企業兼大株主近鉄百貨店東証スタンダード:8244】「小売業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)経営の基本方針

 近鉄百貨店グループは、

1.創造と革新の姿勢をもって、積極果敢に目標と取組む

2.顧客第一の精神に徹し、まごころと感謝の念をもって奉仕する

3.よりよき生活の提案者を目指し、魅力ある店づくりに努める

4.相互信頼を基盤として、取引先との共存共栄をはかる

5.理解と協調にもとづく人間関係を樹立し、働きがいのある職場環境をつくる

 ことを経営方針としております。そして、お客様の生活のさまざまな場面で、より素敵な暮らしづくりを応援し、幅広い品揃えときめ細かなサービスの提供を通じて、すべてのステークホルダーの皆様の期待に応えるとともに、地域の発展に貢献する企業であり続けることを目指しております。

(2)中長期的な経営戦略及び対処すべき課題並びに目標とする経営指標

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末に当社グループが判断したものであります。

 経営者が認識している今後の見通しにつきましては、持続的な賃上げや雇用情勢の改善を背景に景気の緩やかな回復が続くものと期待される一方、海外における経済政策の不確実性に加え、国内での物価高騰などの影響により、景気の先行きは依然として予断を許さない状況が続くものと思われます。また、環境問題をはじめとする社会問題がより拡大、複雑化するなかで、地域とそこに暮らす人々に対する企業の社会的責任はますます大きくなり、「地域社会の発展」と「持続可能な社会の実現」に対する取組みを推進していくことは、企業として目指すべき姿であります。

 このような状況の下、当社グループは本年4月に策定しました新しい中期経営計画(2025~2028年度)に基づき、「新たな価値創造事業会社」である「百“価”店」へと生まれ変わるべく、あべのハルカス近鉄本店及び外商を核として既存事業をより強固にするとともに、事業環境の変化に対応するための基盤強化に向けた諸施策を遂行します。また、2021年4月に策定したESG方針に基づき、経営戦略の柱としてESG推進に取り組み、社会課題の解決と地域社会及び企業の持続的成長を目指します。

 なお、「中期経営計画(2025~2028年度)」は以下の内容を骨子としております。

・長期ビジョン ~2036年 創業100周年に向けて~

1.環境認識

 今後、当社が直面するのは、非連続で不確実性の高い事業環境です。日本全体が生産年齢人口の減少と超高齢化のフェーズに入り、労働市場・消費市場の減少が進行、加えてインフレや金利上昇、消費の二極化、デジタル化を含めた技術の進化など外部環境は急激に変化しております。当社では課題への対応を行いながら、この変化を事業機会と捉え、当社の持つ資産や地域で培ってきた信頼をベースに、企業としてのさらなる成長を目指します。

2.長期ビジョン

 当社が常に立ち戻る原点であるミッションは、経営理念である「市民生活の向上と地域社会の発展に貢献し続ける」ことです。このミッションの基、前・中期経営計画で定めた長期に目指す姿「くらしを豊かにするプラットフォーマー」へとさらなる進化を図るため、今回の中期経営計画では「新たな価値創造事業会社=百“価”店へと生まれ変わる」ことを掲げています。

 くらしのプラットフォームとは、近鉄商圏に「暮らす」「働く」「訪れる」人々に向けて、多種多様な「価値」を提供する“場”を意味します。これまでの百貨店事業で培った「店頭での接客力」「外商というお客さまに寄り添う人的サービス」「デジタル対応」といった様々な顧客接点を活かし、百貨店内の事業のみならず近鉄グループ力も活かした様々なモノ・コト・サービスを提供する企業を目指します。

2036年に大軌百貨店開業から数えて創業 100 周年を迎える当社は、これまでも様々なチャレンジをし続け、常に進化してまいりました。近鉄グループを代表する小売業として今後もこの進化への歩みを止めず、「豊かなくらしと価値ある生活文化」を創造・提供し、商圏顧客のLTV(顧客生涯価値)最大化を目指します。

3.サステナビリティ

 当社は鉄道沿線を主要商圏として事業を展開しており、地域とともに成長・発展する地域共創型百貨店として、地域への社会貢献を推進しております。「地域に寄り添い、地域と活きる」を方針に、「地域共創の実現」、地球環境への貢献」、「個人と企業の相互の絆と成長」を重点取組みと掲げ、ESG経営を推進します。

 当社の強みである「地域共創の実現」に向けては、地域産品を紹介・販売する「路(みち)シリーズ」の展開、自社農場での近鉄いちご「はるかすまいる」の生産・販売、2024 年から新たにマンゴーの生産、市民活動団体や個人ボランティアとの連携によるあべのハルカス近鉄本店での「縁活(エンカツ)」プロジェクトなどを実施してまいりました。

