他社比較
博報堂DYホールディングス
企業概要
当社グループを取り巻くビジネス環境は大きな変革期を迎えております。生活者があらゆるものの中心となる、「生活者主導社会TM」が本格的に到来したことに加え、生活者や企業の行動においてサステナビリティが重要なファクターとなりつつあります。また、AIなど先端テクノロジーやデジタルインフラの充実により産業構造が変化すると同時に、テクノロジーによる人の能力や可能性の拡張が進行しています。このような中、広告・マーケティングのみならず、ビジネスモデルの変革や顧客接点の質的向上に対する企業のニーズが高まっています。
当社グループは、このような大きな変化の中で、広告会社をオリジンとしつつも、その枠を超えた価値を提供するグループとして事業構造を変革し、ビジネスを拡大することを目指しています。不確実かつ変化の激しい環境下で、グループ全体での変革を進めるためには、その判断軸・動機づけの根幹となる当社グループの存在意義やそこで働く事の意味合いを明確に示すことが重要であると考え、グローバル市場・グローバル社会の視座に立った当社グループ共通の価値観として、グローバルパーパス「生活者、企業、社会。それぞれの内なる想いを解き放ち、時代をひらく力にする。Aspirations Unleashed」を策定しました。
このグローバルパーパスを全ての企業活動の起点に据え、当社グループのクリエイティビティをエッジに、生活者、企業、社会をつなぎ、新たな関係価値を生み出すことで、広告会社グループから「クリエイティビティ・プラットフォーム」となることを目指します。
(1) 中期基本戦略
当社グループが新たな関係価値を生み出す事業領域として、「マーケティング」「コンサルティング」「テクノロジー」「コンテンツ」「インキュベーション」「グローバル」の6つの事業領域を設定しました。これら6つの事業領域は、それぞれが異なるビジネスモデルによって収益拡大を図ると同時に、相互に連携し更なる収益拡大と事業の安定性向上を目指します。現中期経営計画期間(2025年3月期~2027年3月期)を収益性の改善と成長オプションを創造する期間と位置づけ、マーケティングビジネスの構造改革と新たな成長機会の開発に注力します。そして、2032年3月期をターゲットに、6つのビジネス領域を確立し相互連携を行うとともに、利益構造を大きく変革することを目指します。
この基本戦略に基づき、以下に掲げる3つの取り組みを進めます。
(2) 収益性の改善と成長オプションの創造
・マーケティングビジネスの構造変革
統合マーケティングに対するニーズが拡大する中、事業会社間の連携強化と収益モデルの多様化を進め、グループとして最適なサービス設計・提供体制を構築します。成長を続けるデジタルマーケティング領域、コマースビジネス領域を強化することで、規模の拡大を実現します。
特に、2024年4月に設立したデジタルマーケティング領域におけるグループのリソースとノウハウを集約した新会社「株式会社Hakuhodo DY ONE」では、グループシナジーによる新規案件の追加獲得に加え、重複機能の合理化とリソースの共用化により、初年度より統合効果を創出しています。
また、フルファネルマーケティング機能の高度化を推進するため、株式会社博報堂・株式会社博報堂DYメディアパートナーズを2025年4月に統合しました。企業のフルファネルマーケティングニーズに対して、よりシームレスに対応するとともに、データに基づいたプラニングやメディア対応などのコア機能をグループ共通基盤として強化することで、統合効果の早期創出を図ります。
加えて、当社グループがこれまで集積してきたメディア/生活者データやナレッジ、外部データを統合した、生活者データプラットフォームをコアに、AI技術の先端研究開発を行う「Human-Centered AI Institute」の研究成果を活用することで、「統合マーケティングプラットフォーム」の開発と実装を推進し、“生活者データ・ドリブン”フルファネルマーケティングの高度化・効率化を実現します。このように、AIやテクノロジーを積極的に活用することで、マーケティングビジネスの生産性を高め、将来的な成長領域への人的リソースの再配置を目指します。
・新たな成長オプションの創造
当中期経営計画の3カ年の間、「コンサルティング」「テクノロジー」「コンテンツ」「インキュベーション」の各事業領域に対し積極的な投資を行い、事業基盤を構築することで、グループの収益の柱として育成します。
テクノロジービジネスでは、生活者発想に基づくデマンドチェーン革新を目指す新会社「株式会社HAKUHODO ITTENI」、デジタル生活接点/体験の変革に向けデジタルサービスの開発・実装を担う新会社「株式会社HAKUHODO BRIDGE」が、2025年4月に営業を開始しています。コマース領域を起点としたシステム・アプリ開発体制を強化し、ITコンサルティング領域への本格参入を行います。
・グローバルビジネスのリモデル
