オリエンタルランド
【東証プライム:4661】「サービス業」
へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「自由でみずみずしい発想を原動力に すばらしい夢と感動 ひととしての喜び そしてやすらぎを提供する」という企業使命のもと、日本国民はもとより、海外の人々からも広く愛され、親しまれる企業であり続けること、あらゆるステークホルダーから信頼と共感を集め、その成果であるキャッシュ・フローの最大化を達成することで、長期持続的な企業価値の向上を目指してまいります。またその過程において、気候変動や少子高齢化の進行など、企業を取り巻く社会状況が大きく変化する中で、50年、100年と永続的に社会に価値提供を続け、企業として成長を続けていくために、地球環境問題や社会課題への対応を経営や事業戦略に包括したサステナビリティ経営を目指します。
(2) 経営環境
当連結会計年度における国内経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあり、緩やかな回復が見られました。
今後のレジャー市場を取り巻く環境は、国の観光立国推進基本計画におけるインバウンド回復戦略などにより訪日外国人数の増加などが想定されます。一方で、将来的には国内若年層人口の減少、労働人口の減少なども想定されております。
当社グループの事業は舞浜エリアを中心に、テーマパーク事業やホテル事業などを展開しており、売上高及び営業利益の8割以上をテーマパーク事業が占めております。独自の競争優位性は、まず都心に近い立地に広大な土地を自社で所有していることやディズニー・エンタプライゼズ・インクとのライセンス契約が挙げられます。それに加え、ホスピタリティ溢れる従業員、施設やコンテンツが作り出す魅力的な空間を強みとし、1983年4月の東京ディズニーランド開園以来、40年以上にわたって幅広い層のゲストにハピネスを提供し続けてまいりました。国内の顧客基盤に加え、新型コロナウイルス感染症流行の収束に伴い訪日外国人数の回復もみられることから、中長期的には海外ゲストも新たな顧客基盤の形成に繋がると見込んでおります。
(3) 中長期的な経営戦略
2035年に目指す姿
当社グループは、2035年に目指す姿として「あなたと社会に、もっとハピネスを。」を掲げ、持続可能な社会への貢献と長期持続的な成長に向け、当社グループの提供価値である「ハピネス」を持続的に創造していくことを目指し取り組んでおります。2025年4月には、将来に向けた取組みをより強化するために従来からの目指す姿を再定義し、改めて2035年に目指す姿を策定いたしました。
・あらゆる人々が共に喜び、笑い、感動できる空間と時間を通じて、明日への活力を生む楽しさを提供する
・私たちを生かしてくれている世界そのものを慈しみ、持続可能な社会作りに貢献する
・OLCグループブランドの拡大により、従業員が心から誇れる企業であり続ける
ひとりでも多くの人々に明日への活力を生む楽しさを提供することと持続可能な社会作りへの貢献を両立させることを目指します。そして、当社グループの価値を向上させることで広く社会から信頼を得て、従業員が心から誇れる企業であり続けられるよう邁進いたします。
2035年までの期間では「持続的成長に向けた事業構造の進化と、最適資本構成の追及による企業価値の向上」を目指し、「事業を通じた成長」と「企業価値向上に資するOLCグループ独自の活動」を推進してまいります。想定しうる内外環境の変化の対応に取り組みながらも、着実な成長を図るべく、長期的な視点で経営目標を定め、経営資源を効率よく配分して各事業の成長や発展を推進し、当社グループの持続的な発展につなげていきます。財務目標としては、2029年度時点で営業キャッシュ・フロー3,000億円レベル、2035年度時点で売上高1兆円以上を掲げます。ROEについては、早期に2024中期経営計画期間より、更に上の水準を目指してまいります。
① 事業を通じた成長
今後の国内市場の縮小に備え、東京ディズニーリゾートの集客基盤を強化・活用することを目指します。テーマパーク事業やホテル事業においては、一層の魅力向上を図るとともに、従来の枠組みにとらわれない付加価値の創出に取り組んでまいります。加えて、クルーズ事業においては、当社ならではの新たな体験価値を提供することで、当社グループの成長を加速していきます。
(テーマパーク事業)
