企業兼大株主ローム東証プライム:6963】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)サステナビリティ

①ガバナンス

 当社グループは、社会の変化を的確に捉え、お客様をはじめとする世界中のステークホルダーの皆様から選ばれる企業を目指し、「企業価値」を更に向上させるべく、創業当時より「企業目的」「経営基本方針」などの目的・方針を具現化し、サステナビリティの取り組みを進めております。そして、この目的・方針を基盤として、ステークホルダーごとに持続可能な社会に向けた対応を明言した「ロームグループサステナビリティ方針」を定めています。

 サステナビリティ課題に関する取り組みを推進するためのマネジメント体制は、サステナビリティ経営委員会とEHSS統括委員会、EHSS統括委員会傘下の8つのマネジメントシステムで構築しています。経営の執行権限を持つ取締役とそれに準ずる権限を持つ執行役員及び、事業本部責任者、各マネジメントシステムの責任者から構成されるEHSS統括委員会は、8つの下部マネジメントシステム(安全衛生、リスク管理・事業継続、環境、サプライチェーン、倫理、労働、情報、品質)を司り、それぞれのPDCAが適切に回っているかを確認しています。また、意思決定の迅速化と監督機能の強化を目的として設置されたサステナビリティ経営委員会は、COOが委員長を務めており、サステナビリティに関する方針・方向性・長期目標等について議論します。そして決定した内容をEHSS統括委員会に落とし込み、実現に向けた活動が行われているかを監督しています。両委員会の事務局であるサステナビリティ推進室は、EHSSマネジメントシステムを司り、各マネジメントシステムが適切に運用されているかどうかを、監査等を実施して確認することで、サステナビリティマネジメントの精度の維持向上を図る役割を担います。

 なお、当社は株主の皆様との一層の価値共有を進めるため、取締役に対する業績連動型譲渡制限付株式報酬制度において、「温室効果ガス排出量」「ダイバーシティの推進」を業績評価指標の一つに採用しています。

 当社の企業統治体制図は、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載しております。

②戦略

 当社グループは、将来にわたって環境・社会課題を解決し、ステークホルダーから選ばれ続ける会社となることを目指して「パワーとアナログにフォーカスし、お客様の“省エネ”・“小型化”に寄与することで、社会課題を解決する」という経営ビジョンを2020年から掲げています。2021年4月には「ロームグループ環境ビジョン2050」を定め、カーボンニュートラル、ゼロエミッションを宣言しました。また、社会と当社の持続的成長に必要なサステナビリティ重点課題(マテリアリティ)を再特定し、その中から中期視点で達成すべき具体的な指標を、中期経営計画「MOVING FORWARD to 2025」の非財務目標として設定しています。

サステナビリティ

重点課題

リスク

機会

目指す姿

具体的な目標

持続可能な技術の強化、革新的な製品の開発、供給

・省エネ・小型化に寄与する製品の開発停滞による売上の低下

・省エネ・小型デバイス開発競争の激化

・新興国を含む競合の台頭によるマーケットシェアの低下

・顧客の要求品質を満たさないことによる品質の低下

・xEV市場の新車販売台数拡大による電子部品需要の高まり

・再生可能エネルギーの導入に伴う太陽光パネル向けなど産業機器市場向け売上の拡大

・省エネ化のニーズの高まり、電子機器の高機能化に伴う電子部品搭載点数の増加

省電力化を実現する技術開発・供給を通じて、エネルギー問題の解決に貢献する

省エネ製品の開発、市場への供給による貢献

デバイスの小型化を通じて、材料、廃棄物の削減に貢献することで地球環境負荷を最小限に抑制する

小型化製品の開発供給による貢献

交通事故を起こさない車を生み出す技術開発を推進する

機能安全を追求した製品の開発供給による貢献

気候変動への対応(※)

