企業兼大株主ミンカブ・ジ・インフォノイド東証グロース:4436】「情報・通信業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する記載は、本書提出日現在、当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社は、設立時より「情報の価値を具現化する仕組みを提供する」を企業理念に掲げ、グループにおいてこれを共有し、経営判断の拠り所としております。当社は現在、この理念の下、メディア事業・ソリューション事業を展開しており、情報インフラを担う者として、国内での少子高齢化や老後資金問題、生産性人口の減少による企業の業務効率化問題等、様々な社会的課題の解決に貢献し得る存在であり、積極的に取り組む責務があると認識しています。また、当社の社名「株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイド」の「インフォノイド」は“情報(Informatio

n)”と“執着する者(Noid)”の造語であり、“MINKABU THE INFONOID - Minkabuこそが情報に拘るものである”は、当社の成長ドライバーのスローガンそのものであります。

 2019年3月の東京証券取引所マザーズ上場から当連結会計年度で約4年が経過いたしましたが、従来より当社は経営環境の変化や社会的ニーズや課題の変化に応じて事業モデルの変革を行ってまいりました。新型コロナウイルス感染症からの回復期にあり、生活者の行動活性化の一方で、ウクライナ情勢や世界的なインフレ抑制に向けた高金利政策による景気抑制等複雑かつ先行き不透明な情勢が継続する状況において、短期的な業績回復はもとより、Next Stageに向けた企業成長を図るため、さらなる事業スコープ及びスケールの拡大、収益基盤の多様化及び収益性の改善に向けた積極展開を図る方針であります。

 当連結会計年度におきましては、当社グループは、金融不況やウェブ検索エンジンの仕様変更等の外的要因による悪影響を受けましたが、同時にメディア事業におきましては7,000万人規模の月間利用者数を誇るウェブメディアを運営する株式会社ライブドアの子会社化により事業収益の拡大や収益基盤の多様化を図るとともに、資産形成層を含む多様な生活者や消費者、クリエイターへのリーチといったTAM(Total Addressable Market:製品やサービスが獲得可能な最大の市場規模をいう。)の拡大を図るとともに、ソリューション事業におきましては金融情報ソリューションサービスにおいて、メイン情報ベンダーとしての新たな一歩を踏み出すとともに、金融ソリューション分野における顧客基盤拡大のためのシステム系ソリューションの本格的なローンチ、また株式会社ミンカブWeb3ウォレットの子会社化によりNFTを始めとするWebソリューション開発等、DX時代に向けた新たなソリューションサービスの深耕を行いました。また2021年に設立した株式会社ミンカブアセットパートナーズにおいて2022年12月20日付で金融商品仲介業の登録(金融商品仲介業 関東財務局長(金仲)第969号)が完了し、今後資産形成層に向けた新たな金融ソリューションサービスを展開してまいります。

 当社グループは、これまで金融メディア事業・金融ソリューション事業で培った技術やノウハウはもとより、ライブドア事業をはじめとするメディアパワーと、テクノロジーを活用した新たな高付加価値サービス・ソリューション展開により、当社の企業理念である情報への拘りを追求してその価値を具現化し、金融・経済のみならず様々なテーマにおいて、直接的に又は間接的に最終顧客・ユーザーの活動に寄与し、テクノロジーを活用した新たな情報提供の在り方を実現することで、豊かな社会の構築に貢献してまいります。

(2)経営環境の認識及び今後の事業戦略

 当社グループの経営環境に関する認識及び再成長に向けた今後の事業戦略等は次のとおりであります。

1.金融業界に関する認識

 2022年6月7日に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」及び「経済財政運営と改革の基本方針2022」を受け、2022年11月28日に内閣官房に設置された新しい資本主義実現会議によって「資産所得倍増プラン」の具体プランが取り纏められ、貯蓄から投資への流れを後押しする少額投資非課税制度(NISA)の恒久化や抜本的拡充を中心に、新たな資産形成層の拡大とともに、我が国における家計の資産形成が大きく前進することが期待されております。当社もこの趣旨に賛同し、企業におけるイノベーション・成長を促進する環境の整備や、家計における金融リテラシーの向上、資産形成の取り組みを支援する目的で金融経済教育におけるデジタルプラットフォームを開発し、企業並びに経済団体等へASP型サービスとして2024年3月期より順次機能提供を開始する予定であり、資産形成層のすそ野拡大に応じた新たな情報ソリューションサービスのニーズが高まると考えております。

