企業千代田化工建設東証スタンダード:6366】「建設業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社は、1951年に研究施設(R&Dセンター)を設置後、70年以上にわたり、経営理念である「エネルギーと環境の調和」を目指し、高度なエンジニアリングの技術力を通じて、それぞれの時代、或いは、将来の社会・顧客課題の解決、それを通じたビジネスの発掘とともに付加価値の増大、技術優位性の確立等に寄与する新たな技術・商品の開発を進めてきました。

 事業環境が急激に変化を遂げる中、当社は「社会の“かなえたい”を共創(エンジニアリング)する」を念頭に、エネルギーという枠を超えた領域での取組みをより一層加速させていきます。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は2,052百万円です。

(1) カーボンニュートラル・脱炭素社会の実現に向けた取組み

 (水素サプライチェーン構築)

 脱炭素社会の実現に向けた社会的要請に応えるべく、当社は様々な再生可能エネルギーに関連する取組みを

 行っています。このうち、燃焼時にCO2が排出されない水素は、究極のクリーンエネルギーとしてその利用の

 実現が期待されていますが、その普及には、取扱いに留意を要する水素を石油や天然ガスのように大規模に

 貯蔵・輸送する技術の確立が社会的な課題となっています。

 当社は、将来の水素エネルギー社会へ対応するため、有機ケミカルハイドライドを用いて水素をガソリンの

 主要成分であるトルエンに固定し、常温・常圧で取り扱いやすいメチルシクロヘキサンとして輸送/貯蔵するSPERA水素TM技術の開発を実施しています。三菱商事㈱、三井物産㈱、日本郵船㈱と共同で、ブルネイで調達した水素を日本へ輸送・供給するNEDO実証事業を2020年12月に無事に完了し、当技術の商業規模へのスケールアップが可能であることを確認しました。SPERA水素TM技術は、シンガポール水素社会実現の鍵となる候補技術としても注目されており、同国政府・関係民間各社との間で覚書を締結し、当社の独自技術を用いた水素の輸入利用・

 事業化に向けての技術及び商務面での協議・検討を進めています。2022年3月から、シンガポール政府からの

 助成金交付を得て現地大学Nanyang Technological University及びNational University of Singaporeの研究者と共に水素サプライチェーン構築のための連携プログラムを進めています。

 (アンモニア利用拡大)

 水素と同様に、燃焼時にCO2が排出されないアンモニアは、石油や天然ガスのように大規模な貯蔵・輸送する技術が既に確立されていることから、今後、火力発電所や船舶等で化石燃料の代替としての利用拡大が期待されています。しかし、既存のアンモニアの製造方法(ハーバーボッシュ法)は高温・高圧環境が必要であり、複雑な

 製造設備を必要とするため、製造コストが低減しない一因となっています。

 当社は、東京電力ホールディングス㈱、㈱JERAと共同で、既存の触媒以上の高い活性を持つ新触媒をコアと

 する国産技術の開発と、製造コストの低減を実現するため複雑な製造設備を要さない低温・低圧環境でのアンモニア製造プロセスの技術実証を進めており、NEDOのグリーンイノベーション基金事業に採択されています。

 (CCS/CCU関連)

 火力発電などから排出されるCO2の削減は、地球温暖化対策として炭素循環社会を実現するために重要であり、CO2を資源として捉えて、回収・貯蔵し、有効利用するCCS/CCUの拡大が社会から求められています。しかし、燃焼効率の高い天然ガスを使用する火力発電所から排出されるCO2は濃度が低く、既存の技術では大型・高コストな分離・回収設備が必要なことから、本格的な社会普及を実現するには、設備の小型化・低コスト化を

 実現する技術の開発が必要です。

 当社は、㈱JERA、公益財団法人地球環境産業技術研究機構と共に、CO2吸収技術開発に関して、NEDOから

 グリーンイノベーション基金事業の採択を受け、天然ガス火力発電所のガスタービンから排出されるCO2

 分離・回収を小面積・低コストで実現するための固体吸収材をコアとする国産技術の開発に着手しました。

2022年から30年までの9年間で革新的なCO2分離・回収技術の確立を目指します。

 CO2の有効利用の方法として、NEDO事業において共同研究者である国立大学法人富山大学、日鉄エンジニア

 リング㈱、日本製鉄㈱、ハイケム㈱及び三菱商事㈱と協力して、CO2からパラキシレンを製造する触媒の改良、量産技術の開発やCO2削減効果を含めた事業性検討を進めています。2023年3月には、CO2を原料として製造した

