アクセルスペースホールディングス
【東証グロース:402A】「輸送用機器」
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企業概要
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主なリスクは、以下のようなものがあります。
当社グループは、これらのリスクの発生可能性を十分に検討及び認識した上で、リスクを回避し、リスクが顕在化した場合には適切な対応を進める方針ですが、その対応を講じた結果には不確実性が伴います。したがって、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があります。
また、これらの主なリスクは、投資家の投資判断の過程で重要であると考えられる事項については、幅広く記載しておりますが、投資判断のためのリスクを全て網羅したものではなく、これら以外にも様々なリスクを伴っていることにご留意ください。
当社グループが属する宇宙産業全体としては、未だ市場草創期であることから、将来の市場規模及びその拡大の可能性には不確実性を伴います。また、当社グループが事業を展開する小型衛星関連サービスを含めて、宇宙関連技術や商業サービスの開発には長期間にわたる多額の研究開発費用を要し、さらに全ての研究やサービス開発が成功する保証はなく、様々な事情による遅延のリスクがあります。このように、当社グループの事業は性質上、様々な不確実性とリスクを有しており、当社株式への投資は、一般投資者による投資対象としては相対的にリスクが高いものといえます。
なお、本項における将来に関する事項については、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)衛星画像及びそのサービス市場の成長鈍化について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期無し、影響度:大)
当社グループが事業を展開する世界の衛星画像及びサービス市場は、衛星画像市場が2023年1,913百万米ドルから年平均成長率約5%で成長し、2033年には3,005百万米ドルに達すると予測され、衛星画像を元に提供される衛星画像サービス市場が2023年3,110百万米ドルから年平均成長率約5%で成長し、2033年には4,924百万米ドルに達すると予測されており、今後も継続的な拡大が見込まれております(Novaspace社 Earth Observation Data & Services Market 17th Edition, 2024)。
当社グループにおいても、これまで衛星画像を利用したことのない新規顧客の開拓や、既存顧客との衛星画像の新規需要の開拓に取り組むことで、衛星画像及びその衛星画像サービス市場の成長を一層加速できると考えております。
しかしながら、景気減速その他様々な理由による衛星画像及びそのサービスを必要とする事業者の財政状態の悪化、衛星画像の急激な技術進化、衛星事業者に関する規制の動向、衛星画像の需要の減退をはじめとする市況変動等により、想定どおりに市場が成長しない可能性があります。また、顧客が政府系機関の場合には宇宙関連事業に投入可能な予算額の減少、国際情勢の変化により国防予算の縮小が生じる可能性があり、市場に十分な需要が生じない可能性があります。さらに、衛星画像に関して、当社が想定していない人工衛星画像以外の他分野の画像撮影技術の進化等により、想定どおりに衛星画像市場が成長しない可能性があります。
また、契約相手方との関係や競合相手、所在国の状況によっては、当社が希望する価格設定や契約条件の設定を行えない可能性があり、当社が期待するだけの需要を喚起できない可能性があります。
加えて、当社又はNovaspace社が策定する市場規模に関する予測は、様々な仮定や前提条件に基づいており、前提条件の内容等によってその計算結果は大きく異なります。このため、今後、当該仮定・前提条件が想定と異なる場合には、想定している市場成長率が鈍化し、当社グループの業績が想定どおりに成長しない可能性があります。
したがって、上記の予測どおりに衛星画像及び衛星画像サービス市場が拡大しなかった場合には、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(2)競合について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期無し、影響度:中)
現在、国内・海外で小型地球観測衛星のコンステレーション構築計画を表明する企業は複数存在しており、また、今後の市場規模拡大に伴い、国内大手企業と海外企業が連携する事例なども増加していることから新規参入が相次ぐ可能性があります。また、AxelGlobe事業を展開する光学衛星分野については、主に海外においてすでに事業を展開している企業等が存在します。
しかしながら、当社グループは2008年の創業以来一貫して小型衛星事業に取り組んでおり、これまでに11機の小型衛星の開発・運用を行ってまいりました。これらを経て小型衛星ミッションのために最適化した独自の設計基準、宇宙でも利用可能な民生部品の積極的な活用による低コストの衛星開発手法、安定的な衛星運用ノウハウ、良質な衛星画像処理技術を確立してまいりました。これにより小型衛星の開発・製造・運用の短期間かつ低コストでの実施や、それらを源泉として低価格で高品質な衛星画像サービスの提供を可能とすることで、競合企業に対する優位性を構築し、AxelLiner事業とAxelGlobe事業のそれぞれにおいて競争力を向上させてきました。
今後も技術発展スピードの速い人工衛星関連技術の研究開発を継続的に行っていくとともに、ユーザー業界のニーズに合わせたソリューションの提供等、お客様目線に立ってサービスをより充実させていき、さらに知名度向上に向けた取り組みも積極的に行ってまいります。
しかしながら、競合他社が大幅な技術革新、より付加価値の高いビジネスモデルやソリューションの開発、政府系機関等からの補助金受領などにより競争力を高めた場合、又は想定以上の企業数の新規参入等により競争が激化した場合には、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(3)AxelLiner事業における受注見込の遅延の可能性について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:3年以内、影響度:大)
前記「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営戦略等 2.AxelLiner事業」に記載のとおり、将来的にAxelLiner事業では本格的な収益化に向けて、多様なミッションに対応可能な汎用バスシステムの確立及びユーザーエクスペリエンス(UX)革新の鍵となるソフトウエアの「AxelLiner Terminal」完成等の研究開発活動を推進し、世界的に官民双方で急速に高まる小型衛星利用ニーズに対応する予定です。