・温室効果ガス排出量削減の義務化や温室効果ガス排出量に応じた炭素税の本格導入

・xEV市場の新車販売台数拡大による電子部品需要の高まり

・再生可能エネルギーの導入に伴う太陽光パネル向けなど産業機器市場向け売上の拡大

低炭素・循環型・自然共生社会の実現に貢献できる製品・サービスを開発・普及させる

・温室効果ガス排出量削減

・エネルギー消費量削減

・再生可能エネルギーの導入促進

資源の有効活用

・資源不足(希少金属、水など)に伴う材料価格の高騰や生産活動の制限

・廃棄物削減、リサイクル、エネルギー供給源の見直しによるコスト削減

・環境対策先進企業としてのブランド価値の創出

循環型経営につながる事業基盤を構築する

・水資源の削減

・廃棄物量の削減

従業員エンゲージメントの強化

・人財確保の競争激化、定着率の低迷

・旧来型人事制度・企業風土の改革の遅れによる人財力の低下

・従業員エンゲージメント向上による組織力の向上

・優秀な人財の獲得・維持

・従業員の能力・自律性を高めることによる生産性の向上

当社で働く従業員が、失敗を恐れず社会・企業の成長のために挑戦できる職場環境を実現する

・チャレンジを生み出す風土の醸成

・働きがいの向上

・従業員エンゲージメントスコアの改善

ダイバーシティの推進

・人財確保の競争激化、定着率の低迷

・旧来型人事制度・企業風土の改革の遅れによる人財力の低下

・優秀な人財の獲得・維持

・ダイバーシティ経営推進による競争力の強化

広い視野で主体的に物事を考え、新たな価値を創造できる人財を増やす

・女性活躍の推進

・グローバルレベルでの能力開発と人財配置

従業員の健康と安全の確保

・労働災害、業務上疾病の発生による従業員への悪影響

・労働環境が改善しないことによる従業員エンゲージメントの低下

・労働環境改善による生産性の向上

・人財の確保・モチベーションUP

従業員が安全に、かつ心身ともに健康に働くことができる職場環境を実現する

・安全な職場の確保

・健康経営の推進

コーポレートガバナンスの強化

・法令違反及び企業倫理違反等による不祥事の発生

・ESG投資の増加等による株主からのマネジメント評価の厳格化

・強固な財務基盤による経営の安定性の確保と変化への適切な対応

・強固なガバナンス体制の確立による意思決定の透明性の向上

企業価値向上に向けた強固な経営基盤を構築する

・経営者の多様性の確保

・中長期的企業価値向上に向けた報酬制度の見直し

・経営の実効性の担保

リスクマネジメント

・大規模災害の増加(地震、洪水、台風、火災など)

・セキュリティ違反による情報漏えいやサイバー攻撃への対応の遅れ

・他社の保有する特許権等の知的財産権侵害などの法的訴訟

・リスクの変容に対応したリスク管理体制の構築による、事業継続と事業成長の実現

従業員と家族の安全確保・事業継続のために、将来予想される危機に対して有効に機能するシステムを構築する

BCM管理体制の強化

持続可能なサプライチェーンマネジメント

・生産拠点の稼働停止や稼働率の低下による顧客への安定供給の停止

・国際情勢の変化による、海外企業との取引停止や希少金属などの材料供給停止

・サプライチェーン上の人権侵害や使用禁止物質の調達によるコンプライアンス違反

・持続可能な原材料調達によるレジリエンスの向上

パートナー企業とともに、未曽有の事態にも対応でき、かつ高品質な商品を社会に提供するサプライチェーンを構築する

・BCM体制の強化

・グリーン調達の推進

・CSR調達活動の推進

製品安全・品質の強化

・品質管理体制の不備による品質トラブルの発生と顧客の離反

・法令違反による信用低下

・徹底した安全・品質管理による顧客満足度の向上

・お客様ニーズに即した新しい商品提供による販売機会の拡大

顧客のニーズに応える製品品質を確保し、お客様に選ばれる商品・サービスを生み出す

・フロントローディングによる品質保証の体制構築と定着

・顧客視点を取り入れた適正品質の実現

※詳細は「(2)気候変動(P.26~P.30)」に記載しております。

■人的資本経営への取り組み

 当社グループでは、経営基本方針の中で、「広く有能なる人材を求め、育成し、企業の恒久的な繁栄の礎とする。」と掲げています。創業以来、蓄積されてきた会社の歴史や技術、資産は会社にとって重要な財産であり、それを培ってきたのは紛れもなく人財です。だからこそ、当社グループでは、一人一人の成長に対して意思を持って投資する人財育成に注力することに加え、広く有能なる人財が活き活きと活躍できる舞台を整備することを通じて、会社と従業員の循環的な成長を目指しています。

 中期経営計画において、2030年の当社のあるべき姿として掲げている「グローバルメジャー」を目指す上でも人財との関わりを重視しており、とりわけ、「従業員エンゲージメントの強化」「ダイバーシティの推進」「従業員の健康と安全の確保」が重要であると考えサステナビリティ重点課題として特定しています。

 半導体ビジネスにおけるグローバル競争が激化する中、顧客から選ばれる製品を開発するためには、従業員のエンゲージメントを強化し、変化する世の中の需要に迅速、かつ柔軟に対応できる人財を育成していくことが必要です。そのために、従業員の自律的なキャリア形成、及び能力開発を促進する仕組みを設けています。

 研修においては、階層ごとに全員が受講する研修だけではなく、自身のキャリアに必要な知識・スキルを自身に必要なタイミングで、自ら学ぶことができる「選択式研修」を設け、従業員個人の課題やキャリアに応じた学びの機会を提供しています。2019年度には「スペシャリスト職制度」を創設し、高度な専門スキルをもって会社に貢献する従業員を「スペシャリスト職」として認定することで、その道の第一人者としてのキャリアパスを明確にする仕組みを整備しています。

 また、2022年度より開始した「ジョブポスティング制度」では、注力事業の強化・増員時の求人を、社内にも開示・公募することで、自ら手をあげて異動を実現できる機会を提供しています。

 これらの仕組みによって、従業員一人一人が主体的・継続的に自らのキャリア形成に向き合い、会社もそれを支援することでキャリア開発が活性化するとともに、人財の内部流動性が高まることで、急速な環境変化への機動的対応を可能にし、注力事業に必要な人財を確保することにもつながっています。

 また、多様なバックグラウンドを持つ人財が集い、チームワークを発揮することが企業のイノベーションにつながるとの考えから、ダイバーシティの推進にも注力しています。組織の多様性を高め、異なる背景や価値観を受容することで、多様な知見に基づくアイデアを創出することが可能となり、特に、意思決定の場面においては、同質性に依存するのではなく、多様な考えを取り入れることこそが、優位性のある決定に必要であると認識しております。そのため、「当社グループ全体の女性管理職比率」「女性又は外国人役員比率」等の指標を当社は重視しており、重要な意思決定の場面に多様な人財が参加することを期待しています。