 化合物から、パラキシレンを取り出すことに成功し、事業化に向けた動きを加速させています。

 また、国立研究開発法人理化学研究所、古河電気工業㈱、UBE㈱、清水建設㈱、国立大学法人東京大学及び

 国立大学法人大阪大学と共に採択されたNEDOのムーンショット型研究開発事業では、回収したCO2を、電気還元してオレフィンやアルコールに転換する技術開発を進めています。この度、2024年度まで当該研究開発事業の

 延長が決定しています。

 (触媒・脱硫装置関連)

 大気汚染への対応が世界的な課題となる中、ガソリン及び軽油中の硫黄分の削減は、大気汚染物質の排出抑制に繋がり、環境負荷の低減に大きな役割を果たします。当社が開発した、水素化脱硫触媒(CT-HBT®)は、灯油・軽油の精製時に、原料油に含まれる硫黄酸化物(大気汚染や酸性雨の原因物質)を大幅に削減するものです。

 当製品は国内の商業装置へ6件の納入実績があり、いずれも顧客から高い評価をいただいています。加えて、

 本触媒の担体は高機能素材として触媒以外への適用の可能性も見込まれるため、用途の検討を進めています。

 また、石炭・重油燃焼ボイラーなどの排煙から少ない消費電力で二酸化硫黄成分(SO2)を吸収することが

 できるCT-121排煙脱硫プロセスは、石炭火力発電所向けに多く導入され、海外でも広くライセンスを展開して

 おり、2016年にはインドの大手重工メーカーであるLarsen&Toubro社と技術供与契約を締結しました。経済成長に伴う大気汚染が深刻化し、火力発電所等から排出される硫黄酸化物の除去が社会要請となっている同地に

 おいて、複数の案件を受注しており、更なる拡大を目指しています。

(2) バイオ・医薬・ライフサイエンス分野に係る取組み

 ヒト細胞に培養等の加工を施して用いる再生医療等製品は、これまで有効な手段がなかった様々な疾患に対する効果が期待されている一方で、普及のためには、産業利用可能な規模での実用化に向け、製造の安定性向上やコストの低減が必要となっています。

 当社は、これらの課題に対応するため、当社R&Dセンター内にラボを設置し、iPS細胞等幹細胞の品質評価・

 製造プロセスに関する技術開発を進めています。また、国立大学法人筑波大学と特別共同研究事業を実施して

 おり、2020年11月には、同大学内に「つくば幹細胞ラボ」を開設し、当分野における最先端の技術を当社事業に導入できる体制を構築しています。

 また、化石資源に依存せず、植物や微生物の生体機能を利用して有用な物質の生産を行う、バイオものづくり産業の更なる発展に貢献するため、㈱ニッピ、国立研究開発法人産業技術総合研究所、国立大学法人大阪大学と共同で、植物による高度修飾タンパク質の大量生産技術の開発を開始しました。本事業は、NEDOのカーボン

 リサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発に採択されており、従来、動物素材からの抽出が必要であった機能性タンパク質を、植物を用いてヒト生体適合型に改変したうえで、大量かつ安価に生産する技術とシステムの開発を目指しています。

 さらに、当社は、ガス・石油・環境分野で培った触媒開発・スケールアップの知見を活かし、低分子医薬品

 原薬・中間体開発のスピードアップと生産時の品質や作業安全性を向上とする連続生産技術の開発と実装化を、シオノギファーマ㈱が中心となって設立し当社も出資参画しているPharmira㈱とともに実施しています。

(3) DX促進等による業務効率改善に向けた取組み

 (最適設計技術、安全設計技術)

