さくらケーシーエス
【東証スタンダード:4761】「情報・通信業」
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企業概要
当企業集団の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当企業集団が判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は、不断に変化する事業環境に的確に対応し、ステークホルダーの視点から当社としての企業経営のあり方を明確にするため、次の「経営理念」を掲げております。
・ IT価値を提供することにより、社会・お客さまの発展に貢献する。 (社会・お客さまの信用)
・ 変化に対応できる強靭な企業体質を構築し、企業価値の向上を図る。 (会社の繁栄)
・ 個人価値を自ら向上させ、組織貢献できる社員に活躍の場を提供する。(社員の成長)
(2) 経営環境
今後のわが国経済の見通しにつきましては、高水準の賃上げ継続や、好調な企業業績などを背景に回復基調が続くと見られる一方で、米国の関税引き上げに起因した世界経済減速の影響が懸念されています。
情報サービス産業におきましては、世界的なインフレや円安等による物価上昇に加え、人件費の上昇や人手不足などの状況が続く一方で、生産性向上や業務の効率化、新たなビジネスモデル構築に向けたデジタル化及びDX化ニーズが続くことにより、市場は引き続き好調であることが見込まれます。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当企業集団は、2023年4月より中期経営計画(2023年4月~2026年3月)に取り組んでおります。
本中期経営計画(以下、「本計画」という。)は、「100年企業」として存続していくために築いてきた礎をもとに、「情報セキュリティが確保され続けることを前提としたうえで、収益力の大幅な飛躍とその利益を源泉とした投資サイクルの確立によりサステナブルな成長を目指す」ことを基本方針とし、次の5項目について重点的に取り組んでまいります。
① 情報セキュリティの強化
情報セキュリティの強化は、当社事業の根幹を支え、本計画で掲げる諸施策の実施に欠かせない最も重要な取り組みと考えております。ゼロトラスト(*1)を前提とした情報セキュリティレベル強化に向けたインフラ・環境整備のほか、徹底した社員教育など情報セキュリティ強化に向けた投資活動を継続的に実施してまいります。
② 原点回帰、収益基盤の維持・強化
創業から50年以上にわたり築き上げてきた安定的な収益基盤の維持・強化のため、引き続き社内外のリソース確保と品質管理の強化に取り組んでまいります。また、不採算・低採算を余儀なくされている業務の採算改善・縮小・撤退を引き続き適宜実施することにより、より一層の収益基盤の安定化と強化を進めます。
③ 創造的分野や自社製品・技術による事業拡大
2022年10月に新設した「デジタル基盤事業部」を起点とし、デジタル基盤ビジネスの飛躍的拡大を図るとともに、情報セキュリティビジネスの安定的な拡大を推し進めていきます。加えて、自社ソリューションの強化・拡充や新技術の習得など、新たな事業領域の拡大を図ります。一方で、デジタル基盤ビジネスにおける品質管理手法の確立や、自社製品の開発標準プラットフォームを構築するなど、新たな事業領域においてもビジネス拡大の礎となる情報セキュリティや品質の確保に注力いたします。
④ 人(社員等)への投資の強化
当企業集団の事業活動の源泉である人材への投資を強化してまいります。さらなる処遇の改善を図るとともに、健康経営、ダイバーシティ、ワーク・ライフ・バランスの推進を一層強化し、社員が心身ともに健康で働きがいをもって活躍できる職場環境づくりに一層注力いたします。また、教育・研修等の充実を図り、社員のキャリア形成に向けた意識改革や環境整備を進めてまいります。
⑤ 社内インフラ投資の強化
社内ネットワークの無線化・高速化を進めるとともに、システム投資により社内業務の電子化・ペーパーレス化を推進し、生産性の向上とともに、一層の情報セキュリティ対策の強化を図ってまいります。さらに、執務環境の整備・見直し等による業務の効率化にも取り組んでまいります。