 なお、一連の取り組みについては、従業員が心身ともに健康であり、安心して働ける環境が確保されていることが前提となります。心身の健康が損なわれることがないよう、職場でのハラスメント等の未然防止に加え、従業員への健康投資を積極的に行うことで、一人一人の健康を担保し、組織の活性化につなげていきます。そして、従業員が活き活きと働ける会社になっているかを定点観測すべく、「従業員エンゲージメントスコア」の指標を定めています。

 今後も、会社と従業員の循環的な成長を目指し、豊かな人間性と知性を備えた多様な人財を育成し、個々の能力が最大限に発揮される環境を整備していきます。

③リスク管理

 上記のサステナビリティ重点課題(マテリアリティ)と中期目標は、外部評価の結果やISO26000などの国際ガイドライン・規範、社内外のステークホルダーの皆様との対話から頂いたご要望等を総合的に分析・検証した上で定めています。また、特定に当たっては、本業による社会的課題の解決(CSV)といった、機会につながる課題と、事業活動が社会に及ぼすネガティブなインパクトを把握し、ステークホルダーに与える負荷を軽減するといったリスクの観点から評価・分析・検証を行っています。

■特定プロセス

<Step1:重点課題候補の抽出>

 当社グループの企業理念や行動指針、ビジネスモデルを踏まえ、国際的なCSRガイドラインであるISO26000やGRIスタンダード、持続可能な開発目標(SDGs)、DJSI、MSCI、FTSE、Sustainalytics等のESG評価結果をベースに、重点課題候補を抽出。

<Step2:ステークホルダー視点での評価>

 当社グループの企業活動に関わりが深いステークホルダーとしてお客様、サプライヤー、機関投資家、地域社会、従業員の5つのグループを選定。各検討課題候補について、ステークホルダーの視点からの重要性をアンケート調査を通じて確認し、結果を分析。

<Step3. 重点課題の特定と優先順位付け>

 当社グループが取り組むべき重要な課題の特定と優先順位付けを、社会の持続可能性への影響だけでなく、グループの企業価値向上の両視点から実施。「ステークホルダーからの期待」「当社グループにとっての重要性」の2つの側面から、当初重点課題候補として抽出された35項目(E:11項目、S:17項目、G:7項目)の重要度合いをマッピングして整理し、その結果、特に重要な課題10項目を特定。

<Step4. 承認>

 全取締役とそれに準ずる権限を持つ責任者から構成されるCSR委員会(2020年当時)※にて承認。

※2022年4月よりサステナビリティ経営委員会とEHSS統括委員会による新ガバナンス体制に変更。

EHSS統括委員会は、経営の執行権限を持つ取締役とそれに準ずる権限を持つ執行役員及び、事業本部責任者、各マネジメントシステムの責任者から構成され、環境(Environment)、健康・衛生(Health)、安全(Safety)、サステナビリティ(Sustainability)に関連するマネジメントシステムの運用を統括し、取締役会に対して適宜、報告・相談を行うとともに、取締役会から監督・指示を受けています。

EHSS統括委員会の傘下に、安全衛生、リスク管理・事業継続、環境、サプライチェーン、倫理、労働、情報、品質の各マネジメントシステムを推進する体制を構築し、それぞれ担当する分野に関して発生する経営上の諸問題やリスクに対し、その対策・指導・解決に努め、適切に管理しています。特定しているサステナビリティ重点課題(マテリアリティ)についても、該当するマネジメントシステムにて取り組みを進めています。また、その進捗はEHSS統括委員会に定期報告し、EHSS統括委員会にて取り組み実績の評価・監督を行います。この体制を通じて、会社全体でサステナビリティ重点課題(マテリアリティ)の達成に向けた活動を推進してまいります。

 更に、当社では業務執行上発生する可能性のある重要なリスクを抽出・分析・統括管理するリスク管理・BCM委員会も組織しています。突然の自然災害等不測の事態の発生に対してもその影響を回避又は極小化し、結果として事業の存続を可能とするため、リスク管理・BCM委員会において、各リスクの主管担当部署の活動状況を検証するとともに、BCPを策定し、あらゆる事前対策や準備に務めるよう、グループ全社に徹底を図ります。

④指標及び目標

 当社グループが特定したサステナビリティ重点課題(マテリアリティ)には、本業による社会的課題の解決(CSV)といった、機会につながる課題と、事業活動が社会に及ぼすネガティブなインパクトを把握し、ステークホルダーに与える負荷を軽減するといったリスク対応としての課題があり、それぞれに目標を設定しています。目標及び実績は以下のとおりです。

持続可能な技術の強化、革新的な製品の開発、供給

取り組み背景・課題

「脱炭素」は全世界共通の達成しなければならない課題です。その課題達成に向けて、世界中で、電気自動車や再生エネルギーの活用など、環境負荷の大幅軽減に向けた技術革新が進んでいます。一方、自動運転などの技術が社会に広く浸透するに伴い、安全性の確保も大きな課題となってきています。当社の強みは「パワー」「アナログ」技術です。これらの技術を活用し、付加価値のある新たな技術・製品を開発・提供することで、地球環境問題、そして安全な社会の実現に貢献してまいります。

テーマ

①省エネ製品の開発、市場への供給による貢献

②小型化製品の開発供給による貢献

③機能安全を追求した製品の開発供給による貢献

達成目標

(達成年度:2025年度)

