企業エヌ・シー・エヌ東証スタンダード:7057】「サービス業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、「日本に安心・安全な木構造を普及させる。」「日本に資産価値のある住宅を提供する仕組みをつくる。」ことを目標としております。その上で、この国の木造住宅の資産価値を維持向上させることを当社グループの取り組む課題と捉え、その解決に向け次の5つのテーマを掲げております。

・住宅の安全性の確保(大地震発生時の安全性)

・住宅の耐久性の確保(経年劣化に対する対策)

・住宅の利用価値の確保(間取りの可変性)

・住宅の品質に対する第三者による証明(流通価値の確保)

・住宅のデザイン品質の確保(時代の変化に耐えられる普遍的デザインの追求)

 これらのテーマを当社グループのみでは解決が困難であることから、全国の住宅供給会社とのネットワークを形成し、その問題解決を図り、社会の仕組みとして築き上げてまいります。

(2)経営戦略等

 当社グループは、以下の事項を成長戦略と位置づけ、事業の拡大を図ってまいります。

① 住宅分野での事業拡大

 2023年3月期末時点の登録施工店は605社であります。耐震性の高い木造住宅の更なる普及に向け、工務店を中心とした新規顧客の開拓を着実に進めてまいります。

 また、高付加価値の工務店ブランドである「重量木骨の家」についても、注目度・認知度を更に上昇させるべく、WEBサイトコンテンツの充実やSNSを活用した情報発信などのプロモーションを積極的に推進し、ブランディングを強化します。

 今後も、登録施工店ネットワークを通じたSE構法の更なる普及により、住宅分野の収益基盤の拡大を図ってまいります。

② 大規模木造建築(非住宅)分野での事業拡大

 2010年10月施行の「公共建築物等木材利用促進法」を改正した「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が2021年10月に施行され、木材利用を促進する対象が公共建築物だけでなく民間建築物にも拡大されたことにより、大規模木造建築(非住宅)の建築需要が更に高まり、当社グループの受注は堅調に推移しております。

 そのような環境の中、当社では株式会社ネットイーグルとの合弁会社として「株式会社木構造デザイン」を2020年2月に設立し、これまでのSE構法に加え、SE構法以外の大規模木造建築(非住宅)の構造計算及び生産設計を事業化するとともに、ゼネコン・設計事務所と構造加工工場をつなぐ大規模木造マッチングプラットフォーム事業を推進しております。

 今後は、大規模木造非住宅建築に対応した設計システム等の技術研究開発や、構造加工品等の生産・供給体制を更に強化し、当社グループとして非住宅分野における収益の拡大を図ってまいります。

③ 新分野への投資の拡大

 当社グループでは、新しい住まい方やライフスタイルに関する研究・企画開発を行う企業に投資を行い、事業領域の拡大を図っております。

 これまで、小屋・可動産活用による遊休地の企画・開発事業やまちづくり支援事業を行うYADOKARI株式会社との資本業務提携や、千葉県いすみ市にオープンしたグランピング施設「いすみフォレストリビング」へのSE構法によるアウトドアデッキの提供など、当社グループの木造に関する知見や構造計算ノウハウを活用した新しいビジネスモデルの創出と展開をすすめてまいりました。

 2022年4月には、サブスク型セカンドハウス事業を行う株式会社Sanuとの合弁会社N&S開発株式会社を設立し、セカンドハウスの商品開発を行うとともに、当社グループの施工店ネットワークを利用したセカンドハウス建設の取り組みをスタートしております。N&S開発株式会社は、今後、株式会社Sanuが海に近接したエリアにおいて展開を予定している「海SANU(仮称)」の第一弾の開発及び運営を行う会社で、海SANU(仮称)に設営される宿泊棟(SANU Apartment)にはSE構法がスペックインされ、当社グループの木造建築に関する構造計算ノウハウや資材調達・施工ネットワークを提供する予定です。

