みのや
【東証スタンダード:386A】「小売業」
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企業概要
当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 社訓・経営理念及び経営方針
a.社訓
「和」(チームワークを第一に考え目標に邁進する)
b.経営理念
お菓子を通じて人と人との繋がりを大切にし、
社員相互の協調体制と社会への奉仕の精神を常に忘れることなく
「みのや」は弛まぬ経営努力をする
1.地域密着の多店舗販売により、社会に欠かす事の出来ないお菓子を多くのお客様に提供してゆく
2.お客様に感謝の気持ちを決して忘れません
3.メーカー様が心を込めて製造した商品を決して無駄に致しません
4.「みのや」の社員である事に自覚と誇りを持ち行動する
5.お菓子業界の発展に「みのや」は全社員一丸となって貢献致します
c.経営方針
1.我々の使命は仕事を通じて社会に貢献し、すべてのステークホルダーに必要とされる会社を、
全員一致協力して創り上げることである
2.商品の価値をお客様に知って頂く努力を惜しんではならない
3.どのような商品がどのような時に必要とされるかを常に分析し、
お客様と真摯に向き合い、時代の変化を捉え先進的なアイデアを出し続けていく覚悟を持つ
当社では、お客様、従業員、取引先などの垣根を越えた、常に「和」の精神を強く重んじ、「人と人との繋がり」を大切にしております。また、各部門間で連携された協調体制を築くことによって生まれるチームワークこそが結果的に社会奉仕につながっていくものとする考えのもと、日々経営努力に励んでおります。
また、毎期予算編成の時期に合わせ、単年度の行動目標をより具体的に落とし込んだ「単年度アクションプラン」を策定しております。経営陣からの意思表示を明確にし、生産性を高める、商品・サービスの質を高める、ブランド認知度を高める等様々な創意工夫を実践し、より効率的な店舗運営、組織運営を実施していくことにより収益基盤の強化につなげてまいります。
(2) 経営環境
2024年は、原材料費、エネルギーコスト、物流費、人件費などの上昇あるいは高止まりのなかで、企業物価指数は前年比で2.3%上昇し4年連続でプラスになるとともに、消費者物価指数(生鮮品を除く。)も同2.5%上がり3年連続のプラスとなりました。一方、実質賃金は、通年で0.2%下がり3年連続のマイナスとなりました。
こうした景気動向を背景に、菓子業界においても、製造コスト等の価格転嫁により、多くの商品で価格改定が行われたことに伴い、消費者による節約志向による影響が懸念されるなか、新たな需要や販路の開拓、ライフスタイルなどに合わせた商品開発への取組みが行われました。また、カカオ豆の原材料価格が通年において高値で推移していたことから、チョコレートなどで大幅な価格改定が行われた一方で、カカオ豆を減らした商品開発や直物油脂への代替を行うなどの対応が行われました。
他方、円安等の影響により、菓子の輸出額が前年比10.7%増の約477億円と過去最高を更新したとともに、訪日外国人数は約3,687万人、菓子の購入額は約2,900億円と推計され、いずれも過去最高を記録することとなりました。
2024年の菓子業界は、商品ジャンルや業務形態等によって差はみられるものの、全体としては、生産数量は減少しましたが、生産金額や小売金額はともに前年を上回りました。当社で取扱いの多い商品のジャンル別の動向は以下のとおりであります。
a.チョコレート
前年に引き続き、カカオ豆、ココアバター、砂糖などの原材料価格の著しい高騰に加え、包材費やエネルギーコスト、物流費などの上昇は、更なる生産コストへの負荷を与えることとなり、各社ともチョコレート商品に係る価格改定が行われました。生産数量は、カカオ原料の調達不足による生産調整の影響を受けたこと、度重なる値上げによる販売数量の伸び悩みもあったことから前年を下回りましたが、生産金額や小売金額は、主に価格改定とインバウンド需要によって大きく前年を超える結果となりました。
b.ビスケット
製品価格の改定や規格改定により生産数量はほぼ横ばいとなった一方で、食品全般の価格が上昇し消費者の節約志向が高まるなかでも、ビスケットの販売は比較的堅調に推移し、生産金額及び小売金額は伸長しました。
c.スナック菓子
物価の上昇が続く一方で、実質賃金の低迷により、購買意欲があっても金額的にはそれを抑制せざるを得ないという購買パターンが顕著になってきた結果、生産金額や小売金額については、ここ数年来の商品の価格改定等により比較的堅調であったものの、生産数量は横ばい状態が続きました。
2025年については、国際商品市況や為替動向などから、菓子の原材料費、エネルギーコスト、物流費、人件費などは高い状態が続くと考えられ、引き続き菓子の価格改定が見込まれます。また、消費者物価の上昇傾向が続くと見込まれるなかで、賃上げの浸透度合いなどによっては、消費者の節約志向が強くなり、引き続き嗜好品である菓子全般の需要への影響が懸念されます。その一方で、米国の政策スタンスや為替動向などのリスク要因はあるものの、引き続き、菓子の輸出の増加が見込まれるとともに、インバウンド需要も好調な流れを維持することが期待されます。