 また、「地球環境への貢献」に向けては店舗を横断したプロジェクト活動を実施、「個人と企業の相互の絆と成長」に向けては柔軟な働き方への環境整備に加え、2025年3月にはカスタマーハラスメントに対する基本方針を策定するなど、安心して働ける職場環境づくりにも力を入れております。

・「中期経営計画(2025~2028年度)」の概要

「中期経営計画」の最終年度である2028年度の連結経営目標数値は以下のとおりです。

 ①連結営業利益            65億円

 ②ROE              9.0%以上

 ※新リース会計基準適用前

 中期ビジョン

 新たな価値創造事業会社 = 百“価”店へと生まれ変わる

 あべのハルカス近鉄本店・外商を核に、既存事業をより強固にしながら、事業環境の変化に対応した基盤強化により、さらなる成長へ

 前・中期経営計画より使用している「百“価”店」には、モノを表す「貨」ではなく、多様な価値提供を表す「価」を使うことで、従来の百貨店業にとらわれず、お客さまの変化に合わせたサービスや事業へのチャレンジも含め、会社自体が生まれ変わり、新たな価値を提供していきたい想いを込めています。

 基本的な考え方

 価値創造と成長

 2025~2028年度の4年間を、事業環境の変化に対応し、事業・体制を進化・深耕させる期間と位置づけます。既存事業をより強固にしながら、事業ポートフォリオの拡大に向け、新たな核となる事業の種まき・育成を行うとともに、社会構造変化に対応した将来への基盤整備により、持続的な成長を図り「くらしを豊かにするプラットフォーマー」を目指します。

 基本方針1.「百“価”店事業」への進化

●旗艦店 あべのハルカス近鉄本店「リモデル」

 あべのハルカス近鉄本店では、開業直後から課題に対してスピード感を持って対応し、コロナ禍においても積極的に施策を強化してまいりました。10周年を経たあべのハルカス近鉄本店では今回の中期経営計画期間においてリモデルを実施し、常に期待される「価値創造百貨店」へと進化させます。4年間で全館10万㎡の約3割をリモデルし、顧客層の拡大、次世代顧客獲得を図ります。

●あべの・天王寺エリアの魅力最大化

 旗艦店「あべのハルカス近鉄本店」を有する「あべの・天王寺エリア」を最重要拠点とし、あべのハルカス近鉄本店を中心にエリア全体で、4年間で100億円の投資を計画します。あべの・天王寺エリアは、ターミナルでありながらも緑や文化を有する大阪市内でも有数の文教地区であり、足元商圏には大規模居住地が広がり、新幹線・関西国際空港・大阪国際空港にもダイレクトアクセスのできる好立地にあります。

 今回の中期経営計画期間において、あべのハルカス近鉄本店のみならず、当社所有の商業施設である「Hoop」「and」についてもリモデルを実施、また2025年7月には近隣住民の「ウェルビーイング」な生活をサポートする地上4階建の医療モール「あべのウェルビーイングテラス」開業などを計画しております。

 加えて、近鉄グループや周辺商業施設、地元企業と連携し、交流人口も定住人口も1日を過ごすことのできるエリアへ、キタ・ミナミとは違う「個性」を確立し、魅力アップを図ります。

 ●全社顧客戦略

 全社顧客の再定義により新たな顧客政策を推進し、近鉄商圏の顧客LTV(顧客生涯価値)最大化につなげます。具体的には百貨店の組織別顧客(外商、KIPS、友の会)に加え、近鉄グループ顧客ID統合を活用し、近鉄グループ各社の顧客を当社の顧客(候補)として再定義します。また、保有カード・組織別ではない「顧客層別」政策を、特に上位層については外商組織を中心に推進し、優良顧客へのランクアップ、VIP化を進めます。

 あわせて、富裕層への取組みを強化します。特にあべのハルカス近鉄本店に新設する「プレミアムサロン(仮称)」や、アテンドサービス、ライフコンシェルジュサービスの提供など、接遇やサービス面を強化し、外商売上高を2024年度から約2割増まで伸ばす計画です。

●地域店の進化

 地域店は「近鉄百貨店」として地域の価値向上に貢献し、駅前立地にある地域のインフラ機能として、必要なモノ・コト・サービスを提供し、「なくてはならない」存在であり続けます。地域店についてはコロナ禍を経ての構造改革により、前・中期経営計画期間に全店黒字化を達成いたしました。今回の中期経営計画期間においては、今後も利益を安定継続させるため、収益構造改革、コスト構造改革、働き方改革、3つの改革を徹底し、もう一段階の店舗構造改革を進めます。館としては低層階に百貨店機能を集約し、デパ地下や上質なライフスタイルを提供、一方で中層階から上層階には大型専門店や地域コミュニティ・サービス機能を導入するなど、地域に必要なモノ・コト・サービスを提供する「価値提供型」店舗への進化を目指します。また地域店各店にあべのハルカス近鉄本店で取扱う商材の窓口機能を構築し、地域商圏のお客さまにサービスの最大化を図ります。