 同時に、今後大手ネット証券会社を軸とした国内における株式売買手数料の無料化加速に向けた動きが活発化することで、顧客の囲い込みに向けた更なる競争激化が予想されます。一方、NISA恒久化等による新たな資産形成層拡大策に加え、手数料無料化による顧客獲得競争が激しくなるにつれ、1顧客当たりの収益性の悪化が顧客当たりの獲得コスト低下を招き、成果報酬型広告を始めとする当社メディア事業の広告収益への影響が懸念されます。なお、株式売買手数料の無料化はある意味でそのコストが投資家に還元されるため、個人投資家の課金余力は一定程度拡大することが期待されます。このため、サブスクリプション型サービスにつきましては今後改めて成長戦略が描けるものと想定しております。また、証券会社各社による収益性の多様化やシステム運用・システム構築の効率化、といった費用対効果に向けた認識が一層高まることが予想されるほか、競争力強化に向けたDX化や様々な顧客体験向上に向けた取り組みの進展等、ソリューション事業においては堅調にニーズが拡大する傾向が当面継続するものと考えております。

2.インターネット業界に関する認識

 世界的な経済環境の悪化や消費者物価の高騰、これに伴う個人消費活動の減少等、不透明な状況が継続している環境下、デジタル広告市場も中期的に成長減速が予想されております。インフレ率の向上や金利上昇等の影響はグローバルな巨大ハイテク企業にも及び、業績悪化傾向が顕著になるとともに、大幅な人員削減によるリストラが進行しています。一方で、競争環境の激化や世界的な個人情報保護に関する法整備の拡大に加え、ブロックチェーン技術を利用したいわゆる「Web3」と呼ばれる分散型インターネットへのシフトが注目されており、今後様々な分野で幅広い新たなネットサービスの展開が見込まれております。

 通信速度や情報処理速度の大幅な向上やデジタルデバイスの進化、様々なアプリケーションの浸透等によってこれまで視聴者の立場だったネットユーザーが、クリエイターとして発信者となり、デジタル空間上での情報発信や行動によって付加価値を生み出すトレンドが顕著となっています。これらはクリエイターエコノミー(個人がインターネット上でクリエイターとして商品・サービス等を提供し、収益を上げるデジタル市場をいう)として新たな経済活動がネットメディア上で急速に拡大しています。こういったクリエイターエコノミーはWeb3の世界においても「x to Earn」(xすることで経済的価値を得る)としてネット上での行動の対価として暗号資産を獲得するといった新たなWeb3経済圏を創出することが期待されています。

3.当社グループの今後の事業戦略

① メディア事業

 当社は2022年12月28日付で株式会社ライブドアを、2023年3月31日付でスポーツ情報メディア「超WORLDサッカー!(https://web.ultra-soccer.jp/)」を運営するCWS Brains株式会社をそれぞれ完全子会社化し、当社グループは資産形成情報メディア「MINKABU(みんかぶ)」、株式情報専門メディア「Kabutan(株探)」と合わせ、月間利用者数9,000万人規模の国内有数のネットメディアグループとなりました。また、2023年4月1日付で株式会社GINKANが運営するWeb3グルメSNS事業「シンクロライフ(https://www.synchrolife.org/)

」について、同事業を吸収分割して設立された株式会社シンクロライフの株式を取得して完全子会社化するとともに、同5月15日付で、「シンクロライフ」のサービス名を「ライブドアグルメ」に変更し、ブランド名を統一いたしました。

 当社グループのメディア事業は、「ライブドアブログ」を中心としたUGCメディア、「ライブドアニュース」を中心としたPGCメディアに加え、スポーツ情報メディア「超WORLDサッカー!」、資産形成情報メディア「MINKABU(みんかぶ)」、株式情報専門メディア「Kabutan(株探)」、女性向け情報メディア「Peachy」、韓流メディア「Kstyle」、Web3グルメSNSアプリ「シンクロライフ」等の各専門メディアの強化策を推進し、「ライブドアブログ」のユーザーエンゲージメント力、「ライブドアニュース」のコンテンツ拡散力を各バーティカルメディアに展開することで新たなユーザーエクスペリエンスを提供するとともに付加価値・収益力の拡大を図ることを当社グループのメディア事業の基本戦略として位置付けてまいります。

 これまでの当社グループのメディア事業は、インプレッション保証型の企画広告を中心とした純広告と、金融機関の口座開設等の個人の投資意欲に紐づく成果報酬型広告による広告収入が主体であり、かつ当該収益はウェブ検索エンジンの最適化を通じた安定的な高位置掲載施策によるユーザー獲得数等に影響を受ける事業モデルとなっておりました。ライブドア事業につきましても広告収入が主体となりますが、アドネットワーク広告が中心となっております。またライブドア事業の9,000万人規模のTAM(Total Addressable Market)を自社グループメディアとして利活用できることから、今後の当社メディア事業の広告収益は、ライブドア事業の上積みによって規模の拡大・収益性の安定化とともに、グループメディア内誘導の積極化によりウェブ検索エンジンのアルゴリズムの変更の影響を受けにくい収益モデルとなります。