当該ビジネスモデルの実現のためには、当社グループ独自の汎用バスシステムの確立及びAxelLiner Terminalの提供が重要です。しかしながら、本書提出日現在において、当社グループの想定する汎用バスシステムに必要な技術が実証できておりません。汎用バスシステムの技術開発については、2024年3月5日(日本時間)に実証衛星「PYXIS」を打上げ、軌道投入に成功しましたが、電源供給系統の故障が発生し、通信が断絶したことから宇宙空間での実証実験は完了しておりません。2025年6月24日(日本時間)に打上げ、初期運用中の「GRUS-3α」にて実証実験を実施しておりますが、システム又は機材の故障及び宇宙天気等の変化による自然災害等の影響で「GRUS-3α」での実証実験が当社の想定どおりに完了しない可能性があります。また、「GRUS-3α」で一定の実証が完了したとしても、今後もさらなる実証実験が必要です。
当社グループは、前記「第1 企業の概況 3 事業の内容 (2)基盤となる小型衛星に関する技術」に記載のとおり、必要となる技術開発を進めておりますが、汎用バスシステムの技術的確立の遅延、標準部品の選定と量産化の課題、AxelLiner Terminalの開発遅延・ソフトウエアの複雑性による安定稼働等、当社の想定どおりに実行されない場合には、当社グループの収益化に対して悪影響が及ぶ可能性があります。また、当社が十分に資金調達を行うことができない等の理由により、必要な開発資金を適宜投入する事が困難となり、当社グループの収益化に対して悪影響が及ぶ可能性があり、競争力を失う可能性があります。
また、汎用バスシステムの商用化及びAxelLiner Terminalの提供を開始したとしても、顧客の各種要因により衛星開発自体が進まない可能性、顧客側のコンポーネント製造に必要な資金手当てが困難になる可能性もあり、サービスの提供・継続が困難となる可能性があります。また、スピードの速い人工衛星関連技術の研究開発を継続的に実施する必要があり、汎用バスシステムの継続的な改修・AxelLiner TerminalのUX向上等のためには、各種研究開発費・人件費等多額の支出が継続的に必要となり、結果として支出が当社の想定を上回る可能性があります。
さらに、当社グループがサービスの提供のために外部業者と協力して進める場合、当該業者と契約条件を合意できない場合や当該業者によるサービスが想定どおりに提供されない場合等には、当社グループのサービス提供に支障が生じる可能性があります。加えて、今後、当社グループがサービス展開をできたとしても、競争が激化する場合や、当社グループが付加価値のあるサービスを競争力のある価格で提供できない場合には顧客を獲得できる保証はなく、また、当社グループが十分な利益を上げられるほどの単価を設定できる保証もありません。
また、当社グループは複数の世界各国の民間企業との間に、AxelLiner事業でのサービス提供について、基本合意書(以下「MOU」という。)等を締結しております。しかしながら、これらのMOU等の締結は、当社グループの将来の売上高を保証するものではありません。加えて、これらのMOU等について、当社グループが最終契約を締結できる保証はありません。また、最終契約を締結できたとしても、当該契約の内容は、MOU等の内容とは大幅に異なる可能性もあります。
さらに、当社グループが締結するMOU等には、相当期間の未来の内容について合意するものが存在し、仮にMOU等の内容どおりに最終契約締結に至ったとしても、将来の時点においては経済合理性を欠いている可能性もあります。
(4)政府系機関の顧客について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期無し、影響度:大)
当社グループの既存顧客には、政府系機関が含まれ、売上高に占める割合は以下のとおりとなっており、当面の間、売上高の大部分を占める状況が継続する予測をしております。
相手先 | 前連結会計年度 (自2023年6月1日 至2024年5月31日) | 当連結会計年度 (自2024年6月1日 至2025年5月31日) | ||
金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) | 1,239,099 | 58.7 | 1,147,285 | 72.3 |
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT) | 277,301 | 13.2 | 173,923 | 11.0 |
経済産業省 | 128,118 | 6.1 | 107,827 | 6.8 |
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA) | 115,829 | 5.5 | - | - |
政府系機関からの発注については、国家予算や地政学上のリスクに影響を受ける傾向があり、政府系機関からの意向により発注金額の縮小、プロジェクト内容の変更又は中止の可能性があります。
さらに、プロジェクト遂行中に、追加的な規制や要件の遵守を求められる可能性があり、契約対象であるプロジェクトが遅延する可能性、必要な支出に際して政府系機関との見解相違及び支出の必要性についての認識の齟齬が生じる可能性、当社グループの技術内容を含めた一定の事項について対外的に開示が要求される可能性、調達先の指定等の一定の要件を課される可能性があります。
加えて、政府系機関との契約においては、契約条件の遵守について政府系機関による調査権が認められており、当社グループがこれらの規制に違反した場合、契約の解約のみならず、行政処分等の対象となる場合があり、係る処分等が下された場合、当社グループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。この場合、利益の減少、法令や契約上の義務違反時の課徴金及び他のプロジェクトへの入札禁止等につながる可能性があり、当社が想定したとおりの収益を上げることができない可能性があります。
特に機密性の高い案件に当社グループが関与した場合、機密保持の観点で案件情報の開示が制約される可能性もあり、その場合は投資家への情報提供が十分に行えない可能性があります。
政府系機関のプロジェクトでは、開発フェーズごとに審査が設けられており、当社グループが初期フェーズを受注しているプロジェクトでも、競合入札事業者が存在する場合には、当社グループが当該プロジェクトの後続フェーズを受注できない可能性があります。