既存アトラクションのリニューアルやこれまでに使用していない知的財産や新しい技術の活用などにより、大小様々なコンテンツを導入することによってパークに変化感を醸成し、魅力的なパークを提供し続けます。更に、両パークにおけるエリア刷新など、テーマパーク用地のダイナミックな再編についても継続的に検討し、新たな体験価値の創出を目指します。
また、ターゲットに焦点を当てたきめ細かいコミュニケーションや来園意向を高めるための施策によってファン層を拡大するとともに、海外からのゲストも積極的に取り込み、盤石な集客基盤を構築して入園者数の向上を図ります。加えて、既存サービスの更なる魅力向上やこれまでにない新たな手段やサービスを開発することにより、新たな収益モデルを確立し、世の中の想像を超えるハピネスを創出していきます。
(ホテル事業)
既存のディズニーホテルでは、テーマパークとのシナジーを生み出し、ディズニーホテルならではの体験を拡充することで、高い客室稼働率を維持しつつ、レベニューマネジメントを継続することで、収益の最大化を図ります。舞浜・浦安エリアのホテルに対する需要は依然として高いことを踏まえ、東京ディズニーリゾート周辺で新規ディズニーホテルの開発も視野に入れ、検討を進めてまいります。
(クルーズ事業)
2028年度就航予定のクルーズ事業を軌道に乗せ、新たな事業として確立いたします。クルーズ事業は、既存事業にはない強みを持つ事業であると考えており、テーマパーク事業を上回る収益性をもとに、当社グループ全体の収益性の押し上げのみならず、舞浜エリアのみで経営していくことへのリスクの低減にもつながります。更に、1隻目を着実に成功させた上で、2隻目のクルーズ船も視野にいれ、当社グループの更なる成長を図ります。
② 企業価値向上に資するOLCグループ独自の活動
既存事業に加え、OLCグループ独自の活動として、ESGマテリアリティへの取組みを推進するとともに、コーポレート・ベンチャー・キャピタルであるオリエンタルランド・イノベーションズの活動の拡大などを行います。
(ESGマテリアリティへの取組み)
これまで当社グループならではのマテリアリティと位置付けていた「従業員の幸福」や「子どものハピネス」に加え、資源の効率的な循環を目指し、持続可能な社会作りに貢献すべく、「循環型社会」の取組みにも注力していきます。事業活動における環境負荷をできるだけゼロに近づけていく「循環型リゾート」の取組みや、ステークホルダーとの関わりや協業により資源循環について社会に広く浸透させる活動などを行うことにより、私たちをとりまく社会や自然環境に貢献することを目指します。
(コーポレート・ベンチャー・キャピタルの活動継続・拡大による新規事業創出)
当社グループの新規事業創出を主な目的としてベンチャー企業等への出資を行っているオリエンタルランド・イノベーションズの投資資金枠を設立当初の30億円から130億円へ拡大し、事業創出を目指すための活動を更に加速させます。
当社グループの特徴である「リアルでのオペレーション」が活きる領域を切り口とし、人材・学び・観光の産業へ集中的に投資をし、ベンチャー出向などの人材交流による事業伴走を通じて新たな価値を生み出していきます。併せて、環境対応や省人化といった既存事業の課題解決への貢献も目指していきます。
③ 人事方針
継続的に新たな価値を創出する組織づくりを目指し、人材の育成と確保のための取組みに注力し、事業競争力を強化してまいります。具体的には、事業運営を支える人材力の強化や職種ごとの人事制度の設計などによって人材の成長基盤を確立するとともに、組織力を高める取組みや、今まで以上に安心して働くことができる環境や制度の確立に向けた改善を進めます。また、これらの人的資本への投資を通じて、仕事のやりがいを高め、働きやすさを向上させることによって、働きがいの最大化につなげていきます。
④ 財務方針
事業活動を通じて創出されたキャッシュを成長投資に優先的に配分するという従来の方針を維持しつつ、規律ある財務レバレッジの活用や株主還元の強化に加え、キャッシュ・アロケーションを踏まえた自己株式の取得や更なる成長投資などを機動的に行い、企業価値向上に向けた最適資本構成を追求します。これらにより、ROEは2024中期経営計画期間よりも更に上の水準を目指してまいります。また、5カ年のキャッシュ・アロケーションについては、成長企業として、引き続きキャッシュを成長投資に優先的に配分します。加えて、自己株式の取得や成長投資など、企業価値向上に向けて最善の手立てを講じるための資金需要への機動的な対応枠として、3,000億円規模を確保します。
- 検索
- 業種別業績ランキング