企業兼大株主東武鉄道東証プライム:9001】「陸運業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月23日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1) サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

 当社グループは、広域な鉄道ネットワークに広がる沿線地域が事業基盤であり、これまで以上に沿線を中心とした社会の持続的な発展を実現することは、当社グループの最も重要な課題であると考えております。

 当社グループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症の影響による社会の変容とともに、少子高齢化の進展、地球温暖化や廃棄物処理をはじめとした環境問題など、様々な社会課題に直面しており、新たなビジネスモデルの構築とともに、課題の解決が必要であります。

 当社グループは、1897年の設立以来、事業を通じて社会課題の解決に取り組むことで、社会の持続的な発展の一端を担いつつ、当社グループも発展してまいりました。

 これからも、沿線の特長や経営資源を活かしながら、社会課題の解決を通じて、将来にわたって新たな価値を創造し、家族や地域社会の人々がお互いに助け合う「共助」を基盤とした「人にやさしく 人と地域が共に輝きつづける社会」を実現することで、社会に不可欠な企業集団となることを目指してまいります。

 この考え方のもと、当社が特定したマテリアリティ(重要課題)と、課題解決により社会の発展と企業価値の向上を持続的に創出するプロセス(価値創造プロセス)については、以下のとおりであります。

「特定したマテリアリティ」

 ①地域社会の持続的な発展

 ②企業価値創造に資するコーポレート・ガバナンス

 ③多様な社員の「能力と可能性」向上

 ④環境優位性の更なる向上などによる環境負荷の低減

 ⑤グループすべての事業の根幹である安全・安心の確保

「価値創造プロセス」

 「人にやさしく 人と地域が共に輝きつづける社会」の実現に向けた価値創造を行ってまいります。

 詳細は当社ホームページ「https://www.tobu.co.jp/corporation/management/group/」をご参照ください。

 当社が特定したマテリアリティは、経営会議において審議するとともに、独立社外取締役が議長を務めるガバナンス委員会において審議、評価を行い、議長からコーポレート・ガバナンスに資する旨、取締役会に報告しております。

 また、ガバナンス委員会は年2回開催され、危機管理委員会、コンプライアンス委員会、情報セキュリティ委員会、環境推進委員会等サステナビリティに資する各委員会の委員長から、活動計画及び活動報告、提言を受け、審議、評価を行い、取締役会へ上申しております。

(2) 重要なサステナビリティ項目

 上記、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。

 ・気候変動

 ・人的資本・多様性

 ・情報セキュリティ

 ・コンプライアンス

 それぞれの項目に係る当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

① 気候変動

ア.ガバナンス、リスク管理

 東武グループでは、鉄道事業を中心とした高い環境優位性を更に向上させ、環境負荷・気候変動リスクの低減につなげております。また、あらゆる事業分野において、廃棄物の排出抑制をはじめとした環境保全活動や自然災害によるリスクを低減させる取組みを推進して、持続可能な社会の構築に寄与し、企業の成長との両立を図っております。

 当社では、この取組みを推進すべく、環境推進委員会担当取締役を委員長とし、各本部長及び環境経営に関係する部・室の担当執行役員及び部・室長で構成する環境推進委員会を設置し、気候変動に係るリスク・機会(以下、「気候変動リスク等」と言います。)について議論・検証を行っております。

 代表取締役、社外取締役及び常勤監査役を委員とし、社外取締役が議長となり会議を主宰するガバナンス委員会において、環境推進委員会委員長は気候変動リスク等にかかる活動計画及び活動報告、提言を行います。ガバナンス委員会では、その内容について審議、評価を行い取締役会へ報告する等、気候変動リスク等に対する取組みにかかるガバナンス体制を構築しております。

 また、気候変動リスク等にかかる取組みについては、東武グループにおける危機管理上重要な事項と捉え、危機管理委員会へ共有を図り、適切に管理される体制を構築しております。


イ.戦略

a.シナリオ分析

 連結決算上、最大の財務的影響を及ぼす当社の鉄道事業を対象に、気候変動の影響について、気候変動研究の分野で用いられる国立環境研究所による社会経済シナリオ(SSPシナリオ)のうち、持続可能な社会シナリオ(SSP1、2℃未満シナリオ)と地域分断社会シナリオ(SSP3、4℃シナリオ)を比較し、それぞれの社会における「リスク」と「機会」並びに「収益」への影響について分析しました。

