企業兼大株主カヤバ東証プライム:7242】「輸送用機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

(1) 目的

 当社では、モノづくりを通して豊かな社会づくりに貢献する信頼のブランドを確立していくため、今年度よりスタートした2023中期経営計画の「品質経営を極める」をスローガンとして、カヤバグループ一丸となり研究開発活動を今後も精力的に推進してまいります。

 現行製品の性能向上はもとより、高機能化やシステム化への対応および軽量化や省エネルギー、CO2削減への貢献、環境負荷物質削減などを通して世界中の至る所で地域の人々の暮らしを支え、安心・安全・快適さを提供するための新製品開発と革新的なモノづくりに挑戦し続けています。また、グローバル化の加速に伴い、国際感覚を身につけた人財の育成やマネジメントシステムの構築も進め、グローバル生産・販売・技術の一体活動でイノベーションを起こすことによってカヤバグループの新しい価値を創造し、企業価値の向上に繋げ、技術の持続的成長を目指します。

(2) 体制

 当社では、基盤技術研究所と生産技術研究所を中核として、独創性に優れた先行技術の研究開発を行っています。

 研究所では基礎研究や要素技術開発を、各事業の技術部門は新製品および性能向上や低コスト化など商品力向上のための開発を担うとともに、全社を横断して研究所と各事業技術部門が一体となったプロジェクト活動も推進しています。また、研究開発からモノづくりまでを無駄なく連続的に、スムーズかつタイムリーに実施していくために、長期的な環境変化とそれに伴う社会ニーズや顧客ニーズの調査、分析、予測に基づいた将来技術のあるべき姿とそこに向けた持続的成長戦略を、ロードマップとして明確に定め、活動を進めています。また、欧州技術者駐在員事務所(欧州テクニカルセンターと同敷地内)を活用し、自動車、油圧機器を問わず、欧州地区をはじめとする世界の最先端情報を収集し、技術トレンドの把握と社内の研究開発テーマへのブレークダウンを行っています。

 工機センターでは、先進性に溢れた信頼性の高い設備や金型の内製化に取り組んでおり、生産技術研究所で開発された新しい工法や各工場で培われたノウハウの具現化を推進しています。各部門でAIやIoTなどのデジタル技術の全社的活用・推進を行っています。

 一方で、従来からの研究開発および製品化に向けた体制に加え、新しい時代に対応するための取組みも進めております。

 まず、持続的成長のための商品開発として、EV化や自動化に対応すべく当社のコア技術である振動制御・パワー制御と電子制御、センサ、電動機・インバータ等の技術を高度に融合させ、EV、建機、産業用車両の安全・快適性能の追求、エネルギー消費低減、自動運転へ貢献する製品の開発を進めております。また収益力強化としてShip’30活動としてデジタル技術を軸にしたカヤバ生産方式の追究と進化による次世代革新工場を目指し、生産工程・設備管理革新のためのデジタル技術やAI技術の研究開発も進めております。

 製品開発や新サービスの展開、生産工程・設備管理革新により、今まで以上にお客様に安心してお使いいただける製品のご提供を目指していきます。

 当社グループの関係会社は、主に自動車機器・油圧機器・電子機器の製造販売および製品の改良開発を行っています。そして、課題の解決にあたっては、当社の研究所をはじめとする機能部門や、各事業の技術・生産・品質部門が支援、協業する体制をとっています。

 製品の高機能化やシステム化におきましては、当社独自の取組みは勿論のこと、お客様あるいは関連機器サプライヤーとの共同研究開発を推進するとともに、効率的な研究開発推進のために産学交流による最先端技術開発にも積極的に取り組んでいます。また、昨今、製品機能の高度化・複雑化に対応すると共に、開発効率の向上を図るため、全社的にモデルベース開発(MBD)の推進に取り組んでいます。これにより、開発期間の短縮と共にお客様からのニーズに素早く対応し、ご高評をいただけるように努めていきます。

(3) 成果

 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発活動の金額は6,110百万円であります。

① AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業

 四輪車用の油圧緩衝器では、極微低速域における作動時の摩擦力をコントロールしたProsmooth™(プロスムース)が、トヨタ自動車株式会社様のプリウスに採用されたほか、米州拠点への技術展開を図ったことで、北米生産のカローラ/カローラクロスにも採用されました。また、同作動時の油圧力をコントロールしたSwing Valveが、トヨタ自動車株式会社様のLexus RXおよびGRカローラに採用されるなど、お客様が求める上質で滑らかな走りと乗心地を提供するこれらの製品は、引き続きご好評を頂きながら採用を拡大しております。また、緩衝器を構成する一部の樹脂部品に対して、製造時に排出される端材を再利用するリサイクル材の適用を実現し、環境に配慮した取り組みを開始しています。電動化・自動運転化に向けては、比例ソレノイド(連結子会社である株式会社タカコと共同開発による内製)を搭載した電子制御減衰力調整式ショックアブソーバを含む付加価値製品の採用拡大を図ると共に、更なる快適性と安全性の追求に向け技術提案および新製品展開を進め、持続可能なモビリティ社会への貢献を果たしてまいります。