売上を社会貢献の総量として、売上額6,000億円以上※を達成する

※ 当初の目標4,700億円以上から6,000億円以上に変更

2022年度目標と実績

及び

2023年度の目標

2022年度目標:5,100億円 / 実績:5,078億円 ⇒ 2023年度目標:5,400億円

気候変動への対応

取り組み背景・課題

気候変動に対する危機意識は、パリ協定の制定など、グローバル規模で高まりを見せています。またこのことを、決して他人事ではなく、私たちの事業活動そのものを脅かす課題であると強く認識し、この度「ロームグループ環境ビジョン2050」を策定しております。

地球環境をより良い状態で次世代へ引き継ぐために、当社グループでは製品を通じての課題解決はもちろん、事業活動全体での省エネルギー化の推進、再生エネルギーの導入を図り、脱炭素社会実現に貢献してまいります。

テーマ

①温室効果ガス排出量削減

②エネルギー消費量削減

③再生可能エネルギーの導入促進

達成目標

(達成年度:2030年度)

①2030年に温室効果ガスを2018年度比50.5%削減する

②排出量原単位を2030年に、2018年度比45%削減する

③2050年に導入比率100%を目指し、再生可能エネルギー化を推進する

2022年度目標と実績

及び

2023年度の目標

①2022年度目標:2.5%以上(前年度比) / 実績:17.8%

 ⇒2023年度目標:15.0%以上(前年度比)

②2022年度目標:29.7%以上 / 実績:38.5%

 ⇒2023年度目標:47.1%以上

③2022年度目標:19%以上 / 実績:24%

 ⇒2023年度目標:43%以上

資源の有効活用

取り組み背景・課題

地球上の限りある資源を枯渇させず、将来に向けて持続可能な社会を創造していくためには、最小の資源やエネルギーで最大の効果を生み出すことのできる「循環型社会」の実現が求められます。当社グループにおいては、地球環境負荷を軽減する仕組み、生産技術を新たに構築することで、地球環境への負荷を最小限に抑制する、循環型経営を追求してまいります。

テーマ

①水資源の削減

②廃棄物量の削減

達成目標

(達成年度:2030年度)

①水の回収・再利用率を2019年度実績より5.5%向上する

②国内海外連結で再生資源化率ゼロエミッションを目指す

2022年度目標と実績

及び

2023年度の目標

①2022年度目標:0.4%以上向上 / 実績:1.3%向上

⇒2023年度目標:2.3%以上向上

②国内連結 2022年度目標:ゼロエミッション / 実績:達成

⇒2023年度目標:ゼロエミッション

海外連結 2022年度目標:94.5%以上 / 実績:94.7%

⇒2023年度目標:95%以上

国内外連結 2022年度目標:97.0%以上 / 実績:98%

⇒2023年度目標:98%以上

従業員エンゲージメントの強化

取り組み背景・課題

経営ビジョンに掲げた社会課題を解決する会社になるためには、当社グループの従業員一人一人が活き活きと働くことができる会社でなくてはなりません。そのためには様々なライフスタイル・ライフステージに身を置く従業員一人一人が、働きやすく、成果を上げることができる環境を整えることが重要です。当社グループは従業員とのエンゲージメントの強化を通じて、あらゆる職場で失敗を恐れず果敢に挑戦し続ける企業風土の醸成と、挑戦を促す職場環境の整備に取り組んでまいります。

テーマ

①チャレンジを生み出す風土の醸成

②働きがいの向上

③従業員エンゲージメントスコアの改善

達成目標

(達成年度:2025年度)

①世界で通用する次世代リーダー、プロフェッショナル人財を育成する制度を確立する

②-1.新常態において、従業員の志向やライフスタイルに適応した選択型サービスを提供する

②-2.配属後のミスマッチをなくすことでパフォーマンスの最大化を図るため、各部門における求人に関する職務記述を明文化する

②-3.人事基幹システム内で、従業員の能力・期待・経験・資格等をデータ化し、適正な採用・配置に活用する仕組みを構築する

③ワールドワイドでのエンゲージメントサーベイ(※)を導入し、スコアを毎年改善、業界平均以上を目指す

※当社グループでは、WTW(ウイリス・タワーズワトソン)の従業員エンゲージメント調査を通して、エンゲージメントスコアを管理しております。

2022年度目標と実績

及び

2023年度の目標

①   2022年度目標:自律的な自己管理と自己改革を進めるためのマネジメントサーベイ実施の上、アセスメントを拡大

2022年度実績:マネジメント層の自己改革の促進を目的として360°フィードバック(上司・同僚・部下からのフィードバック)を実施

2023年度目標:ジョブ型人事制度の対象を拡大し、より戦略的かつ競争力のある処遇を実現する。

②-1.2022年度目標:従業員の嗜好やライフスタイルに適応した選択型福利厚生サービスの導入検討

2022年度実績:ベネフィットステーションを当社に導入

2023年度目標:GLTD(団体長期障害所得補償保険)の導入

②-2.2022年度目標:公式採用HPに掲載する求人票の更なる情報量の拡充

2022年度実績:情報量拡充。合わせて社内での人財流動性を高めるためのジョブポスティング(社内公募)制度を導入

2023年度目標:ジョブポスティング(社内公募)制度の対象拡大、リファラル採用の導入、外国籍人財の採用拡大

②-3.2022年度目標:当社での人事基幹システム運用を通じたデータ収集と、一部国内関係会社へのシステム展開の実施

2022年度実績:BIツール活用による人事基幹システムに蓄積されるデータの見える化と、一部の国内グループ会社に対し、人事基幹システムを展開

2023年度目標:グループ横断でのデータ収集と、海外を含めたグループ会社への人事基幹システムの展開

③   2022年度目標:ワールドワイドのグループ会社にてエンゲージメントサーベイを実施(2022年9月を予定)