▼SSPシナリオ(Shared Socioeconomic Pathways) 


SSP1とSSP3それぞれに、気候変動による当社鉄道事業への影響を「物理リスク」(洪水や暴風雨をはじめとした異常気象による倒壊など)と「移行リスク・機会」(低炭素経済への移行による規制の強化や新技術の導入、消費者の嗜好・行動の変化による市場や評判の変化など)に分類し、以下のとおり分析を行いました。

b.物理リスク

 異常気象の増加に伴う水災リスクとして、鉄道事業の「施設」「設備」への財務的影響を分析しました。この分析では、洪水リスク評価モデル(注1)や気候予測データベース(注2)を使用し、鉄道事業に関する個々の資産(駅舎、線路、電気設備等)が洪水によって物理的にどの程度の損害を受けるか評価しております。過去の気象データをもとに、当社線全線における100年に一度レベルでの災害発生による被害額を計算しております。また、災害発生により運行に支障が生じた場合の収入への影響について概算で算出を行いました。

 その結果、鉄道事業全体での水災リスクの影響については、SSP1とSSP3ではいずれも被害額が現行よりも増大するリスクがあるものの、SSP1の方が被害額が少ないことがわかりました。そのため、持続可能な社会を実現して気温上昇を2℃未満に抑えることは、当社が事業を営むうえで、水災リスク低減の観点からも重要と認識しております。

 なお、当社では法面・橋梁強化、変電所嵩上げといった施設の補強や車両避難計画の策定等、自然災害の被害軽減のための対策にも取組んでおります。今後も環境負荷低減の取組みと合わせて、リスク低減のための取組みも進めてまいります。

(注)1 過去の気象データをもとに、数万通りの降水可能性をコンピュータ上で仮想的に再現した評価モデル

   2 文部科学省による「気候変動リスク情報創生プロジェクト」等による大規模気候予測データベース

c.移行リスク・機会

SSP1では、炭素税の導入や脱炭素に向けた規制強化等により、エネルギーや資材の調達費用が増加し、財務的な負担が増加するリスクがあります。一方、クリーンエネルギー技術の進展等をはじめとした次世代技術の普及、特にMaaSや自動運転の実験など当社で既に取組んでいる施策を機会と捉え、鉄道運行等の関連コストの減少や業務効率化の可能性のほか、鉄道の環境優位性を維持することによる代替輸送機関からの転移等、収益向上の機会を得られることが推定されました。

d.収益に与える影響

 物理リスク・移行リスクのほかに考慮すべき要素として、将来的な人口動態変化による鉄道収入への影響を分析しました。日本の人口動向は少子高齢化や人口減少は見込まれるものの、社会的に子育て環境を整えるシナリオのSSP1に対して、SSP3では経済停滞等により一層人口減少が進行することが見込まれます。

 その結果、SSP1とSSP3では、2050年度には鉄道収入でSSP3の方が大きく減収することがわかりました。そのため、持続可能な社会を実現して気温上昇を2℃未満に抑えることは、当社が事業を営むうえで、将来的な収益確保の観点からも重要と認識しております。

 以上を踏まえ、今後も地域社会とともに持続的な成長を目指していく東武グループは、事業を運営するうえでSSP1の実現を目指すことが重要と考え、今後も気候変動に関する各種取組みを進めてまいります。

 なお、上記シナリオ分析にて抽出したリスクと機会、それぞれの評価と対策の詳細については、当社ホームページ 「https://www.tobu.co.jp/corporation/kankyo/tcfd/」をご参照ください。


ウ.指標と目標

 当社では、環境優位性の更なる向上等による環境負荷の低減を解決すべき重要課題として捉えております。鉄道事業においては、2030年度にCO2排出量約50%削減(2013年度比)の達成を見込み、その実現のため「省エネ車両への置き換え・保有車両数の適正化」「駅、車両等の照明LED化」「高効率変圧器への更新」を中心に様々な環境負荷低減への取組みを行っております。

