本田技研工業 【東証プライム:7267】「輸送用機器」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月23日)現在において当社グループが判断したものであり、将来生じうる実際の結果と大きく異なる可能性もあります。詳細は「3 事業等のリスク」を参照ください。
(1) ガバナンス及びリスク管理
① ガバナンス
当社グループは、内外環境認識を踏まえた全社の方向性と、コーポレートとして取り組むべき重要課題を合意することを目的として、「コーポレート統合戦略会議」を設定しており、その中でサステナビリティ課題への方針や取り組みの議論・検討を行っています。
また、モビリティカンパニーとして最重要課題である環境安全領域のさらなる推進強化として、「世界環境安全戦略会議」を設定しています。環境領域の戦略には気候変動対応も含まれており、世界環境安全戦略会議において定めたCO2排出量の削減目標については、取締役会で決定されています。
これらの会議体は最高経営責任者が議長を務めており、検討された重要課題を踏まえて、経営会議や取締役会で全社戦略を決定し、各本部・統括部、各子会社の方針・施策として実行しています。
② リスク管理
「Hondaグローバルリスクマネジメント規程」を制定し、リスクを能動的にコントロールすることで、「持続的 成長」や「経営の安定化」につながる活動を行っています。
リスクマネジメントオフィサー監視、監督のもと、当社グループの有形・無形の資産、企業活動、ステークホルダーに重大な被害・損失を与え、企業経営に影響をもたらす可能性があるものと定義したリスクを分類・管理・対応しています。各組織でリスクの特定・評価を実施し、その評価結果をもとに各本部のリスクマネジメントオフィサーが「本部重点リスク」を特定しています。
また、社内のリスク認識に加え社外のリスクトレンドも反映し、コーポレートとして重要なリスクを「全社重点リスク」として特定し、対応状況の確認・議論を行っています。リスクマネジメントに関する重要事項については、リスクマネジメント委員会で審議しており、実施内容については経営会議で適宜報告されています。気候変動に起因する環境規制に関わるリスクや自然災害等リスクについてもこの管理・監視項目の中で把握し、組織特性を踏まえたより効果的なリスクマネジメント活動の展開をはかっています。例えば、規制リスクは、既存の規制のみならず新規の規制に関しても管理を行っています。
(2) 重要な戦略並びに指標及び目標
① 戦略
世の中に「存在を期待される企業」であり続けるため、当社グループは「すべての人に、“生活の可能性が拡がる喜び”を提供する」ことを2030年ビジョンとして掲げ、これまでのビジネスに加え、新たな価値創造に向けて全社一丸となって取り組んでいきます。
その中でも、年間3,000万人規模の製品を供給する世界一のパワーユニットメーカーとして「環境」と「安全」に徹底的に取り組んでいます。
<環境戦略>
Triple Action to ZERO (環境負荷ゼロの循環型社会の実現に向けた取り組み)
当社グループは2050年に、製品だけでなく企業活動を含めたライフサイクルでの環境負荷ゼロをめざします。その柱となるのが、「カーボンニュートラル」「クリーンエネルギー」「リソースサーキュレーション」の3つです(Triple Action to ZERO)。この取り組みによって、可能な限り地球資源の消費を抑制し、環境負荷ゼロの循環型社会の実現をめざします。
カーボンニュートラル(二酸化炭素排出量実質ゼロ)
「気候変動問題」への対応として、企業活動、および、製品ライフサイクル観点から排出されるCO2に対し、産業革命以前と比較した地球の平均気温上昇を1.5℃に抑える目標の達成をめざします。企業活動からのCO2排出量低減に向けて、生産効率向上、省エネルギー施策の導入、低炭素エネルギーへの転換、再生可能エネルギーの活用を推進していきます。製品使用時のCO2排出量低減に向けて、電動化をはじめとした環境革新技術の投入やエネルギーの多様化対応、トータルエネルギーマネジメントといった取り組みを推進していきます。
クリーンエネルギー(カーボンフリーエネルギー活用率 100%)
「エネルギー問題」への対応として、これまでのエネルギーのリスクを減らす取り組みを超えて、企業活動、および、製品使用において使用されるエネルギーをすべてクリーンなエネルギーにすることをめざします。企業活動における再生可能エネルギーの活用において、地域社会のCO2低減に直接的に貢献できる方法を優先して採用していきます。具体的には新たに再生エネルギーを活用した発電設備を設置することに重点を置き、自社敷地内への設置から検討を始め、順次敷地外まで範囲を広げて活用拡大に取り組んでいます。
リソースサーキュレーション(サステナブルマテリアル使用率 100%)
「資源の効率利用」への対応として、バッテリーのリユースやリサイクルをはじめとした、マテリアル・リサイクルに関する研究を進めます。これまでの、資源と廃棄におけるリスクを減らす取り組みを超えて、環境負荷のない持続可能な資源を使用した製品開発に挑戦します。