今後も、政府系機関が売上高の大部分を占めると予測しており、当社グループの収益の大部分を政府系機関に依存する状況が継続する可能性があります。当社グループは、AxelLiner事業、AxelGlobe事業それぞれにおいて、民間企業からの新規契約の獲得を通じて収益の分散化を推進していきますが、何らかの事情により、収益分散が予定どおり実現できない可能性も考えられます。
(5)事業の特性による外的要因リスクについて(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:特定時期無し、影響度:中)
当社グループの業績はミッションの進捗、参加するコンソーシアム全体での計画の変更、新サービスの導入や拡大、サプライヤーの納期遅延や製品仕様変更、競争環境の変化、政府系案件の入札・受注状況、予期せぬ問題の発生など、当社グループの管理が及ばない要因によって、当社グループの収益は影響を受ける可能性があります。また、研究開発段階では、プロジェクトの進捗に伴う設計の変更、プロジェクトの計画の遅延が生じた場合、当社グループの収益に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(6)開発遅延について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期無し、影響度:大)
当社グループでは、前記「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営戦略等」に記載のとおり、AxelLiner事業における人工衛星の関連技術・宇宙機製造アライアンスによる衛星量産体制の整備やUX革新の鍵となるソフトウエア、AxelGlobe事業における中分解能衛星・高分解能衛星や衛星データ利用促進のためのシステムなど、必要な研究開発を進めておりますが、これらの開発に想定以上の期間を要する場合や開発に失敗するリスクも考えられます。
当社グループでは、重要な技術開発に係る進捗については、毎月の取締役会等で継続的に状況を確認・管理することとしており、開発スケジュールへ影響を及ぼさないよう調整を行う方針ですが、仮に開発遅延や失敗が生じた場合には、当社グループの予定しているサービス提供開始が遅延し、又はサービスとしての提供を断念する可能性があります。
また、予期しない事態の発生などにより、当社グループが開発し打上げた小型衛星が故障又は喪失した場合、原因究明やその後の開発再開に相応の時間を要することや生じた技術的問題に対応するため想定外の費用が生じる可能性もあります。さらに、顧客に提供するサービスにおける失敗や遅延が起きた場合には、既存顧客との契約解除、新規顧客の獲得が困難となる可能性や、加えて顧客からの契約に基づく損害賠償請求など、保険では補填できない損害を当社グループが被る可能性があります。これらの事態が発生した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(7)サプライチェーンのリスクについて(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期無し、影響度:中~大)
当社グループは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営戦略等」に記載のとおり、AxelGlobe事業にて今後打上げ予定の中分解能衛星・高分解能衛星に搭載するミッション機器、AxelLiner事業にて汎用バスシステムの研究開発をそれぞれ推進する予定であり、必要となる原材料、研究設備、外注先の供給不足が生じた場合には、研究開発のスケジュールに遅延が生じる可能性があります。当該研究開発の遅延に起因して、顧客に対してのサービス提供が遅延・中止される事により、当社グループの評判、事業、業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、衛星製造に関して、宇宙機製造アライアンス業務提携契約書を取引先と締結し、人工衛星製造の効率化、製造機調整も可能な並行製造の実現を目指しております。当社グループが製造する人工衛星を構成する機器(コンポーネント)の中には、固有の仕様性から製造開発しているメーカーが非常に限られているものも存在しております。当社グループではコンポーネントの調達に際しては、性能や軌道上の技術的信頼性だけでなく、安定供給の観点からも仕入先の選定を検討し、複数社からの調達可能性を重視しております。
しかしながら、仕入先企業においての燃料価格の高騰、災害や感染症の発生・拡大等により、調達先の製造能力、世界規模のサプライチェーンの混乱や特定企業の財務状態の悪化・技術開発スケジュールの遅延等により、供給に問題が発生するなどの事象が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
さらに、当社グループは、人工衛星の製造に係る部品の一部について、他社に委託しており、当該委託先が部品品質や安定供給を確立できない場合、当社グループの提供する人工衛星の製造に遅延が生じる可能性があります。委託先の部品品質や安定供給の状況を、事前に予想することは困難であり、当社グループが完全に管理することは出来ません。特に、部品の中でも長納期部品の納品遅延等が生じた場合、当社グループの製造工程に遅延が生じる可能性があります。
当社グループでは、調達先における納品状況などを定期的に確認し、サプライチェーンに関するリスクの低減に努めておりますが、これらの問題が発生した場合、想定どおりの部品提供、サービスの提供を受けることができない可能性があります。特に希少部品の納品遅延が生じた場合には、代替部品の選定に時間を要する可能性もあるため、当社グループの衛星開発・製造計画を変更せざるを得ない可能性があります。その際には、当社グループの評判、事業、業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(8)衛星の打上げにまつわるリスクについて(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期無し、影響度:大)
当社グループでは、自社で小型衛星を開発・製造していますが、その打上げと軌道投入については外部のロケット打上げ事業者のサービスを利用しています。昨今の衛星に係る打上げの成功率は高くなっているものの、一定程度失敗が生じる可能性は避けることができず、また、打上げ時期について、打上げに必要な許認可の取得に想定以上の時間を要すること、打上げ時の天候や打上げ事業者側の都合等により遅延する可能性もあります。
これに対し、当社グループは衛星の打上げ事業者の選定に際しては、打上げ時期の当社グループ事業計画との整合性のみならず、打上げ実績及び打上げ頻度を重要な基準としており、また事業計画にあわせた打上げを実現するために打上げ業者とも定期的にコミュニケーションをとっております。加えて、打上げの失敗に係る損失を軽減するため、保険事業者が提供する打上げ保険にも加入をしております。