(上記のデータの出典はいずれも全日本菓子協会(令和7年4月1日)「令和6年 菓子の生産数量・生産金額等(推定)に係るコメント」)
(3) 中期的な会社の経営戦略
当社では、向こう3か年の経営目標の明確化を目的として、「中期経営計画」において、安定的かつ継続的な利益確保ができるよう3か年中期計画の定性目標及び数値目標(定量目標)を策定しております。
また、外部環境の変化に対して迅速かつ柔軟に対応できるよう、中期計画を年1回のタイミングで更新し、毎年見直しを行うローリング方式を採用するとともに、その中期経営計画の初年度を単年度利益計画(単年度予算)として策定しております。
こうした取組みによって、常に最新の経営課題に向き合うことができるよう努めております。また、収益性の追求による持続的な成長を遂げることができるよう、さらなる経営基盤の強化に努めてまいります。
また、当社では経営戦略の立案と各部門にて掲げられた部門目標の達成に向けて取り組むことによって、組織運営のさらなる強化を図っております。
具体的な経営戦略につきましては以下のとおりであります。
1.安定的な新規出店・既存店リニューアル
出店候補地に関する積極的な情報収集や現地調査の精度向上を心掛け、好条件、好立地な店舗出店に重点を置き、収益力向上に努めてまいります。
また、新規デベロッパーの開拓にも注力し、既存のSC業態だけではなく、新たなSCデベロッパーによるテナント参入も視野に入れ、より一層の販路拡大に向けた豊富な出店政策を目指しております。
既存店については、店舗設備の経年劣化が著しい店舗を対象として、改装工事等を定期的に実施することとしておりますが、売場レイアウトの変更も適宜見直しすることによってリニューアルによる新鮮な売場を演出し、来店動機を見込んで売上規模の拡大につなげてまいります。
2.収益基盤の構築
店舗運営につきましては、今後の「おかしのまちおか」の一層の知名度アップとおかしのまちおかブランドの構築を目指し、計画的な新規出店による店舗数拡大と継続的な売上の増加を見込み、幅広い商品の取扱いと魅力的な売場展開に対して重点的に取り組み、日々の店舗運営に注力してまいります。
当社の取扱う商品は、1年中どこの店でも豊富に取扱っている「定番商品」と、メーカーから当社のようなディスカウンターに特価品として流通される旧規格品(規格や入数、パッケージの変更等があった商品)や処分品等に該当する「スポット商品」に区分されます。
「定番商品」は、大手菓子メーカーによるナショナルブランド商品を中心に幅広いカテゴリー(キャンディ、チョコレート、スナック等)で取扱っており、お客様から根強く支持されている商品を中心に定番価格で販売することによって、いつ来ても好きなものが買える安心感を提供し、1年を通じて安定した売上と利益の確保につなげております。
その一方で、「スポット商品」については、メーカーからの流通により、コンビニエンスストアやスーパーマーケットに対して販売しきれなかった旧規格品や期間限定商品等の商材を好条件のもとで一括仕入しております。それらを特売価格(ディスカウント価格)にて店頭に大々的に陳列するスタイルにより、お買い得感を全面的にアピールすることで、通りがかりのお客様の目に留まり菓子を手に取ってもらいやすくするなど、購買意欲が自然と掻き立てられるような売場作りを追求しております。
こうした取組みによって、近隣のスーパーマーケットやコンビニエンスストアでは比較的取扱いが少ない商品を見たり食べたりできる楽しさに加え、バレンタインやハロウィン、クリスマス等の季節イベントや各種セール等を全面的にアピールした売場展開にも積極的に取り組むことによって、常に変化に富んだ売場を演出し、お客様にとって毎日が楽しい売場作りに努めております。
また、店舗での接客時やSNS等における口コミにおいてお客様からのご意見やご要望をダイレクトに受け止め、菓子に対するお客様ニーズの把握と、より一層の需要拡大を目指してまいります。
また、商品戦略として既存取引先との良好な取引関係を維持し、安定的な商品の確保に努める一方で、新規取引先についても日々積極的な開拓を行うことによって、日々売場の変化に富んだ商品をアピールすべく、今までにおかしのまちおかで取扱ったことのない新しい商品のバリエーションを追求し、お客様の興味を惹くことで売上拡大による収益力向上につなげてまいります。
3.業務効率化の推進によるコストコントロールの徹底
店舗運営につきましては、各店舗における適切な人員配置や作業割振の見直し等による人件費コントロール、水道光熱費の抑制、備品管理等に係る経費削減を重視し、効率的なコスト管理を実施してまいります。業務効率化による主な施策として、店舗運営における発注業務やシフト表作成の自動化を目的とした表計算ツールの導入、パート・アルバイトの戦力化を図り、店長と同水準での店舗運営が担えるオペレーションレベルに底上げすることに重点的に取り組んでおります。
また、店舗運営以外にもSC店を主軸とした出店を推進していくにあたり、投資コストの低減を常に意識しながら効率的かつ安定的な出店を心掛け、他方では荷役業務における入出荷作業の精度の見直しや、管理業務におけるペーパーレス化の導入にも積極的に取り組むことによって、業務効率化の推進によるコストコントロールの徹底を進めてまいります。
