他社比較
オムロン
企業概要
ここでは、(1)経営方針、(2)長期ビジョン「Shaping The Future 2030」(2022~2030年度)、(3)「SF2030」における中期経営計画(SF 1st Stage)の変更、(4)構造改革プログラム「NEXT2025」で構成しています。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
また、文中における「営業利益」は、「売上高」から「売上原価」、「販売費及び一般管理費」および「試験研究開発費」 を控除したものを表示しています。
(1) 経営方針 |
①当社グループの企業理念
当社グループでは、1959年に創業者・立石一真が、社憲「われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう」を制定しました。その後、社憲の精神を企業理念へと進化させ、時代に合わせて改定しながら受け継ぎ、事業発展の原動力また求心力として数々のイノベーションを生み出し、社会の発展と人々の生活の向上に貢献してきました。この企業理念を社員一人ひとりが実践することで、事業を通じた社会的課題の解決を目指しています。このためには、世界中の社員の誰もが企業理念の考え方を理解し、行動することが重要であり、現在、グローバルレベルで企業理念の実践を強化しています。
なお、今後も企業理念を実践し、社会の発展と企業価値の向上に努めていく当社の経営の根幹は普遍であることを明確にするために、第85期定時株主総会(2022年6月23日開催)にて同企業理念を定款に記載する旨の議案を上程し、株主様の賛成を得て定款の一部を変更しました。
②当社グループの存在意義
当社グループの存在意義は、企業理念の実践そのものです。即ち、「事業を通じて社会価値を創出し、社会の発展に貢献し続けること」に他なりません。社会価値を創出し、正しく利益を得る、再投資するというサイクルを回すことで社会的課題の解決を拡大再生産できる仕組みを構築することが重要と考えています。
③企業理念に基づく経営のスタンス
当社グループでは、すべてのステークホルダーに対して、事業を通じて企業理念を実践していくための経営の姿勢や考え方を示すものとして、「経営のスタンス」を宣言しています。それらを「長期ビジョン」「オムロングループ マネジメントポリシー」「ステークホルダーエンゲージメント」の各方針に体系化し、実践しています。
また、この「経営のスタンス」は、企業の永続的な成長を目指すものであるため、当社グループの「サステナビリティ方針」としても同内容を掲げています。
(サステナビリティ目標値については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 長期ビジョン「Shaping The Future 2030」(2022~2030年度)③「SF2030」サステナビリティ重要課題」に記載しています。)
(2) 長期ビジョン「Shaping The Future 2030」(2022~2030年度) |
当社グループでは、2022年度から2030年度までの長期ビジョン「Shaping The Future 2030」、(略称:「SF2030」)を掲げています。社会が変革期を迎える中、存在意義を発揮し、より多くの社会的課題の解決を通じて社会の発展に貢献し続けるため、自らの変革と新たな価値創造のストーリーを定めたものです。
①「SF2030」ビジョンステートメント
「SF2030」には、「オムロングループ全社員が企業理念を実践し、センシング&コントロール+Think技術で、持続可能な社会をステークホルダーとともにつくっていく」という思いを込めています。
②オムロンが創出する社会価値
社会価値の創出に向けて、オムロンは、社会に与えるインパクトが大きく、オムロンの強みであるオートメーションと顧客資産や事業資産を活かす観点から、3つの社会的課題「カーボンニュートラルの実現への貢献」、「デジタル化社会の実現への貢献」、「健康寿命の延伸への貢献」を設定しました。
カーボンニュートラルの実現を通じて地球温暖化問題へ取り組み、安心・安全・便利な暮らしと自然環境の両立を実現するエネルギーシステム作りに貢献します。
デジタル化社会の実現においては、年齢や貧富の差に関わらず、必要な情報を必要な人が得ることができる状態を作ることが求められています。オムロンは、誰もがその恩恵にあずかることができるデジタル化社会の実現を通じて格差社会から生まれる問題の解決に取り組み、人々があらゆる制約から解放され、楽しく創造的でかつ、持続可能な社会を実現するものづくりやインフラ作りに貢献します。