しかしながら実際に打上げが失敗し、又は打上げ時期が遅延した場合には、当初見込んでいた宇宙空間での小型衛星を利用した実証機会の喪失や、画像データの取得ができなくなることによる画像販売に関する機会損失が発生するなど、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
さらに、実証実験やAxelLiner事業におけるミッションの失敗や遅延等によって当社グループに対する評価が低下し、既存顧客との契約解除が増加し、新規顧客の獲得が困難となる可能性や、顧客からの損害賠償請求や契約に基づく補償請求など、保険では賄いきれない金額の損害を当社グループが負う可能性があります。これらの事態が発生した場合には、想定しているサービスの提供の時期が想定よりも大幅に遅れたり、提供を断念せざるを得なくなるなどにより、当社グループの事業、業績及び財政状態に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
(9)軌道上での衛星の故障について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期無し、影響度:中)
当社グループは創業以来11機の小型衛星の開発及び運用を通じて、設計寿命までの間ミッション運用を継続できる品質水準を担保するための手法・ノウハウを確立してまいりました。さらに、当社グループが運用する小型衛星については、比較的長期にわたって宇宙空間において運用することを想定しております。
しかしながら、製造工程中の瑕疵・欠陥部品等の内的要因、運用期間中の極めて厳しい宇宙環境にさらされることにより、想定外の太陽嵐やスペースデブリ等の宇宙環境に起因する外的要因、運用期間中の衛星管制上又は運用上の故障等で、人工衛星の機能不全又は機能低下を招く可能性があります。
当社グループでは衛星コンステレーションを構築することにより、運用中の衛星に故障が起きたとしても可能な限り短期間でバックアップを図る体制の構築を目指しておりますが、衛星運用中に上記のような不測の事態が起きた場合には、小型衛星設計段階での寿命を迎える前に、衛星の機能不全又は機能低下が引き起こされ、場合によっては稼働が停止することになります。
このような事態が生じた場合、地球観測衛星データ及び顧客が要求する水準の画像の提供が不可能になり、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。さらに、当該衛星データからの収益が悪化することにより、衛星における営業活動から生ずる損益が継続してマイナスとなった場合には、減損損失等を計上する可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、初期運用中の実証衛星「GRUS-3α」について軌道上で故障が起きた場合には、上記「(3)AxelLiner事業における受注見込の遅延の可能性について」に記載したほか、既存顧客との契約解除、新規顧客の獲得が困難となる可能性があります。これらの事態が発生した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(10)AxelGlobeウェブサイトの安全性について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期無し、影響度:大)
当社グループが運営するウェブプラットフォームAxelGlobeでは、顧客の関心領域が登録されるため、これらの顧客の営業上の秘密情報の流出を防止するためにウェブサイトの稼働状況の監視体制の整備に加え、異常が生じた場合にはただちに検知する仕組みを構築しております。
しかしながら、万が一顧客情報が流出した場合には、当社グループが責任を問われる可能性があるほか、当社グループのサービスの信用力低下やイメージ悪化を招き、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(11)黒字化を達成及び維持できないリスクについて(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:3年以内、影響度:大)
当社グループは、AxelLiner事業にて小型衛星の開発・製造・打上げ後の運用に関して、打上げ機の手配や許認可の取得等の非技術的な手続きも含めてワンストップで顧客向け衛星プロジェクトの開発・運用サービスを提供、AxelGlobe事業にて当社グループが運用する地球観測衛星コンステレーションが取得した衛星画像を販売、又はそれらの画像を加工・分析して情報を抽出し、ソリューションとして顧客にサービス提供しており、両事業とも宇宙技術開発を主軸としております。このような宇宙技術の研究開発には多額の初期投資が必要となる傾向があり、投資回収期間は長期となる特徴があります。したがって、期間損益において損失が先行する傾向にあり、当社グループにおいても継続的に営業損失及び当期純損失を計上している状況です。
当社グループは、AxelLiner事業及びAxelGlobe事業を通じて、将来の利益拡大を目指していますが、現在まで当期純損失を計上している状況であり、今後も研究開発に伴う投資が増加することにより、一定期間は損失が続く可能性があります。
また、既存の顧客契約の中途解約、想定顧客の獲得が遅延した場合、人工衛星製造の延期や研究開発プロジェクトの遅延、打上げの遅延や失敗が発生した場合には、想定どおりの収益達成や原価・経費管理が困難となり、黒字化達成が遅延し若しくは困難となり、又は黒字化達成後にそれを維持できなくなる可能性も想定されます。これらの要因により、当社グループの事業、業績及び財政状態に重要な影響が及ぶ可能性があります。
(12)「受注高」、「受注残高」の数値について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期無し、影響度:大)
当社は本書において、セグメントごとの受注状況や将来の収益計上額を管理するための指標である「受注高」や「受注残高」を開示しております。今後、案件が進捗するに当たり契約条件や受注案件の計画の変更、又は定められた技術要件を満たさない等の事由により、サービス提供に応じて支払われる収入の一部が支払われない可能性があり、上記の「受注高」及び「受注残高」の一部が収益に計上されない可能性があります。
(13)特定の重要な外部パートナー及び顧客への依存について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期的に低下、影響度:大)