海外に拠点を置くグループ各社が、それぞれ個別戦略の推進とサービス提供エリアの拡張を遂行すると同時に、グループ内連携を強化します。戦略事業組織kyuの持つ専門性・先進性と、博報堂の生活者発想をかけあわせることで、ユニークな“モダンネットワーク”を形成し、デジタルマーケティング領域を中心に収益力を強化します。加えて、M&Aによる非連続な成長機会の探索を継続します。
戦略事業組織kyuでは、2025年3月期を通じて構造改革に取り組みました。機能の統廃合、人的リソースの再配分を行い、固定費を中心とした費用削減に取り組んだ結果、一定の成果が出始めています。加えて、マーケティングビジネスでシームレスなソリューション提供を可能とする「kyu Pulse」を組成し、競争力を強化しています。更なる競争力強化に向けたテクノロジーへの積極投資と、コンサルティングビジネスのオファリング強化に向けたグループ連携を推進することで、収益力強化を図ります。
(3) グループ経営基盤の強化
前中期経営計画期間に設立した、株式会社博報堂テクノロジーズ、株式会社博報堂DYコーポレートイニシアティブの2社をはじめとしたグループ共通基盤の強化を継続することで、グループとしての競争力を高めます。
(4) サステナビリティ経営の推進
当社グループは、人を中心としたサステナブルな経営により社会への価値創出を目指します。社員、株主、取引先、メディア、コンテンツホルダー、各種団体をはじめとするマルチステークホルダーとの適切な協働に取り組み、生活者一人ひとりが、自分らしく、いきいきと生きていける社会の実現を目指しています。
サステナビリティ経営の進捗に関しては、環境及びジェンダー平等に対する目標値を設定し各種取組を進めております。環境課題については、2050年度のカーボンニュートラルを目標としており、中間指標として2030年度のスコープ1+2の排出量を2019年度(2020年3月期)比で50%削減する目標を設定しております。また、ジェンダー平等については、2030年度までに管理職の女性比率30%の達成を目指しています。
今後は、ESG各領域でサステナビリティ経営を推進すると同時に、社会課題に対応する人材の育成を行い、生活者の想いがあふれ、いきいきと活躍できる社会の実現を目指します。
(5) 中期経営計画における目標
当社グループは、2025年3月期から2027年3月期までの3カ年を収益性の改善と成長オプションを創造する期間と位置付けており、「成長性の維持・向上」「収益力の強化」を踏まえた計画値としました。新たな中期経営目標は、以下のとおりです。
<中期経営目標(2027年3月期)> |
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調整後のれん償却前営業利益年平均成長率(注1) | :+10%以上 |
調整後売上総利益年平均成長率(注2) | :+5%以上 |
調整後のれん償却前オペレーティング・マージン(注3) | :13%以上 |
のれん償却前ROE(注4) | :10%以上 |
(注1) | 調整後のれん償却前営業利益年平均成長率とは、メルカリ株売却益を除いた主力事業における企業買収によって生じるのれんの償却額等を除外して算出される連結営業利益をもとに、2024年3月期の実績を基準とした、2025年3月期から2027年3月期までの3年間の年平均成長率のこと。 |
(注2) | 調整後売上総利益年平均成長率とは、メルカリ株売却益を除いた主力事業における連結売上総利益をもとに、2024年3月期の実績を基準とした、2025年3月期から2027年3月期までの3年間の年平均成長率のこと。 |
(注3) | 調整後のれん償却前オペレーティング・マージン=調整後のれん償却前営業利益÷調整後連結売上総利益 |
(注4) | 企業買収によって生じるのれんの償却額等を除外して算出される親会社株主に帰属する当期純利益÷自己資本(期首・期末平均) |
上記に掲げた中期経営目標の達成に向け、掲げた中期基本戦略に則り、グループの変革を着実に進め、中長期での大きな成長と、企業価値の向上を目指してまいります。
なお、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に関して実施された各テストイベント計画立案等業務委託契約等(本業務)に関し、独占禁止法違反の疑いがあるとして、連結子会社である株式会社博報堂と本業務に従事していた株式会社博報堂DYメディアパートナーズの社員1名が2023年2月に東京地方検察庁より起訴されました件につきましては、2024年7月11日に有罪判決を言い渡され、判決を不服とし、同年7月24日に東京高等裁判所に控訴しました。その後、2025年5月8日に東京高等裁判所において控訴棄却の判決の言い渡しがなされましたが、判決を不服とし、同年5月19日に最高裁判所に上告しました。株式会社博報堂では、特別検証委員会からの提言も踏まえ、事案発生以降継続して再発防止策の実施を徹底しております。引き続き、法令遵守の徹底と再発防止及びコンプライアンス意識のさらなる向上により信頼の回復に努めてまいります。
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