 また、ライブドア事業の広告収益は当社グループの既存メディア事業の広告収益と比較すると、1ユニークユーザー当たりの広告単価が低い状況にあります。これは当社が得意とする比較的高単価の企画広告や成果型報酬広告の投入を始めとする収益拡大化策の余地が大きいと考えております。また、2022年12月よりライフスタイル全般を対象とした比較サイト「livedoor Choice」を立ち上げるなど、収益拡大策を講じているほか、今後更なる収益性向上に努めてまいります。

 さらに当社グループは、広告収益のみに依存しない、UGC・PGCの連携とバーティカルメディア化の推進及び世界的にも有数の規模を誇るSNS発信力を活用し、クリエイターエコノミーに必要不可欠な良質なコンテンツの拡充や情報発信者のメジャー化や接点拡大等によるクリエイター支援プログラムや高付加価値サービスの投入といった新たなプラットフォーム事業展開を図ってまいります。具体的では優良なコンテンツ投稿者に対するユーザー間インセンティブや、配信されたニュースをSNS等にシェアした際のデジタルインセンティブの導入といったP2Pインセンティブ、あるいはC2B、B2Cのインセンティブによるクリエイターエコノミーの活性化とメディア及びクリエイターのスティックネス強化といったWeb3ビジネスモデル戦略を各バーティカルメディアにおいて推進するとともに、高付加価値なプレミアムサービスによる新たなサブスクリプション型サービス等の新規事業展開を進めてまいります。

② ソリューション事業

 金融業界においては、世界的な市況低迷による個人投資家の投資意欲の減退や景気後退懸念、不安定な市場環境の影響等によって証券各社の業績が悪化しております。一方で日本株売買手数料無料化や収益力の多様化、さらに一層のコスト削減やシステム投資・運用の効率化等に向けた動きが活発化することが予想されます。当社は、このような環境認識のもと、情報系ソリューションサービスにおいては米国株情報ソリューションの提供や日本株投資総合情報ツールの投入等、収益力の多様化及び一層のコスト削減や運用効率化に向けた取り組みを行っております。

 また、既存のITシステムが異なる組織単位毎に構築され、全社横断的なデータ活用ができなかったり、過剰なカスタマイズがなされている等により複雑化されていたりといった過去のデジタル投資の負の資産に対する解消ニーズや、AIを活用した非接触チャネル化、セキュリティ対策強化、生産性の更なる向上といったデジタルトランスフォーメーション(DX)の動きは引き続き顕著となっている環境下、当社グループにおきましては情報系ソリューションサービスに加え、金融各社のDX化支援のためのシステム系ソリューションサービスの取り組みを強化しております。当事業年度におきましては、まずはネット証券会社やネット銀行系の金融機関向けに、API(Application Programming Interface)を活用したシステム構築等に関するコンサルテーションの取り組みから開始いたしましたが、当社想定を超える業界ニーズがあり、すでにAPI連携によるマーケットプレイス開発やそのマーケティング支援さらにはデジタルペイメント基盤システム開発等、コンサルテーションに加えて開発・運用支援段階のソリューション提供を開始するなど、システム系ソリューションサービスの提供領域の拡大を行っております。

 加えて、2022年12月に当社子会社である株式会社ミンカブアセットパートナーズにおいて、金融商品仲介業登録が完了いたしました。今後、政府の施策でもある「資産所得倍増プラン」のもと、当社グループが資産形成層並びに投資家向け情報メディア事業及び金融情報ソリューション事業を通じて構築した400社を超える金融機関主体の顧客基盤と、9,000万人規模の当社グループメディア事業基盤を活用し、金融経済教育推進のためのデジタルアカデミーサービス、LINEを活用したチャットBPOサービス、金融商品仲介業等を展開予定です。

 以上のとおり、ソリューション事業領域におきまして、情報系ソリューションサービスはコスト削減や収益性の多様化等のニーズを背景に、またシステム系ソリューションサービスは引き続きDX化ニーズのトレンドのもと、引き続き安定成長を図る他、資産形成層のすそ野拡大に向けたB2Cソリューションサービスを新たに展開してまいります。