また、高齢化が進む社会において、健康寿命を延ばすことは、個人はもちろん、家族が幸せな生活を送るためにとても重要なことです。加えて、医療費の抑制といった観点からも重要です。オムロンは健康寿命の延伸のためにあらゆる人が健康で豊かな自立した人生を送るためのヘルスケアシステムを構築することで高齢化社会における問題の解決に真正面から取り組んでいきます。
<オムロンが捉える社会的課題と創出する社会価値>
これらの3つの社会的課題の解決による社会インパクトを最大化するために、「SF2030」より、グループのドメインを見直し、改めて4つのドメインを設定するとともに同領域での社会価値を定めました。インダストリアルオートメーションでは、「持続可能な社会を支えるモノづくりの高度化」への貢献を目指します。ヘルスケアソリューションでは、「循環器疾患の“ゼロイベント”」への貢献を目指します。ソーシャルソリューションでは、「再生可能エネルギーの普及・効率的利用とデジタル社会のインフラ持続性」への貢献を目指します。デバイス&モジュールソリューションでは、「新エネルギーと高速通信の普及」への貢献を目指します。
<4つのドメインが創出する社会価値>
インダストリアルオートメーション
インダストリアルオートメーションでは「持続可能な社会を支えるモノづくりの高度化」へ貢献します。これまでオムロンは、i-Automation!で、お客様との共創を通じてアプリケーションを創出し、様々な業界のモノづくりの技術革新や人手不足の解消、生産性の向上を実現させてきました。これからは、i-Automation!をさらに進化させ、生産性とエネルギー効率の最大化による地球環境との共存や、人の可能性を最大発揮できる製造現場の構築や業務プロセスの改善やエンジニアリング領域の業務効率向上を通じて作業者の働きがいも両立させるサステナブルな未来を支える製造現場を構築していきます。
ヘルスケアソリューション
ヘルスケアソリューションでは、「循環器疾患の“ゼロイベント”」へ貢献します。これまでオムロンは、医療品質の家庭用デバイスをグローバルに普及させ、家庭で計測した血圧データを用いた診断・治療プロセスをつくり、脳・心血管イベント発症の予防に貢献してきました。これからは、イベント発症を未然に防ぐ、新しい予防医療の仕組みを構築することで、誰もが自然と健康に暮らすことのできる社会、質の高い医療を誰もがどこでも受けられる社会の実現を目指していきます。その社会に向けて、日常生活下でバイタルデータが測定できるデバイスの創出、医師の診断・治療の意思決定を支援するアルゴリズムを用いた遠隔診療サービスの導入や、新しい予防医療サービスの開発を実現します。
ソーシャルソリューション
ソーシャルソリューションでは、「再生可能エネルギーの普及・効率的利用とデジタル社会のインフラ持続性」への貢献を目指します。オムロンはこれまで、太陽光発電や蓄電池の普及に貢献してきました。これからは、進化したエネルギー制御技術で発電の不安定さを解消し、再生可能エネルギーのさらなる普及に貢献します。また、社会インフラ領域においては、様々な機器、施設の運用現場を熟知し、日本全国を網羅するサービス網を通じ、運用・保守を支えてきました。これからは、現場システムの効率的な運用を支援するマネジメント&サービスで、運用・保守プロセスを革新していきます。
デバイス&モジュールソリューション
デバイス&モジュールソリューションでは、「新エネルギーと高速通信の普及」に貢献します。オムロンはこれまで、電気を繋ぐ・切る技術で、高い性能と品質を持つリレーやスイッチを顧客の製品に組み込み、グローバルに広く提供してきました。これからは、環境負荷の低いエネルギーの導入によりあらゆる機器が直流化します。この変化を踏まえて、オムロンは、放電を安全に制御する技術や故障タイミングを事前に検知する技術で、火災や感電を防ぎ、機器の安全性を高めるデバイスを創出します。また、高速通信の普及では、耐ノイズ性能を高める技術と、これまで培った微細加工技術を用いた量産化により、「途切れない接続」を可能とする高周波対応デバイスを創出します。
③「SF2030」におけるサステナビリティ重要課題
「SF2030」では、①企業理念と存在意義②2030年とさらにその先の社会からのバックキャスティング③環境や社会の持続可能性に貢献するための企業への要請の観点から、外部有識者との対話から得た示唆を踏まえて、経営レベルで議論を重ねて5つのサステナビリティ重要課題を設定しました。これらの課題に取り組むことで、社会価値と経済価値の両方を創出し、企業価値の最大化を目指します。
<「SF2030」におけるサステナビリティ重要課題>
(注) 1 Scope1・2:自社領域から直接的・間接的に排出される温室効果ガス