2022年度実績:導入完了とともに、業界平均以上の結果を達成(グループ全体:91%)

2023年度目標:当社におけるエンゲージメントスコアの改善

ダイバーシティの推進

取り組み背景・課題

世界各地に生産・販売拠点を有する当社グループでは、様々な国籍、また多様なバックグラウンドを持つ従業員が集まっています。これらの多様な人財が個性・能力を発揮し、「ONE ROHM」としてチームワークを発揮することで、イノベーションが創出され、社会課題の解決につながる商品の提供が可能となります。また、そのためには、性別や国籍等にとらわれず、主体的に物事を考え、広い視野に立って異なる文化や思想・考えを受け入れ、新たな価値をも創造できるグローバルマインドを持った従業員の人財開発が不可欠です。この考え方から、当社グループはダイバーシティ推進を重要な経営課題と特定しました。誰もが自身の能力を最大限発揮できるよう、施策を講じてまいります。

テーマ

①女性活躍の推進

②グローバルレベルでの能力開発と人財配置

達成目標

(達成年度:2025年度)

①2025年に当社グループ全体の女性管理職比率を15%にし、2030年には20%を目指す

②-1.当社グループ全体での人財開発体系を確立する

②-2.キャリアプランの充実や適切な人財配置、多様な人財の管理・登用を推進するため、混在する人事システムを統合し、グローバルシステムとしてグループ内に展開する

②-3.評価・報酬・昇進昇格・配置における戦略的データを蓄積する

2022年度目標と実績

及び

2023年度の目標

①   2022年度目標:10.9% / 実績:12.6% ⇒2023年度目標:12.9%

②-1.2022年度目標:・次世代リーダー研修の継続と実践の場を順次提供

・人事システム内で上司・従業員の研修履歴や所有スキルを可視化

・国内グループ会社におけるOJTを中心とした人財開発体系を確立

2022年度実績:部門長、課長級を対象とした次世代リーダー研修に、延べ48名が参加し、全プログラム修了

2023年度目標:従業員の能動的・選択的・自己決定的なキャリア形成の機会として、選択式研修の拡充及び一部国内グループ会社へ展開

②-2.2022年度目標:・人事基幹システムを国内グループ会社への展開

・人事基幹システムから収集した人事データベースを活用し、選択型・選抜型研修に反映

2022年度実績:・人事基幹システムの国内グループへの展開を開始

・選択型及び選抜型研修の受講履歴を人事データベースに蓄積し分析に活用

2023年度目標:人事基幹システムの海外グループ会社への展開に加え、共通管理項目を設定することで人的資本情報開示の基盤構築に着手

②-3.2022年度目標:グレーディングを活用した年功的昇進等の慣習排除施策・環境づくり、ジョブ型雇用の一部導入

2022年度実績:ジョブ型・年俸制・個別契約型の人事制度を一部導入

2023年度目標:ガバナンスの観点から、グループ会社役員の選解任・報酬・契約管理をアップデート

従業員の健康と安全の確保

取り組み背景・課題

労働現場における災害の発生は、従業員の生命を脅かし、また事業継続性にも影響を及ぼすおそれがあります。このため、当社グループは、全ての従業員、また業務に携わるステークホルダーが安全に働くことができる職場を実現することが、従業員の命や人権を守る上で重要だと捉えています。更に、従業員一人一人がやりがいを持ち、自身の能力を最大限に発揮するためには、従業員が心身ともに健康である必要があります。これらの考え方から、当社グループは、安心・安全で衛生的な職場の確保を重要な経営課題だと認識し、快適で安心して働ける職場環境づくりと、心身の健康の保持・増進に積極的に取り組んでまいります。

テーマ

①安全な職場の確保

②健康経営の推進

達成目標

(達成年度:2025年度)

①当社グループでの休業災害件数「0」を達成・維持する

②-1.グループレベルでの未知なる感染症への防疫体制を確立・維持する

②-2.当社の運動習慣比率を全国平均値以上に向上・維持する

②-3.運動習慣定着に向けた取り組みをグループレベルで行う

2022年度目標と実績

及び

2023年度の目標

①   2022年度目標:休業災害「0」/ 実績:2件(1日以上の休業)

2023年度目標:休業災害「0」

②-1.2022年度目標:COVID-19構内クラスター発生「0」/ 実績:達成

2023年度目標:達成したため別目標策定

②-2.2022年度目標:非運動習慣者率:15%以下(対象:当社)/ 実績:11%

2023年度目標:達成したため別目標策定

②-3.2022年度目標:国内グループ各社にて運動習慣定着に向けた数値目標を設定

2022年度実績:設定完了

2023年度目標:達成したため別目標策定

<2023年度「②健康経営の推進」の目標>

・「ヘルスアップチャレンジ7※」重点3項目(睡眠・ストレス・運動)のうち、2項目以上達成した従業員が前年度比10%以上改善

・心身の健康状態の向上によるプレゼンティーズムの改善

 

※睡眠・ストレス・運動・食生活・飲酒・禁煙・コミュニケーションの健康に関する7項目について一人一人が一つでも多くクリアするために取り組むことで、プレゼンティーズムの改善、Well-beingの実現を目指すランキング

