企業兼大株主理研ビタミン東証プライム:4526】「食品業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 研究開発活動は、当社の本社開発部門が中心となり、当社の各工場に設置されている研究部門及び連結子会社の研究部門と密接な連携のもとに、当社の得意分野における基礎研究及び応用研究、新市場創出に繋がる新商品開発を行っています。

 当連結会計年度の研究開発費の総額は、3,220百万円で売上高に対する比率は、3.6%です。

 セグメントごとの研究開発活動は、次のとおりです。

(国内食品事業)

 新型コロナウイルスの感染拡大により私たちの食生活は大きく変化しました。緊急事態宣言、まん延防止等重点措置などを経験しました。このコロナ禍での生活スタイルは新型コロナウイルス感染症の収束後もある程度残っていくと考えております。ウィズコロナ、アフターコロナ、生活、行動、ニーズを考察し「生活者を起点とした商品開発」を行うことで生活者の健康と幸せに寄与できる商品開発を進めております。

 家庭用食品は既存商品の強化を行いました。ドレッシングは、2021年度に「セレクティ®シリーズ」の全面リニューアルを行いました。生活者の声をもとに容量、価格を見直し(150ml 230円 ⇒ 190ml 250円 本体価格)、パッケージは素材をお楽しみ頂きたいという思いから白基調で素材感を訴求するように変更した結果、2021年度から大幅に伸長しました。海藻商品としましては北海道エリア限定品として発売していた「ふりかけるザクザクわかめ」という新食感のふりかけを全国発売しました。当社の原料調達、加工技術、調味技術を活かした商品で、発売前から受注が殺到したため1ケ月発売を遅らせたにも関わらず半年で100万パックを販売し、「日経トレンディ」の「2023年ヒット予測100」に入選し、日本食糧新聞社の「第41回食品ヒット賞」において、一般加工食品部門の「優秀ヒット賞」を受賞しました。2023年2月にはシリーズ品の「ラー油味」を発売しました。

 業務用食品は、当社の主力カテゴリーである海藻カテゴリーでは新たな海藻商品として「あおさ」を発売しました。また、学校給食需要に対応した加熱に強い「海藻ミックス」を発売しました。エキス・調味料類では「まぜそばのたれ」を発売し大変好評を得ております。2023年度は新型コロナウイルス感染症も収束に向かい、外食需要の回復が見込まれるため更に伸長すると考えられます。2025年には国内の平均年齢は50歳を超える超高齢化社会を迎えます。マーケティング調査と創造力を駆使して生活者の健康と笑顔に寄与する商品開発をテーマに需要創造、市場創造できる商品開発を行います。

○海藻養殖の生産安定化に向けて

2017年7月、当社の国内子会社である理研食品㈱は、宮城県名取市にわかめ加工と種苗の生産・研究拠点として「ゆりあげファクトリー」を開設しました。

 近年のわかめ養殖産業を取り巻く課題として、①気候変動による生産量低下、②生産者の方々の高齢化、③寒冷期の過酷な労働条件などが挙げられます。特に、水温が不安定な年は、海上での養殖初期段階で「芽落ち」と呼ばれる生長不良が起こり、わかめ生産量低下の原因のひとつとなっています。

 こうした環境下、「わかめの苗」ともいえる種苗を養殖水槽を用いて、高生長種苗、早生(わせ)・晩生(おくて)種苗など優良系統の選抜技術を開発・実用化するとともに、環境変動に対応したわかめ養殖の安定生産、労働の軽減化及び年に複数回の養殖による生産量の増加など生産性向上を目指した研究を行っています。

 選抜した優良系統種苗を活用し、岩手県大船渡市の水産会社(㈲マルカツ水産)とJF綾里漁協と協力し、新たな手法でのわかめ養殖活動に取り組んでいます。この取組みは、生産性向上と共に、担い手不足による空き漁場の活用にも繋がっています。

 また、わかめの研究成果を応用し、他海藻類の基礎研究と事業化に向けた技術開発にも取り組んでいます。2021年10月に岩手県陸前高田市に「陸前高田ベース」を開設し、「スジアオノリ」の陸上養殖生産を開始しました。この10年でその生産量は半減しており、安定した供給が望まれています。陸前高田ベースではわかめで培ったノウハウを応用し、スジアオノリを通年・安定して供給できるように進めています。

 当社の「ときめき海藻屋」というブランドを通じて海藻の魅力を発信し、わかめ・海藻の需要創出や産地の課題に対して、研究開発の視点から多面的に提案を行い、海藻養殖産業全体の活性化に貢献していきます。

*「ゆりあげファクトリー」は、東日本大震災において甚大な被害を受けた閖上地区の復興と地域水産業の活性化を目的とした名取市の水産業共同利用施設復興整備事業でもあります。

 健康機能食品への取組みでは、天然系色素の機能性開発及び海藻由来の機能性開発や応用研究を推進しました。サプリメント用途だけでなく、飲食品用途にも使用可能な製剤開発も進めています。