 今後も新たな分野への投資を継続し事業規模の拡大を推進してまいります。

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは主な経営指標として、企業の事業活動の成果を示す営業利益を注視し、収益性の指標に営業利益率を掲げているほか、資本及び資産の効率性判断の指標にROE(自己資本利益率)、財務の安定性判断の指標にネットキャッシュ(注1)及び、流動資産構成比率(注2)を掲げております。達成状況につきましては、月次の取締役会等で定期的にモニタリングを行ってまいります。

(注1)ネットキャッシュは以下の方法にて算定しております。

 ネットキャッシュ=現金及び預金-有利子負債-預り保証金

(注2)流動資産構成比率は以下の方法にて算定しております。

 流動資産構成比率=流動資産÷総資産

(4)経営環境

 当社グループが属する住宅建設市場では、国土交通省発表による2022年度(2022年4月~2023年3月)の全国 の新設住宅着工戸数は86万828戸で前年同期比0.6%減となりました特に持家(戸建て注文住宅)の新設住宅着 工戸数の落ち込みが大きく2022年度は24万8,132戸で前年同期比11.8%減となりました

 一方世界的な原材料インフレロシア・ウクライナ問題による合板原料・木材等の輸入制限などウッドショ ックと呼ばれる原材料の高騰と資材不足状況は緩和され資材価格は下降の方向にあります

 また2022年6月通常国会において決議されました建築基準法の一部改正につきましては具体的な内容が示 され始めました2025年より木造住宅の省エネルギー性能の確保が義務となりその基準は従来の基準より高度 な省エネルギー性能基準が提示されました木造における確認申請基準(4号特例)の改定内容が発表され木造 住宅における簡易設計(壁量計算)の基準強化(壁量の増加)が公表されました

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当社グループにおける経営方針、経営戦略を実現するための対処すべき課題は以下のとおりであります。

① 建築基準法改正への対応

 2022年6月の通常国会において、建築基準法の一部改正が決議され、2025年より木造住宅の省エネルギー性能について、従来の基準より高度な省エネルギー性能基準を確保することが義務化されました。また、木造における確認申請基準(4号特例)も改定され、木造住宅における簡易設計(壁量計算)の基準が強化(壁量の増加)されることとなりました。

 そのような状況の中、創業以来木造住宅の耐震構造設計と省エネルギー設計を主業務とする当社グループでは、2025年以降のニーズ増大に対応すべく、サービスの拡充及び受注増加に向けた社内体制の整備をすすめてまいります。

② 木造耐震設計事業住宅分野の営業体制及び構造設計体制の強化と収益の拡大

 当社グループは、木造耐震設計事業を主力事業としておりますが、この事業の安定的・継続的な発展が収益基盤の基礎として必要であると考えております。そのためには、登録施工店ネットワークの継続的な拡大に向けて、工務店を中心とした新規顧客の開拓を着実に進めていくことが必要不可欠であると考えております。

 また、建築基準法の改正に伴う2025年以降の構造設計ニーズの増大に対応するため、営業体制及び構造設計体制の強化が課題であると考えており、人員の配置転換や人材採用・育成制度の整備等による体制強化を進めてまいります。あわせて、登録施工店に対するサービス内容やサポート体制を適宜見直し、受注体制を整備してまいります。

 高付加価値の工務店ブランドである「重量木骨の家」については、パートナー工務店の拡大とともに、WEBプロモーションを推進し、引き続きブランド化を進めてまいります。

 今後も、登録施工店ネットワークを通じたSE構法の更なる普及により、住宅分野の収益基盤の拡大を図ってまいります。

③ 省エネルギー計算サービス等の環境設計量産体制の構築と収益の拡大

 2021年4月から住宅の省エネルギー性能の説明が義務化され、建築基準法が改正される2025年以降は、従来の基準より高度な省エネルギー性能基準を確保することが義務化されました。

 当社グループでは2017年から省エネルギー計算サービスを開始しておりますが、ニーズの高まりを受け、木造建築の省エネルギー計算サービスの量産体制を整えるとともに、補助金の受給に関するコンサルティングなどサービスの拡充を行い、収益基盤の拡大を図ってまいります。