当社グループのAxelLiner事業の顧客であるNEDOに対する売上は、2025年5月期には72.3%を占めております。本件は「光通信等の衛星コンステレーション基盤技術の開発・実証」を受託していることによるもので、2029年5月期以降の当該特定顧客に対する依存度は減少する予定です。
足元、当社グループは政府系案件を受託することが多いため、今後も上記NEDO等の政府系機関への依存度が高くなる時期が発生することがあります。
こうした政府系機関とは、複数の受託案件を通して継続的かつ安定した関係を構築してきておりますが、政府動向による案件の消滅や当社戦略の変更による取引の停止・縮小等の要因により、当社グループの業績に一定の影響を及ぼす可能性があります。
(14)収益未確保の営業活動のリスクについて(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:数年以内、影響度:大)
当社グループは、持続的な成長を達成するため、従来から小型衛星の開発活動に継続的に投資をする必要があると考えており、今後も継続して研究開発活動を促進していく方針であります。
結果として継続的な営業損失及びマイナスの営業キャッシュ・フローを計上しておりますが、今後AxelLiner事業、AxelGlobe事業の両事業から生じる収益貢献により、営業損失が縮小、営業キャッシュ・フローが改善していく見込みです。
今後の研究開発活動については、その将来的な収益貢献に寄与する事を前提として、慎重に実施する予定ですが、想定していない開発コストの増加等が生じた場合、営業損益の黒字化に時間を要する可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、想定顧客の獲得に失敗した場合、技術開発や衛星製造における遅延、打上げの遅延や失敗が発生した場合等には、黒字化に時間を要する、若しくは困難となる可能性があります。
これらの要因により、当社グループの事業、業績及び財政状態に重要な影響が及ぶ可能性があります。
(15)人材の確保・育成について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期無し、影響度:中)
当社グループの事業継続のために必要となるハードウエア及びソフトウエアの開発・製造・運用のために優秀なエンジニアを確保する必要がありますが、そのような人材の獲得競争が近年激化しております。
そのような環境の中、当社グループは外国籍社員にも働きやすい職場環境を整えることで、国内に限らず海外の市場からも積極的に人材を獲得して人材レベルを維持してまいりました。
しかしながら、当社グループが求める優秀な人材が必要な時期に十分に確保・育成できなかった場合や人材流出が進んだ場合には、経常的な業務運営及び新規事業の拡大等に支障が生じ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16)内部管理体制の強化について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:数年以内、影響度:小)
当社グループの今後の事業運営及び業容拡大に対応するためには、内部管理体制について一層の充実を図ることが必要不可欠であると認識しておりますが、事業規模の拡大に応じた内部管理体制の整備に遅れが生じた場合には、適切な事業運営を行うことができず、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクに対して、当社グループの業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守の徹底のための内部管理体制を充実・強化していく方針であります。
(17)特定人物への依存について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期無し、影響度:中)
当社の代表取締役である中村友哉は、創業者であり、創業以来最高経営責任者として、経営方針や事業戦略の決定をはじめ、当社グループの事業遂行において重要な役割を果たしております。当社グループは特定の人物に依存しない体制を構築すべく、役員への権限委譲や、取締役会などにおける情報の共有等を図っておりますが、何らかの理由により代表取締役の業務執行が困難になった場合やその他の経営陣及び重要な従業員が当社グループから離職する場合、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(18)法的規制の厳格化及び改正について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期無し、影響度:大)
AxelGlobe事業のインフラを構成する地球観測衛星コンステレーションやAxelLiner事業において製造する人工衛星は、「宇宙活動法」「電波法」「外国為替及び外国貿易法(外為法)(輸出管理令を含む)」「衛星リモートセンシング法)」「宇宙物体登録条約」「無線通信規則(ITU Radio Regulations)」といった法規制の対象となっております。重要法令については以下のとおりであります。
宇宙活動法について、同法は人工衛星ごとに内閣総理大臣の許可を受けることとされているところ、当社グループは必要な許可を得ております。有効期限その他の期限はございませんが、人工衛星の管理を終了するときは、宇宙活動法第28条第1項に基づきあらかじめその旨を内閣総理大臣に届け出るとともに、終了措置を講じなければなりません。同法第30条第1項各号に該当する場合は、許可は取り消されますが、通常の人工衛星の運用を行う限りにおいては、該当する可能性は極めて低いと考えます。
電波法については、電波法第13条に基づき、無線局(人工衛星局及び地球局)に対する免許の有効期間は、免許の日から起算して5年を超えない範囲内において総務省令で定められており、再免許を受けることも可能となっております。電波法第5条に定める欠格事由(外国の法人又は団体、等)に該当する場合には、免許が与えられず、同法第75条第1項に定める取消事由ともされておりますが、当社グループの場合、無線局免許は非上場会社である子会社に付与されており、役員はいずれも日本国籍者であることからこれに該当する可能性は極めて低いといえます。
なお、「外為法(輸出管理令を含む)」については、当社グループが事業上影響を受ける可能性のある事象は打上げる衛星等の輸出手続きが主であり、現在該当する事象は発生しておりません。「衛星リモートセンシング法」については、現時点では、同法が適用される人工衛星を運用しておりませんが、2028年5月期に打上げ予定の高分解能衛星の打上げ後は、同衛星において同法が適用される可能性があります。