コーポレートガバナンスの強化

取り組み背景・課題

企業活動全体が社会のルールを守り、多様なステークホルダーの期待に応えるには、経営の透明性を確保しつつ、競争力の強化を目指したコーポレートガバナンスの充実が必要です。そのためには、取締役会等の役割・責務を明確にし、迅速な意思決定を行うとともに、独立・客観的な立場による社外取締役を活用することで、経営の執行と監督の分離を進め、取締役会による監視・監督機能を強化することが欠かせません。当社グループは、コーポレートガバナンスの強化を図り、持続的な成長と企業価値・株主価値の向上を目指してまいります。

テーマ

①取締役会の多様性の確保

②中長期的企業価値向上に向けた報酬制度の見直し

③経営の実効性の担保

達成目標

(達成年度:2025年度)

①女性又は外国人役員比率を10%にする

②-1.独立社外取締役の人数を、過半数に引き上げる

②-2.中期経営計画(財務・非財務目標)に連動した報酬制度を導入

③外部機関による評価を3年に1回実施する

2022年度目標と実績

及び

2023年度の目標

①   2022年度目標:女性及び外国人の取締役会に占める割合を向上(2021年度実績 女性役員比率:9%、外国人役員比率:0% 計9%)

2022年度実績:14%向上(2022年度実績 女性役員比率:15%、外国人役員比率:8% 計23%)

2023年度目標:女性及び外国人の取締役会に占める割合を維持・向上

②-1.2022年度目標:独立社外取締役の取締役会に占める割合を向上(2021年度実績 45%)

2022年度実績:9%向上(2022年度実績 54%)

2023年度目標:独立社外取締役の取締役会に占める割合を維持・向上

②-2.2022年度目標:中期経営計画(財務・非財務目標)に連動した報酬制度を導入

2022年度実績:「業績連動型譲渡制限付株式報酬制度(PSRSU)」を導入完了

2023年度目標:報酬構成のバランスや水準等について、取締役の当社株式の保有率や保有期間に対する考え方等も含め総合的な検討を行う

③   2022年度目標:取締役会の実効性評価に外部機関によるサポートを導入

2022年度実績:2023年3月実施の実効性評価において、結果の評価・分析に関して外部機関によるサポートを導入

2023年度目標:実効性評価における外部機関によるサポートを継続実施

リスクマネジメント

取り組み背景・課題

経済のグローバル化や社会の変化とともに、企業を取り巻くリスクが多様化する中、事業に関する社内外の様々な不確実性を適切に管理することは、経営戦略や事業目的を遂行していく上で欠かせません。大規模な自然災害や事故、感染症等の流行等で被害を受けたとしても、重要業務が中断されないこと、また万が一中断しても可能な限り短い期間で復旧・再稼働することは、企業としての重要な責任です。当社グループは、「リスクマネジメント」を事業基盤の重要な経営課題と位置付け、業務及び業績に支障をきたすおそれのある事象を「リスク」として捉え、その発生を最小限に止めるとともに、事象が発生した場合でも円滑に事業継続・復旧を行うための対策に取り組みます。

テーマ

BCM管理体制の強化

達成目標

(達成年度:2025年度)

継続的なリスクの洗い出しを通じてBCP体制の強化を図る

2022年度目標

・2021年度に実施した活動の継続

・EHSS統括委員会の各マネジメントシステムとの連携による、より強固なリスクマネジメント体制の構築

・従業員一人一人の防火・防災意識を向上するための取り組みを実施

2022年度実績

・四半期毎開催のリスク管理・BCM委員会にてグループのリスクの洗い出し・評価・対策状況の確認を実施の上、主要なリスクについてEHSS統括委員会へ報告。リスク発生の予兆や対策の進捗状況をモニタリングするための指標を作成

・経営層も参加するBCM対策本部を中心とした地震対応BCM訓練をリモートワークツールも活用して実施し、災害時の対応の有効性について検証

・火災・水災に特化したリモートリスクサーベイを国内・海外主要生産拠点にて実施し、火災・水災リスクへの対応状況を確認

・国内海外グループ会社に赴き、防火・防災内部監査を実施

・クリーンルームの「火災予防ガイドライン」を策定し、グループ内に展開

・新型コロナウイルス対策として、行政のガイドラインに沿った社内基準の見直しと柔軟な対応

・当社従業員を対象とし防災意識向上のためのeラーニングを実施

2023年度目標

・2022年度に実施した活動の継続

・EHSS統括委員会の各マネジメントシステムとの連携による、より強固なリスクマネジメント体制の構築

・従業員一人一人の防火・防災意識を向上するための取り組みを実施

・火災の未然防止を目的とした火災リスクアセスメント体制の構築

持続可能なサプライチェーンマネジメント

取り組み背景・課題

社会のニーズに応えられる高品質な商品を安定的に世の中に送り出すには、強固な調達体制の確立と、重要なパートナーであるサプライヤーとの強いパートナーシップの構築が欠かせません。

また、昨今事業継続リスクの脅威となっている自然災害や感染症に備え、高品質な商品を社会に提供するためには、サプライヤーとともに品質・安全・環境・人権・BCMの点から、当社グループを取り巻く全てのサプライヤーを総合的にマネジメントできる体制を構築し、サプライチェーン全体での経営品質を向上させることが不可欠です。

サプライヤーとともに、「相互信頼・相互繁栄」の概念のもと、高品質な商品を社会に提供するため、社会からの期待に応える調達体制の確立、そして健全なサプライチェーンの構築に取り組みます。

