ドミナント戦略の効果をより発揮することが可能になります。同時に既存店はスクラップ&ビルドを行い、常に周辺環境に合致した新しい店舗づくりを目指してまいります。2024年3月期は16店舗の出店と8店舗の閉鎖を計画し、更なる業容の拡大を図ってまいります。
⑤ ECへの取り組み
当社グループには自社ECサイト(ケーズデンキオンラインショップ)があり、Yahoo!ショッピング、楽天市場にも出店しております。新型コロナウイルス感染症拡大でECサイトの売上高はコロナ禍以前のおよそ2倍に伸長し、その後も高い水準を保っております。当社グループでは、テレビ・冷蔵庫・洗濯機・エアコン等の配達、設置工事を伴う商品はECに適しにくく、小物商品や消耗品がECでの購買に適していると分析しております。それらの商品群に対してはオリジナル商品を投入し、訴求力のある価格でなおかつ利益を確保できる体制を整えてまいります。
⑥ 人材の確保、人的資本への取り組み
当社グループは、お客様を大切にするためには、まず従業員を大切にしなければ「本当の親切」は実現しないと考えています。働く従業員に報いるために2024年3月期についてもベースアップを実施し、積極的な給与の引き上げを行っております。また、2023年4月1日から、これまで60歳であった定年年齢を65歳まで引き上げる新たな定年延長制度を導入し、最長70歳まで勤務できる新たな再雇用制度も導入いたしました。当社グループは、女性活躍に関する取り組みやワークエンゲージメントに関する取り組みを行いながら人材の育成を図り、多様な人々が共に楽しく働ける職場環境づくりを行うことで、優れた人材を確保してまいります。
⑦ ESG経営
当社グループでは、『人を中心とした事業構築を図りケーズデンキグループに関わる人の幸福を図る。事業を通じて人の「わ」(和、輪)を広げ、大きな社会貢献につなげる。』の企業理念をパーパスとして掲げ、ESG経営に取り組んでおります。2022年4月1日には、サステナビリティ委員会を発足させ、『統合報告書2022』(2022年11月公表)においては、当社のマテリアリティを定めるとともに気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に沿った情報開示をいたしました。気候関連のリスク・機会の両面において事業及び財務へ与える影響を分析し、今後の経営戦略に反映してまいります。
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