また、当社グループは、宇宙に関連する事業を行う上での様々な規制も受けます。当社グループでは、すでに打上げが完了した小型衛星「GRUS‐1」及び2025年6月24日(日本時間)に打上げた「GRUS-3α」に関して、適用法令上、必要となる許認可を取得しております。主な取得済みの許認可として、人工衛星の運用に関わる許可、無線免許に関わる許可、人工衛星に関わる許可(人工衛星の管理に係る許可、人工衛星の管理許可、宇宙物体登録)、輸出入管理に関わる許可(人工衛星及び測定機器類)の個別輸出許可、一般包括許可(輸出及び役務取引)、運用に関わる対応(監視システムソフトウエアライセンス、打上げ許可など)などがあります。上記以外にも、プロジェクト遂行に必要な許認可を事前に取得しておりますが、将来、当社グループの免許等が何らかの理由により取消し等になった場合には、当社グループの事業や業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。なお、法令違反の要件及び主な許認可取消事由に該当する事象は発生しておりません。
本書提出日現在における、当社グループの事業活動に係る主な許認可等は以下のとおりであります。
取得年月 | 許認可等の 名称 | 所管官庁等 | 許認可等の内容 | 有効期限 | 法令違反の要件及び主な許認可取消事由 |
2018年12月 | 人工衛星の管理許可 (GRUS-1) | 内閣府 | 内閣総理大臣許可 (衛星18-005) | - | 不正な手段による認可の取得や役員等の欠格条項に違反した場合は許可の取消 |
2020年11月 | 人工衛星の管理許可 (GRUS-1B) | 内閣府 | 内閣総理大臣許可 (衛星20-016) | - | 同上 |
2020年11月 | 人工衛星の管理許可 (GRUS-1C) | 内閣府 | 内閣総理大臣許可 (衛星20-017) | - | 同上 |
2020年11月 | 人工衛星の管理許可 (GRUS-1D) | 内閣府 | 内閣総理大臣許可 (衛星20-018) | - | 同上 |
2020年11月 | 人工衛星の管理許可 (GRUS-1E) | 内閣府 | 内閣総理大臣許可 (衛星20-019) | - | 同上 |
2025年4月 | 人工衛星の管理許可 (PYXIS-R) ※GRUS-3αの研究開発名称 | 内閣府 | 内閣総理大臣許可 (衛星25-009) | - | 同上 |
取得年月 | 許認可等の 名称 | 所管官庁等 | 許認可等の内容 | 有効期限 | 法令違反の要件及び主な許認可取消事由 |
2024年4月 | 無線局免許 (実験試験局) | 総務省 | 総務大臣免許 (関実第40571号) | 2029年5月9日 (5年毎の更新) | 免許人である株式会社アクセルスペースの代表者又は役員の三分の一以上若しくは議決権の三分の一以上を占めるものが、日本国籍を有しない人や外国法人となるときの免許の取消(外資規制)。 なお、親会社である株式会社アクセルスペースホールディングスはこの外資規制の対象にならないことを総務省に確認しております。 |
2023年2月 | 無線局免許 (人工衛星局) | 総務省 | 総務大臣免許 (関宇第581号) | 2027年11月30日 (5年毎の更新(注1)) | 同上 |
2023年2月 | 無線局免許 (人工衛星局) | 総務省 | 総務大臣免許 (関宇第591号) | 2027年11月30日 (注1) | 同上 |
2023年2月 | 無線局免許 (人工衛星局) | 総務省 | 総務大臣免許 (関宇第592号) | 2027年11月30日 (注1) | 同上 |
2023年2月 | 無線局免許 (人工衛星局) | 総務省 | 総務大臣免許 (関宇第593号) | 2027年11月30日 (注1) | 同上 |
2023年2月 | 無線局免許 (人工衛星局) | 総務省 | 総務大臣免許 (関宇第594号) | 2027年11月30日 (注1) | 同上 |
取得年月 | 許認可等の 名称 | 所管官庁等 | 許認可等の内容 | 有効期限 | 法令違反の要件及び主な許認可取消事由 |
2024年3月 | 無線局免許 (地球局) | 総務省 | 総務大臣免許 (関地第60595号) | 2028年11月30日 | 同上 |
2025年4月 | 無線局予備免許 (実験試験局) | 総務省 | 総務大臣免許 (関通陸三第24-00092227号) | 2025年10月1日 | 同上 |
2019年7月 | 宇宙物体登録 | 内閣府 | 2018‐111Q | - | 取消要件ではありませんが、停波・デオービット・軌道再突入時には「宇宙物体登録に係る届出マニュアル」変更届出が必要とされております。 |
2022年11月 | 宇宙物体登録 | 内閣府 | 2022‐022B | - | 同上 |
2022年11月 | 宇宙物体登録 | 内閣府 | 2022‐022C | - | 同上 |
2022年11月 | 宇宙物体登録 | 内閣府 | 2022‐022D | - | 同上 |
2022年11月 | 宇宙物体登録 | 内閣府 | 2022‐022E | - | 同上 |
2024年9月 | 一般包括役務取引許可 | 経済産業省 | BIT-M-WGL-24-S10097 | 2027年9月15日 | 許可条件を満たさなくなった場合又は国政的な平和及び安全の維持の観点から必要があると認めるときは許可の取消。 |
2023年8月 | 一般包括輸出・役務(使用に係るプログラム)取引許可証 | 経済産業省 | MBIT-WGL-23- S10108 | 2026年8月9日 | 同上 |
(注)法律上の期間の上限は5年となっておりますが、電波法施行規則により、人工衛星局ごとではなく、すべての衛星局が一斉に更新期を迎えることになります(一斉再免許)。直近では2027年11月30日に一斉再免許が予定されております。
上記以外に、製造業者が遵守すべき法令として、民法、製造物責任法、関税法、知的財産関連法(知的財産基本法、特許法、著作権法、不正競争防止法等)の適用を受けており、これらの法令等に違反した場合や社会的要請に反した行動等により法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁・事業停止命令等を受けた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループはこれらの法令を遵守しており、今後も適宜所管官庁と適切に協議を重ねる等して適用法令を遵守してまいります。
しかし、今後新たな法令の制定や、既存法令の強化などが行われ、当社グループが運営する事業が規制の対象となるなど制約を受ける場合には、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(19)知的財産の侵害について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期無し、影響度:中)
