アークス
【東証プライム:9948】「小売業」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループ(以下、「アークスグループ」という場合もあります。)は、小売業界における淘汰・再編の動きが加速するなか、クリティカル・マス(企業が存続していくために最低限必要な事業規模)を確保し、経営資源の特大化(膨張=極大化ではなく、成長=特大化を目指す)を図ることが、企業価値の更なる向上と、地域のお客様のライフラインを守る道であるとの共通認識のもと、2002年11月1日にスタートいたしました。
当社グループは、どの様な領域で社会的使命を果たすべきなのかを明確にする基本的な考え方として、「地域のライフラインとして価値ある商品・サービスを低価格で提供し、豊かな暮らしに貢献」していくことを、グループ各社が共有するグループ理念として掲げております。
また、「私たちは何のために存在するのか」という存在意義に関する考え方を表明するコーポレートステートメントとして「豊かな大地に輝く懸け橋(Bridge on the Rich Land for Your Life)」を定めております。これは、各地域にドミナントエリアを築き、多くのお客様へ新鮮で、安全・安心な食品を提供することにより、生産地とお客様を結ぶ懸け橋になりたいという思いと、同じ志を持って事業展開を進めていく地域企業同士が、海外流通資本も含めた大手流通企業に対抗していくための受け皿会社として、企業と企業を結ぶ懸け橋になりたいという思いが込められています。
グループ名「ARCS」は、Always(常に)、Rising(上昇する)、Community(地域社会に)、Service(奉仕する)の頭文字で構成され、「1つひとつの企業が強い“弧”となり、大きな円=ARCSを創りあげ、地域社会に貢献していく」ことをうたったもので、経営の基本理念とコーポレートステートメントを体現したものであります。
当社グループは、徹底した顧客志向に基づくお客様への奉仕の精神を持ち続け、将来の大同団結に向けた母体企業としての役割も認識しながら、更なる事業の発展を目指してまいります。
(2) 中長期的な経営戦略
当社グループは「八ヶ岳連峰経営」を標榜し、旧来型の垂直的な企業統合からイメージされる富士山のように高い大きな企業グループを目指すのではなく、同じような規模の山々が横に連なることで、企業とお客様の距離を短く保ち続けることを目指しております。
純粋持株会社である当社は、グループのシンクタンク的な役割として、「中核企業としての業務執行責任の明確化と意思決定のスピードアップ」、「グループ共通の課題解決を目的とした企業横断的な委員会・プロジェクトの活用」、「グループ統一の基幹システム徹底活用による生産性の向上」、「既存組織の見直しと再編成」そして「グループ統一の人事制度による人的資本経営の高度化」を主要テーマに、グループ全体の業務改革に取り組んでおります。
具体的施策としては、2019年10月から稼働した現行の基幹システムを軸に、マンアワー(MH)の日次・週次データ分析による作業効率化、単品管理による品揃え最適化、さらに顧客データ・購買情報の利活用、RPAによるバックオフィス業務自動化、電子棚札の展開など、デジタル技術を用いた業務改革を進めております。また、グループ横断での「商品調達プロジェクト」や「物流改革プロジェクト」、「店舗運営情報共有会」等を通じ、商流・物流の統一や店舗運営の効率化など、生産性向上に資する取り組みを強化してまいります。加えて、今後のM&A等による企業規模の拡大に対応すべく、より拡張性のある基幹システムの基盤拡充も目指してまいります。
サステナビリティ推進については、アークスグループとしての「サステナビリティ推進方針」を定め、同方針に基づくサステナビリティ重点課題(マテリアリティ)として、①地域社会との共生、②地球環境への配慮、③お客様の豊かな暮らしへの貢献、④ダイバーシティ&インクルージョンの推進の4つを策定しております。これらの重点課題に紐づくグループ各社共通の取り組みとして「サステナビリティアクションプラン」を設定し、具体的な活動を推進しております。また、サステナビリティ推進体制につきましては、「サステナビリティ推進室」を設置し専任者を配置し、同推進室を事務局とする「サステナビリティ推進委員会」を通じて環境対応・社会貢献・ダイバーシティ推進のPDCAをグループ横断的に管理しております。
サステナビリティに関する詳しい取り組みについては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
2018年12月に株式会社バローホールディングス、株式会社リテールパートナーズ及び当社の3社間で結成した「新日本スーパーマーケット同盟」につきましては、それぞれの展開エリアを越え、食品流通企業の全国的な結集軸として業界再編の中心核になることを目指しており、5つの分科会活動のもと具体的な相乗効果を実現するための取り組みを進めてまいりました。より現状の経営課題に資する取り組みとなるよう、厳しさを増す経営環境下ではあるものの、今後も将来にわたり生き残りを図り、地域のライフライン企業として地域の食文化・食生活を守っていくことで、食品スーパーマーケットとしての共通課題へ適切に対処すると考え、ビジネスモデルの革新に向けて取り組んでまいります。
(3) 優先的に対処すべき課題