テーマ

①BCM体制の強化

②グリーン調達の推進

③CSR調達活動の推進

達成目標

(達成年度:2025年度)

①-1.購買先活動総合評価実施済みのサプライヤーからの購入比率90%以上

①-2.Tier1サプライヤーの生産拠点調査100%

①-3.重要サプライヤーの有事対応における事前合意率100%

②環境管理体制自己評価合格率100%

③CSRセルフアセスメント結果B以上のサプライヤーからの購入比率90%以上

2022年度目標と実績

及び

2023年度の目標

①-1. 目標:92.0% / 実績:95.4% ⇒ 2023年度目標:80.0%

①-2. 目標:30.0% / 実績:31.0% ⇒ 2023年度目標:60.0%

①-3. 目標:10.0% / 実績:45.9% ⇒ 2023年度目標:60.0%

②  目標:95.0% / 実績:92.6% ⇒ 2023年度目標:96.0%

③  目標:65.0% / 実績:78.3% ⇒ 2023年度目標:80.0%

※①、②は2022年度までは単体での目標策定。2023年度よりグループレベルでの目標に対象範囲を見直し。

製品安全・品質の強化

取り組み背景・課題

「われわれは、つねに品質を第一とする。」という基本理念は、当社のものづくりの基本となっています。「品質」とはお客様の満足度を表わすものであり、当社グループでは、新製品の開発、生産システムの開発、原材料の購入、そして全ての製造プロセスにおいて細心の注意が払われ、かつ、営業をはじめ管理部門に至るまでの全てのスタッフが「品質第一」という企業目的を守り抜くため、日々努力しています。この基本の考えを踏まえ、当社グループは製品安全はもちろんのこと、顧客満足度の向上を目指した取り組みを行ってまいります。

テーマ

①フロントローディングによる品質保証の体制構築と定着

②顧客視点を取り入れた適正品質の実現

達成目標

(達成年度:2025年度)

品質満足度スコア10%改善(2020年度比)

2022年度目標と実績

及び

2023年度の目標

2022年度目標:2%改善

2022年度実績

・顧客からの総合スコア:3.1%改善

・「満足」「やや満足」の回答選択率:4.8%改善

(理由:「車載対応」スコア向上によるもの。注力市場である車載市場は対応強化の活動を進めた成果が大きい)

・「不満足」「やや不満足」の回答選択率:1.0%改善

※上記3項目は、いずれも2020年度比で数値を算出

2023年度目標:5%改善

(2)気候変動

①ガバナンス

2021年4月、地球環境課題に対する企業の社会的責任を果たすため、「ロームグループ環境ビジョン2050」を制定しました。また、2021年5月に発表した中期経営計画“MOVING FORWARD to 2025”においても、サステナビリティ重点課題(マテリアリティ)の一つとして「気候変動への対応」を挙げています。

 当社では、気候変動問題への対応は、CSOが委員長を務めるEHSS統括委員会において審議、決議される体制を構築しています。その傘下には8つのマネジメントシステムを設けており、その一つである環境マネジメントシステムを担当する環境保全対策委員会は、事業本部責任者を委員長とし、積極的に気候変動への対応に取り組んでいます。委員会では、2030年中期環境目標を作成するとともに、その達成に向けた環境マネジメントの進捗状況や再生可能エネルギーの導入などを含む気候変動問題への対策に関する課題について審議しています。また、監査等委員である取締役は、EHSS統括委員会及び毎月開催される環境保全対策委員会に出席し、代表取締役社長を中心とした環境マネジメント全体の執行状況を継続的に監視・検証しています。

 また、株主の皆様との一層の価値共有を進めるため、取締役に対する業績連動型譲渡制限付株式報酬制度において、「温室効果ガス排出量」を業績評価指標の一つに採用しています。

②戦略

 当社では、「ロームグループ環境ビジョン2050」に基づき、半導体製品の効率改善や環境配慮型の事業体制構築などの気候変動対策を加速させるため、国際エネルギー機関(IEA)や国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)などが公表しているシナリオを参考にしながら、気候変動が自動車・産業・民生その他全ての分野の事業活動に与える影響を分析しました。具体的には、社会全体が脱炭素に向けて変革を遂げ温度上昇の抑制に成功する「1.5℃/2℃シナリオ」と、経済発展を優先し世界の温度上昇とその影響が悪化し続ける「4℃シナリオ」のそれぞれについて、2050年の気候変動が当社を取り巻くステークホルダー(政府・金融機関・投資家・サプライヤー・顧客)とその事業活動に関係するバリューチェーン(コーポレート・研究開発・調達・製造・販売)にどのような影響を及ぼすのかを検討しました。

シナリオ

参考情報

移行リスク

機会

1.5℃/2℃シナリオ

Sustainable Development Scenario(SDS)※1

Net Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)※1

4℃シナリオ

Stated Policies Scenario(STEPS)※1

物理リスク

1.5℃/2℃/4℃シナリオ

代表的濃度経路(RCP)※2

共有社会経済経路(SSP1/5)※2

※1.出典:IEA「World Energy Outlook(WEO)2021」

※2.出典:IPCC「第5次評価報告書」

<リスクと機会別財務インパクト>

 上記2つのシナリオ分析に基づき特定した気候関連のリスクと機会の項目、重要度、蓋然性及び当社グループの事業活動に与える財務的な影響を以下のとおり評価しています。

※1.重要度:「高」「中」「低」の程度は、気候関連のリスクと機会の「発生可能性」と「影響の程度」を勘案して評価しています。

※2.発生時期:「短期」は2022年~2025年、「中期」は2026年~2030年、「長期」は2031年~2050年での発生を見込んでいます。

※3.影響度:「小」は10億円以内、「中」は10億円超100億円以内、「大」は100億円超の財務的なインパクトを見込んでいます。なお、試算が困難であるリスク・機会の影響度については、項目における定性評価に留め、「-」として表示しています。