2 Scope3 カテゴリー11:Scope3は自社のバリューチェーンからの温室効果ガスの排出。そのうち、カテゴリー11は製造・販売
した製品・サービス等の使用に伴う排出。
※「SF2030オムロンの進化の方向性」など、「SF2030」の詳細は、弊社ウェブサイトに掲載しています。
特設サイト:https://www.omron.com/jp/ja/sf2030/
※サステナビリティ重要課題特定プロセスの詳細は、ウェブサイトをご覧ください。
https://www.omron.com/jp/ja/sustainability/omron_csr/sustainability_management/
(3)「SF2030」における中期経営計画(SF 1st Stage)の変更 |
当社グループでは、2022年度から2024年度を中期経営計画(以下SF 1st Stage)とし、「SF2030」ビジョン達成に向け、社会的課題を捉えた価値創造と持続的成長への転換を加速する“トランスフォーメーション加速期”と位置付け、社会構造の変化に伴う成長機会を掴み、これまで培った競争力を発揮することにより力強い成長を実現することを目指しました。しかしながら、2023年度は、中国経済の成長鈍化やサプライチェーンの混乱など、事業環境が想定以上に悪化したことに加え、当社グループの成長を牽引する事業やエリアが一部に偏っていたことで、この急激な変化に対応できず、業績が大幅に悪化しました。
このような状況を受け、当社グループは、当初2024年度までとしていた中期経営計画(SF 1st Stage)を取り下げ、2024年4月1日~2025年9月末までを「構造改革期間」とし、構造改革プログラム「NEXT2025」を実行することとしました。
なお、次期中期経営計画(SF 2nd Stage)は2026年度~2030年度を予定しています。
<中期経営計画の変更>
(4) 構造改革プログラム「NEXT2025」の進捗と将来の成長に向けた取組み |
2024年4月1日~2025年9月末までを実行期間とした構造改革プログラム「NEXT2025」(以下、「NEXT2025」)においては、収益を伴った持続的な売上成長を確かなものとし、持続的な企業価値向上を実現すべく「制御機器事業の早急な立て直し」と「収益・成長基盤の再構築」の2つの経営課題に取り組み、次の5つの経営施策を実行しています。
各経営施策の具体的な取組み状況は以下のとおりです。
<「NEXT2025」経営施策の進捗>
・データソリューション事業の役割と、JMDC社との協業の進展
これまでオムロングループは、生産現場や社会インフラ、一般消費者など多様な顧客に商品を提供し、商品(モノ)が備える機能を通じて顧客の課題解決に貢献してきました。近年、社会課題は複雑さを増しています。それに伴い、顧客が直面する課題も解決が一層難しくなっています。オムロンは、商品が備える機能の提供にとどまらず、商品の利用を通じた課題解決(コト)を新たな価値として提供しています。顧客の課題を知り、深く理解する情報源がデータであり、データに基づいて解決策(ソリューション)を創出すること、それがデータソリューション事業の役割です。
JMDC社との資本業務提携以来、この新しい価値提供モデルはヘルスケアにとどまらず、ソーシアルソリューション、インダストリアルオートメーション領域にも広がり、JMDC社との協業は着実に進展しています。
<JMDC社との協業の進捗>
ヘルスケアソリューションでは、血圧計や心電計などの家庭用健康機器と、医療用データおよび先進的なデータサイエンス技術を組み合わせることで、疾患予防に資するソリューションの高度化を進めています。また、「健康経営アライアンス」では、オムロンの産業界での影響力を背景に、健康経営の普及や労働寿命の延伸に向けた取り組みが支持を集め、JMDC社の顧客拡大にもつながっています。
ソーシアルソリューションの「スマートマネジメント&サービス事業」では、店舗や事業所の現場を可視化することで人手不足や運営コスト高騰といった課題への対応策を開発しています。
また、カーボンニュートラルソリューションは、ソーシアルソリューションに加えて、インダストリアルオートメーションの事業ドメインを含んだテーマです。製造業が求められる温室効果ガスの削減といった非財務的な取り組みを、事業価値で表すことで、経営判断に資する情報提供を行っています。
オムロンとJMDC社の協業については下記コンテンツもご覧ください。
スペシャル対談コンテンツ:オムロン×JMDC進化に向けて
(2024年9月時点の情報です)
https://www.omron.com/jp/ja/integrated_report/movie/movie_2024_01/
- 検索
- 業種別業績ランキング