*1 「ゼロトラスト」とは、クラウドサービスの普及やテレワークの拡大等によりネットワークの社内・社外の境界があいまいとなる中、社内・社外にとらわれることなく情報資産にアクセスするものは全て信用せずに確認し、認証・許可を行うことにより情報資産を守る考え方です。
(4) 目標とする経営指標及び経営目標
当企業集団では、本計画の推進にあたり、到達点を明確にするために経営指標及び経営目標を設定しております。
経営指標としては、引き続き、株主価値及び資本効率重視の観点から「ROE(自己資本利益率)」及び安定配当の基本方針を堅持しつつ株主の皆さまへの還元方針の目安となる「配当性向」を重視いたします。
経営目標としては、当社事業の根幹を支える情報セキュリティの強化に加え、女性活躍の推進や社員満足度の向上を掲げ、サステナブルな成長を目指してまいります。
これらの経営指標及び経営目標の進捗管理を通じて、本計画の達成を目指してまいります。
| 項 目 | 計画終了時点の 目標 | 実績 (当連結会計年度) | 目標に関する補足事項 |
経営指標 | ①ROE(自己資本利益率) | 3.5%~4.0% | 5.9% | 70%以上の自己資本比率を堅持することにより健全な財務体質を維持しつつ、資本効率の安定的な改善を目指します。 |
②配当性向(連結) | 30~40%を 目安とした安定配当 | 31.3% | 安定配当方針を堅持しつつ、市場平均水準を意識してまいります。 | |
経営目標 | ①情報セキュリティ及びサイバーセキュリティインシデント発生件数 | 0件 | 0件 | 対策の実効性を高めることで、インシデント0件を目指してまいります。 |
②連結売上高セキュリティ投資比率 | 0.5%以上 | 0.6% | 「(一社)日本サイバーセキュリティ・イノベーション委員会」が推奨する「0.5%以上」を目安とし、継続的な投資を行ってまいります。 | |
③部長級に占める女性の割合 | 10%以上 | 8.3% | 「女性活躍推進法」における行動計画目標として掲げている目標値であります。 | |
④社員向け職場アンケートにおける社員満足度の向上 | 年1回のアンケート を実施し、 社員の声を反映 | アンケート結果とベンチマークとの比較をもとに社員満足度向上施策に反映 | 社員満足度の向上により社内活性化を図ってまいります。 |
(5) 会社の対処すべき課題
「(2) 経営環境」に記載しております事業環境下、現中期経営計画については、計数計画並びに主要な施策の多くが想定していた水準を既に達成していることから、2025年度は次のステージを意識した「次期中期経営計画への繋ぎ、布石の1年」と位置づけ、以下の「成長施策」に取り組んでまいります。
① 収益性の高いビジネスへのリソース投入
当面成長が見込まれる「SAPビジネス」にリソースを積極投入してまいります。加えて、ビジネスポートフォリオの再構築に向けて「成長・拡大が見込まれるビジネス」の見極めを進めるとともに、ビジネス間の要員・リソースシフトを円滑に進めるための「ローテーション」制度等の体制を整え、事業をさらに拡大する取組みを進めてまいります。
② 優秀な人材の確保と育成
中途採用のさらなる拡大を行い、業界のトレンドや競争力をもった新たな人材を迎えることで、企業の変革を促進します。また、プロフェッショナルの育成を重視し、継続的な教育プログラムや資格取得支援を行うことで、社員のスキル向上を図ります。
さらに、若手社員の意欲を高める仕掛けづくりに取り組み、全社一丸となって優秀な人材を育成する土壌を築いてまいります。
③ ものづくり力強化
自社ソリューション開発において、2024年度に開発した開発標準プラットフォームを利用することにより、システム品質とセキュリティの向上を実現し、開発力の底上げを図ってまいります。また、生成AIやローコードツール(*2)について、導入効果を見極めたうえで順次導入し、開発現場や社内間接業務の生産性向上に繋げてまいります。
*2 「ローコードツール」とは、プログラミングの専門知識が少ないユーザーでもアプリケーションやシステムを開発できるように設計されたソフトウェア開発ツールを指します。これにより、開発者は効率的にアプリケーションを開発でき、開発時間を短縮できます。
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