企業兼大株主アズワン東証プライム:7476】「卸売業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針及び経営戦略

 当社グループは、人・モノ・情報・サービスを繋ぎ、研究・産業・医療のフィールドでその成果を加速させるため、「革新と創造」という経営理念のもとで、「顧客満足度の追求」を徹底することにより業容を拡大し、併せて業務の効率化を推進することによって収益力の強化・企業価値の増大を図ることを経営の基本方針としております。

「顧客満足度の追求」につきましては、より多様化するユーザーニーズにきめ細かく対応するために、魅力ある幅広い品揃え、カタログやインターネット等による様々な情報の提供に加え、商品のクイックデリバリーやサポートサービス、そしてワンストップでそれらが解決できるプラットフォームを提供すること等、お客様の利便性向上が重要であると考えております。

<目標とする経営指標及び中長期的な会社の経営戦略>

長期ビジョン「AS ONE VISION-2035」

2025年度より新たな中期経営計画をスタートさせるにあたり、研究開発の“3つのない”を解消し、お客様の研究・医療活動の加速を通じた社会全体や地球環境へ貢献することを目指し、2035年におけるありたい姿を纏めました。

  提供価値

  ・「見える・つながる・手に入る」イノベイティブ・プラットフォーム

  ・ハブ機能とインテリジェンスを活用して、研究・開発・医療の発展に貢献する財務的なありたい姿

  ・持続的かつ非連続的な成長と高効率経営の両立

  ・連結売上:持続的成長による2,000億円~M&A等の非連続的要素を加えた3,000億円

  ・ROE:17.0%以上

 研究者等の抱える「お金がない」「時間がない」「もったいない」という“3つのない”を解決するため、当社がサプライヤー、販売店、エンドユーザーのハブとしてインテリジェンスを注入していきます。これにより、国内研究費市場で当社の到達可能な市場領域を、消耗品や汎用機器を中心とした3,000億円市場から、人材や建物設備まで含まれる22兆円市場まで大きく拡大させます。そのために、業界の中心にあるハブの役割を活かしたデータドリブンを強化し、データから得られるインサイトから、様々な打ち手を展開していく方針です。

中期経営計画の推進

長期ビジョン「AS ONE VISION-2035」を見据え、足元の3カ年について中期経営計画(FY2025-27)を策定しました。この計画のもと、2027年度の達成すべき目標に向け活動していくとともに、その先の将来に向けても持続的かつ非連続的に成長することができるよう経営基盤の構築に邁進してまいります。

[中期経営計画(FY2025-27)」(2025年度~2027年度)]

 中期経営計画(FY2025-27)の概要は以下のとおりです。重点施策の主な内容は「(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題」にて記述いたします。

①  事業及び重点施策

ⅰ.ECの進化(eコマース/商品データベース)

ⅱ.サプライチェーン上の価値の最大化(商品点数/在庫の見える化/物流機能)

ⅱ.事業領域の拡大(サービス/オリジナル品/新たな取組み)

②  目標とする経営指標

 最終目標年度        :2027年度

 目標連結売上高       :1,300億円

 目標連結営業利益      : 148億円

 連結営業利益率       : 11.4%

 目標ROE(株主資本利益率): 13.0%以上

  ③ 株主還元

   「第4 提出会社の状況 3 配当政策」にて記述いたします。

(2) 経営環境

 当社を取り巻く環境としては、以下のような変化が見られます。

まず、ユーザー側では、発注管理の効率化やコンプライアンスの観点から取引の電子化を求めるニーズが高まっています。電子購買への移行に際しては、専門的かつワンストップで購買できる品揃えの豊富さや、迅速な納品を可能にする高度な物流機能が重視されています。さらに、研究開発や製造プロセスに用いられる機器類に対しては、品質を担保するニーズが高まり、点検・校正といったアフターメンテナンスサービスの需要が増加しています。また、機器メーカーごとに個別対応する煩雑さを解消するため、管理を一括化したいというニーズも顕在化しています。

海外においては、日本の2~3倍の研究開発費を投じる米国や中国、さらにはそれに続く欧州などの広大な市場が存在します。加えて、国内企業のグローバル化が進展しており、中国から東南アジアへの生産拠点のシフトや、欧米企業とのアライアンスなど、多方面への展開が見られます。一方で、米中対立の激化や、米国による相互関税措置の影響により、日本の輸出企業の一部ではコスト増や販売減といった苦境が生じる可能性があり、事業継続性やサプライチェーン再編への対応が求められる可能性があります。また、パンデミック時に経験したグローバル・サプライチェーンの寸断や経済安全保障の観点から、経済のブロック化が進み、国内回帰の動きも強まっています。