 欧州テクニカルセンターでは、電子制御減衰力調整式ショックアブソーバを制御ソフト含め、システムで開発しています。更なる性能向上のためシステム最適化を行い、第13回ミュンヘンシャシーシンポジウム(Chassis. tech plus 2022)にて発表を行いました。自動車メーカ様だけでなくサプライヤー様にも高評価を頂き、多くの問合せを頂いております。また、欧州発信のアイテムとしてショックアブソーバのストロークエンドでの衝撃を油圧力で適切に吸収可能なDHS(Double Hydraulic Stop)は電動化に伴う重量増によるボデー強度や乗り心地への影響を緩和するアイテムとして高い評価を頂いており、Stellantis社様の新たな車両等採用車種が益々拡大しております。引き続き高付加価値製品の開発を通し、各欧州顧客様へのアプローチを推進していきます。

 二輪車用の油圧緩衝器では、2022年にヤマハ発動機株式会社様のオフロードレース用車両に開発した新構造手回し式圧側減衰力アジャスタが採用されました。また、海外のお客様であるDucati様の新規アドベンチャーモデルに当社製フロントフォークとリアクッションが採用されました。当社の強みであるオフロード車両向けの実績と技術を評価いただき、車両発表のワールドプレミアで、『当初からオフロードで実績のあるカヤバに依頼することを決めていた』とご紹介いただきました。国内の二輪車レースシーンにおいては、全日本ロードレース選手権(JSB 1000)及び、全日本モトクロス選手権において、当社製のフロントフォークとリアクッションを装着した選手がいずれも総合優勝を収めました。今後も高い技術力でお客様に喜ばれる製品開発を目指します。

 四輪車用電動パワーステアリング機器では、連結子会社であるKYBトロンデュール株式会社で生産するコントローラ一体型モータ(PowerPack)をベースに、要求が高まる自動運転やステアバイワイヤに対応可能なステアリングアクチュエータを開発しております。機能失陥後も作動が継続可能な冗長機能を有した次世代PowerPackを採用し、2024年量産開始に向け開発に力を入れています。

 四輪用オイルポンプ製品では、これまでのトランスミッション用製品で培った静粛性や効率に優れるベーン式などのポンプ部分とモータを組合せた電動オイルポンプを開発し、お客様へ試作品提供を始めました。需要が増えているe-AxleなどのEV基幹部品へ幅広く供給することを目指し、展示会への出展など幅広く開発・受注活動を推進して参ります。

 電動化・自動運転の拡大や様々な情報流通インフラ整備を踏まえ、自社製品の作動状況(情報)を活用する道路モニタリングシステムの開発も進めており、電子制御を始めとしたシステム製品を応用することでCASE/MaaSに向けた新用途・新商品開発を推進しています。

 当セグメントにおける研究開発費の金額は4,093百万円であります。

② HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業

 建設機械市場では、建設労働者不足やSDGsを背景に省人化、生産性向上、CO2削減を目的とした機体の自動化・電動化・遠隔操作・IoT化がトレンドとなっており、油圧機器に対する電子制御化ニーズが高まっています。HC事業では、これに対応する電子制御化油圧機器、センサ類、またシステムの開発を進めています。ミニショベル向けでは、ロードセンシングシステム用ポンプ・コントロールバルブや走行/旋回モータのシリーズ拡大・モデルチェンジ開発を引続き進めており、電子制御化ニーズにも対応したラインナップ拡大を順次図って参ります。今年度は、「3~6tonクラス油圧ショベル用電子制御コントロールバルブ」の開発を完了し量産を開始、操作性の更なる進化、作業効率の向上に貢献する電子制御技術を盛り込んだ製品としてお客様へ提供していきます。また「7~8tonクラス油圧ショベル用走行モータ」の改良モデル(低コスト版)の量産を開始しました。IoTを活用した状態監視製品としては、「シリンダ油漏れ検知システム」の開発を継続しています。油圧機器にセンサ・受信端末を加え、従来の機器単体の「モノ売り」から、「モノ+コト売り」へ向けたシステム製品として、経年劣化等での油漏れを適宜診断・事前予知することで機体の稼働停止ロス予防、ライフサイクルコスト低減、メンテナンス事業の効率化への貢献を目指します。

 舞台装置の製品に関しては、過去に納めた舞台装置の性能維持または性能向上を目的とした制御機器の後継機開発を実施しております。

 当セグメントにおける研究開発費の金額は1,895百万円であります。

③ 航空機器事業

 航空機器事業は、防衛省および民間航空機向けの製品開発を実施しておりますが、事業ポートフォリオの全面的な再検討の結果、経営資源の選択と集中による企業競争力強化を図るべく、航空機器事業から撤退することを基本方針として決定し、2022年2月9日に公表いたしました。今後修理を含めたすべての事業を段階的に終了させる予定です。

 当セグメントにおける研究開発費の金額は49百万円であります。

④ 特装車両事業及び電子機器等

 特装車両事業は、環境対応型(省エネ・低騒音・排ガス削減)電子制御ミキサ車をモデルチェンジしたeミキサⅢの開発を完了し販売を開始しました。機器のメンテナンス時期や現在の車両の状況を通知できる表示機を搭載しています。

 また、新たな取り組みとして、キャンピングカーのコンセプトモデルを製作し展示会に出展しました。カヤバのサスペンション技術と油圧技術で、走行性(安全性)と快適性(居室の空間拡張・使いやすさ)を追求したモデルにしています。さらに、安心安全快適を届けられますよう活動を推進してまいります。

 当セグメントにおける研究開発費の金額は73百万円であります。

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