あすか製薬ホールディングス
【東証プライム:4886】「医薬品」
へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、「先端の創薬を通じて人々の健康と明日の社会に貢献する」という経営理念の下、「医療用医薬品事業」を中核に「アニマルヘルス事業」、「検査事業」の医療関連ビジネスを通し、社会から信頼される会社として成長・発展していきたいと考えております。
また、健康や生活に対する価値観の多様化やビジネス環境の変化が急速に進む中、当社グループは機動的な意思決定とガバナンス強化を目的として、2021年度からホールディングス体制をスタートしております。当社グループの中核となる国内医療用医薬品事業では産婦人科等のスペシャリティ領域でリーディングカンパニーとして飛躍するとともに、これまでの事業を軸に「予防、検査・診断、治療、予後」のヘルスケア市場全体において、国内外にわたって事業を展開する「トータルヘルスケアカンパニー」を目指していきます。さらに今後も「いのち」に関わる企業として持続的な成長と社会課題の解決を図る事に加えて、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた活動を推進し、豊かな社会の実現にむけて貢献してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは2021年4月から2026年3月末までの中期経営計画を策定しております。その最終年度である2025年度には、売上高700億円、営業利益率8%、自己資本当期純利益率(ROE)8%の達成を目標としております。
(3)中長期的な会社の経営戦略および会社の対処すべき課題
当社グループでは2021年度からスタートした中期経営計画において、これまで築いてきた基盤をより発展させつつ、当社グループが目指す「スペシャリティファーマを基盤とするトータルヘルスケアカンパニー」の実現にむけ、以下の7つの戦略に取り組んでまいります。
1.スペシャリティ領域の取り組み強化による企業価値向上にむけて、産婦人科製品の継続的な開発・販売を通じ、女性のクオリティオブライフ向上に貢献します。さらに発売から100年を超える甲状腺ホルモン剤を中心に、甲状腺領域疾患の啓発活動を推進してまいります。
2.新薬の継続的創出のため、オープンイノベーションの活用やロンドンオフィスとの連携によるグローバルベースなアライアンス活動に取り組みます。
3.海外事業の展開の一環として、アジアを中心に提携先との協力関係を進めていきます。
4.トータルヘルスケア実現に向けた新たな価値提供にむけ、検査事業における低侵襲な検査法のビジネス確立を進めます。また畜水産領域の繁殖・免疫と栄養の強みを伸ばし、コンパニオンアニマルの健康を支える製品の開発・販売を行います。
5.財務基盤の強化のため、IT活用等による業務効率化、コスト削減を推進します。
6.社会からの信頼を得る会社であり続けるために、信頼性を重視する組織風土の醸成とコンプライアンスの徹底により、生命関連企業としての責任を果たしてまいります。
7.成長戦略を実現するための人材活用にむけ、新人事制度による多様なキャリア志向に対応できる組織体制づくりとともに、計画的な教育研修により能力拡大をはかります。
具体的な取り組みとして、中核となる医薬品事業を行うあすか製薬株式会社においては、臨床試験を進めているAKP-022(レルゴリクス配合剤)、LPRI-CF113(ドロスピレノン)、AKP-009(ルダテロン酢酸エステル)の開発ステージアップを進めてまいります。製造販売承認申請しておりましたLF111(ドロスピレノン)については2025年5月19日に承認を取得し、発売に向けて鋭意準備中です。LF111は国内で初めて承認されたプロゲスチン単剤の経口避妊剤であり、避妊を希望する方へ新たな選択肢を提供できるものと期待しております。また、新たな創薬研究活動としてイオンチャネルに対する創薬基盤技術を導入するとともに、オープンイノベーションを活用し獲得した創薬シーズのステージアップを図っていきます。加えて、内科・産婦人科・泌尿器科領域を中心とした導出入活動により、パイプライン拡充に努めてまいります。同社の営業活動においては、産婦人科をはじめとする重点領域を中心とした情報提供活動を行うために導入したスペシャリティエリア制の確立により、質の高い情報提供とウェビナー等を活用した効率的な営業活動を継続していきます。主に子宮筋腫・子宮内膜症治療剤「レルミナ」や月経困難症治療剤「ドロエチ」等、業績に貢献する製品に加え、コ・プロモーション活動を実施している月経困難症治療剤「ジェミーナ」、鉄欠乏性貧血治療薬「リオナ」等の情報提供を通じて産婦人科領域でのプレゼンスをさらに向上させていきます。肝性脳症における高アンモニア血症の改善を適応とする「リフキシマ」についても、引き続き普及・浸透を進めることでアンメット・メディカル・ニーズに貢献していきます。さらに国内シェアが9割を超える甲状腺ホルモン剤「チラーヂン」は医療現場において欠かすことのできない薬剤であり、安定供給体制を堅持するとともに、甲状腺領域のリーディングカンパニーとして引き続き啓発活動等に取り組んでまいります。
海外事業の展開においては今後の成長が期待される東南アジア、その中でもベトナムに着目し、2021年に現地製薬企業であるHa Tay Pharmaceutical Joint Stock Company(ハタファー社)との協業を開始しております。ハタファー社新工場の建設・稼働に向けた協業を継続する中で、両社のさらなる成長と企業価値向上のため、2025年2月にハタファー社の連結子会社化を発表しました。製造・販売・開発等、全面的な事業活動において次のステップへ移行し、東南アジアでのプレゼンス拡大に努めてまいります。
また、トータルヘルスケアカンパニーの実現に向け、他社との協業を発展させていくための活動を強化しています。フューチャーベンチャーキャピタル株式会社(現ミライドア株式会社)と共同設立したコーポレートベンチャーキャピタルファンド「あすかイノベーションファンド」を通じて女性の健康課題解決に向けたスタートアップとの協業により新たな価値創造を目指してまいります。さらに動物用医薬品・飼料添加物等を販売するあすかアニマルヘルス株式会社においては、アニマルウェルフェアに貢献できる製品の開発・発売を継続して進めており、成長が期待されるコンパニオンアニマル向けの製品の一層の浸透を進めてまいります。加えて、検査事業を行う株式会社あすか製薬メディカルでは、ステロイドホルモンを測定する技術を応用した毛髪ホルモン量測定キットを開発し、新たなビジネスを展開しています。男性ホルモンの1つであるテストステロンや女性ホルモンの1つであるプロゲステロン等、人での毛髪ホルモン量測定キットに加え、新たに猫の体毛からホルモン量を測定できるキットを発売しました。今後も当社グループが一丸となって活動を推進することでトータルヘルスケアカンパニーの実現に努めてまいります。
当社は「先端の創薬を通じて人々の健康と明日の社会に貢献する」という経営理念のもと、事業を通じて社会課題の解決に取り組んでいます。2021年4月以降、ESG委員会の設置、サステナビリティ担当取締役の選任、グループ経営企画部内に専門部署を設置し「ESG推進会議」、「推進責任者会議」の運営など、取り組み体制を強化してまいりました。当社の取り組みは「健康経営優良法人 ホワイト500」7年連続認定、「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」選定等、外部から高い評価を受けており、引き続き社会価値の創出による持続的成長と中長期的な企業価値向上をめざしてまいります。
- 検索
- 業種別業績ランキング