企業兼大株主石原産業東証プライム:4028】「化学 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループは「『社会』、『生命』、『環境』に貢献する。」という基本理念に基づき、無機化学、有機化学の各分野における新製品の開発や生産技術の向上に取り組むとともに、世界的な関心が高まる環境、エネルギー、バイオ、IT、食料等の各領域において、無機、有機の垣根にこだわることなく、新規事業の探索にも取り組んでおります。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、9,156百万円となりました。

 セグメントごとの研究開発は、次のとおりであります。

(無機化学事業)

 長年に亘る酸化チタン事業で蓄積されてきた技術をベースに、高機能・高付加価値品の開発に力を入れて取り組んでおります。
 高付加価値品に関しては、板状チタン酸は“シルクのような質感”と“光輝感”を両立した世界唯一の色彩を有する顔料で、本顔料をSILKIAブランドとして市場投入するべく、安定製造方法の確立と表面改質に取り組んでおります。艶消し材料は、既存品に対して耐候性や艶ムラが少なくなることを特徴に、塗料分野向けの技術データ採取に取り組んでおります。また、硫化ビスマス黒色顔料は、特異な反射特性(可視光吸収、赤外線反射)と漆黒度が高いことを特徴に各種展示会に出展して好感触を得ており、工業化も含めて商品化検討を加速させております。
 機能性材料に関しては、電気自動車や第5世代通信(5G)用に需要が期待される次世代の積層セラミックコンデンサー(MLCC)用の高純度酸化チタンの開発に注力しております。微粒子で分散性に優れた開発品を含め種々の粒子径サイズ品をラインナップすることで、顧客の汎用から最先端用途までの要求に応えるべく改良を進めております。また、有機/無機の材料合成技術を活かして開発した酸化チタンの溶剤分散体は、“酸化チタンの特徴である高屈折率”と“微粒子化による透明性”を両立させており、次世代の光学材料用途向けに顧客が要望する改良に取り組んでおります。
 一方、新たな無機事業の創出を目的としている新規事業開発関連は、銅ナノ粒子が既存品より低温で成膜することを特徴にして、市場投入に向けて工業化などの検討を行っております。また、再生可能エネルギーへの取り組みとして、有機薄膜太陽電池材料の開発にも注力しております。さらに、蓄熱材料(ハスクレイ)は、低温排熱利用分野において実証実験で有効性が確認されており、顧客からの問合せも増えており、今後の展開が期待されております。
 

 当事業における研究開発費は、1,544百万円となりました。

(有機化学事業)

 農薬については、自社開発原体を中心に新規製剤や新規混合剤の開発の他、農薬登録国や適用作物の拡大などに向けた研究開発に注力して取り組んでおります。
 近年開発したチョウ・蛾類を始め広いスペクトラムを持つ殺虫剤シクラニリプロールは、2017年に韓国、2018年には日本、米国、カナダでの販売に続いて、アジア及び中南米を中心に開発を進めてきており、2021年にブラジル、メキシコでの販売を開始しました。2023年にはインドでも登録認可され、同年の販売開始を目指しております。人畜・作物安全性に優れるトウモロコシ用除草剤トルピラレートは、各国での単剤認可/販売以降、混合剤開発も行い2021年に米国、日本で上市しました。引き続き、単剤・混合剤ともに中南米、インド、東南アジア及びCISで開発を進めております。
 さらに、国内の食の安全・安心志向の高まりや、抵抗性発達のために有効な既存化学農薬が不足しているなどの市場ニーズに対応するため、微生物殺菌剤、接触型忌避剤及び天敵昆虫などのバイオラショナル製品群の開発にも注力しております。2019年より食品添加物を有効成分とするコナジラミ忌避剤ベミデタッチを販売開始し、難防除の植物ウイルス病を低減できる剤として好評を得ております。さらに、2023年よりイネの高温ストレス耐性を促すバイオスティミュラント・ライスフルの販売も開始しました。当社は、近未来の植物防疫の姿を見据え、これら一連のバイオラショナル製品と、安全性が高く環境負荷に配慮した当社創製化学農薬群を組み合わせて、独自のIPMやICMプログラムを確立していきます。また、従来の化学農薬のコンセプトである農薬用途以外に、生活環境での防疫や環境保全においても当社製品を含む有機化学技術の普及拡大を目指しております。
 当社の農薬事業は、自社の創生・開発の新農薬をベースとしておりますが、環境変化の激しい昨今、他社開発剤の導入や他社との共同開発にも積極的に取り組んでおり、2010年以降、海外企業から導入した水稲除草剤を国内で開発・上市したほか、2015年には韓国FarmHannong社と非選択性除草剤チアフェナシルを全世界で共同開発する契約を同企業と締結しました。2020年に本剤の米国登録取得し、2021年に米国で本剤の販売を開始しました。2023年6月にカナダでも同剤の登録認可を見込んでおり、認可後速やかに同国で販売開始する予定です。ブラジルでは同剤の混合剤の開発も進めており、2023年中の同剤の登録認可を見込んでおります。加えて、アルゼンチンでも本剤の登録申請を済ませており、さらに東南アジア、中南米各国でも本剤の開発、登録作業を進めております。
 
 農薬以外では、ヘルスケア事業(医薬・動物用医薬品関連)についても、特色ある商品開発を進めております。動物用医薬品では、長年にわたる研究開発で培った技術とシーズ化合物を活かし、フザプラジブナトリウムを、イヌ膵炎急性期用抗炎症剤『ブレンダ』として発売しております。本薬剤は米国でも2023年度初頭より商業化しております。さらに、皮膚系疾患や他の炎症性疾患の治療薬において、後続するパイプラインの整備を推進中であります。
 また、人体用医薬原薬「セビメリン塩酸塩」の製造受託事業においてもその拡大に取り組んでおります。
 

 当事業における研究開発費は、7,434百万円となりました。

 なお、当連結会計年度におけるセグメントに帰属しない全社共通の研究開発費の金額は178百万円となりました。

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