 食品用改良剤事業部門では、2019年10月に千葉工場内にアプリケーション&イノベーションセンター(A&Iセンター)を開設し、これまで各工場にあった技術グループ、アプリケーションセンターを集約し、基礎研究から応用研究、市場調査、提案活動までが一貫して実施できる組織となりました。2020年以降は新型コロナウイルス感染症が拡大した事もあり、A&Iセンターでは取引先となる加工食品メーカーのご都合やご要望を反映した、リモートもしくは対面でのソリューション提案を柔軟に実施してまいりました。2022年度は、コロナ禍の落ち着きもみられたことで、A&Iセンターへの来訪や対面での面談も回復基調がうかがえ、また海外アプリケーションセンターへの出張、来訪を再開し、人的交流による情報交換、共有化を進めてまいりました。

 食品用改良剤の対象食品は、パン、麺、豆腐、和菓子、洋菓子、飲料、製菓、加工油脂など多岐にわたっています。当社では、それぞれの食品に対して食品用改良剤の効果を検証し、加工食品メーカーへの新商品の提案や加工食品メーカーが抱える課題に対する問題解決、新しい価値の提案を実施しています。2022年度は取引先である加工食品メーカーでも、新型コロナウイルスの影響に加え、円安を伴う原材料高騰の影響もあり、コストダウンに関する検討を優先させる状況が散見されました。

 ビタミン関係では、当社のキーマテリアルである天然ビタミンEを中心に、その生産技術の向上のほか、食品の保存性向上に寄与する酸化防止剤としての機能開発を実施しています。また、ビタミンの栄養強化向けの技術開発を行い、加工食品メーカーへの提案を実施しています。昨今の健康意識の高まりや簡便性や正確性による製造の省力化要望の拡大を背景に、ビタミンミックスのご要望が増えています。

 天然系色素では、天然物である色素原料の調査のほか、生産技術の向上に取り組むとともに、加工食品メーカーへの提案を実施しました。

 マイクロカプセルでは、医薬・食品用途への応用検討を推進しました。その中で、香料の固形製剤化技術が従来の錠菓だけでなくスナック菓子にも展開されるなど、用途拡大を進めています。

 当事業に係る研究開発費は、2,463百万円です。

(国内化成品その他事業)

 化成品用改良剤では、ユーザーニーズに対応して、プラスチック、ゴム、化粧品、トイレタリー、塗料、インキなどの化学品業界への改良剤の新規商材開発、機能開発及び応用研究を行っています。

 安全性の高い化成品用改良剤の開発、新規機能を有するプラスチック改良剤の研究開発に加え、環境問題を考慮し持続可能な社会に対応したバイオベースマテリアルの応用研究に取り組んでいます。

 当事業に係る研究開発費は、203百万円です。

(海外事業)

 海外市場における研究開発活動は、食品用改良剤と化成品用改良剤についての展開を行っています。

 食品用改良剤では、アプリケーションセンターをシンガポールと中国上海に設置して、海外市場に密着した、顧客視点での研究開発活動を推進しています。

RIKEVITA(SINGAPORE)PTE LTD内に設置されたアプリケーションセンターでは、パン、ケーキ、麺、冷菓、飲料、加工油脂、冷凍食品などの製造及び実験設備を備え、国内外の理研ビタミングループで製造している製品に関して、海外市場(特に東南アジア)の地域特性やユーザーニーズに対応した応用開発、新規製剤開発、取引先に対する技術サービスとその提案活動を行っています。

 理研維他精化食品工業(上海)有限公司内に設置されたアプリケーションセンターは上海中心部に立地し、末端市場及び顧客の視点から、顧客ニーズに対応したソリューションを提供できる体制を整備しています。パン、ケーキ、和菓子、麺、冷凍食品等の製造及び実験設備を備え、理研ビタミングループで長年培った知見、経験を生かし、中国国内顧客の製品の改良、工程改善、コストリダクション、新製品の開発などに貢献し、加工食品分野の情報発信基地となっています。上海からの出張だけではカバーできない中国内陸部の顧客に対しては、パンなどの試作設備も備える成都事務所と連携して対応いたしました。

2022年度は、国により新型コロナウイルス感染症の影響の強弱がありましたが、状況に応じてリモートもしくは対面による提案活動を実施いたしました。

 化成品用改良剤においては理研維他精化食品工業(上海)有限公司内に化成品アプリケーションセンターを設置し、中国市場の地域特性に対応した製品開発、応用開発及び取引先への技術サービスを行っています。

 これら海外アプリケーションセンターと国内の関連研究開発部門との連携をさらに強化し、人的交流、情報の共有化を進め、日本国内の知見、経験を取り込み、海外ユーザーのみならず日本国内ユーザーの海外展開への情報サービス提供活動を展開し、海外の食品用改良剤及び化成品用改良剤の研究機能の充実と強化に向けて積極的に取り組んでいます。

 当事業に係る研究開発費は、552百万円です。

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