医療業界においては、国全体として中長期的に医療費抑制の方針が掲げられています。医師の残業規制が適用される中、人手不足や人材の偏在により、病院経営は依然として厳しい状況が続いています。病院数・病床数は減少傾向にあり、とくに中小病院では人件費の増加を補うため、他経費の削減を強いられています。その結果、公立病院の約70%が赤字に陥っているという実態があります。こうした状況は、当社にとっては物品購入の減少という形でマイナス影響を及ぼす一方、経営効率化の観点からECを活用した集中購買ニーズの高まりがプラスに働きます。また、コロナ禍における医療資源の逼迫を経て、医療業界でもサプライチェーンの信頼性が一層重視されるようになっています。

一方で、クリニックや介護施設は増加傾向にあり、再生医療の社会実装の進展に伴い、小規模なCPC(細胞培養加工施設)のクリニック内設置も増加しつつあります。

社会構造の変化としては、人口の高齢化により労働力人口は減少に転じており、当社の販売店、物流パートナー、エンドユーザーにおいても人手不足が大きな課題となっています。労働の質を意識したウェルビーイングや効率的な働き方も求められる中、賃上げの機運も高まっており、人財への投資を通じた高付加価値の創出、すなわち人的資本経営の重要性が一層増しています。

さらに、「所有から利用へ」というシェアリングエコノミーの潮流は、研究現場にも波及し、実験機器を保有するのではなく、必要なときに利用あるいは委託する形でアウトプットを得ようとする動きが進んでいます。

また、Society 5.0時代においては、AI(人工知能)、IoT、ロボットなどのデジタルテクノロジー、あるいは社会課題をバイオテクノロジーで解決しようとするBX(バイオトランスフォーメーション)の進展により、社会全体に大きなパラダイムシフトが起きています。加えて、気候変動や労働環境といったサステナビリティの観点からも、こうした変化は今後ますます加速していくものと見込まれます。

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当社グループは、「科学」・「医療」を中心とした専門分野を主な事業領域としており、研究の成果や医療の提供が持続可能な社会の創造につながると考えております。そのために、当社のプラットフォームを通じて人・モノ・情報・サービスを効率的に繋ぎ、研究者や医療従事者が様々な課題を乗り越え、目指す成果により早く到達できるようアシストすることで、社会に貢献してまいります。

① eコマース

 企業間の調達・在庫管理の場面において、DX(デジタル・トランスフォーメーション)はまだ緒に就いたばかりであり、今後加速度を増して普及していくものと考えています。この潮流の中で、膨大な商品情報をデジタル情報として統合している当社のeコマースはますます有用性が増し、当社の強みとなっていきます。大企業を中心にご利用いただいている集中購買システム「ocean」は、ユーザー企業でアナログ的に分散購買されていた間接資材を社内ECで一括購買する仕組みです。「Wave」は、当社が裏方として販売店とユーザーのお取引のEC化を図る購買WEBサイトです。これらの仕組みは、お客様の在庫管理にも応用可能であり、お客様の物品庫から持ち出されたら補充する「富山の薬売り」のようなサービスも展開しています。今後は、こうした仕組みを発展させ、医療機関向けにもECを活用し院内在庫管理と発注管理を効率化する仕組みを展開していきます。これらに加え自社WEBショップ「AXEL」や「as kitchen」、通販会社との連携を含め、EC領域の拡大を推進してまいります。

② 商品データベース

 業界のデータベースを自認するSHARE-DBは、川上のサプライヤーにとっても、川下の販売店やユーザーにとっても有用なデータベースです。サプライヤーは、商品情報の登録システムであるSHARE-GATEから、最新の情報を登録することができ、価格や仕様変更だけでなく新商品提案もスムーズで、素早く情報をお客様に届けることができます。販売店やユーザーは販売店連携システムの「ai-com web」やWEBショップの「AXEL」を通じて最新の情報をする入手することができます。2025年度は「AXEL2.0」と銘打ち、検索エンジンのブラッシュアップを図り、見やすさ、使い易さに磨きをかけます。さらに、検索データ、取引データ、レビュー、問い合わせデータなどの様々なデータに基づき、商品情報拡充を行うとともに、顧客特性に基づくパーソナライズも実施して利便性を追求してまいります。

③ 商品点数及びバーチャル在庫

 10年前に3億円だったWEB単独掲載商品の売上は現在198億円に達し、今後3年間で1.7倍の343億円への拡大を目指しています。AI活用やデータドリブンの徹底を通じて顧客ニーズを把握し、品揃えの最適化を進めることで、品揃えアイテム数を3年で1,700万点への到達を目指し、さらなる成長を図ります。当社の取扱いアイテム数は、10年前の7万点から1,240万点に拡大し、当社在庫数のみならずサプライヤーの在庫(バーチャル在庫)も当社在庫額の15倍に相当する1,550億円分を開示しています。バーチャル在庫でも3日以内に89%の商品を出荷可能とし、研究者が必要とするロングテール商品の提供を実現しています。今後は、当社とサプライヤーの在庫量だけでなく、販売店やエンドユーザーも含めたサプライチェーン全体の在庫の見える化「“4-STOCK”コンセプト」を推進し、業界全体を在庫管理や発注管理の作業から解放する、調達革命の実現を目指してまいります。

