他社比較
三井金属鉱業 企業概要
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社グループは、「創造と前進を旨とし、価値ある商品によって社会に貢献し、社業の永続的発展成長を期す」を経営理念とし、「マテリアルの知恵を活かす」というコーポレートスローガンの下、「社会の持続的な成長」と「中長期的な企業価値の向上」に努めることを経営の基本方針としております。
(2) 対処すべき課題
〔中期経営計画「22中計」スタート〕
当社グループは、2022年度を初年度とする3ヵ年の中期経営計画「22中計」を策定し、昨年4月よりスタートいたしました。パーパスを基軸とした全社ビジョン(2030年のありたい姿)を実現するため、「社会的価値の向上」と「経済的価値の向上」の両立を目指す統合思考経営を本格的に導入し、持続可能な会社へと変革を進めております。
「社会的価値の向上」については環境影響、社会関係資本、人的資本、ビジネスモデル・イノベーション、リーダーシップ・ガバナンスの5つの観点で各事業の機会・リスクを評価し、事業の持続可能性を経営判断に活かしております。
「経済的価値の向上」については両利きの経営(注)1を実現するべく、事業ポートフォリオの動的管理、社内外シナジーの追求、成長戦略を加速するためのM&Aの活用、研究開発と市場共創の機能を持つ事業創造本部への積極的資源投入に重点的に取り組んでおります。
そのような中、「22中計」スタート年である2022年度は、中国の景気減速等の市況悪化やウクライナ情勢の長期化等が懸念される中、原材料価格やエネルギーコストの上昇、急激な為替相場の変動等の影響により、損益・財務実績は計画値を大幅に下回りました。
「22中計」の2年目となる2023年度も、損益・財務指標は原計画値を下回る見込みの厳しい経営環境ではありますが、全社ビジョン実現に向けた戦略は変更せず、引き続き以下の重点施策を実行してまいります。
機能材料部門では、経済的価値実現に向けた事業機会拡大による成長加速とその仕組みづくり、社会的価値創造に向けた環境貢献製品の創出、CO2排出量削減の加速といった戦略の追加や経営資源配分の最適化による資産効率向上を進めてまいります。
金属部門では、持続可能な社会の実現に必須とされる存在になるためのリサイクルネットワークの確立、新たな金属・再生可能エネルギー資源の開発という中長期的な目標に向け、銅・貴金属採収率の改善や副産物の増回収に取り組むとともに再生可能エネルギー開発可能性の検討に引き続き取り組んでまいります。
モビリティ部門では、選ばれる価値を見極め、創り続けるモビリティ社会の開拓者となるべく、技製販全てにおける深化(商権維持)と共に新規開拓(新しい製品・事業創出)を推進するため、部門横断的な課題解決に取り組んでまいります。
事業創造本部では、新たな事業を「持続的」に創造できるようになるために、事業機会の探索力、研究開発力の強化を図り、事業化推進テーマについては環境の変化に応じてタイムリーに投資と人員の投入を行ってまいります。
本社部門では、サステナビリティ推進部と事業部門を含めた関係部門の連携促進を図り、「社会的価値の向上」の取り組みを更に加速させるため、2023年4月にサステナビリティ推進部を経営企画本部から、社長直下に移管いたしました。なお、2030年度CO2排出量をグローバルで38%削減(2013年度比)すること、2050年度カーボンニュートラル(Net排出ゼロ)を目指すため、カーボンニュートラルロードマップ運用やLCA(ライフサイクルアセスメント)(注)2による改善ポイントの把握、インターナルカーボンプライシング(注)3制度を導入しております。さらに、本年、経済産業省が推進するGX(グリーントランスフォーメーション)(注)4リーグ(注)5へ参画いたしました。2026年度以降の排出量取引市場の本格稼働に向け日本政府の制度構築の議論に積極的に参加してまいります。
また、「社会的価値の向上」と「経済的価値の向上」の両立を目指す統合思考経営に向け、技術系の4部門である生産技術部、品質保証部、保安環境部、知的財産部は各部でGX、DX(デジタルトランスフォーメーション)(注)6等の技術基盤の強化や人材育成に取り組んでおりますが、協働して取り組むことでシナジーを創出しその成果を最大化するため、2023年4月に上記4部門を統括する「技術本部」を新設いたしました。
厳しい経営環境ではありますが、以上の取り組みを実行することにより、統合思考経営への変革を遂げ、ステークホルダーの皆様と共に地球を笑顔にすることを目指してまいります。
(注)1 両利きの経営:「主力事業の絶え間ない改善(知の深化)」と「新規事業に向けた実験と行動(知の探索)」を両立させていく考え方。
2 LCA(ライフサイクルアセスメント):製品やサービスのライフサイクル(原料の採取、社内製造・加工過程、さらにその製品を使用、消費、廃棄プロセス)を通じた環境への影響を定量的に評価する手法。
3 インターナルカーボンプライシング:自社基準で二酸化炭素(CO2)に価格を設定してその排出量を費用換算し設備、開発投資判断の参考とするもの。
4 GX(グリーントランスフォーメーション):気候変動の主な要因となっている温室効果ガスの排出量を削減しようという世界の流れを経済成長の機会ととらえ、排出削減と産業競争力向上の両立を目指す取り組みのこと。
5 GXリーグ:2050年カーボンニュートラル実現と社会変革を見据えて、GXへの挑戦を行い、現在及び未来社会における持続的な成長実現を目指す企業が同様の取り組みを行う企業群や官・学と共に協働する場で、日本政府が2022 年に設立。
6 DX(デジタルトランスフォーメーション):デジタルテクノロジーを駆使して、経営の在り方やビジネスプロセスを再構築すること。
〔目標とする経営指標〕
このような状況の下、創業150年を迎える22中計最終年度である2024年度(2025年3月期)の業績予想は、入手可能な外部の情報等を踏まえ、次のとおりであります。
| 2024年度連結業績 | ||
予想値(A) | 目標値(B) | 増減 | |
売上高(億円) | 7,180 | 7,250 | △70 |
経常利益(億円) | 470 | 600 | △130 |
フリーキャッシュ・フロー(億円) | 240 | 370 | △130 |
ROE(自己資本当期純利益率)(%) | 12.2 | 14.0 | △1.8 |
自己資本比率(%) | 43.2 | 50.0 | △6.8 |
Net D/Eレシオ(倍) | 0.66 | 0.42 | 0.24 |
Net D/Eレシオ:有利子負債から現金及び預金を差し引いて、それを自己資本で割ったもの。
主な前提諸元
| 予想値(A) | 目標値(B) | 増減 |
亜鉛LME価格($/t) | 2,900 | 3,000 | △100 |
為替(円/US$) | 135 | 120 | 15 |
上記の業績予想につきましては、2023年5月16日現在において入手可能な情報に基づき算出したものであり、今後様々な要因により実際の業績が記載の予想数値と異なる場合があります。
中期経営計画「22中計」の進捗状況につきましては、当社ホームページのIR・投資家情報に、2023年5月16日付で掲載されております「22中計進捗説明会資料」をご参照下さい。
https://www.mitsui-kinzoku.com/LinkClick.aspx?fileticket=Qjgt7FQqwIw%3d&tabid=199&mid=826&TabModule950=0
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