 さらに当社は2022年5月に、ブロックチェーンを基盤としたネットワークであるWeb3を活用したNFTソリューションの展開等を目的に、株式会社ミンカブWeb3ウォレットを連結子会社化し、Web3時代に対応した新たなソリューションサービス展開を図っております。今後はソリューション事業におきましても総合メディアグループとしての新たなメディア事業とソリューション事業のシナジーを追及しつつ、金融業界に限定しない幅広い領域に向けた事業展開を図ってまいります。

4.グループ再編、今後の収益改善シナリオと中期業績目標

 このような環境認識及び事業戦略に基づき、メディア事業においては圧倒的なトラフィックやSNS発信力といった規模の活用と高付加価値サービス投入による収益基盤拡大に向けた事業展開、ソリューション事業においては情報系ソリューション・システム系ソリューションの更なる進化に加え、資産形成層拡大に寄与するための新規金融サービスといった深掘りに向けた事業展開を効率的かつ機動的に推進するため、グループ体制の再構築を図ってまいります。

 メディア事業につきましては、2023年4月1日付で、株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドのメディア事業部門を株式会社ライブドアに統合するとともに、株式会社ライブドアが株式会社ALISを吸収合併いたしました。またソリューション事業につきましては、2023年4月3日付で設立いたしました株式会社ミンカブソリューションサービシーズに、株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドのソリューション事業部門を2023年7月1日付で統合いたします。

 2024年3月期以降の収益性の改善策につきまして、メディア事業におきましては株式会社ライブドアの収益貢献が通期に亘ること、カニバリゼーション解消施策によるアフィリエイトサイトの収益回復、ソリューション事業においては情報系ソリューションサービス大口契約の通期貢献、根強いDXトレンドを背景としたシステム系ソリューションサービスの進展等による大幅増収・大幅増益をベースとし、前述のグループ組織再編基本方針に基づくグループ全体の人的リソースの再配置や各種の最適化を行うことで大幅なコスト削減と将来に亘るコスト抑制を実施いたします。具体的には、金融メディア事業の人的リソースのグループ内リバランス施策による将来の人員増抑制、9,000万規模のメディアパワーを活かしたグループ内マーケティング・プロモーション展開による広告宣伝コストの大幅削減、グループ内資産の機能統合や再整理による減価償却費の圧縮及び金融メディア事業の開発投資抑制による将来の減価償却費削減を始め、短期的な収益性改善策を即座に実行いたします。

 2024年3月期連結業績予想といたしましては、メディア事業においては株式会社ライブドアの通期貢献に加え、堅調な市場ニーズを背景としたソリューション事業の着実な増収、また業績V字回復のための各種合理化施策やグループ内のリソース最適化策等により、売上高は11,000百万円(2023年3月期比60.9%増)、営業利益は1,000百万円(同795.4%増)、経常利益は940百万円(2023年3月期は207百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は株式会社ライブドアの税務上ののれんに関する回収可能性の見直しによる法人税等調整額の計上を見込み、900百万円(前期比23.9%増)の予想であります。また、営業利益に減価償却費、のれん償却額を加えた計画上のEBITDAは2,200百万円(同115.8%増)を見込んでおり、いずれも過去最高を更新する計画であります。なお、業績のV字回復に向けた各種合理化施策を進めておりますが、メディア事業の収益力回復スピード、ソリューション事業における季節性に加え、事務所拡張に関する一時費用の計上等を鑑み、2024年3月期におきましても下期偏重の業績を計画しております。

 前述いたしました今後の事業戦略に基づくグループ中期業績目標は以下のとおりです。

 

2025年3月期

2026年3月期

連結売上高

14,000百万円(27.3%増)

17,000百万円(21.4%増)

連結営業利益

1,800百万円(80.0%増)

3,000百万円(66.7%増)

連結営業利益率

12.9%(3.8%増)

17.6%(4.8%増)

EBITDA

3,000百万円(36.4%増)

4,400百万円(46.7%増)

親会社株主に帰属する当期純利益

1,000百万円(11.1%増)

2,000百万円 (100%増)

(3)優先的に対処すべき事業上、財務上の課題

 今後当社グループが成長を遂げていくための優先的に対処すべき事業上、財務上の課題及びこれらへの対処方針は以下のとおりであります。

① 提供サービスを支えるテクノロジーの追及

 当社グループが提供するサービスは、その大半がインターネットを利用したサービスであり、これらを支える技術は日々進化しております。技術力に裏打ちされたシステムの安定稼働はもとより、ユーザーがいつでもどこでもストレス無く利用できる環境の提供、提供コンテンツの速報性や網羅性並びに正確性等、コンテンツの拡充はサービスの品質の維持・向上は不可欠と認識しております。係る課題に対処するため、生成AI等を含む最新技術の活用や技術力の強化のためのシステム開発等への投資及び技術者等育成のための投資を継続的に行い、テクノロジーの発展を追求してまいります。

