理研ビタミン 【東証プライム:4526】「食品業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、
1.社会に対し、食を通じて健康と豊かな食生活を提供する
2.コンプライアンス精神に基づいた事業活動を行い、社会的責任を果たす
3.フレキシビリティのある、かつ創造力に溢れた企業として発展する
4.事業活動の視点・範囲を海外にも向け[世界の理研ビタミン]としてのブランドを高める
5.人間尊重の思想に基づき魅力ある職場をつくる
の経営理念のもと、創業以来一貫して「天然物の有効利用」を事業展開の根幹に据え、独自の技術力・開発力を通じて食品・食品用改良剤・化成品用改良剤・ビタミンの各分野において多彩な製品を創り出し、日本のみならず世界各地にお届けしてまいりました。
当社グループを取り巻く事業環境については、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和により各国経済に緩やかな持ち直しの動きが見られます。一方で、ウクライナ情勢の長期化、世界的な資源・原材料価格高騰など、これまで以上に先行きが見通せない状況の中、これらの変化に対応していくことが重要であり、当社グループ各社とのさらなる連携のもと、的確かつ機動的な意思決定を行うことが強く要請されていると認識しております。
加えて、社会の信頼に応える公正で透明性の高いコンプライアンス体制、企業グループ全体での健全な事業運営を推進する上でのガバナンス体制のより一層の向上が求められております。
また、食品業界におきましては、国内市場では行動制限の緩和により外食産業や観光産業向け需要は回復の兆しが見られます。その一方で、原材料価格の高騰に加え、エネルギー費、人件費といった各種費用の上昇を受けた価格改定が相次ぎ、物価上昇に伴う消費者の生活防衛意識の高まりから節約志向がより一層強まっています。このような厳しい事業環境において、消費動向への対応が課題と認識しており、国内事業のさらなる深掘りと新領域への挑戦を推進してまいります。また、サステナビリティの観点からフードロス(食品ロス)問題への取組みも重要であると認識しています。
また、成長が見込める海外市場においても、新型コロナウイルスの感染縮小を背景に経済活動の再開が進みました。一方で、ロシアのウクライナ侵攻の長期化やインフレなどに伴う景気後退懸念が払拭できない状況です。このような事業環境において、当社グループが成長ドライバーと位置付けるアジア、北米市場に対して、営業・開発体制の強化や設備投資などにより事業の展開を加速してまいります。
当社グループでは、従前より3年間を対象とする中期経営計画を策定しております。2022年4月に開始した現中期経営計画の策定にあたり、当社グループのありたい姿として、中長期ビジョンと基本方針を次のように定めました。
<中長期ビジョン>
「持続可能な社会をスペシャリティな製品とサービスで支え、成長する会社になる」
<基本方針>
(1)経営基盤(ガバナンス)の強化、新たな企業文化の構築
(2)アジア・北米での展開を加速、海外スペシャリティ製品の拡大
(3)国内の深掘りと新領域への挑戦、戦略的なポートフォリオの見直し
(4)サステナブル経営の推進
上記の中長期ビジョンおよび基本方針を踏まえ、さらなる国内事業の収益基盤の強化と海外事業の成長加速化を図り、社会とともに成長し続け継続的な企業価値の向上に取り組むべく、2022年4月より2025年3月までの3年間を対象とする現中期経営計画を策定し、2年目の取組みを推進しております。
現中期経営計画の基本戦略は以下のとおりであります。
(1)経営基盤(ガバナンス)の強化
・外部機関による取締役会の実効性評価、サクセッションプランの強化・推進、政策保有株式の縮減などにより、コーポレート・ガバナンスの実効性の強化を図ります。
・国内外子会社と本社との連携を深める組織体制の構築や、監査部門の強化等により、グループ・ガバナンスを強化します。
・事業内容や非財務情報について、正確でわかりやすい開示の充実を図り、市場との対話を強化します。
(2)アジア・北米での展開を加速
・海外事業の中でもアジア・北米を成長ドライバーと位置付け、主力のベーカリー向けの食品用改良剤をはじめ、化成品用改良剤、北米のポークエキス事業を中心に拡大を図ります。また、海外工場の生産能力増強に取り組みます。
(3)国内の深掘りと新領域への挑戦
・既存領域に隣接する市場に向けた新商品の開発、既存の取引先に対する未取扱い製品群の提案、コロナ後の新常態における成長市場である老健・中食市場に向けた商品開発、ビタミンやマイクロカプセル、機能性食品用原料など好調な健康関連製品の提案を強化し、人口減少による市場の縮小が予想される国内での成長を図ります。
・フードロス削減につながる製品の提案、海藻養殖産業の活性化につながる研究、バイオマスプラ・生分解性プラ向け製品の拡大など、事業を通じたサステナビリティ課題の解決に取り組み、新たな成長機会を捉えていきます。
・持続的な成長に向け、グローバルサプライチェーンを全体で支える生産体制への変革を図ります。
(4)サステナブル経営の推進
・GHG排出量削減、環境負荷の低減、ダイバーシティ&インクルージョンの推進、健康経営の推進に取り組み、サステナビリティと経営の一体化を目指していきます。
なお、現中期経営計画の最終年度における数値目標は、下表のとおりであります。
(1)連結目標
(単位:百万円)
| 第87期 (2023年3月期) | 第89期 (中期経営計画最終年度) |
| 実績 | 目標 |
売上高 | 88,750 | 94,000 |
営業利益 | 7,158 | 8,000 |
経常利益 | 7,723 | 8,200 |
親会社株主に帰属する 当期純利益 | 6,414 | 6,500 |
(2)事業別売上高目標
(単位:百万円)
| 第87期 (2023年3月期) | 第89期 (中期経営計画最終年度) |
| 実績 | 目標 |
国内食品事業 | 58,186 | 61,000 |
国内化成品その他事業 | 7,031 | 8,500 |
海外事業 | 25,155 | 25,800 |
セグメント売上高 | 90,373 | 95,300 |
調整額 | △1,622 | △1,300 |
連結売上高 | 88,750 | 94,000 |
(3)目標とする経営指標
当社グループは、持続的成長と資本効率向上の尺度としてROEの向上を追求してまいります。第89期(現中期経営計画最終年度)のROE8.0%以上を目指し、取組みを推進します。
(4)資本・財務政策
| 2022-2024年度方針 |
キャッシュアロケーション | 2022年4月から2025年3月までの3年間累計 IN :事業活動により獲得したキャッシュ(投資有価証券売却益を含む) 約300億円 OUT:設備投資 約100億円、配当金 約50億円、戦略投資(人財投資、追加設備投資、株主還元) 約50億円、財務基盤の強化(有利子負債返済) 約100億円 |
株主還元 | 連結配当性向30%以上を目安に安定的な配当を継続して実施 |
政策保有株式 | 2025年3月末までの縮減目標:連結純資産比率で20%未満 |
自己株式 | 2023年3月期に700万株を消却(2022年5月に実施) |
新型コロナウイルス感染症は収束してきているものの、ロシアのウクライナ侵攻の長期化など不安定な世界情勢、引き続き原材料価格やエネルギー価格などが高水準で推移していることなど、先行き不透明な事業環境にあります。このような事業環境の中においても、中長期ビジョン「持続可能な社会をスペシャリティな製品とサービスで支え、成長する会社になる」の実現に向け現中期経営計画を達成すべく、スピード感を伴った経営を推進してまいります。
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