こうした取組みにより、菓子業界における知名度を向上させるとともに、従業員一人一人がお客様を強く意識した店舗運営を行い、菓子小売業のリーディングカンパニーとしての地位を確立させ、菓子業界の発展に寄与してまいります。
(4) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
目標とする経営指標については、収益力及び経営効率を図る指標として、出店店舗数、売上高、経常利益を採用しております。
a.出店店舗数
当社は、今後も関東圏、中京圏及び関西圏へのドミナント出店を強化していくにあたり、「地域密着の多店舗販売」のさらなる拡大を図り、今後の店舗数拡充のために重視すべき目標として、出店店舗数を重要な指標に定めております。
b.売上高
当社の収益基盤及び今後の事業規模の拡大に不可欠となる経営上の主たる指標としております。特に既存店売上高につきましては、各店舗の売上規模や既存店としての成長度合いを把握、分析していくうえで、営業活動の根底となる指標として重視しております。
c.経常利益
経常利益については、競合他社との比較・分析や、業績推移の把握、利益計画の策定等を行ううえで重要な指標として定めております。収益力の改善効果を継続的に測定することによって、適正な経営判断を行っていくことが重要であると考えており、さらなる収益力の強化に努めてまいります。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の当社を取り巻く環境につきましては、世界的なインフレや常態化する円安の影響によるさらなる物価上昇が懸念され、個人消費に及ぼす影響にも留意する必要があることから、消費環境の先行きについては不透明な状況が想定されます。また、人件費や物流コスト等の継続的な上昇により、依然として厳しい経営環境が続くものと予想されます。
このような環境下において、当社は、今後も菓子専門店「おかしのまちおか」を関東圏、中京圏及び関西圏などの人口ボリュームの大きな地域へ積極的に出店してまいります。そして、各店舗がすべてのお客様に対し、選ぶ楽しさとお買い得な商品を提供することによって、お客様の日々の暮らしになくてはならない店舗になることを目指してまいります。そのために以下の施策を実践してまいります。
a.営業力の強化
お客様に対する当社の姿勢を明確にするものとして、「特別安」、「納得安」、「安心値」という販売指針を掲げ、すべての店舗にて掲示しております。お客様にとって「特別なお店」となれるよう菓子専門店として品揃えと安さに挑戦すること、お客様に納得していただける品質と価格を追求し価値ある商品を提供すること、お客様に安心して楽しんで商品を選んでいただけること、これらをすべての店舗で実践してまいります。また、各店舗におけるさらなる効率的な運営のため、既存の型にとらわれない新たな店舗運営スタイルの構築にも着手してまいります。
指針の追求
~安全・安心な商品をよりリーズナブルな価格にてお客様に提供し続けていく~
① 特別安
お客様にとって「特別なお店」となれるようお菓子専門店として品揃えと安さに挑戦します
② 納得安
お客様に納得していただける商品と価格を追求し価値ある商品をご提供します
③ 安心値
お客様に安心して楽しんでいただくために価値ある商品をご提供します
b.組織力の強化
事業規模のさらなる拡大を図るべく、直営販売部、商品部が主力となり、マーケティングや販売分析を行い、お客様に満足していただける商品の選定や変化に富んだ楽しい売場展開を常に模索してまいります。また、これらを支える物流網の構築と効率的な運営、オペレーションのさらなる標準化や現場教育の充実、インフラ環境の整備等に対し積極的に取り組み、部門間の連携による組織力の強化と業務効率化を推進してまいります。
c.コンプライアンス体制の強化
近年の企業活動におけるコンプライアンスに対する重要性という観点から、コンプライアンス上の問題は経営基盤に重大な影響を及ぼすものであると考えており、経営陣をはじめとする従業員一同による一層のコンプライアンス意識の向上と徹底が重要であると認識しております。
当社では、コンプライアンス行動規範に基づく「コンプライアンス規程」の制定、リスク・コンプライアンス委員会の設置及びコンプライアンス責任者の選任等、コンプライアンス体制の強化に取り組んでおりますが、会社業務の遂行にあたって不正、不祥事を防止するとともに法令遵守を徹底することを目的とし、今後も社内教育を通してコンプライアンス体制の維持、向上を図っていく方針であります。
なお、財務上の課題として、安定的な事業資金の確保を課題としております。当事業年度においては、新規出店に係る投資資金や既存店舗のリニューアルに係る追加投資資金等の比較的大きな設備投資に係るものについては、安定的な事業資金の調達を目的とし、金融機関からの借入金を充当してまいりましたが、2025年7月18日に東京証券取引所スタンダード市場に上場したことによって、これ以降につきましては、これらの投資を増資資金で賄う等の施策により、安定的な財務基盤を確保し、財務体質を強化していく方針であります。
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