他社比較
IHI
企業概要
当社グループ(当社及び連結子会社)は、価値の源泉である技術を「つなぎ」、「束ね」、「強く」することで、製品・サービスを超えて、お客さまの新しい価値を生み出すバリューチェーンを創造するため、研究開発に取り組んできました。
事業部門である、資源・エネルギー・環境、社会基盤、産業システム・汎用機械並びに航空・宇宙・防衛の各セグメントは、製品の競争力強化及び今後の事業拡大・創造につながる研究開発を推進し、本社部門である戦略技術統括本部、事業開発統括本部、高度情報マネジメント統括本部並びに技術開発本部は、相互に密接に連携・協力し、基礎的な研究開発から事業拡大・創造の足掛かりとなる研究開発を推進しています。加えて、世界トップのエコシステムにメンバーとして参加し、重要な技術情報の取得や最先端の技術開発に取り組んでいます。
「グループ経営方針2023」では、成長事業として航空エンジン・ロケット分野、育成事業としてアンモニアなどのクリーンエネルギー分野、中核事業として資源・エネルギー・環境、社会基盤、産業システム・汎用機械分野の3つの区分を定義し、リソース配分を最適化しながら、研究開発に取り組んでいます。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は340億円であり、そのうち、成長事業と育成事業創出に向けた研究開発費は210億円です。なお、成長事業と育成事業に係る研究開発費は、事業との関連状況に応じて、関係する事業部門及び本社部門を横断して発生しています。
各セグメント別の主な研究開発の成果及び研究開発費は次のとおりです。
(1)資源・エネルギー・環境
資源・エネルギー・環境事業領域では、グループの中核を担うカーボンソリューション、原動機、原子力の各分野において、ライフサイクルやバリューチェーンを意識した事業の拡大を目指しています。資源・エネルギー・環境事業領域と事業開発統括本部、戦略技術統括本部並びに技術開発本部では、今後、成長が期待されるクリーンエネルギー分野への投資を進めており、特に燃料アンモニアについては、育成事業と位置づけ、製造、貯蔵・輸送、利活用に関する研究開発に取り組み、社会実装に向けた活動をグローバルでリードしています。
当連結会計年度の主な成果として、碧南火力発電所における燃料アンモニア転換実証試験で燃料比20%を達成、アンモニア燃料タグボート「魁(さきがけ)」で、世界初の3か月間の実証航海を達成、再生可能エネルギー由来のグリーン水素を原料としてCO2フリーのアンモニアを製造できる装置を開発、ナフサ分解炉用のアンモニア専焼バーナを開発し、既存燃料の約20%超をアンモニアに切り替え、国内で初めて燃焼を実証したことなどが挙げられます。また、従来の原子炉より出力が小さい小型モジュール炉(SMR)の主要構成機器である格納容器の製造・検査技術を開発しました。
当セグメントに係る研究開発費は21億円です。
(2)社会基盤
社会基盤事業領域では、橋梁・水門を軸に、長年の実績で培った技術力と豊かな感性で、安全・安心な社会インフラの実現にグローバルかつライフサイクルにわたり貢献しています。橋梁事業は設計から建設、保全までの一気通貫のエンジニアリングと施工能力を強みに国内で高いシェアを誇り、海外の長大橋においても多数の建設実績を有しています。また水門事業では、国内トップクラスの市場を有しており、フィリピンで水門の建設を含む河川改修事業を受注するなど、海外の事業展開を進めています。
当連結会計年度の主な成果として、橋梁定期点検の効率化を支援するスマートフォンシステムの開発、AI技術を利用したコンクリート劣化要因の診断技術の開発、老朽化した橋梁のリニューアルに備えた床版取替機や取替用床版など、床版リニューアル技術を開発したことなどが挙げられます。
当セグメントに係る研究開発費は9億円です。
(3)産業システム・汎用機械
産業システム・汎用機械事業領域では、中核事業の1つとして、ライフサイクルビジネス(LCB)の「深化」と「進化」を軸とした取り組みを進めています。長年培ってきた回転機械や表面処理装置など、自社独自の差別化技術によって、産業界の脱炭素化と環境負荷低減、自動化・省人化などのソリューションを提供しています。
当連結会計年度の主な成果として、ロボット、自動倉庫及び無人搬送台車などの物流機器と庫内作業を包括的に最適管理する「L-Sync」の開発を推進、静岡県沼津市における移動の最適化を図るため、駐車場満空情報を観光MaaSに連携したサービス提供を開始、AI技術を利用した機械の故障予兆や異常検知システムの開発を推進していることなどが挙げられます。
当セグメントに係る研究開発費は69億円です。
(4)航空・宇宙・防衛
航空・宇宙・防衛事業領域では、航空旅客需要の増加、「防衛力の抜本的強化」の政府方針、宇宙産業の市場拡大を受け、民間エンジン・防衛・宇宙のすべての分野で強化と拡大を進めるとともに、デジタル基盤の活用等により世界トップレベルの生産効率の実現を目指すなど、事業の変革に取り組んでいます。環境にやさしく経済効率も高い航空機を実現するため、エンジン、装備品及び機体の軽量化や電動化、持続可能な航空燃料(SAF)の開発、ロケットによる衛星打上げサービス、衛星から得られる宇宙・海洋・地上データの利活用など、ライフサイクルとバリューチェーン全体を意識して事業の拡大を目指しています。
当連結会計年度の主な成果としては、航空機電動化及びゼロエミッション推進システムの開発に関する事業が「NEDOグリーンイノベーション基金事業/次世代航空機の開発プロジェクト」で採択、航空機の空気抵抗を削減し、燃料効率改善及びCO2削減に貢献するハイブリッド層流制御システム用のガス軸受真空ポンプを開発し、世界初の実証試験に成功、H3ロケットの1段用エンジンLE-9向けの液体水素及び液体酸素ターボポンプの開発、気象用小型ゴム気球を利用した低コストで長時間成層圏に滞在可能な超小型成層圏観測プラットフォームを開発し、実装試験を成功したことなどが挙げられます。
当セグメントに係る研究開発費は101億円です。
(5)その他
本社部門である戦略技術統括本部、技術開発本部、高度情報マネジメント統括本部、並びに事業開発統括本部は、相互に密接に連携・協力し、基礎的な研究開発から事業拡大・創造の足掛かりとなる研究開発を推進しています。
当連結会計年度の主な成果としては、2026年の実用化に向けて、アンモニア専焼小型ガスタービンの長期耐用試験を開始、水素とCO2から持続可能な航空燃料(SAF)を製造できる小型製造試験装置を完成し、実証試験を推進、軽量性と優れた高温特性を有するセラミックス基複合材料(CMC)の基礎特性や製造能力評価を推進、デジタルツインを活用した自動運転サービスの安全性検証を開始、国立大学法人横浜国立大学に開設した人工知能(AI)技術に関する共同研究講座の開講期間を延長し、人財交流と人財育成並びにAI技術の社会実装を加速していくことを合意したことなどが挙げられます。
当セグメントに係る研究開発費は138億円です。
(注)この項に記載の金額は単位未満を切捨て表示しています。
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