 特に、日光・鬼怒川エリアは「国際エコリゾート日光」と位置付け、同エリアにおける東武グループの事業活動によるCO2排出ゼロを目指しております。その一環として、2022年4月より、日光・鬼怒川エリアを走行する列車及び都心から同エリアへアクセスする特急列車にかかる電力相当を再生可能エネルギー由来の電力に実質的に置き換えることにより、同エリアの鉄道輸送にかかるCO2排出量実質ゼロを実現しております。

2050年でのCO2排出量実質ゼロに向けて、今後も東武グループでは環境負荷低減のための取組みを進めてまいります。

・2022年度 温室効果ガス排出量

Scope1

128,683 t-CO2

Scope2

378,521 t-CO2

② 人的資本・多様性

 当社グループは、広域な鉄道ネットワークに広がる沿線地域を事業基盤として「人にやさしく 人と地域が共に輝きつづける社会」の実現を目指しており、そのために必要な人材とは、当社グループ経営理念「奉仕」「進取」「和親」を行動原理として、自ら考え自ら行動し、街と街、人と街など、さまざまな「つなぐ」ビジネスモデルを実現できる人材であります。

 また、このような人材の活躍を促すためには、安全技術のように、長期にわたって継続的に磨き込んでいく能力と、刻々と変化する事業環境の下で新たな商品・サービス提供によって価値を創造することのできる能力の両面を育てていく必要があります。

 この基本的な考え方を人材育成方針及び社内環境整備方針に反映させ、今後も多様な社員の「能力と可能性」の向上を図り、企業価値の持続的向上を目指してまいります。

ア.戦略

 当社グループは現在、2022年度から3か年を期間とした中期的な事業計画を推進しており、「事業構造改革と事業推進体制の再編」、「新たなビジネスモデルによる収益力の拡大」、「社会課題をニーズと捉えた事業推進による収益拡大」を重点戦略として、経営体質の強化と生産性向上、既存事業の磨き上げとともに、新たな事業の育成によって、次なる成長ステージにつなげていくことを目指しております。

 今般、中期的な事業計画に適合した人材の多様性の確保を含む人材育成方針と、この方針を実現するための社内環境整備方針を下記のとおり策定し、経営環境の変化と同時に、労働力不足の深刻化、人生100年時代の到来、個人のキャリア観が変化する中でも、継続的な企業価値の向上を実現する人材の育成を図ってまいります。

《人材育成方針》

東武グループ経営理念を行動原理とし、事業と地域社会の持続的成長を担う

自ら考え自ら行動できる人材の育成

a.当社が求める人材

 既存事業をさらに磨き上げることによる「信頼」と、変革を恐れない新たな発想による「価値創造」により、ビジネスチャンスの開拓を地域社会の持続的成長につなげていく人材。

b.当社が求める人材に必要な共通コンピテンシー

(a)[安全・安心]東武グループ各事業の信頼獲得

(b)[自覚・自律]自らの能力最大化による自己実現と組織貢献

(c)[対話・洞察]お客様や社員等との対話を通した課題発見

(d)[受容・変革]多様性やニーズを受容した新たな発想

(e)[協働・共創]周囲を巻き込んだオンリーワンの価値創造

《社内環境整備方針》

(方針-1) 時代に即した変化を促す人材育成への支援

 安全や技術の伝承を通して専門分野を伸ばしながら他分野との連携ができる人材育成への支援と、企業環境の変化に柔軟に対応し、価値創造できる人材育成への支援を図ります。

(方針-2) 安心して働き、能力を発揮し続けられる働き方整備

 ダイバーシティ&インクルージョンの推進とともに、社員一人ひとりが個人の属性やライフステージにかかわらず、お互いを尊重しあい、安心して働きやすく、能力を最大限に発揮できる働き方を整備してまいります。更に社員の健康維持・増進の取組みを行い、働きがい向上を通じた更なる価値の提供を目指します。

イ.指標及び目標

 当社では、上記「ア.戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

指標

目標

実績

再雇用への移行率

100%に近い水準の継続

89.3%(2022年度実績)

配偶者出産休暇取得率

100%に近い水準の継続

95.5%(2022年度実績)

新卒採用者数に占める

女性採用者比率(10年前との比較)

50%程度

16.7%(2013年度入社)