④ 物流機能

 当社は、物流能力の拡張を目的として、2020年に東日本をカバーする自動化基幹流通拠点「Smart DC」(千葉市、約16,000坪)を設置し、2023年には西日本の補完拠点として「阪神DC」(尼崎市、約13,000坪)を 開設しました。さらに、2025年6月には九州地区の経済発展を取り込むため朝倉市の既存倉庫を移転し、「九州 DC」(古賀市、約2,560坪)を新設拡張しました。この九州DCでは、棚搬送AGVを導入し、ピッキング作業の省力化を実現しています。また、この省力化技術は既存の物流センターにも段階的に展開していく予定です。 加えて、当社のステージが上がっていくにつれて必要となる地域サテライトセンターや基幹DCの新設を検討するとともに、データ・シミュレーションを活用し、調達先、配送ルート、在庫数、棚ロケーションなどの最適化を進めています。当社を業界のハブとして経由することでサプライチェーン全体の物流が最適化されるよう、各プレイヤーと連携を深め効率化を進めてまいります。

⑤ サービス及びオリジナル品

 当社は、物販に留まらず、2018年ごろから研究機器や計測機器のレンタルや校正(精度管理)、研究受託な どのサービス事業にも注力してまいりました。現在では売上高が40億円に達し、研究・医療分野におけるサービスニーズには手ごたえを感じています。これを踏まえ、将来のさらなる発展を見越して、2026年末頃に現センター隣地(自社保有地)に現行の3.3倍の延床面積(約1,800 坪)を持つ新たなレンタル&校正センターを建設し、能力アップを図ります。物販からサービスまでワンストップで「見える・つながる・手に入る」頼れるプラットフォームを目指し、さらなるメニューの拡大を図り、お客様の利便性と収益拡大を図ってまいります。一方で、当社はメーカー品を卸売するだけでなく、プライベートブランド(PB)商品と独自の海外調達品も含めたオリジナル商品の開発にも注力しています。オリジナル商品売上は現在334億円に達しており3年後には1.3倍の420億円を目指します。独自開発に加え、有力メーカーとの協業によるダブルブランドやOEM製品の拡充を進めることで、PB商品の投入速度を加速してまいります。

⑥ サステナビリティ

 当社は、多様な人財が健康に活躍できる環境を整えるため、「健康経営体系ASsisT(AS(ONE)_S(olution) _I(ntegrated)_S(upport)_T(echnology))」を策定し、健康経営優良法人に3年連続で認定されていま す。また、多様性推進の一環として、女性管理職比率は 2025年4月に中期目標の10%を達成し、2030年度に20%を目指しています。この結果、2024年度には「えるぼし」「くるみん」の認定を取得しました。また、2024年度には「人権方針」および「カスタマーハラスメント対応方針」を新たに策定しております。さらに、サステナブル調達基本方針に基づき、サプライヤーに環境配慮や人権に関する方針を周知し、一部の海外仕入先では現地確認を実施して透明性を高めています。気候変動への対応として、データ活用による最適配送を推進し、単品累計で月間削減距離は地球17周分に相当する約70万kmに達し、運送逼迫の軽減や脱炭素に繋がる活動を行っています。今後も持続可能な社会の実現と自社のサステナビリティ向上に向け、取り組みを強化してまいります。

⑦ 企業価値の向上

<株式市場と向き合う経営>

 当社は高水準の収益力のもとで、配当性向50%超を続けてまいりました。今般2025年度より始動した中期経営 計画(FY2025-27)において、ITや物流設備のほか戦略的成長投資にキャッシュを振り向けつつ3年間の累計総還元性向を60%~75%にすること、そのうち配当に関しては基準利益の50%以上かつ累進配当制度(増配)を採用することを掲げました。今後も、資本コスト・ 資本効率を意識して資金配分・株主還元を検討し、効率的かつ積極的な成長投資を行うことで、長期的にROEを高めてまいります。

 <イノベイティブ・プラットフォームの実現>

 現在も10年後も研究者は常に困りごとを抱えており、業界内のサプライチェーンでも解決すべき困りごとが存在します。当社はこのサプライチェーンの中心的ハブのポジションを活かし、研究者そしてサプライチェーンに欠かせないイノベイティブ・プラットフォーマーでありたいと考えました。つまり、当社がハブとしてインテリジェンスを付加することで、サプライチェーン全体の情報を見える化し、多彩な選択肢を提供することで、あらゆる研究リソースが「見える・つながる・ 手に入る」世界です。そのため、膨大なデータを基にしたデータインサイトの視点から新たな価値を見出し、カバーする事業領域の拡大、メニューの充実・高度化、サービス品質の向上に努めることで、株主価値の向上を目指してまいります。

「革新と創造」という経営理念のもと、変化をチャンスと捉えて新しいことにチャレンジし、新しい仕組みを作り出すことにより、社会に価値を提供し続ける会社として発展してまいります。

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