④ 木造耐震設計事業大規模木造建築(非住宅)分野でのワンストップサービスの提供と収益の拡大

 国内における木材利用の促進政策として2010年10月に「公共建築物等木材利用促進法」が施行されたことにより、国や地方自治体の関与する公共建築物への木材利用が促進されております。また、2050年のカーボンニュートラル実現と脱炭素社会の実現を目指し、「公共建築物等木材利用促進法」を改正した「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が2021年10月に施行され、木材利用を促進する対象が公共建築物だけでなく民間建築物にも拡大されるとともに、脱炭素社会の実現に向けて積極的に木材を活用し、森林の適正な整備や木材自給率の向上を目指すこととなりました。

 そのような状況を踏まえて、集合住宅や病院・保育園等においても木造建築のニーズが高まっておりますが、これら住宅よりも規模の大きい木造建築においては、当社グループがこれまで培った構造計算ノウハウが必要となることから、当社グループの成長分野として位置づけ、構造設計から加工、施工まで当社グループ独自の大規模木造建築に関するワンストップサービスを提供しております。

 具体的には、当社で取り組むSE構法による大規模木造建築の構造設計及び構造加工品の提供に加えて、株式会社木構造デザインでは、SE構法以外の大規模木造建築の構造計算を行うことで、大規模木造建築の構造計算ニーズの高まりに対応しております。

 また、当連結会計年度においては、2022年10月1日付で株式会社翠豊の株式51.2%を取得し子会社化いたしました。株式会社翠豊は、大断面集成材加工や特殊加工、大規模木造建築の施工力に強みを持つ会社であり、子会社化により、当社グループが取り組む大規模木造建築の構造計算事業に加えて、大断面集成材の特殊加工や施工を事業化することで、大規模木造建築のワンストップサービスを提供する体制が整いました。

 今後も大規模木造非住宅建築に対応した設計システム等の技術研究開発や、構造加工品等の生産・供給体制を更に強化し、当社グループとして非住宅分野における収益の拡大を図ってまいります。

⑤ 構造加工品の供給体制の強化

 当社グループは全国の構造加工工場と構造加工委託契約を締結し、集成材等の加工を委託しております。

 当連結会計年度においては、2022年12月に秋田工場が稼働を開始し、委託先の構造加工工場は全国11工場となりました。

 今後も住宅分野及び非住宅分野の拡大に対応して構造加工工場の増設を行うとともに、M&Aによる構造加工の内製化も視野に、供給体制の強化を図ってまいります。

⑥ 新技術への対応とDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進

 近年の急激なデジタル化の流れを受けて従来のサービスのみならず、顧客の利便性や企業価値向上に直結するデジタルソリューションの活用が競争優位性を維持するために必要であると考えております。

 当社グループでは、市場ニーズに適時対応していくために、BIMやAI、ChatGPTに代表される大規模言語モデルなど新技術の研究を進め、それらの新技術を活用したサービス開発や業務の効率化等を推進してまいります。

⑦ 内部管理体制の強化

 当社グループが更なる事業拡大、継続的な成長を遂げるためには、確固たる内部管理体制構築を通じた業務の標準化と効率化の徹底が重要であると考えております。

 当社グループとしましては、内部統制の環境を適正に整備し、コーポレート・ガバナンスを充実させることによって、内部管理体制の強化を図り、企業価値の最大化に努めてまいります。

⑧ コンプライアンス体制の強化

 当社グループは、法令、定款及び社内規程等の遵守は勿論のこと、日々の業務を適正かつ確実に遂行し、クリーンで誠実な姿勢を企業行動の基本として、顧客の信頼を得ると同時に事故やトラブルを未然に防止する取り組みを強化してまいります。

 今後、更なる事業拡大と企業価値の向上に向けて、引き続き日常業務における関連法令の遵守を徹底し、各種取引の健全性の確保、情報の共有化等を行うとともに、社内啓蒙活動を実施し、透明性のある管理体制の構築を図ってまいります。

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