当社グループは、特許権、著作権、商標権、その他知的財産権等の法令等の下、事業活動を行っており、現段階において事業及び業績に重大な影響を及ぼす訴訟を提起されている事実はありません。また、自社の技術やサービスに関わる特許権、商標権等の知的財産権を取得することにより自社の知的財産の保護を図るとともに、他者の知的財産権を侵害することのないよう知的財産調査を行う等、注意を払っております。
しかしながら、そうした対応にも関わらず、権利侵害が発生し、訴訟等の紛争に至った場合、社会的信用の失墜、対応にかかる多額の経費発生等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(20)訴訟、係争について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期無し、影響度:大)
当社グループでは本書提出日現在において、業績に重大な影響を及ぼす訴訟や係争は生じておりません。ただし、今後何らかの事情によって、当社グループに関連する訴訟、係争が行われる可能性は否定できず、当該状況になった場合には、結果により当社グループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(21)情報漏洩について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期無し、影響度:大)
当社グループでは、社員及び顧客の個人情報を取り扱っておりますが、「個人情報の保護に関する法律」を遵守し、社員に対する情報セキュリティ研修の実施等により、厳格な個人情報の管理の徹底を図っております。さらに、当社グループでは、地球観測衛星データを含む重要情報を保有しており、当該情報がシステム障害や第三者による不正アクセス等により流出した場合、及び当該情報の不適切な取扱いが発生した場合は、社会的信用の低下や損害賠償その他対応に係るコスト負担等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
また、大規模なサイバー攻撃を受けた場合、当該情報が流出するのみならず、地球観測衛星データの取得・提供サービスの運用に障害が生じる可能性があります。
当社グループでは、上記リスクへの対策として、社内ネットワークに接続できる機器をセキュリティソフトウエア導入済のものに限定すること、アクセス制御における多段階認証、統合されたID管理、クラウドサービスやWebへのアクセスを制限・監視するツールの導入などにより、厳格な情報管理を行っております。
しかしながら、現在想定している対策を講じても新技術を用いた高度なサイバー攻撃など、現在想定している対策を超える事態の発生により、技術流出やサービスに障害が発生する可能性があります。
こうした事態が生じた場合、当社グループの信頼性や企業イメージが低下し、顧客の維持・獲得が困難になるほか、競争力の低下、損害賠償、セキュリティシステム改修のために多額の費用負担が発生する可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(22)資金調達リスクについて(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:1年以内、影響度:大)
当社グループにおいては、事業活動を維持拡大するために、今後も多額の研究開発投資が必要となり、また、想定を上回る投資の増加、事業環境の変化へ対応可能な資金確保が事業上重要となります。
「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載の当社グループビジョンである「Space within Your Reach~宇宙を普通の場所に~」の実現のために、2027年5月期に打上げ予定の「GRUS-3」及び高分解能衛星の開発・製造・運用技術への先行投資等、AxelLiner事業、AxelGlobe事業の両事業の様々な領域での研究開発の必要性が生じ、継続的な外部からの資金調達が必要となる可能性があります。
しかしながら、当社グループが将来において想定する資金調達ができない場合や、希望する条件での資金調達ができない場合等には、当社グループがキャッシュ・フロー不足に陥る可能性、事業を拡大・成長させるために必要な投資を行うことができない可能性や、当社が財務制限条項を遵守できなくなる可能性があり、これにより事業計画の一部を遅延又は断念することになり、当社グループの競争力に悪影響が及ぶおそれがあります。
また、今後において継続的な外部からの資金調達が必要となる可能性があるところ、継続的な資金調達のために当社株主に希薄化をもたらす株式発行が繰り返し行われる可能性や借入による調達を行う場合には、財務制限条項その他の条項により、当社グループの事業活動が制約される可能性があります。
(23)継続企業の前提に関する重要事象等について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:数年以内、影響度:低)
当社グループは、当連結会計年度において、継続的な営業損失の発生及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上している状況にあり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
この主たる要因は、2027年5月期に打上げ予定の「GRUS-3」等の開発・製造・運用技術、AxelLiner事業、AxelGlobe事業の両事業における研究開発の先行投資により、投資回収までに期間を要するためであります。
このような事象又は状況を解消するために、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおり、当社グループでは手元流動性確保のため、以下のとおり第三者割当増資、金融機関からの借入等で資金調達を実施しております。
2023年6月:株式会社三井住友銀行と極度借入2,000,000千円の借入契約を締結
(当連結会計年度末の実行額:66,244千円)
2023年12月:総額6,240,597千円の第三者割当増資による調達
2024年9月:株式会社みずほ銀行と極度借入2,000,000千円の借入契約を締結
(当連結会計年度末の実行額:621,695千円)
2025年3月:株式会社三井住友銀行と4,000,000千円の借入契約を締結
(当連結会計年度末の実行額:4,000,000千円)
2025年8月:東京証券取引所グロース市場に株式を上場。公募による新株式の発行により、7,128,010千円の資金調達を実施
当連結会計年度末までの資金調達により当連結会計年度末における現金及び預金の残高は5,006,833千円となっており、当面の事業運営に必要な資金を確保しているため、継続企業の前提に重要な不確実性は認められないと判断しております。