■気候変動が営業利益に与える影響のイメージ

1.5℃/2℃、4℃のシナリオ分析に基づき、移行リスク、物理リスク、機会について営業利益に与える影響を試算し、イメージ化しています。

 また、特定されたリスク・機会とそれらの影響に鑑み、種々の対応策を講じることにより経営の強靭化を図ってまいります。具体的には、リスク低減のため、サプライヤーを含めバリューチェーン全体における温室効果ガス排出量の削減に向けた取り組みを継続的に実施するとともに、BCP対策の強化などを推進していきます。また、特定された機会の最大化を図るため、xEV向け部品などの脱炭素化に寄与する製品や、空調向け製品の研究開発・販売などを強化していきます。

③リスク管理

 当社では、EHSS統括委員会の傘下のリスク管理・事業継続マネジメントシステムにおいて、事業継続に関わる全ての重要なリスクを統括管理しています。その中でも、著しいリスクに特定された「気候変動」について、2021年度には、全社、グループを巻き込んだプロジェクトを立ち上げ、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)(※)のフレームワークに沿って複数のシナリオにおけるリスクを抽出・分析しております。この「気候関連」のリスクを物理リスクと移行リスクに分類し、物理リスクに関してはリスク管理・事業継続マネジメントシステム、移行リスクに関しては環境マネジメントシステムが主体となり、事業部を含む全社各部門が横断的に参画するリスク管理・BCM委員会及び環境保全対策委員会がその影響度と発生可能性を勘案して重要リスクを洗い出し、分析・評価の上、対応方針を決定・実施する体制を構築しております。

 更に、両委員会は、リスク管理体制の監督や各マネジメントシステムの責任者がEHSS統括委員会へ報告するとともに、リスクが顕在化した場合に備えたBCPの策定とグループ全社への周知徹底を図っています。

※ TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)

 金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示及び金融機関の対応方法を検討する目的で設立された組織。企業等に対して気候変動関連リスク及び機会に関する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」を把握・開示することを推奨しています。

④指標と目標

 当社は、2021年4月に策定した「ロームグループ環境ビジョン2050」に基づき国内外で環境経営を推進しており、2050年までに「温室効果ガス排出量実質ゼロ」及び「ゼロエミッション」を目指しています。また、中期経営計画「MOVING FORWARD to 2025」において、「国内外の全ての事業活動で使用する電力を2050年度に100%再生可能エネルギー電源由来とする」計画を公表しました。

 現在、この中期経営計画に基づき、再生可能エネルギーの導入量を段階的に引き上げており、事業活動で使用する電力における再生可能エネルギー導入比率を2030年に65%、2050年に100%達成を目標としています。2022年度においてはタイ工場の再生可能エネルギーの導入を完了し、累計24%の導入率となりました。

 また、2030年環境目標は、「ロームグループ環境ビジョン2050」に掲げる「気候変動」「資源循環」「自然共生」の3つの重点課題ごとに策定しました。「気候変動」については、「事業活動に伴う温室効果ガス排出量(スコープ1、2)を2030年度に2018年度比で50.5%以上削減する」「温室効果ガス排出量原単位(スコープ1、2)を45%以上削減する」「販売した製品の使用による排出量(スコープ3:カテゴリー11)を2030年度に2018年度比で15%以上削減する」という目標を定めています。

 これらの目標が、パリ協定の「2℃目標」を達成する上で科学的な根拠がある(1.5℃水準)と認められ、2022年2月に「SBTi(Science Based Targets initiative)」より認定を取得しています。また、2022年4月には、事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーとすることを目指す国際企業イニシアティブ「RE100(100% Renewable Electricity)」(※)に加盟しました。更に、気候変動のみならず、水の回収率の向上や廃棄物排出量原単位に関する目標を掲げて、資源循環の推進などにも取り組んでいます。

※ RE100(100% Renewable Electricity)

The Climate GroupがCDPとのパートナーシップのもとで主催し、We Mean Business連合の一部としても運営している国際企業イニシアティブ。日本では2017年より日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)が、RE100の公式地域パートナーとして日本企業の参加と活動を支援しています。

<再生可能エネルギーの導入実績・計画>

導入実績

導入計画

2017~2022年度

2023~2026年度

2027~2030年度

・ローム㈱(一部)

  京都駅前ビル、新横浜駅前ビル

・ローム・アポロ㈱(一部)

  筑後工場SiC新棟、行橋工場、長浜工場

・ローム浜松㈱(一部)

・ローム・ワコー㈱(一部)

・サイクリスタル・ゲーエムベーハー

  ドイツ工場

・ローム・インテグレイテッド・システムズ・タイランド・カンパニー・リミテッド

  タイ工場

・ローム・エレクトロニクス・フィリピンズ・インク

  フィリピン工場

・ローム・メカテック・フィリピンズ・インク

  フィリピン工場

・ローム・ワコー・エレクトロニクス・マレーシア・センディリアン・バハッド(一部)

  マレーシア工場

残りの海外生産拠点及び国内生産拠点に順次導入予定

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