●自主事業の進化

 当社事業における柱のひとつへと成長した自主事業は、次のステップへと進化させます。業種・店舗数を拡大してきたフランチャイズ形態については、「量」から、事業の生産性向上をも目指す「質」への転換を図ります。またフランチャイズ事業で培ったノウハウを百貨店事業の深耕や新たな事業ポートフォリオの構築など他事業に活かし、全社でのさらなる成長を図ります。

 2023年から参入した農業事業では、いちごの生産に加え、2024年度よりマンゴーの生産へと拡大しています。生産から販売まで自社社員が一気通貫した事業運営をおこない、自社ブランド化することで、高収益化を図ります。

●大阪・関西万博の取組み

 関西拠点の百貨店として、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の取組みを推進し、大阪・関西万博会場内にオフィシャルストアを出店しております。百貨店のノウハウを活かし、大阪・関西の人気企業とのコラボ商品や、地元企業とのオリジナル商品を開発・販売し、世界に向けて大阪・関西、日本の魅力を発信しております。

 またあべのハルカス近鉄本店の店内でも、「2025大阪・関西万博 オフィシャルストア」の拡大、大使館や自治体、近鉄グループ、取引先との協力による万博関連イベントなど、数々の大阪・関西万博の取組みを強化します。

 基本方針2.新たな事業ポートフォリオへの種まき

 グループの強みや資産を活用し、ポートフォリオの多角化を推進し、将来を見据えた新たな「成長の柱」を生み出してまいります。具体的には、グループ会社を核とした食品製造・小売事業への参入、グループ会社である建装事業の強化拡大、法人外商の商事事業への取組み強化、フランチャイズ事業をベースとした「自主事業」での当社以外の外部施設進出などに取り組みます。

 また近鉄グループの強みを活かし、流通セグメントを始めとした有機的なグループ連携、地域との共創により、既存事業や新たな事業においての協業推進やシナジー創出にも取り組んでまいります。

 基本方針3.将来への基盤整備

 事業環境の変化に対応し、今後の成長を支えるため、今回の中期経営計画期間において人的資本経営、DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略を積極的に推進します。

●人的資本経営

 事業の成長・拡大の根源となる人への投資を積極的に進めます。多様な事業や職域の特性に対応するため、2027年度に人事制度を抜本的に改革いたします。また、従業員が「働きたい」と思える環境整備も整え、2025年度より新規事業提案制度「近鉄イノベーションラボ」を実施するなど、一人ひとりが持つ“価”を見出し・育て・最大限の発揮・次世代へ繋いでいくための人的資本経営を目指します。これらの処遇改善や人事制度改革を含め、4年間で約40億円の人的資本投資を計画しています。

●DX戦略

 すべての事業と実務領域において、全社一体となってDXを加速させます。特に「顧客とのつながりの強化」「リアル店舗DX」「ワークスタイル変革」をDX戦略の3本の柱として注力し、4年間で約20億円の投資を計画しています。あわせて事業部門とDX推進担当部門が協同する推進体制を整え、DX推進人財の育成に取り組みます。長期的な観点で「システムのシンプル化・スピード化・全体最適化」を進めます。

 基本方針4.「資本コストや株価を意識した経営」の実現

 全体戦略においての投資と還元のバランスを取りながら、さらなる企業成長を図ります。あべの・天王寺を中心に成長投資をおこなう一方、事業環境の変化に対応した基盤強化への投資も実施します。

 今後は収益性向上と株主還元方針の見直しにより、連結ROE9.0%以上を目指します。

●収益性向上

 中期経営計画の着実な実行を通じて、特にあべの・天王寺エリアへの集中投資や自主事業を中心とした商品力強化、顧客戦略強化などにより、連結売上高営業利益率を高め、収益性の向上を図ります。

●株主還元方針の見直し

 自己資本が着実に蓄積されている状況を踏まえ、将来の事業展開に備え財務体質の強化を図る一方で、安定的な配当を継続するこれまでの方針から2025年度(2026年2月期)より、財務健全性を維持しつつ、業績に応じた株主還元を強化する方針にシフトします。また、2025年度(2026年2月期)より、30%を目安に連結配当性向目標を新設します。

 業績に応じた配当をおこなうとともに、株主・投資家との関係性をより深めるため、市場との積極的な対話の推進、株主優待の利便性向上等に取り組み、PBR向上を目指します。

 当社グループの中核となる百貨店業では、業界の売上高が減少する中、他の競合に打ち勝つため、財務体質の強化を図るとともに、売場改装などの設備投資並びに新業態開発に向けた先行投資が必要不可欠であります。

 これらを踏まえ、中期経営計画の4年間で総額350億円の設備投資を効率的に行うとともに業績に応じた配当を行うことができるよう、最終年度の連結ROE目標を9.0%以上としております。

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