今後も、公募増資を含めた株式市場からの資金調達や銀行からの融資等を通じて、資金調達手段の確保・拡充・多様化を進める予定です。
(24)財務制限条項について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:3年以内、影響度:大)
当社グループの借入金のうち、2024年9月26日契約の株式会社みずほ銀行からの総借入枠20億円、及び2025年3月26日契約の株式会社三井住友銀行からの借入40億円には、以下の財務制限条項が付されておりますが、当連結会計年度末時点で当該条項に抵触しておりません。しかしながら、当社が将来において財務制限条項に抵触した場合、当社の期限の利益を喪失させる権利を行使した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
なお、当連結会計年度末において連結貸借対照表の純資産が3,027,944千円であり、連結貸借対照表の純資産を正の数値で維持しております。
(借入1) 主要な契約条件:
借入先:株式会社みずほ銀行
総借入枠:1,000,000千円
資金使途:設備資金
借入利率:基準金利+スプレッド
契約期間:7年
コミットメント期間:2024年9月30日~2026年9月30日
返済期限:2031年9月30日
担保設定:打上保険等で当社が有する保険金請求債権
財務制限条項:
a.2025年5月期決算以降、各年度の決算期末日における連結貸借対照表の純資産の金額を、正の値とすること。
b.2027年5月期決算以降、各年度の連結損益計算書の経常損益及び当期損益が、損失とならないようにすること。
c.2025年9月末日までに30億円以上のエクイティ調達を実施すること。
(借入2)主要な契約条件:
借入先:株式会社みずほ銀行
総借入枠:1,000,000千円
資金使途:運転資金
借入利率:基準金利
契約期間:1年(2回の期間1年の延長オプション)
返済期限:2025年9月30日
担保設定:無担保・無保証
財務制限条項:
a.2025年5月期決算以降、各年度の決算期末日における連結貸借対照表の純資産の金額を、正の値とすること。
b.2027年5月期決算以降、各年度の連結損益計算書の経常損益及び当期損益が、損失とならないようにすること。
c.2025年9月末日までに30億円以上のエクイティ調達を実施すること。
(借入3)主要な契約条件:
借入先:株式会社三井住友銀行
借入額:4,000,000千円
資金使途:運転資金
借入利率:基準金利+スプレッド
契約期間:4年
返済期間:2026年4月28日~2029年3月28日
最終返済期限:2029年3月28日
担保設定:無担保
財務制限条項:
a.2025年5月期決算以降、各四半期末日における連結貸借対照表の純資産の金額を、正の値とすること
b.2025年5月期決算以降、各四半期末日における連結貸借対照表の現預金の金額を、20億円以上に維持すること
c.2025年5月期決算以降、各事業年度末における投資キャッシュ・フローの金額を一定金額の範囲内にすること
d.2026年5月末日までに、株式公開を行うか、または30億円以上のエクイティ性の資金調達を行うこと
また、当社グループは今後も更なる成長のために旺盛な資金需要があり、その手段として追加的に金融機関からの借入その他の負債性の資金調達を行う可能性があります。係る資金調達を行う場合には、多額の支払利息の負担及び信用リスクの拡大により当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、借入契約等において、連結財務諸表における利益や純資産の維持、一定の現預金やキャッシュ・フローの確保等に関する財務制限条項が付されることがあり、仮に条項に違反した場合には、当該契約の期限の利益を喪失することが予測され、当社グループの存続に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
(25)公募増資による調達資金使途について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:数年以内、影響度:中)
東京証券取引所グロース市場への上場に伴う公募増資により調達した資金の使途につきましては、主に自社人工衛星の開発・製造に係る運転資金等に充当する予定であります。しかし、当社グループが属する業界の急速な変化により、当初の計画どおりに資金を使用した場合でも、想定どおりの投資効果をあげられない可能性があります。また、当社グループを取り巻く経営環境の変化に伴い、当該資金が想定どおりの使途に充当されない可能性があります。当該リスクを踏まえ、当社グループを取り巻く経営環境の変化について適時その動向を注視し、公募増資による調達資金の使途が変更になった場合には、適時適切に開示を行います。
(26)有利子負債について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期無し、影響度:大)
当社グループは、事業規模拡大に伴い必要となる「GRUS-3」や高分解能衛星をはじめとする自社衛星の開発・製造を行うための設備投資資金を、自己資金及び金融機関から調達した有利子負債等によって賄っております。当社グループの連結有利子負債残高は、当連結会計年度末において5,337,939千円となっており、総資産に占める有利子負債への依存度は、当連結会計年度末において56.1%となっております。なお、「第2 事業の状況 5 重要な契約等 (3)重要な資金の借入に関する契約」に記載のとおり、株式会社三井住友銀行より2025年3月26日付で4,000,000千円の借入契約を締結しているため、有利子負債依存度は高い水準にあります。現在の金利水準が変動する場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、今後金融情勢の急速な変化、急激な金利上昇等何らかの理由により十分な資金が調達できない場合には、当社グループの業績、財政状態及び事業の展開に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、上記リスクに対して、金融機関との関係性を継続的に維持・強化し事業拡大に必要な融資の獲得と金利変動リスクを低減するとともに、現状では財務安全性を最優先に考え、資金使途を詳しく吟味したうえで、当社グループ全体の資金使途に応じて事業資金の調達・運用を実施しております。
(27)為替相場の変動について(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:特定時期無し、影響度:中)
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