② 情報管理の品質の維持向上

 当社グループはユーザー情報を含む各種情報資産を保有しております。これらの情報資産の適切な管理は、サービスを安心して利用頂くための基本であると認識し、情報管理の品質の維持向上を図ってまいります。また、メディア事業においては多くのUGC(User Generated Content)を提供すること、更にユーザー同士のコミュニケーションが発生すること、また若年層の利用も多いこと等に鑑み、情報モラルの維持に配慮したモニタリングをおこない、コンテンツ提供者及び利用者双方の保護のための適切な措置を随時講じる等、サービスの安全性及び健全性の確保に努めてまいります。

③ 収益基盤の強化・拡大

 当社グループの売上高は堅調に推移しているものと考えておりますが、収益基盤の強化・拡大は継続的な経営課題と認識しております。特に、2023年3月期におきましては、世界的なインフレ抑制のための高金利政策による景気減速に伴う広告市場への悪影響や、不安定な金融情勢を背景とした金融各社の業績悪化、さらにはウェブ検索エンジンの仕様変更等の外的要因による悪影響を受けました。2024年3月期に向かっては、メディア事業では、株式会社ライブドアのグループ化により大幅な収益拡大が見込まれるものの、更なる広告収益基盤の拡大に加え、課金サービスを含む高付加価値なユーザーサービス等による新たな収益基盤の確立を図ってまいります。ソリューション事業では、金融機関向けには情報系ソリューションの着実な浸透に加え2023年3月期に開始したシステム系ソリューションの顧客基盤拡大、資産形成を支援するための新たな金融サービス展開等、金融市場の健全な発展を促すとともに、当社事業におけるスケールとスコープの双方を拡大し市場環境等の影響を受けにくい、収益基盤の強化を図ってまいります。

④ 経営資源の最適配分と効率的運用

 当社グループは、事業の拡大に則した組織体制と人員確保を進めると同時に、限られた経営資源を有効に活用するべく、業務執行の組織横断的連携と集中管理体制を構築しております。2023年3月期におきましては、Next Stageに向けた変革プロセスの一環として株式会社ライブドアを始め積極的なM&A戦略を実行するとともに、システム系ソリューションサービスへの進出、高収益化に向けた各種合理化施策等、持続的な成長に向けた経営課題対策を実施してまいりました。中期的な目標としておりました売上高100億円の達成がほぼ確実視できる状況となり、さらに次の成長ステージへのマイルストーンとすべく、中期計画を策定し、2023年5月15日に「中期計画の策定に関するお知らせ」を公表いたしました。当社グループは、中期計画の達成に向け、組織集約と権限委譲を進め、グループ事業戦略推進のための機動力を高める目的でメディア事業、ソリューション事業を各事業運営会社が主体となって展開し、当社は主としてこれらを統括する体制へと移行してまいります。グループ内の経営資源を最適に配分し、迅速な業務執行と集中管理体制を構築し、グループ全体として生産性の高い効率的な事業運営を図ってまいります。

⑤ 人材の確保及び育成

 当社グループは、自律的な成長のためには、当社の理念に共感し高い意欲を持つとともに自律的成長が可能な優秀な人材の採用及び確保、並びにその育成は重要であると認識しております。そのため、多様な働き方の整備や福利厚生・社内教育体制の充実等、従業員が高いモチベーションを持って働くことのできる環境の整備を継続して推進してまいります。

⑥ ガバナンス及び内部管理体制の強化

 当社グループは、持続的成長を遂げるためには、事業執行とガバナンスのバランス、並びに経営上のリスクを適切に把握しコントロールするための内部管理体制の強化が重要であると認識しております。そのため、社外取締役や監査等委員への報告体制の強化、監査等委員会と内部監査室並びに会計監査人による実効性ある三様監査を推進するとともに、グループ役職員向けコンプライアンス研修の実施等を通じた個々人への意識づけ並びに内部監査室による定期的監査を継続的に実施してまいります。

⑦ ESGへの取組の強化

 当社グループは、ESGへの継続的取り組み及び強化は持続的成長を遂げるための経営課題であると認識しております。そのため、サステナビリティ委員会を設置し、ESGを含むサステナビリティ経営に対する基本方針、施策の決定等を行うこととしております。環境に対しては、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)による提言への賛同を表明し、TCFDコンソーシアムへ加入しています。

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