 プラント建設において様々なプロセスを設計・改良するうえで、シミュレーションや解析技術は極めて重要な技術として位置付けられています。

 当社は、設計の各段階で、3次元解析(FEM解析、熱流動解析等)やプラントの起動・停止・異常時の挙動を

 再現するダイナミック・シミュレーションの技術を活用して、精度の高い設計を進めるほか、プラント運転の

 最適化、定量・定性リスク評価による安全設計、最適保全計画の策定などを行っています。

 (プラント設備最適配置と空間自動設計技術)

 ㈱Arent及び当社が共同出資する㈱PlantStreamが開発した空間設計システム「PlantStream®」によって、

 プラント計画時にプラント設備や機器装置の最適配置を検討し、また配管や配線の配置を効率的に設計して

 います。これにより設計や調達の手戻りを解消し、プロジェクト全体の遂行リスクを軽減します。

 (プロジェクト遂行技術)

 プラント建設における工事業務の円滑な遂行を管理する手段として、各業務を管理可能な単位で分割

(パッケージ化)したうえで遂行スケジュールを策定し、各業務に必要な図面、資機材、人員等のリソースを

 計画・管理する手法であるAWPが一般的になりつつあります。当社は、このAWPの手法にプラントエンジニア

 リングの専門知識、これまでのプロジェクト遂行で得た知見及び複数のデジタルソリューションを組み込み、

 建設工事の上流段階である設計・調達業務を含めて図面、資機材、人員等のリソースを包括的に計画・管理する手法「Chiyoda AWP」をプラント建設の現場で実践しています。これにより、プロジェクトの進捗状況を含む

 膨大なデータの可視化を実現し、工事の待機時間を減少させるとともに、不測の事態に対する工事計画の修正を早期に行うことを可能にしています。

(4) O&M(Operation & Maintenance)事業の革新に係る取組み

 (耐震診断・補強対策・老巧化対応技術)

 3次元解析やダイナミック・シミュレーションを中心とした運転最適化と設備保全技術を活かし、国内

 製油所・油槽所を中心とするプラント設備や燃料供給基地において、国土強靭化基本法に沿った耐震診断、補強対策検討、老朽化対応等を実施しています。今後も我が国の要となるエネルギー供給設備の強化事業に参画していきます。

 (EFEXIS®開発)

 解析・診断技術等、当社がこれまでに培ったプラントエンジニアリングの専門知識や知見と最新のクラウド

 技術、IoT技術を融合させたEFEXIS®ソリューションは、国内外の顧客プラントで導入が進んでおり、従来、熟練した操作員の知見や感覚に頼ることが多かった部分の自動化・効率化による操業中プラントの収益性向上に貢献しています。EFEXIS®FCC最適運転AIシステム(FCC AI Optimizer®)を導入した太陽石油㈱四国事業所では、重油を高温下で触媒と反応させガソリンや軽油を製造する残油流動接触分解装置(RFCC装置)の運転最適化が実現し、

 安定操業に寄与するなど大きな導入効果が出ています。

 また、西部石油㈱と共同で実施している、装置監視AIを活用した運転支援システム構築事業は、一般社団法人社会実装推進センターの2020年度補正 産業保安高度化推進事業費補助金に採択されており、EFEXIS®の更なる

 展開・効果検証を推進しています。

(5) その他の取組み

 (宇宙関連)

 当社はエンジニアリングの技術や知見を宇宙利用の拡大に活かすことを視野に入れ、1990年代から国立研究

 開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)向けに、画像処理・通信装置、細胞培養実験・植物生育実験に用いる科学機器といった国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」に搭載する機器設備の開発を中心に取組みを継続

 してきました。

 現在、JAXAとインド宇宙開発機関との国際共同ミッションとして、2024年に打ち上げを目標にしている月極域探査ミッションで使用する月探査ローバに搭載される水資源分析計や、2024年頃からアメリカ、カナダ、欧州

 及び日本の宇宙開発機関の協働での組立が予定されている月周回有人拠点(月探査ゲートウェイ)に設置するCO2除去装置の開発を担当しています。地球低軌道にある国際宇宙ステーションから月面に向けて事業領域の拡大を進めています。

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