→50.0%(2023年度入社)

障がい者雇用率

(グループ適用による合算)

法定雇用率(2.3%)を上回る

水準の継続

3.37%

(2022年6月1日現在)

(注) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異についての実績は、「第1 企業の状況 5従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。

③ 情報セキュリティ

ア.ガバナンス・リスク管理

 当社グループは、鉄道や電波塔などの重要な社会インフラをはじめとした様々なサービスを提供する企業グループとして、多くの情報システムを使用しております。これらへのサイバー攻撃や不正なアクセス、コンピューターウイルスへの感染や人為的不正操作等により、当該システム機能に重大な障害が発生し事業の運営に支障することで、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、事業を安定かつ継続的に行うべく、情報システム機能の確保をはかるために各種の情報セキュリティ対策を講じております。

 当社における情報セキュリティマネジメントに関するガバナンス体制として、ICT推進部担当執行役員を委員長とした情報セキュリティ委員会を設置し、情報セキュリティマネジメントの実施状況及び実施計画の報告を行い、同委員会の議事についてはガバナンス委員会に報告を行っております。

 当社グループにおいては、「情報セキュリティポリシー」に則り規程類を制定し、適時見直しを行っているほか、グループ会社の情報セキュリティに関する取り組み状況のモニタリングを実施し、PDCAサイクルにより情報セキュリティ対策に取り組んでおります。また、定期的にグループ会社に対する教育を行い、役職員の情報セキュリティに対する意識の向上を図っております。

 当社においては、重要なインフラである鉄道事業の持続性を確保するため、鉄道運行にかかわる重要なシステムの社外ネットワークとの隔離や許可されたプログラムのみ実行できる環境を構築しております。役員を含めた全パソコンユーザーに対しては、情報セキュリティeラーニング、標的型メール攻撃を模擬した実体験型の訓練を実施しております。あわせて、高度化、複雑化するサイバー攻撃等の情報セキュリティインシデントに対応するため、専門チーム「TOBU-CSIRT」により、「有事における迅速な対応」と「平時における未然防止活動」に取り組んでおり、外部専門家が業務用ネットワークを常時監視し、異常検知の際は担当者に発報を行いインシデントに迅速に対応できる体制を確保しているほか、当社内での情報セキュリティインシデント発生を想定したシナリオにもとづく対応訓練を実施しております。また、サプライヤーとの契約にはセキュリティ条項を組み入れ、万が一の際に迅速な調査が行える体制を整えております。

④ コンプライアンス 

ア.ガバナンス・リスク管理

 当社グループにおいては、「東武グループコンプライアンス基本方針」を制定し、法令順守や健全な職場環境の形成などを記載したコンプライアンス・マニュアルの整備や、グループ全社員へコンプライアンス教育の強化をはかるなど、法令順守の徹底と不祥事発生の防止に努めるほか、東武グループ全社員に対して内部通報窓口の周知による利用促進等を行うなど、コンプライアンスの確保に取り組んでおります。

 当社では、取引先等と相互に信頼関係を構築するために法令及び健全な商習慣に従い、公平・公正かつ透明な選定・取引を行うことをコンプライアンス・マニュアルにおいて定め、研修・教育などを通じ、贈収賄・汚職の防止に取り組んでおります。また、インサイダー情報について厳重な管理を行うとともに、eラーニング等を活用した教育などにより、インサイダー取引禁止の徹底を図っております。さらに、当社グループにおいては、反社会的勢力に対し、毅然とした対応を行うとともに、その排除に向け、「東武グループ連絡協議会」を開催し、グループ内において反社会的勢力に対する防備を固め、情報及び対応策などを共有する体制を構築しております。

 また、当社では総務法務部担当執行役員を委員長としたコンプライアンス委員会を設置し、コンプライアンス経営の推進、コンプライアンス経営の実施状況の把握、評価及び見直し等を行うとともに、同委員会の議事について社外取締役が議長を務めるガバナンス委員会に報告を行っております。

 なお、当社は取引先との共存共栄の構築を目指し、2023年4月に「パートナーシップ構築宣言」を公表いたしました。同宣言の取り組みを推進することで、取引先の事業継続と取引適正化に貢献してまいります。

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