今後のわが国経済は、物価上昇や実質賃金のマイナス傾向が続いており、消費者の節約志向はなお根強いと見込まれ、米国発の通商政策の不確実性などもあり、先行きは一層不透明感を増しております。
このような状況のもと、当社グループは「インフレ続く時 賃金物価の壁を 生産性向上で突破し 好循環実現に全力投球」を年頭方針として掲げ、賃金・物価の好循環の実現に向けてローコスト経営のさらなる徹底を図るとともに、技術革新と人材育成を基盤とした生産性向上が不可欠と捉え、その実現のための施策に全力で取り組んでまいります。
営業面につきましては、業界再編の動きが活発化する環境下において、お客様の多様化するニーズと節約志向への対応が求められる中、価格政策を強化・徹底するとともに、鮮度やおいしさにこだわった商品を拡充し、競合店との差別化を図ってまいります。具体的には、各事業会社における生産者や地域メーカーと連携した商品の品揃えの強化や、CGC商品並びに新日本スーパーマーケット同盟オリジナル商品の更なる拡販に注力いたします。また、「商品調達プロジェクト」によるグループの商流統一をさらに進めるほか、店舗運営は「店舗運営情報共有会」、物流は「物流改革プロジェクト」が中心となり、グループ内好事例の横展開による営業力強化に引き続き取組んでまいります。
加えて、2025年10月には「RARAプリカ(※1)」をより快適にご利用いただけるように、銀行口座チャージやクレジットチャージに対応する予定です。お客様が指定された銀行口座またはクレジットカードをご登録いただくことにより、アークスアプリでのチャージが可能となる機能を追加いたします。
生産性向上の施策として、電子棚札のグループ各社への横展開を進めてまいります。㈱ユニバースでの先行導入とその検証結果によって、POP・プライスカードの貼替作業の削減や売価表示ミスの低減が明確となったことを踏まえ、売場における部門横断的な作業の標準化・効率化に取組んでまいります。また、バックオフィスにおいてはRPA(※2)化を継続して実施し、定型業務の自動化、省力化をさらに徹底してまいります。
現行の基幹システムについては、2027年10月に切替時期を迎えることから、生鮮食品の自動発注など生産性向上に資する機能強化に加え、プロセスセンターや外部委託センターを含めたグループ内物流システムの統一を図ってまいります。スーパーマーケットの基幹システムとして、店舗・センター・本部における業務の操作性を高め、グループ全体で利活用可能なシステム基盤の構築を進めてまいります。併せて、今後のM&A等による企業規模の拡大に対応すべく、より拡張性のある基盤拡充も目指してまいります。
店舗展開につきましては、少子高齢化による人口減少や競合店の出店動向及び、設備投資のコスト水準も見据えながら、お客様の支持を高めるべく、スーパーアークス業態への転換を中心に店舗改装を積極的に進め、年間で24店舗の改装を実施する予定です。新規出店は現在1店舗を計画しておりますが、費用対効果を見極めながら機会を捉えてさらに検討を進めてまいります。
サステナビリティに関する活動につきましては、今期に策定・公表した「アークスグループ カスタマーハラスメント対応基本方針」に基づき、具体的なマニュアルの作成、研修及び相談体制を充実してまいります。加えて、2025年3月に経済産業省より「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」の認定を取得し、当社グループ並びに地域社会全体に健康経営の考え方を普及拡大してまいります。また、気候変動問題への取組みとして、2023年4月に開示した「TCFD提言に基づく情報開示のお知らせ」に従い、スコープ1・2に基づく温室効果ガスの排出量削減に向け、冷蔵・照明機器及び空調設備等の入替えによる省エネの推進、非化石電源や再生可能エネルギー由来の電力導入などの移行計画を策定、実行してまいります。このほか、サステナビリティ推進委員会に4つの目的別チーム(投資家対応チーム、統合報告書チーム、人的資本チーム、廃棄物・資源物チーム)を新たに立ち上げ、各取り組みの実行度を高めることで現在策定中の統合報告書2025年版の内容を充実してまいります。
(※1)RARAプリカは、店舗に設置しているチャージ機で現金をカードに入金(チャージ)することにより、お会計時にキャッシュレスでお買い物いただけるカードです。
(※2)ロボティック・プロセス・オートメーション(Robotic Process Automation)の略で、作成したシナリオに基づいて動作するロボットにより、主にデータ入力等のルーチン業務や事務ミスの検知等を自動化する仕組みであり、業務の効率性並びに正確性を向上させることが期待されます。
(4) 目標とする客観的な指標等
当社グループは、主要経営指標のなかでも、ROE(自己資本利益率)及びROA(総資産経常利益率)を重視しており、毎期継続した利益成長と資本の効率的な運用、積極的な株主還元を図ることで、ROE8.0%以上、ROA10.0%以上を中長期的な目標数値に設定しております。具体的な取り組みとして、新規出店や店舗改装といった設備投資の拡大、従来に増して積極的なM&Aの推進といった施策に経営資源を注力し、利益水準の引き上げを図ります。そのほか、デジタルトランスフォーメーションの推進によるコスト削減や事業子会社の生産性向上に向けた支援、増配等の利益還元の強化の取り組みなどにより、各指標の向上に取り組んでまいります。
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