<安全戦略>
先進国の交通事故ゼロに向けた対応
先進国においては2030年までに、全方位安全運転支援システム「Honda SENSING 360」や、歩行者保護・衝突性能の強化・先進事故自動通報(歩行者事故を含む)などの死亡事故シーンを100%カバーする技術を、四輪車全機種へ適用することをめざします。
新興国の交通事故死者ゼロに向けた対応
新興国においては2030年までに、二輪車・四輪車双方への安全技術をすべての機種へ展開するとともに、すべての人に安全教育の機会を提供することをめざします。二輪車の安全技術については、先進ブレーキ、視認性・被視認性を備えた灯火器を、より多くの二輪車に搭載していきます。また二輪車と四輪車の双方を担う当社グループの特長を活かした共存技術である、二輪検知機能付き「Honda SENSING」を、2021年の「VEZEL」以降の四輪車の新型モデルに順次投入しております。
全世界の交通事故死者ゼロに向けた対応
一人ひとりの能力や状態に合わせ、運転ミスやリスクを減らし安全・安心な運転へと誘導できる世界初(注1)のAI活用による「知能化運転支援技術」(注2)と、すべての交通参加者である人とモビリティが通信でつながることで、事故が起きる手前でリスクの予兆・回避をサポートする「安全・安心ネットワーク技術」により、当社グループが目標に掲げる「2050年に全世界で当社グループの二輪車・四輪車が関与する交通事故死者ゼロ」の実現をめざします。
(注) 1 当社調べ
2 AIを活用したリスクとの因果関係を視点の特徴量から求めた独自の注意推定モデル
② 指標及び目標
<環境戦略>
Triple Action to ZEROの実行
当社グループは、「環境負荷ゼロ」の循環型社会の実現に向けて、2050年に当社グループの関わるすべての製品と企業活動を通じて、カーボンニュートラルをめざしています。その着実な実現に向けて、企業活動領域においてはCO2総排出量(Scope1,2)を指標とし、2030年に2019年度比で46%削減する目標を設定し進めています。製品領域においては電動製品の販売比率(注1)を指標とし段階的な目標として、2030年に二輪車15%、四輪車30%、パワープロダクツ36%の目標を設定し取り組みを加速します。
<安全戦略>
交通事故死者を2030年に半減(注2)、2050年にゼロへ
当社グループは、2050年に全世界で当社グループの二輪車・四輪車が関与する交通事故死者ゼロをめざします。またマイルストーンとして2030年に全世界で当社グループの二輪車・四輪車が関与する交通事故死者半減をめざします。これらは新車だけでなく市場に現存するすべての当社グループ二輪車・四輪車を対象にしています。
(注) 1 二輪車は電動モーターサイクル(BEV)と電動自転車(EB)、四輪車はBEVと燃料電池自動車(FCV)、パワープロダク
ツは電動製品の比率。
2 2020年比で2030年に全世界で当社グループの二輪車・四輪車が関与する1万台当たりの交通事故死者数を半減。
(3) 人的資本(人材の多様性を含む。)に関する戦略並びに指標及び目標
① 戦略
<ヒト・組織戦略ビジョン>
100年に一度といわれる大変革期を勝ち抜くために、当社グループは現在の事業環境を「第二の創業期」と位置づけ、「新たな成長・価値創造を可能とする企業への変革」に向けた取り組みを進めています。
ヒト・組織戦略においても、「企業変革を加速させるヒト・カルチャーへの進化」というビジョンを掲げ、「自立した個」である従業員の強い想いや情熱、チャレンジ精神を最大限に引き出すことで、「変化を楽しむ」ことができるイノベーティブで魅力ある企業風土へのさらなる進化をはかっていきます。
<事業戦略と連動した「人」リソースマネジメント>
二輪・四輪・パワープロダクツの既存事業領域、電動化および新価値領域の事業開発を中心とした新事業領域のそれぞれにおける事業方針と連動し、要員ポートフォリオに基づく最適な要員戦略を策定することで、全社的な「人」総合力の最大化をめざしていきます。
特に電動化や新価値事業開発の領域を担う人材の確保に向けては、内部からの育成・登用に加え、幹部レベルを含めた外部採用を積極的に行っています。
② 指標及び目標
<ヒト・組織戦略ビジョンの実現に向けた取り組み>
ヒト・組織戦略ビジョンの達成に向けて、さまざまなフェーズにおいて意欲ある従業員の成長を促し、支え、Hondaというフィールドで「活き活きと輝く」ことを後押しするための取り組みを展開しています。
なお、各地域において「従業員活性度」(注1)を管理指標として設定しており、日本(注2)においては「非常に良好な状態(5段階評価で総合点平均3.5ポイント以上)」を継続して達成することを目標としています(2021年度実績:3.48ポイント)。
(注) 1 第三者の調査会社による各地域の従業員活性度調査
2 労働協約適用会社を対象とする
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